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JPRS諮問委員会設置要綱(案)に関するご意見募集の結果について
2001年8月13日
社団法人 日本ネットワーク
インフォメーションセンター
- 目次
-
1. はじめに:諮問委員会設置の意味について
2. 今回のご意見募集の経過について
3. ご意見のJPRSへの提出とJPNICにおける方針検討について
4. 寄せられたご意見(項目別)
1. はじめに:諮問委員会設置の意味について
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、
2000年12月22日に開催された第11回総会の決議に基づき、
JPドメイン名登録管理業務を株式会社日本レジストリサービス(JPRS)に移管することを予定しております。
また、 この決議の中では、
JPRSによるJPドメイン名登録管理業務の実施に関して、
公平性および中立性を実現するために、
JPRS内に諮問委員会を設置することになっております。
トップレベルドメインなどのインターネット資源管理を世界レベルで調整するICANN
(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、
国別トップレベルドメインの管理者がその管理責任の委任をICANNより受ける条件として、
RFC1591(*1)、ICP-1(*2)により、
登録管理業務の公平性・中立性の維持を求めています。
JPRS内に設置される諮問委員会は、
これらICANNが求める条件を満たすための役割を担うことになります。
- (*1)RFC1591: Domain Name System Structure and Delegation
-
原文: http://www.ietf.org/rfc/rfc1591.txt
和訳: http://www.nic.ad.jp/new-org/rfc1591-j.html
- (*2)ICP-1: Internet Domain Name System Structure and Delegation
-
原文: http://www.icann.org/icp/icp-1.htm
和訳: http://www.nic.ad.jp/new-org/icp-1.pdf
2. 今回のご意見募集の経過について
2001年5月18日、諮問委員会の設置要綱(案)が、
JPRSよりJPNIC理事長に対して提出されました。
JPNICは、これをWeb上に公開してお知らせし、
総会決議事項実施の経過報告といたしました。
また、JPNICは、JPドメイン名の現時点での管理責任者として、
JPRSへの事業移管にあたり、
この諮問委員会がJPRSにおける登録管理業務の公平性・中立性を実現するものとなっているかどうか、
その内容について広く一般のご意見を募集することにいたしました。
- 意見募集文書
-
JPRS諮問委員会設置要綱(案)に関するご意見募集について
http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/2001/20010523-01.html
「諮問委員会設置要綱(案)」
http://www.nic.ad.jp/new-org/PressRelease/20010523/secchi-yoko-an.html
参考資料:「諮問委員会設置概要(案)」
http://www.nic.ad.jp/new-org/PressRelease/20010523/gaiyo-an.pdf
ご意見募集期間は、5月23日から6月22日まで1か月間設けられ、この間、
合計20通のご意見を受け取りました。
ご協力を頂いた皆様には、厚く御礼申し上げます。
3. ご意見のJPRSへの提出とJPNICにおける方針検討について
皆様から寄せられたご意見は、本日、JPNICよりJPRSへ提出されました。
なお、JPNIC理事会では、ご意見募集が締め切られた6月22日以降、
本件について継続的な検討を行ってきましたが、
JPNICとしての方針提示は現時点では行わず、
今回は、寄せられたご意見のみをJPRSに提出することにいたしました。
なお、今後予定されている「ICANNとJPRSとのccTLD契約」の手続の過程において、
本件についても合わせて検討を行い、必要に応じて、
JPRSに対して方針提示をする予定でおります。
4. 寄せられたご意見(項目別)
寄せられた20通のご意見につきましては、
以下の通り項目別に整理をいたしました。
なお、寄せられたご意見の中には、設置要綱(案)の文書表現上の問題から、
内容が正しく伝わっていないと思われる箇所が見受けられました。
特に、諮問委員会を構成する委員の人数については、
参考資料に「7人」という記述があったものの、
設置要綱(案)にはそれが明示されておらず、このため、
委員の人数を明確にすべきであるとのご意見を複数の方から頂きました。
この点につきましては、ここで改めて「7つの分野からそれぞれ1人ずつ、
合計7人」の委員が選定されるという案であることをお伝えしたいと思います。
これに関するご意見は以下の一覧より省かせて頂きました。
また、今回の諮問委員会設置に関連する事項として、
現在のドメイン名登録規則の不備を指摘されたご意見、また、
サイバースクワッティング対策に関するご意見を頂きました。
これらは、JPNIC自身に対するご意見として承り、
今後の業務に反映させて頂きたいと考えております。
これらにつきましても、以下の一覧より省かせて頂きました。
JPRS諮問委員会設置要綱(案)へのコメント
要綱(案)
- 1.目的
- 本委員会は、株式会社日本レジストリサービス(以下JPRS)の定款に基づき、JPRSが行うJPドメイン名登録管理業務の公平性および中立性の実現を目的として、JPRS内に設置される。
コメント
- 諮問委員会において、中立で透明性のある意見を取りまとめるという趣旨には賛成である。
- JPRSが株式会社としてレジストリ業務を開始することを決めたのなら、株式会社として登録の拡大、利益の拡大を目指すべき。 「公平性・中立性」を正面から議論することは、株主との関係の観点から見ても、矛盾している。
- 私は、JPRSが作られ、それを各方面から支持したことは、日本もVeriSignを作ったことと理解している。これは悪いということではなく、国際的には、むしろ競争促進、業務の効率化促進、民営化、という大きな流れに沿ったものであるとも言える。問題は、その目的をどう実現するかである。
- 「公平性」が、「誰にとっての公平性」なのか、「中立性」が、「どのような利益や力関係の中での中立性」なのかを明確にさせるべき。
-
諮問委員の予想されるメンツから察するところ、「ドメイン名登録規則」の改正・運用、あらたなドメイン名空間の設定などについて、JPRSの株式会社としての利潤追求の論理だけでなく、インターネットユーザー全体、知的財産権保護関係者の要求、通信事業政策・規制など政府関係者からの要望など、株式会社に用意された利潤追求のための意思決定機構とその仕組みからは漏れ落ちそうな問題について、それを汲み上げる組織としたいと理解すればよいだろうか?。
そうであるならば、「公平性・中立性」というスローガンよりも、JPRSのサービスの「公共性」というスローガンこそが、この諮問委員会の性質を最も端的に示すものであると思われる。利潤追求の形をとるようにJPRSがなった以上、関係者全員に対する「公平性・中立性」確保のためにJPRSに諮問委員会を「埋め込む」というのは、会社法の観点からいけば全くの矛盾。その意味で、JPRS「内」にかかる諮問委員会があるというのが、会社の機関としてという意味ならば間違いではないかと思う。私的な外部アドバイザーとして取締役会や代表取締役が意見を諮問するというならよろしい。
- JPRSは株式会社ではあるが、その業務が、株主や役員・従業員のためだけに運営することは妥当でないだけの「公共性」を帯びたサービスであるために、多様な意見を集約する、取締役会の特別な外部アドバイザー組織(商法上でも他の規制法でも要求されていない特別な組織)として設置するのだということを広く、明確に説明すべき。
- JPドメイン登録管理業務の公平性と中立性の実現のために、営利の株式会社JPRSの内に設けられる本諮問委員会については、高く評価し賛同する。
- JPRSが、ドメイン名という公共的な財産を管理する組織であるため、公平性及び中立性を確保するために諮問委員会を設置されることは大変意義深いことである。
- 諮問委員会により、中立公平を確保されようという試みは、基本的に支持できる。
- 今回のJPRS諮問委員会設置要綱(案)は、全体として公平性・中立性への配慮が不十分である。中立性の確保には、ひとつには JPRS 取締役会からの独立性が必要であるが、案は不十分である。また、JPNICの判断が公平性・中立性を確保できるものであるという前提が伺えるが、それは自明ではない。客観的に公平性・中立性を確認できる手続きが必要である。
-
JPドメイン名の社会的役割からも、その登録管理業務の公平性及び中立性を確保するためのシステムを構築することが必要であり、その1つとして諮問委員会を設置することに賛成である。JPドメイン名登録管理業務は、JPRSにとって業務執行のひとつであるから、取締役会の権限の範囲に属しよう。したがって、取締役会の下に諮問委員会を置いて、より適正な意思決定を担保させることと意図した、JPRS諮問委員会設置要綱案の基本的姿勢は正当なものと評価できる。
しかし、諮問委員会の設置のみで、先の公平性及び中立性を実現できるか否かについては、なお検討を要するのではないか。他の担保措置の並存の可能性(例えば、業務監査権限を有する監査役との関係)についても合わせて検討することが必要であろう。
要綱(案)
- 2.活動
- 本委員会は、JPRSのJPドメイン名登録管理業務の公平性および中立性に関する事項について、勧告およびJPRS取締役会の諮問に対する答申を行う。また、必要に応じて、本委員会がJPRS取締役会に説明を求めることもできる。JPRSは、諮問委員会による勧告、答申の趣旨を最大限尊重しなければならない。
コメント
- 諮問委員会の判断に応じて、調査する機能を追加してはどうか。諮問委員会が分科会のような形態でグループフォーカスインタビュー(座談会形式リサーチ)を実施すれば、ユーザの意見をさらに吸い上げやすいのではと考える。
- 諮問委員会による勧告が、JPRSに対しどの程度の拘束力をもつのか不明である。
- 諮問委員会にはどのような権限が与えられているのか不明である。
- 取締役の法令・定款違反行為については監査役が監視するわけだが、諮問委員会または諮問委員会から委託を受けた第三者が監査役とも連携し、法令・定款違反行為に該当しないようものであっても、JPRSの公平性、中立性を疑わせるような事実が発覚した場合に、調査を行うことにしてはどうか。
- 諮問委員会の実行性確保のため、勧告、答申が実施されることが必要。諮問委員会の勧告、答申を最大限尊重するというのは抽象的な文言なので、実行のための具体的な方策を明示すべき。
- 示された要綱案では、もっぱらJPRS取締役会が諮問するかどうかのイニシアティブを握っており、チェックされる側がチェックされるかどうかを決定できる体制となっているので、問題があろうかと思う。以下のような修正を加えたらよい。以下、[[ ]] が修正提案部分。
- (修正案)
-
2.活動
本委員会は、JPRSのJPドメイン名登録管理業務の公平性および中立性に関する事項について、[[本委員会自身が必要と認めた事項に関する勧告を行うとともに、]]JPRS取締役会の諮問に対する答申を行う。[[勧告または答申を行う際の]]必要に応じて、本委員会がJPRS取締役会に説明を求めることもできる。JPRSは、諮問委員会による勧告、答申の趣旨を最大限尊重しなければならない。
- 第3文:勧告、答申に「従う」のではなく、「最大限に尊重する」のであるから、勧告、答申「の趣旨」に限定する必要はないのではないか;「JPRSは、諮問委員会による勧告、答申を最大限に尊重しなければならない。」([の趣旨] を削除する。)
-
委員会の活動として、勧告と答申が挙がっているが、公平性および中立性を確保するには JPRS取締役会と独立した調査権限が必要であると思われる。そこで、本項については次のようにするべきである。
「本委員会は、JPRSのJPドメイン名登録管理業務の公平性および中立性に関する事項について、調査、勧告およびJPRS取締役会の諮問に対する答申を行う。また、必要に応じて、本委員会がJPRS取締役会に説明を求めることもできる。JPRSは、諮問委員会による勧告、答申の趣旨を最大限尊重しなければならない。」
- 諮問委員会自体が登録管理業務の中立性に関して問題を認識した場合、それを提議できる方策が必要であると考える。取締役会に説明を求めるのは、諮問事項の内容が不明確な際に働く条項であろうから、役割が異なると思う。現状においては、一方的にJPRS側からの諮問についてしか問題点を指摘できないように思われる。少なくとも、登録規則等関連規則と、指定事業者の選定に関する基準について、取締役会からの具体的な指示(諮問)がなくとも、問題点を取締役会に指摘できるとしたほうがよろしいのではないか。
- 必要に応じて、委員会が取締役会に説明を求めることができるとされているが、これは、委員のイニシアチブで委員会を開催して取締役会から説明を求めることも可能ということか?
要綱(案)
- 3.諮問事項
-
本委員会の諮問事項は以下の通りとする。
- JPドメイン名登録規則その他関連規則
- 指定事業者の選定および契約終了に関する基準
- その他取締役会が諮問することを決定した事項
コメント
-
今後以下の3つを検討すべき。
-
株式会社と日本政府 and/or JPNICやICANN等の権限機関との明確な契約関係の樹立。
(注:レジストリとして公共財的なドメイン名登録業務を行うことには、政府 and/or JPNICやICANNとの明確な契約関係が必要。JPRSはそれを行った上で、業務移管をするのが適当な順序。その契約の中で、JPRSの義務を明確化し、それをその後の「公平性・中立性」の判断基準とするべき。)
-
それを監督する、外部の委員会等の組織。
(注:外部の監督機関は、日本の全体としての利害を代表するものであり、JPRS等の民間企業とは完全に独立したものである必要がある。言って見れば、日本国内のICANNを作るようなことが理想。従って、現在提案されているような「JPRS諮問委員会」は(JPRS理事会が委員を任命する点等)、この目的を達しない。)
-
常に、競争状態を作る環境の設立。日本の中でも別のレジストリを作ることが可能か、可能としたらどう実現するか、ある会社が目的を達成できない場合の代替をどうするか。
(注:これは本当に私見であるが、将来、「.jp」 に加え、「.日本」等のccTLDを作るようなことになれば、JPRS以外のレジストリを設立し、それらの間の競争を促進することが考えられる。日本的に考えると無駄な競争に見えるかもしれないが、国際的な競争を踏まえた日本での競争原理導入は、長期的には日本でのドメイン名普及、使用拡大につながり、 日本の利害にかなうものと思われる。)
- 「公共性」のために必要と思われる事項を、「誰が」どのように諮問するかを明記すべき。
-
JPRSの透明性を高めるため、以下も諮問事項に追加してはどうか。
- 登録料その他の手続費用の金額
- 取締役の報酬額
-
「2. 活動」を広げたことに応じた修正(「2. 活動」の修正に伴う修正)が必要となる。次のように修正。
「3. 調査・勧告・答申事項本委員会の調査・勧告・答申事項は以下の通りとする。
- JPドメイン名登録規則その他関連規則
- 指定事業者の選定および契約終了に関する基準
- その他取締役会が調査・勧告・答申することを決定した事項」
-
現状の規定では、諮問委員会の権限がどこまで及ぶのか必ずしも明らかでない。JPドメイン名登録管理等に関するあらゆるルールが公平かつ中立なものであるために、諮問委員会の権限が及ぶ範囲を明確にするべく、次の事項を盛り込むことをご検討いただきたい。
- 株式会社日本レジストリサービス(以下、「JPRS」という)が設定するJPドメイン名の登録等に関するルールに関して、その設定および改訂の際には、必ず諮問委員会の諮問を受けること;ならびに
- JPRSによるかかるルールの設定または改訂がなされる場合に消極的に諮問を受けるにとどまらず、諮問委員会がかかるルールの設定または改訂の必要性を認めた場合には、積極的にJPRSに意見できること。
さらに、上記についてより実効性をもたせるために、JPRSの意見の拘束力について、要綱案第2項第三文の「最大限尊重しなければならない」にとどめるべきではなく、原則としてJPRS は諮問委員会の意見に即応する義務を課すということもご検討いただきたい。
要綱(案)
- 4.構成
-
本委員会の委員は、下記各号の団体等からJPNIC理事会が推薦し、JPRS取締役会が任命する。
- 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
- JPドメイン名レジストラ
- インターネットサービスプロバイダ
- 一般企業
- 学識経験者
- 日本国政府
- インターネットユーザ
コメント
- JPNIC理事会が推薦しJPRSの取締役会が任命するとなっているが、公平性・中立性を重視するのであればもう少し具体的にしたほうがいい。
- 学識経験者とは別に、法曹界の方(弁護士など)を構成員として加えてはどうか。
- インターネットサービスプロバイダ、一般企業、ユーザなど、数の多いものについては、委員の選定方法をどうするかにより、中立性・公平性が疑問となる。
- 日本国政府というのは、どういう意味か。政府を委員にする必要があるのか。
- よく指摘されている日本企業の監査役のようにならないよう構成委員各位に期待する。
- JPNICが選定した人間によって諮問委員会が構成されるとすると、JPNICの意向が強く反映されることになろうかと思う。JPNICが管理責任をもちつつも広く一般の意見を取り入れる諮問委員会であるならば、諮問委員のイメージをより具体的にすべきではないか。この手の議論の場合、幅広い知識が要求されるのは周知のとおり。国際的動向、ヒストリカルな経緯、ポリティックス、技術的知識、運用的知識など。そうした話題の論客としては、数が限られており、どの委員会も同じようなメンバーになりがちである。違った視点の意見をとり入れることが趣旨なら、他の委員会との兼務禁止など、委員の選考基準を明確化すべき。
- 委員構成がいかにもお手盛りであるとの印象を与えないよう、参考として委員候補者一覧も提示した上でパブリックな意見を求めてはどうか。
- 「なぜ、JPNICが推薦するのか、あるいはできるのか」の答えとなる内容が見当たらない。『委員を推薦する母体とするJPNICとはJPRSの何であるのか』がわかる内容をこの要綱の中に織り込んでおくか、あるいは何を参照したらわかるのか記述しておいたほうがよい。
- 委員はどのような責任をもつことになるのか不明である。
- 委員の任命をJPRSがすることは妥当なことであるのか。
-
この項目については次のような問題がある。
- 人数が明確でない
- 列挙されている「団体等」が単に理事会推薦者を出す母体ということなのか、各々のセクションから必ず委員が出るということなのかが明確でない
- 要綱にあっては、推薦や任命の意味がはっきりしない。JPNIC が全員を推薦し、JPRSがその全員を任命するのか、それとも JPNIC が候補を推薦し、JPRSで選ぶのか。
- 「JPNIC理事会による推薦」では透明性がない
これらについては次のようなことが要検討事項となる。
- 総定員を定める
- 各選出母体ごとの定員を定める
- 「インターネットユーザ」については高い透明性を確保する必要がある。一般選挙が可能であれば望ましいが、財政上の問題などから不可能な場合でも一般候補者から透明性を確保して選ぶことが必要である。
- 他の選出母体でも透明性の確保は必要であり、とくにレジストラについては特定少数なので選挙が可能である以上実施するべきである。
ただし、委員会の早急な立ち上げが必要だと思われることから、第一期諮問委員会については JPNIC理事会推薦メンバーで構成することは許容されるだろう。この場合でも、推薦理由についての透明性確保が必要となる。
以上を考慮して、以下のようにする。
「本委員会の委員は、下記各号の選出母体からX人選出する。
- 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
- JPドメイン名レジストラ
- インターネットサービスプロバイダ
- 一般企業
- 学識経験者
- 日本国政府
- インターネットユーザ
第一期委員はJPNIC理事会が推薦し、その全員をJPRS取締役会が任命する。JPNIC理事会は各委員の推薦理由を具体的に提示する。また、第二期以降は選出方法を改めることとし、その調査・勧告は第一期委員会が行う。
検討すべき事項は
- 総定員および各選出母体ごとの定員
- 各選出母体からの選出方法の検討
とし、(b)については単一組織の代表となるJPNIC委員と日本政府委員以外については公平性・中立性の観点から評価することとする。」
- 一般に、会議体の一般原則からすると、利害関係人が委員となることと公平性と中立性の確保とは矛盾するものであることから、登録管理業務に直接かつ特別な利害関係を有する者は、説明等は格別、決議からは排除されるということになるのではないか。その意味からすると、登録管理業務に利害関係を有する団体から議決権を有する委員を当然にルール上認めるというためには、少なくとも公平性と中立性を確保するということだけではない、格別の説明が必要なのではないか。委員の名称、地位などに配慮するなど、さらに一工夫することが必要なのではないか。
- 現在の構成は、(1)および(2)が、JPドメイン名の登録ないし管理を担当する側と考えられ、(3)、(4)および(7)がJPドメイン名を利用する側と考えられ、これに、学識経験者と日本国政府が加えた形になっている。しかしながら、ドメイン名にかかわる問題は、登録ないし管理業務の実務に関する問題にとどまらず、知的財産権、会社法、契約法、国際私法、金融法(金融法に関しては、現時点では未だ議論されていないが、将来的にはドメイン名に対して担保を設定することが出てくるものと想像される)その他多岐にわたる。1名の学識経験者と1名の日本国政府関係者だけで、これらあらゆる問題について適切な議論、検討、判断がなされることを期待することは難しいと思われる。各分野の専門家等(法律実務家等)を複数名含める等、これらあらゆる問題に十分対応できる構成にすることをご検討いただきたい。
要綱(案)
- 5.体制
-
本委員会の体制は、以下の通りとする。
- 委員の任期は2年間とする。ただし、第一期諮問委員会は、委員の任期を1年間とする。
- 本委員会は、毎年2回、2月と8月に定例委員会を開催する。また、必要に応じて臨時委員会を開催できる。
- JPRSは、JPRSの指名する者を委員会に出席させ、諮問事項等について説明し、JPRSの意見を述べることができる。ただし、この者は、議決に加わることはできない。
- 本委員会は、必要に応じて部会を設けることができる。委員会は、委員以外の者を部会員に委嘱することを、取締役会に勧告できる。
- 本委員会の事務局は、JPRS総務部が所掌する。
コメント
- 委員の任期は2年。任期途中で選任されたときは、通常前任者の残存期間がその委員の任期となる。しかし、本件のような職域代表の場合はどうか。個人性が稀薄なようだが。
- 委員会の委員長並びに委員会の議長はどうやって決定するのかを定めるべき。
- 臨時委員会の開催は誰が決定するのか定めておくべき。
- 年2回の委員会では、十分な諮問活動が行えるとも思えない。諮問委員会から委託を受けたスタッフが日常的に資料の収集や調査等を行い、問題があれば、諮問委員会の委員長に報告し、委員長が臨時の委員会を招集する体制にしてはどうか。
- 臨時委員会の開催要件をより明確にすべきだと思う。例えば「・・・また、委員の3分の1が求めたときには、臨時委員会を開催しなければならない。」のように。
- 委員長および副委員長に関する規定がかけているが、委員会自身がイニシアティブをとるべき場合もあることを考えると、責任者が必要であろうと思う。
-
部会の設置と構成員は諮問委員会に専決権を与えるべきである。そこで(4)項について次のようにする。
「(4) 本委員会は、必要に応じて部会を設けることができる。委員会は、委員以外の者を部会員に委嘱することができる。」
- 定例委員会及び臨時委員会の招集権者が明らかでない。特に、臨時委員会については「必要に応じて」召集されるものであるだけに、明確にしておく必要があろう。
- 5.(5) 事務局を所掌するではなく、事務を所掌するではないか。
- 委員の再任の可否を明示してはどうか。
- 2月と8月に定例委員会を開催し、また必要に応じて臨時委員会を開催できるとされているが、委員会の招集はだれが行うのか? JPRSかそれとも委員会の会長か? 委員のイニシアチブで委員会を開催して、意見を表明することは可能なのか?
要綱(案)
- 6.定足数および議決方法
-
本委員会は、委員の過半数以上の出席により議事を行う。
本委員会の議決は、出席委員の過半数をもってこれを決する。ただし、出席委員の過半数の賛成がある場合には、出席委員の全員一致または3分の2以上をもってこれを決するものとする。
コメント
- ただし書きの適用は、誰が提案するのか。また、提案があり、6.記載の条件を充足する場合は常に、事項の如何を問わず特別な議決になるのかを明確にしておくべき。
-
過半数が賛成または反対すれば、議決が成立するのであるが、その過半数が全員一致または3分の2の特別多数で決するよう要求する場合とは、どのような場合があり得るのか? 特別多数による議決が望ましい場合は確かにあり得るだろうが、そのことを会議体自身で議決する必要はないようにも思う。実際に全員一致で議決すればよいのであるから。
これに対して予め、一定の事項については全員一致または3分の2以上の特別多数による議決とすることは考えらる。例えば、本委員会の解散、委員の除名といった事項は(後者の場合除名対象委員を除く)全員一致が望ましいであろうし、「(1)JPドメイン名登録規則その他関連規則」については特別多数が望ましいのかもしれない。
-
定足数は「過半数以上」ではなくて、「過半数」であろう。決議要件も、出席委員の「過半数」ではなくて、「多数」ではないか。但し書以下が意味不明。
特別決議を設けるのであれば、事前に決議事項を特定するのが会議体の一般原則ではないか。
- 第二文「本委員会の議決は、出席委員の過半数をもってこれを決する」は、より正確には、たとえば、「本委員会の決議は、出席委員の過半数をもってこれをなす」となると思われる。
- 第三文「ただし、出席委員の過半数の賛成がある場合には、出席委員の全員一致または3分の2以上をもってこれを決するものとする」は、より正確には、たとえば、「ただし、出席した委員の過半数の賛成がある場合には、出席した委員の全員一致または3分の2以上をもって決議するとすることができる」であると思われる。
- 出席委員の過半数で会議が成立し、その過半数で決することができるということは、全委員の4分の1を超えれば決定を得ることができることになる。少なくとも、登録規則に関する事項は、3分の2要件を課すとか、もう少し要件を加重したほうがよいのではないか。
- 第三文(ただし書き)は、決議要件を多数決で加重することができるということだが、これは、出席者の過半数によって議決成立を妨害することができることを意味するのであろうか。もともとそういう場合は、出席者の過半数が反対していることが多いで場合であろうから、殆ど意味がないと思う。普通、決議要件を加重する場合は、重要事項であるから決議要件を加重するはず。したがって、加重されるべき事項が予め明示されているものではないだろうか。
- 出席は、会議システムを利用する遠隔出席でもよいのかどうか明確にすべき。
- 会議の議長は誰にするのか、決めておく必要があると思う。委員長というポストをおくなら、互選にするとか選出方法を明示してはどうか。
- 出席委員の過半数の賛成で全員一致制等に変えることができるというのは、あまり例がないのではないか? 全員一致が必要と過半数が考え、かつ一部が反対しているような事項は、そもそも採決をしなければよいのではないか? 仮に、全員一致等の必要なことがらがあるのなら、最初から明記しておくべきだと思われる。
要綱(案)
- 7.会議の公開
- 会議は、公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開する。議事録等は、JPRS所定の方法で公開する。ただし、議事録等を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを認めた場合、その全部又は一部を非公開とすることができる。
コメント
-
この公開規定の定め方は、あまりにDefensive。JPRSの営業秘密や他人のプライバシーに関るようなことでもない限り、原則公開は広く徹底されるべき。
「公共性」のために諮問委員会があると考えれば、非公開の例外は極力少なくすべきであるし、その理由ははっきりと例示をともなってなされるべき。特に「会長が必要」とみたら非公開にできるように読めるのは、とっても変である。「公共性」ということを重視するならば、こんな文言は入らない。
-
透明性を確保する意味から会議および議事録の公開は必要である。この意味で、「会議は、・・・・場合を除き、公開する」を、「会議は原則として公開する。
ただし、・・・場合は非公開とすることができる」にする方が前向きと思う。
- 「会長が非公開とすることを必要と認めた場合」とは、なんらかの基準がもうけられているのか。
- 「会議」という語は、「議事」あるいは「委員会議事」等の用語の方が適切ではないか。
-
議事録の公開は、委員会の責任で公開性を保障すべきである。そこで次のようにする。
「会議は、公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開する。議事録等は公開し、その方法は諮問委員会の内規で別途定めるものとする。ただし、議事録等を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合その他の会長が非公開とすることを認めた場合、その全部又は一部を非公開とすることができる。」
- 透明性を促進する上で、決議内容を公開することは大切なことと思うが、そのことと、会議それ自体を公開することは別なのではないか。特定のどの委員がなにを発言したかということまで公開する必要があるのか、あるいは委員会全体でどのような討議がされ、その結果いかなる結論に至ったかが公開されれば良いのかは、議論が分かれるのではないか。
- 1行目および4行目の「当事者」の意味が明らかでないが、JPRSや諮問委員会以外のものであれば、「第三者」という文言でカバーできるので「当事者又は」という文言は不要と思われる。
-
文章の構成に関し、ただし書が、第一文と第二文の双方にかかっているのか、それとも第二文のみにかかっているのか明らかでないので、次のような構成にするか、会議と議事録についての項を分けて記載すべきと思われる。
「本委員会の会議は、公開とし、議事録等は、JPRS所定の方法で公開する。ただし、公開することにより第三者の権利もしくは利益または公共の利益を害するおそれがある場合その他委員会において非公開とすることが必要であると判断した場合はこの限りでないものとする。」
- 会議の公開はわかったが、会議があること自体はどのように利害関係者に通知されるのか。会議が公開されていても、会議がどこでいつ行われるのか、どういう議題かがわからなければ公開の意味はない。
- 会長の判断で非公開にできるとされているが、まず、会長の選任方法が記載されていない。取締役会の指名なのか、それとも、委員の互選なのか?国の審議会等では、会長個人の判断ではなく、会長の発議で委員の意見をきいて全体で判断することになっているのが普通。
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