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公開 2000年10月10日 最終更新 2000年11月10日 社団法人 日本ネットワーク インフォメーションセンター 汎用 JP ドメイン名導入に関する方針 目次
------------------------------------------------------------------------------ 1. はじめに (社)日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)では、2000年2 月に「新 JP ドメイン名に関する検討タスクフォース (dotJP-TF)」を結成し、 JP ドメイン名の今後のあり方について検討を行ってきました。 9月1日には「汎用 JP ドメイン名に関する方針(案)」を策定・公開し、9月 30日までの1ヶ月間、皆様からのご意見を頂きました。このたび、皆様からの ご意見を参考に、「汎用 JP ドメイン名導入に関する方針」を策定しましたの でお知らせいたします。 「汎用 JP ドメイン名に関する方針(案)」からの主な変更点は下記のとおり です。 ・周知期間の変更 汎用 JP ドメイン名の導入にあたり、その内容を広く周知するために、実 施スケジュール面において当初の計画よりも周知期間を長くすることにし ました。 ・優先登録申請期間と同時登録申請期間の分離 方針案では、優先登録申請期間と同時登録申請期間を同時期に行う計画で したが、優先登録されるドメイン名が確定した後に同時登録申請の受付を 行った方が良いとの判断から両期間を分離することにしました。 ・優先登録申請対象の追加 優先登録申請の対象に、既存の JP ドメイン名に加えて、登録商標、登記 された商号等、官公庁等の名称、大学名等にも申請の機会を提供すること によって、紛争防止のための調整機能をより強く持たせることにしました。 ・予約ドメイン名の追加 JPNIC が業務上使用する文字列、および、普通名詞の一部を新たに予約ド メイン名として追加することにしました。 2. JP ドメイン名の改革に向けての背景 JPNIC では1999年1月に「JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台)」 (以下「グランドデザイン1999」と言う)を公開し、JP ドメイン名の現行の 登録方針および今後の方向性を提示しました。(概要については、「付録1. グランドデザイン1999で示された現行登録方針とその方向性」を参照のこと) 「グランドデザイン1999」では、登録方針に関する今後の方向性をふまえて新 しく導入するドメイン名として「汎用SLD(Second Level Domain:第2レベル ドメイン名)」を取り上げましたが、その導入に当たっては、知的財産権に関 する問題を解決する必要があり、その有力なアプローチとして、裁判に代わる 簡便な紛争解決手段の設置について言及しました。 JPNIC では、「グランドデザイン1999」を出した1999年1月以降、この問題に 関する ICANN 等の世界的な動向を見つつ、2000年7月、「JPドメイン名紛争処 理方針」(以下「DRP」という。DRP: Dispute Resolution Policy)を策定し、 10月より実施の運びとなっております。これにより、ドメイン名と知的財産権 に関する問題のうち、不正の目的による登録・使用に関しての解決策は準備で きたものと考えております。 また、日本においてインターネットが急速に社会に浸透し、ビジネスや経済活 動の基盤としても広く使われるようになってきている中、現在の JP ドメイン 名では利用者の多様化する要求に、必ずしも対応しきれていない状況が顕著に なってきています。例えば、1組織1ドメイン名の原則により、商品名やブラ ンド名ごとにドメイン名を登録することができないということや、個人でドメ イン名を登録する場合、登録手続きが複雑、コストが高いといった状況があげ られます。 JPNIC としては、現行の方針の良い点を維持しつつ、改革を進める必要がある と考え、このたび以下に述べる特徴を持つ新たなドメイン名を導入することと いたしました。 3. 新 JP ドメイン名導入の方針 3-1. 新 JP ドメイン名の特徴と名称 JPNIC は、既存の JP ドメイン名は現状を維持するものとし、これとは別に以 下の特徴を持つ新 JP ドメイン名を導入いたします。 - 登録資格要件の緩和 - 登録数の制限の撤廃 - 移転の自由化 - ローカルプレゼンス(国内住所要件) - 第2レベルドメイン名(SLD)への登録 - 日本語ドメイン名の導入 - 登録手続の簡素化 - 登録期間・更新制度の導入 また、今回導入する新 JP ドメイン名を既存の JP ドメイン名に対して、「汎 用 JP ドメイン名」と呼ぶことにします。「汎用」とは、一定の登録要件を満 たせば、個人・組織の種別を問わず、登録できるドメイン名の形式が同じであ ることを示しています。なお、既存の JP ドメイン名とは、「属性型(組織種 別型)JP ドメイン名」および「地域型 JP ドメイン名」のことを意味してい ます。 3-2. 汎用 JP ドメイン名空間新設の理由 JPNIC では JP ドメイン名の登録と維持・管理を行っていますが、これまで皆 様からさまざまなご意見をいただいてきました。その中には、現在の JPNIC のドメイン名登録規則が設けている1組織1ドメイン名の制限を撤廃すること に関する要望も含まれています。インターネットが利用され始めた初期の段階 では、自社のホストを識別するために、組織ごとにドメイン名を登録して運用 するという形が一般的でしたが、WWW などの登場とともにインターネットが社 会に浸透するに従ってその利用形態も非常に多岐にわたるようになってきてい ます。このような中、一つの広告手段として商品やサービスのための Webサイ トを立ち上げ情報発信をすることも一般的になっており、それに合わせてドメ イン名も商品やサービスごとに登録したいというニーズが出てきております。 このようなニーズは当初想定されておらず、ドメイン名登録規則との間にずれ が生じてきています。 また、ドメイン名の登録者は研究機関や大学、企業といった組織でしたが、イ ンターネットの利用者層が広がったことで、一般利用者である個人がドメイン 名を登録して利用するといった形が一般化してきています。現在の JP ドメイ ン名では登録者の審査や書類の確認等、登録手続が複雑であり、またそれによ って登録に必要なコストも大きくなっています。ドメイン名の登録が一般化す る中で、この登録手続を簡素化し、ドメイン名の登録・維持に関する料金の適 正化を図ることが必要であると考えています。 現在の JP ドメイン名に設けられている登録規則やその手続は、これまでの JPドメイン名をとりまく状況と、安定したインターネット環境を提供するとい う JPNIC の目的を鑑みた上で必要なものであり、これによりさまざまな問題 を回避し、今日の JP ドメイン名の信用と発展を支えてきたものであると自負 しています。 これまでの状況の中では、上に述べたような要求に従って規則や手続を変更す ることは、それらが抑制してきた問題を顕在化させることになるのではないか という懸念から、その変更は困難という判断でいました。しかし、前述のとお り、JPNIC では今年10月実施に向けて DRP の策定を行い、ドメイン名の不正 目的による登録・使用に関する紛争の事後解決ができることになったため、そ の実施に合わせて、汎用 JP ドメイン名空間新設を検討する運びとなりました。 3-3. 既存の登録要件緩和ではなく、ドメイン名空間の新設である理由 今回の JP ドメイン名に関する新しい方針が、既存のドメイン名登録要件を緩 和するのではなく、汎用のドメイン名空間を新設するという形になったことに はいくつかの理由があります。 既に多くのドメイン名が登録されている既存の属性型(組織種別型)と地域型 のドメイン名空間は、時間をかけて構築された秩序あるドメイン名空間として 定着していると考えています。この空間に対して、まったく新しい性質の登録 規則を持ちこむことは、既存のドメイン名登録者や、新規の登録者に対して混 乱を招くことが予想されます。 また、ドメイン名登録規則のみならず、ドメイン名登録を代行しているインタ ーネットサービスプロバイダ(ISP)や JPNIC 会員に対する手順の変更も大きく、 ISP や JPNIC のシステムに対する影響も大きなものとなることが考えられま す。 更に、既存空間の登録要件を緩和するという方法では、これまで登録要件を満 たさなかったために登録できなかった人たちに対する不公平感が生じると予想 されます。公平感維持の観点から、既存空間の登録要件緩和は必ずしも適当と は言えません。 このような理由により、既存のドメイン名空間は従来どおりの運用を続け、そ れとは別に新しいドメイン名空間を作り、そこで新しい規則、システムを運用 するほうが混乱も少なく、導入が容易であると考えました。 3-4. ドメイン名と商標等との紛争処理について インターネットの利用の拡大とともにサイバースクワッティング(ドメイン名 の不正の目的による登録・使用)の問題が大きく取り上げられるようになって きています。JPNIC では、DRP による紛争解決が基本であると考え、また、そ の対象となる紛争は「不正の目的によるドメイン名の登録・使用」に限定する こととしております。 3-4-1. DRP による事後の紛争解決 DRP に規定されている「JPドメイン名紛争処理手続」の申立の根拠は、 (i) 登録者のドメイン名が、正当な権利を持つ申立人の商標その他表示と同 一または類似していること (ii) 登録者が、当該ドメイン名の登録についての正当な権利を持っていない こと (iii)当該ドメイン名が不正の目的で登録・使用されていること となっています。この申立根拠に示されるような登録・使用は、ドメイン名の 登録・使用の秩序を明らかに乱すものであり、事後であっても迅速なる対応を もって解決していくべきものと考えています。汎用 JP ドメイン名は、複数登 録できることから、既存の JP ドメイン名に比較して、サイバースクワッティ ングの可能性が高いことは否定できませんが、DRP による不正目的の登録・使 用の解決と合わせて、DRP 制定による紛争抑止効果も期待できると考えており ます。 3-4-2. 著名商標の保護問題について gTLD の世界では、ICANN 設立以前から、新 gTLD の追加に当たって、著名商標 保護のために何らかの仕組みが必要ではないかという議論が長らく行われてき ています。著名商標保護は別の観点から見れば一般消費者保護にもつながる (正当な権利を持たない者が著名商標を文字列として含むドメイン名を使うこ とによって一般消費者に誤認混同を与える可能性があるため)ということもあ り、総論としてはほぼ賛同が得られているように思われます。しかし、いざ実 際の導入を考えると、著名商標の定義が困難であること、著名商標を構成する 文字列のみを保護対象とするのか、それともそのバリエーションも対象とする のか、事前除外(他者が登録できない状態にする)という形が良いのか優先登 録(権利者が優先的に登録する)という形が良いのか等、その実現の難しさが 指摘されています。 JPNIC としては、このような一連の議論から、汎用 JP ドメイン名において著 名商標保護のための何らかの仕組みを設けることは困難であり、著名商標にか かわる紛争も DRP による事後解決を基本とすることにいたしました。 しかし、DRP の対象はあくまでも不正目的の登録・使用に限定されること、ま た、数多くの著名商標を保有する組織にとっては、たとえ事後に DRP を活用 することができたとしても、過度の負担を強いることになるのではないかとい う懸念もあります。 これらの点を考慮に入れ、また、著名商標という定義の困難さを認識した上で、 JPNIC としては、汎用 JP ドメイン名導入時の一定期間に限定して、登録商標 保有者について調整措置を講ずることにいたしました(この措置の内容につい ては「6. 登録開始時の問題とその解決策」を参照のこと) 4. 汎用 JP ドメイン名の特徴 4-1. 登録資格要件の緩和 既存の JP ドメイン名では、その登録にあたって組織種別や登録資格を確認す る必要があり、その手順(書類の提出等も含む)も繁雑なものでした。今回の 汎用 JP ドメイン名では、属性の区分もなく、個人の登録も可能とし、1組織 1ドメイン名原則も撤廃することから、登録資格要件として組織種別を設けな いことにしました。 なお、ローカルプレゼンスについては、後述のとおり登録要件として残すこと にしました。 4-2. 登録数の制限の撤廃 JPNIC では、登録の際「1組織1ドメイン名の維持」を原則にしてきました。 これは、将来のユーザへのドメイン名空間の確保、サイバースクワッティング の防止を目的としたものです。 しかし、インターネットのビジネス利用の拡大から、ドメイン名を複数登録す るニーズが急速に高まってきました。そこで、汎用 JP ドメイン名については、 この原則を廃止し、複数のドメイン名を登録できるものとします。 4-3. 移転の自由化 現行の規則では、合併、営業譲渡、親子会社関係など一定の事由がある場合を 除いてドメイン名の移転を禁止してきました。これは、ドメイン名の移転を制 限することにより、サイバースクワッティングなどのドメイン名をめぐる対処 困難な紛争について、当センターとしても一定の予防策を講じなければならな いという事情を考慮したための措置でした。 しかしながら、DRP の導入により、紛争が発生した際の解決の体制ができあが るとともに、その導入によって紛争の原因となる不正の目的によるドメイン名 の登録・使用も抑制されることも期待できるため、汎用 JP ドメイン名の移転 に関する制限は特に設けないことにしました。 4-4. ローカルプレゼンス(国内住所要件) JP ドメイン名は、日本国を表示するもので、日本に割り当てられた ccTLD (country code Top Level Domain:国別トップレベルドメイン)であること から、登録者は日本における住所や本店・事務所所在地を確認し得る組織また は個人であることを登録要件とします。また、その確認方法については、申請 された住所に対する郵便が到達するか否かにより判断するものとします。 なお、登録者がこのローカルプレゼンスを満たしていないことが判明した場合 には、それを理由に登録を取り消すことがあります。 4-5. 第2レベルドメイン名(SLD)への登録 グランドデザイン1999 でも言及していますが、JPNIC では、これまで新しい ドメイン名空間として「汎用 SLD:複数の汎用 SLD を新設し、第3レベルドメ イン名(以下「3LD」という。3LD:3rd Level Domain)に申請された文字列を 登録する」を新設することを検討の前提としてきた経緯があります。その後、 日本における COM ドメイン名の利用の急増・一般化により、JPNIC 内で COM ドメイン名同様「SLD の開放(SLD に申請された文字列を登録する)」につい ても検討の必要性があるとの問題提起がなされ、これら2つの可能性を検討し てきました。以下は、2つの可能性の比較です。(なお、以下で例示されてい る AAA、BBB、CCC は、あくまでも異なる文字列の SLD を表すものであり、実 際に採用される文字列ではありませんのでご注意下さい。 (EXAMPLE、EXAMPLE-A、EXAMPLE-B は登録文字列の例です。) 可能性1 複数の SLD を新設し 3LD に登録を行う 形態: EXAMPLE.AAA.JP、EXAMPLE.BBB.JP、EXAMPLE.CCC.JP 等 長所: SLDの種類を追加することができるため、ドメイン名空間の広さと拡張 性の制限が少ない。 また、SLD で緩やかなカテゴリーを表現することができる。 短所: SLD の種類が増えれば増える程、3LD に同じ文字列を含むドメイン名 が増えるため、ユーザが混乱する可能性がある。 可能性2 SLD に登録を行う 形態: EXAMPLE.JP、EXAMPLE-A.JP、EXAMPLE-B.JP 等 長所: SLD に任意の文字列を登録できるため、可能性1 と比較して、ピリオ ドで区切られたラベルが一つ少ないドメイン名を構成することができ る。(ユーザの覚え易さ、タイプ打ちの容易さという観点から長所) 短所: 可能性1 と比較して、ドメイン名空間の広さと拡張性が制限される。 SLD に類似の文字列が増えるため、ユーザが混乱する可能性がある。 JPNIC としては、それぞれの長所・短所を比較検討した結果、ユーザにとって の使い易さ、そして、ひいてはそれを Webサイトやメールのアドレスとして使 う登録者にとっても利点になると考えられることから、「可能性2 SLD に登録 を行う」を採用することにいたしました。 4-6. 日本語ドメイン名の導入 従来、ドメイン名には、英字、数字、ハイフン(ただし、ハイフンは文字列の 最初と最後には使用できない)しか使えませんでした。ドメイン名として、こ れらに加えて日本語などいろいろな言語の文字を使えるようにしたものが多言 語ドメイン名です。この中で特に日本語(漢字/仮名)をドメイン名として登 録するものを日本語ドメイン名と呼びます。 4-6-1. 多言語ドメイン名の技術開発状況と JPNIC のスタンス JPNIC では、多言語ドメイン名について主に技術的な視点で調査・検討するた めのタスクフォース「iDN-TF」を1999年5月に設立しました。このタスクフォー スでは、関連する活動と技術の調査、分析を行うとともに、JPNIC として多言 語ドメイン名を導入するのに必要な要件の整理を行ってきております。 JPNIC では、多言語化されたドメイン名がインターネットで混乱を招くことな く受け入れられ、普及していくためには、技術の公開と標準化が不可欠である と考えています。 このため、JPNIC の Web ページにて「多言語ドメイン名評価キット(mDNkit)」 の配布を行い、現在提案されている各種技術の評価を行っています。また、 2000年9月22日に「汎用 JP ドメインにおける日本語ドメイン名に関する技術 方針(案)」を公開し、いただいたご意見を参考に検討を行った上、汎用 JP ドメイン名導入に関する方針文書に反映しました。 4-6-2. 日本語ドメイン名を構成する文字列・文字数 SLD に漢字、全角仮名を一文字以上含む JP ドメイン名を日本語ドメイン名と 呼びます。その技術的な要件は「汎用 JP ドメイン名登録等に関する技術細則」 をもって定めます。(以下の事例で「日本語名」の部分は、申請者が登録する 任意の文字列を表します。) 登録の形態:日本語名.JP なお、日本語ドメイン名の場合、SLD の文字数は、最大で15文字です。 4-6-3. 登録サービスの開始と技術実験 多言語ドメイン名の技術の標準化にはまだ時間がかかるものの、gTLD および、 幾つかの 国ではすでにその登録サービスが開始されています。また、このよ うな動きが一般ユーザの関心を高め、さらなる市場圧力となっていることも事 実です。 JPNIC としては、技術的な側面においては標準化に向けた実験をしつつ、登録 サービスとしては正式な受付を開始する予定で準備を進めております。最終的 には標準化された技術にてこのサービスを提供する予定です。 4-7. 登録手続の簡素化 汎用 JP ドメイン名登録では、登録者ごとに登録者番号とパスワードを割り当 て、登録申請の確認、並びに、その他各種の申請・届け出手続は、この登録者 番号とパスワードを使用して、オンラインで行うようにします。(詳細は「5-2. 登録者の認証方式と変更手続のオンライン化」を参照のこと) 4-8. 登録期間・更新制度の導入 汎用 JP ドメイン名の登録は、その有効期間を1年とし、その後1年ごとに登 録を更新するという制度を導入します。これに伴い、汎用 JP ドメイン名の登 録時には「登録料」を、またその登録更新時には「維持料」を登録者に課金す る形となります。 4-9. 登録できないドメイン名について 汎用 JP ドメイン名では、一部特定の文字列を予約ドメイン名として設定しま す。この予約ドメイン名、並びに、明白かつ現実的に社会的許容性を欠く文字 列などは、登録できないドメイン名となります。該当する文字列に対する申請 があった場合の手続については、登録規則にて規定されます。 なお、日本語ドメイン名については、普通名詞の一部を予約ドメイン名とし、 当面の間、登録申請を受け付けない予定です。一定期間を経た後、これらの予 約ドメイン名を登録できる状態にするかどうかも含めて、その登録方針につい ては、今後の日本語ドメイン名の発展状況を見ながら、対応を検討して行く予 定です。これを含めて、予約ドメイン名の詳細については別途定めます。 5. 汎用 JP ドメイン名の登録手続 5-1. 先願主義 汎用 JP ドメイン名の登録は、JPNIC が受け付けた最先の登録申請について検 査および審査を行い、承認された申請者が登録者となるものとします。登録申 請中および登録された汎用 JP ドメイン名と同一のドメイン名が後から申請さ れた場合、その申請は受け付けられないことになります。 なお、汎用 JP ドメイン名の導入時の一定期間のみ、その導入時の混乱を回避 するため、先願とは異なるルールにより登録手続を行います。(詳細は、「6. 登録開始時の問題とその解決策」を参照のこと) 5-2. 登録者の認証方式と変更手続のオンライン化 登録者の本人確認は登録後の各種申請の際に重要な役割をもちます。現在の登 録システムでは、重要な変更の場合は、申請書への捺印とその印鑑登録証明書 による確認を行っています。この方式は、確実ではありますが、申請者および 申請の受付処理をする JPNIC ともに大きな負担です。 登録者の負担を軽減すると共に、申請者の成り済ましなどの第三者による虚偽 の申請を防止し、正しい申請者を保護するための新しい本人確認の手段が必要 です。 汎用 JP ドメイン名登録では、登録者ごとに登録者番号とパスワードを割り当 て、これをもとに登録者を識別します。また、登録内容は郵送で通知され、本 人の意思によらない虚偽の申請による登録を防止します。 郵送することによって、登録者の所在が確認できるだけでなく、オンラインだ けの方式にくらべて安全性が高いというメリットがあります。 申請内容の変更やドメイン名の抹消などは、この登録者番号とパスワードを使 用して、オンラインで行うようにします。 5-3. 登録料、維持料 ドメイン名の登録を行う際には登録料が必要となります。また、登録されたド メイン名は1年ごとにその登録を更新し、その際に年間維持料が必要となりま す。登録料・年間維持料の金額の目安としては、それぞれ数千円〜1万円程度 を目処に検討しています。 なお、登録料および維持料は、JPNIC 会員を通じて支払うことも可能です。 また、優先登録申請および同時登録申請では、別途定める申請手数料が必要と なります。この申請手数料は、汎用 JP ドメイン名登録開始時の特別対応(申 請にともなう事務処理等)にかかるものです。 5-4. 登録維持の条件 登録されたドメイン名を維持するための要件は、ドメイン名維持料を支払うこ とです。 属性型(組織種別型)・地域型 JP ドメイン名で必要とされている JPNIC 会 員による接続承認は、汎用 JP ドメイン名では必要ありません。 5-5. ドメイン名廃止手続後の冷却期間 現在の属性型(組織種別型)・地域型 JP ドメイン名では、その廃止手続を行 うと冷却期間として6ヶ月間同じドメイン名の登録ができない状態になります。 これは、短期間に登録者が変更され、ユーザが誤認混同する恐れがあるために 設けられた措置ですが、登録廃止されたドメイン名の速やかな登録(再利用) の要望は大きく、また、誤認混同はドメイン名登録者の責任において回避する べきという自己責任の考え方のもとで、汎用 JP ドメイン名については冷却期 間を1ヶ月とします。 6. 登録開始時の問題とその解決策 6-1. 登録開始時の考慮点 JPNIC は多くの方に、汎用 JP ドメイン名を利用していただくことを期待して います。しかしその一方で、汎用 JP ドメイン名制度の導入時に次のような点 を考慮する必要があると考えています。 (i)汎用 JP ドメイン名制度の開始時より先願による登録申請を受け付けると、 登録受付システムに予想し得ない過大な負荷がかかる可能性があり、 登録受付業務に支障をきたす危険性があることから、開始時には先願 とは異なる方式の採用を検討すること (ii)既存ドメイン名制度によって登録されたドメイン名を一定のルールに 従って汎用 JP ドメイン名登録に反映させること。(既存ドメイン名は サイバースクワッティング防止という観点から比較的安定しておりその 状況を汎用 JP ドメイン名導入のスターティングポイントとしたいとの 考えから) (iii)日本法による登録商標・登記された商号等、官公庁等の名称、大学名 等についても、開始時の一定期間のみ一定のルールに従って、その文 字列を汎用 JP ドメイン名登録に反映させる機会を設けること これらの点を考慮することにより、この制度の円滑な立ち上げやサイバースク ワッティングを防止することに資するものと考えています。 そこで、これら考慮点を実現するために汎用 JP ドメイン名の導入時には、 「優先登録申請期間」および「同時登録申請期間」を設け、登録の調整を行う ことにしました。この「優先登録申請期間」および「同時登録申請期間」にお いては、下記に述べるルールに基づいて登録が行われることとします。 6-2. 優先登録申請期間 この期間は、以下のとおり JPNIC が定めた対象者が登録申請することができ ます(詳細は「汎用 JP ドメイン名登録経過措置実施要綱」を参照のこと)。 [優先登録申請の第1優先対象] ・2000年3月31日までに登録されている既存ドメイン名(地方公共団体ド メイン名を除く)登録者のうち、汎用 JP ドメイン名の登録要件を満た すものは、そのドメイン名と同じ文字列の汎用 JP ドメイン名を申請す ることができます。 (例) EXAMPLE.CO.JP を2000年3月31日までに登録している登録者は EXAMPLE.JP を申請できます。 ただし、既存ドメイン名が既に廃止されている場合は除きます。また、 2000年4月1日以降にドメイン名が移転されている場合は、移転先の新 しいドメイン名登録者を対象者とします。 なお、ドメイン名の文字列が同じになる登録者が複数いる場合は、既存 ドメイン名の登録年月日が一番早い登録者を優先します。 また、優先登録申請は、汎用 JP ドメイン名に対する申請があった場合 にのみ有効となります。したがって、既存ドメイン名の登録者が自動的 に汎用 JP ドメイン名の登録者になるわけではありません。 (例) EXAMPLE.JP の登録 登録年月日 登録者 申請 EXAMPLE.CO.JP 1998/01/01 株式会社 A社 なし EXAMPLE.NE.JP 1999/01/01 A ネットワーク あり EXAMPLE.CHIYODA.TOKYO.JP 2000/01/01 A 氏 あり この場合、申請をした登録者の中で、登録年月日が早い EXAMPLE.NE.JP の登録者に EXAMPLE.JP が登録されます。 [優先登録申請の第2優先対象] ・日本法に基づく登録商標の保有者は、一定のルールに基づきその登録商 標から抽出される英数字文字列・日本語文字列を申請することができま す。(登録商標から文字列を抽出するルールは別途定めるものとします。) ・登記された商号・名称の保有者は、それと同一の日本語文字列を申請す ることができます。(申請できる文字列については別途定めるものとし ます。) ・官公庁等の名称は、その組織を表す名称と同一の日本語文字列を申請す ることができます。 ・AC.JP を登録している大学・大学院等は、その組織を表す名称と同一の 日本語文字列を申請することができます。 6-3. 同時登録申請期間 この期間は、誰でも申請することが可能です。この期間中に受け付けた申請は、 先願順ではなく、「汎用 JP ドメイン名登録経過措置実施要綱」に基づいて登 録者を決定します。この期間中に、同じ文字列のドメイン名を希望する申請が 複数あった場合は、上記要綱に基づき登録者を決定します。この期間を設ける ことで、申請者は、汎用 JP ドメイン名導入時に先を競って申請をしなくても よくなり、申請受付開始の瞬間に大量の申請がなされる可能性が低減します。 (詳細は「汎用 JP ドメイン名登録経過措置実施要綱」を参照のこと) 同時登録申請の登録者は、同時登録申請期間終了後、次のルールに基づいて決 定されます。 ・同一のドメイン名を希望する他の申請者がいない場合、その人が登録者とし て決定される。 ・同一のドメイン名を希望する申請者が二人以上いる場合、抽選を行い、登録 者を決定する。 なお、従来の同時申請に関する手続は、 同一のドメイン名を希望する申請者 同士で調整を行い、申請者全員の合意により登録者を決めるか、あるいは抽選 で登録者を決定するという合意をとった後抽選を行うという形にしておりまし た。しかし、今回は、多くの申請件数が予想されること、また、合意するため の手続が申請者にとって過度の負担となることから、最初から抽選という方法 を採用することにしました。なお、ドメイン名の移転が可能であるため、抽選 の結果が半永久的に固定されるという懸念はなくなりました。また、抽選は、 登録申請者の立ち会いによる抽選ではなく、コンピュータによる方式を検討し ています。 7. 登録者の個人プライバシーとトラブル時の連絡方法 汎用 JP ドメイン名では、登録者の名前・連絡先は公開せず、代わりに登録者 が指定する公開連絡窓口を公開することとしました。この公開連絡窓口は、既 存 JP ドメイン名において公開されている登録担当者および技術連絡担当者に 相当するものです。このような形態にすることにより、登録者の個人プライバ シーを守りつつ、技術的なトラブルや知的財産権に関するトラブル時における 登録者との連絡を確実にできるものと考えています。 8. 体制 汎用 JP ドメイン名は、既存ドメイン名以上にドメイン名登録数の増加が予測 され、現在の体制では業務の遂行が困難になる可能性があります。ドメイン名 登録業務の分割・委託を含めた体制を検討する予定です。 9. スケジュール 汎用 JP ドメイン名に関する今後のスケジュールは以下のとおりです。 なお、このスケジュールは12月開催予定の JPNIC 総会において、この方針が承 認されることを前提としております。 また、日本語ドメイン名についてもこれと同じスケジュールで進められるもの とします。 ・2000年10月10日 文書公開 「汎用 JP ドメイン名導入に関する方針」 「汎用 JP ドメイン名における日本語ドメイン名に関す る技術方針」 「汎用 JP ドメイン名の概要について」 「汎用 JP ドメイン名登録等に関する規則」 「汎用 JP ドメイン名登録経過措置実施要綱」 ・2000年11月 2日 文書公開 「汎用 JP ドメイン名登録等に関する技術細則」 ・2001年 2月22日 登録規則施行 登録経過措置実施要綱 施行 ・2001年 2月22日 〜 3月23日 優先登録申請期間 ・2001年 4月 2日 〜 4月23日 同時登録申請期間 ・2001年 5月 7日 先願による登録申請受付開始 ------------------------------------------------------------------------------ 変更履歴 (2000年10月10日版→2000年11月10日版への変更) ・2000年11月2日開催の JPNIC 総会の結果をうけてスケジュール変更。 ・スケジュール変更に伴う日付の変更。 ------------------------------------------------------------------------------ 付録1. グランドデザイン1999で示された現行登録方針とその方向性 JPNIC では1999年1月に「JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台)」 (以下「グランドデザイン1999」と言う)を公開し、JP ドメイン名の現行の 登録方針および今後の方向性を提示しました。以下にこれまでの背景情報とし てその概要を記載します。 参考:JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台) < http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/ground-design/draft-19990118.html > 付録1-1. 現行の登録方針とその理由 ここではこれまでの JP ドメイン名の登録方針をご説明いたします。 (1) 組織名とドメイン名の対応と衝突回避方法 ドメイン名は先願主義に基づいて登録する。ドメイン名を登録者の組織名と 関連のあるものしか認めない方針を採っている ccTLD(国別トップレベルドメ イン)もあるが、妥当性の審査が必要となり、公平で迅速な登録は難しい。 (2) ドメイン名構造と登録要件 組織種別や地域をあらわす第2レベルドメイン名(以下「SLD」という。SLD: Second Level Domain)を設け、組織種別をあらわすSLD への登録要件は、可 能な限り法律に準拠する。 (3) 組織あたりの登録可能ドメイン数 1つの組織が登録できるドメイン名の数を、原則として1つに制限する。 こ れは、将来のユーザに必要なドメイン名を登録しやすくし、ドメイン名と知的 財産権に関わる問題の発生を軽減するために必要。 (4) ローカルプレゼンス JPドメイン名を登録できる組織を、原則として日本での住所・所在地などを 確認できる組織に限定する。海外のユーザが多くのドメイン名を登録し、日本 のユーザが必要なドメイン名を登録しにくくなることは、JPドメイン名の趣旨 に合致しない。 (5) ドメイン名の売買・移転の可否 ドメイン名の売買は禁止、売買以外の移転承認事由は限定的に運用する。ド メイン名の売買を自由化した場合、多くのドメイン名を登録し、それを販売す るというビジネスが成立する。これにより、将来のインターネットユーザに不 必要な負担を強いる可能性がある。 (6) 紛争解決手段 ドメイン名登録者と第三者の間のドメイン名に関する紛争について、JPNIC では判断を行わず、日本において法的に有効な判断が出た場合にはそれに従う。 ドメイン名申請者・登録者と JPNIC との間の登録や取消に関する問題に関し ては、JPNIC内で 二重に審査する制度を設ける。 (7) 形式的判断 ドメイン名の登録要件を、できる限り形式的に判断できるようにする。裁量の 余地を排除することで公平性を確保し、登録手続きを迅速に行う。 (8) ドメイン名の使い方への不干渉 JPNIC は、登録されたドメイン名の使い方には関与しない。JPNIC が、すべ て把握し関与することは困難。また、一部の事例のみに関与した場合には公平 性が問題になる。 (9) 登録要件の確認と登録者の認証 法人のように登記などに基づいて登録要件を確認できる組織については、自 己申告に基づいてドメイン名を登録し、登録要件の確認と登録者の認証を省略。 そうでないものは、登録者を認証した上で、書類による自己申告に基づいてド メイン名を登録。虚偽が判明した登録については取消可能とする。 (10) 社会的健全性への配慮 ドメイン名登録が明らかに社会的許容性を欠く場合には、その申請を不承認 とする、または、ドメイン名登録を取り消す手段を設ける。 (11) 登録規則変更時の扱い ドメイン名を登録した後に登録規則が変更になった場合、すでに登録済のド メイン名についても、変更後の規則に従って扱うのを原則とする。 付録1-2. グランドデザイン1999で示された今後の方向性 現行のドメイン制度について、今後どのような改訂を加えるべきかについて は、JPNICとしてグランドデザイン1999で検討を行い、大枠としての方向性を 策定しました。その概要は以下のとおりです。 (1) 組織名とドメイン名の対応 基本的な方針に変更はない。すなわち、ドメイン名は先願主義に基づいて登 録する。 (2) ドメイン名構造と登録要件 商品やサービス、イベントのためのドメイン名など、法律的に定義が難しい 対象にドメイン名を登録したいという要求があり、それに応えるためにドメイ ン名構造を拡張することを検討。 (3) 組織あたりの登録可能ドメイン数 前項に関連して、1つの組織が複数のドメイン名を登録したいという要求が あり、その要求を満たす方向で検討。この際に、将来のユーザも必要なドメイ ン名を登録できるという条件を満たす必要がある。 (4) ローカルプレゼンス ローカルプレゼンスを求める方針は変更しない。ただし、ローカルプレゼン スの条件については、より簡易な確認方法を採用する方向を検討。 (5) ドメイン名の売買・移転の可否 ドメイン名の移転に関しても、規制緩和に対する要求がある。当事者間の合 意(例えば売買などを含む)によりドメイン名の移転を可能とするには、ドメイ ン名の移転を制限する以外の方法で、ドメイン名売買に伴う弊害を防ぐ有効な 枠組みを設ける方向での検討が必要。 (6) 紛争解決手段 ドメイン名登録者と第三者の間のドメイン名に関する紛争について、JPNIC では判断を行わず、日本において法的に有効な判断が出た場合にはそれに従う。 また、ドメイン名申請者・登録者とJPNICとの間の紛争に関しては、JPNIC内で 二重に審査する制度を設ける。 (7) 形式的判断 基本的な方針に変更はない。すなわち、ドメイン名の登録要件を、できる限 り形式的に判断できるようにする。 (8) ドメイン名の使い方への不干渉 基本的な方針に変更はない。すなわち、JPNIC は、登録されたドメイン名の 使い方には関与しない。 (9) 登録要件の確認と登録者の認証 登録者の認証を、印鑑登録証明書よりも簡易な方法で行う方向で検討。 (10) 社会的健全性への配慮 基本的な方針に変更はない。すなわち、ドメイン名登録が明らかに社会的許 容性を欠く場合には、その申請を不承認とする、または、ドメイン名登録を取 り消す手段を設ける。 (11) 登録規則変更時の扱い 登録規則変更時に、登録者が新しい規則に従うことを確認するための有効な 手段として、ドメイン名登録を定期的に更新する方法が考えられる。この方法 は、ドメイン名登録の内容を最新の状態に保つためにも有効であり、事務手数 の増大の問題はあるが、コスト負担の方法と絡めて検討。 ------------------------------------------------------------------------------ |
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