バナー:Internet Week 2013

BoF開催報告:地方在住エンジニアを盛り上げましょう!BoF

BoF名 地方在住エンジニアを盛り上げましょう!BoF
BoF開催団体 地方在住エンジニアを盛り上げましょう!BoF 実行委員会
開催日時 2013年11月27日(水) 18:45~20:15
参加者数 30名
BoFの概要 司会:金子 康行/株式会社グローバルネットコア
発表者:小山 海平/株式会社倉敷ケーブルテレビ
    佐々木 信也/秋田県産業技術センター
    伊勢 幸一/株式会社データホテル

オープニング

  • 地方エンジニアBoFの歴史を紹介
    2008年 地方在住と都会在住のギャップとは
    2009年 地方エンジニアの実態を見てみよう
    2010年 地方エンジニアに今後求められること
    2011年 地域間連携について考える
    2012年 コミュニティの存在意義と活動を考える
  • 懇親会のご案内
    ATNDで人数確定をします。
  • 今年のお題
    地方在住エンジニアに取ってのクラウドとのつき合い方
    地方から見たクラウドに対する、期待、懸念、心構え、など
  • パネリストご紹介
    株式会社倉敷ケーブルテレビ 小山海平さん
    秋田県産業技術センター/ANOG 佐々木信也さん
    株式会社データホテル 伊勢幸一さん
    会場のみなさんも積極的に参加してくださいね。
  • 地方エンジニアの方は挙手して
    →半分ぐらい

議論テーマその1

  • 地方とクラウドの実態
    • サービスを提供している(したい)
    • サービスを利用している(したい)
    • 提供 or 利用の動機、ハードル
    • 成功 or 失敗の実体験談、御悩み、落とし穴

小山さんの発表

  • 今回の経緯と立ち位置
    仕事も取られているというネガティブな話もきくが、 自分の周りではあまりそういう話がない。
    技術部門、売上も期待されている地域のCATV事業者。 自分たちのDCでのハウジングやトランジットTokaiコムの岡山DC、 東京-大阪-岡山のリング、クラウドサービス(予定)を提案・販売。
  • クラウドあるある
    単純なハウジングサービスの需要の低下
    SIer経由の販売がなくなった、既存の置き換えはまだあまりない
    微妙なサービスとの遭遇
      それってVPSなのでは
      それって安くないのでは
    他社クラウドサービス利用者のサポートが出てきている
      クラウド使ったら遅延が……
  • 思うに……
    技術の進化に伴うコスト革命なんだよね……
      安くないといけない、安ければニーズがあるのは当然
      市場全体規模は安くなるから小さくなるのか?
      社内的な新規サービスが増えるのかな
    レイヤー広め、上位レイヤの技術者ニーズ
      下レイヤのエンジニアは局所的にしか必要なくなるか
      転職とかのニーズが増えるか
      サーバ技術者は地方でも必要
    クラウドだからインフラは東京に集中しないはず、してはいけない
      地方に色々なデータセンターが出てきている
      技術者雇用ニーズ
      地方に経済的なメリットが出てくるのでは
      地域への回線が太く安くなるのでは
    ターゲッティングが重要。
      地域がねらうのはマスではない。
      ビジネスとしては地域ニッチを目指すべき
      マスサービスでカバーできないところを拾うように

ディスカッション

Q: 地域には大変というよりむしろチャンスと捉えるか
A: 今まで同様のサービスではなく、 新たな方向で展開があるのでは。 下はクラウドで上は地域でニーズに応じたサービスとかで、 安くユーザに合せたサービスができるはず。
Q: レイヤの高い方は色々あると思うが、 インフラ系は厳しいのでは。 あとは業界再編とうもあるのでは。
A: 資本という文脈だけでは語れない。 マスでサービスしているのは、 ニーズに合った話ができない。 ニッチャーの方が利益率が高いだろうし、 地域で生きて行きやすいのでは。
Q: 地域のクラウドサービスをしているところは挙手 → 結構いる地域で需要はあるのか。
C: 手応えはない。 地域クラウドだからどうこうという意識はあまりないか。
C: 業界による。 BtoCとか急速に発展しているところはクラウド。 社内システムとかはこれから。
C: ゲームユーザさんがいる。クラウドを勧めた。 品質があまり変わらなさそうなクラウドサービスで結構値段が違う。
C: 価格については、 パブリッククラウドは価格がわかるが、 プライベートクラウドとかオンプレミスのはみえなくて、 パブリックに比較するということになる。 AWSと比較すると、 他のクラウドサービスが結構高く見えてしまう。
C: 決してクラウドは安くないのでは。 動的に変化するような場合には便利だが。
C: ハードを持っていたり間接費まで考えると、 コストは安くなるはずなのでは。
Q: クラウドサービスやりたいけどできてない方がいればコメントを。
C: 地域クラウドサービスをして、 お客さんどこでつかまえるかという課題が。 イニシャルコストもかかるし。 ユーザさんがクラウドへの移行でまだ踏み出してこない。 技術的な問題はあまりない。

佐々木さんの発表

  • 悲観的な地域の実態を。
    地域におけるクラウド利用→田舎におけるクラウド利用
  • 自治体のクラウド利用
    H22に総務省が自治体クラウド推進本部を設置
      H23からクラウド移行経費の特別交付税スキームができた
    秋田県町村会が情報基盤の共同化を推進
      メインはコスト削減か
      横手市ではVMによりサーバ台数を1/10に
      設置スペース、電力の削減
      新しい情報サービス立上げが迅速に
      サーバ設置予算がゼロなので予算措置が必要ない。
    秋田スマートシティプロジェクト
      秋田市がスマートシティプロジェクトとして、社会インフラ統合クラウドを構築
      (スマートグリッド、モビリティ、住民サービス等の統合化)
      地元系企業(本社東京)1社以外は県外
      県内技術リソース(ひともの)は全く使われない
      構築・運用コストは県外流出
  • 企業活動のクラウド利用
    企業のクラウド利用には地域差(秋田と他の東北の県で)はない?
    金融、マスコミ、関連は積極的にクラウド利用
    SaaS中心(財務、会計、人事、給与、営業支援)
    salesforce の顧客もちらほら
    ほぼ全部が中央に金が流れる仕組み
    地元は残念ながら関与していない
  • クラウドビジネス
    SaaS提供ビジネスが中心
    物流、倉庫管理システムクラウド
    映像配信サービス
    HaaS/IaaS提供者はたぶん皆無
    ポテンシャルはある、コスト競争ができない
  • クラウドDC誘致
    震災後、BCP目的のクラウドDC設置のオファーが来た
      iDC事業者からのオファー、行政は受け身
      冷涼な気候で低PUEなDCが実現可能
      北海道よりは距離的に低遅延
      建物を新たに建てずに既存のものを使う
      秋田独自の地域性???
    秋田の独自性
      天の邪鬼である
      天候、災害、経済
      他県の状況と逆になる
    行政の反応
      候補地にはファイバがない → 行政よろしく
      ファイバ敷設費用に見合うメリットがない
      クラウドはさほど雇用を生まない
      平行線のまま
    そのころ青森では
      誘致に躍起
      理想のDCは青森で!
      技術者育成もスタート!
      育成された技術者とは?
      地元雇用に貢献できるか不明
  • ここまでのまとめ
    地方でもクラウド利用者はいる
      地域技術者は投入されず、中央の技術リソースに依存、金も吸い上げられる
      IaaS/HaaSは中央依存
    クラウド誘致の効果は?
      クラウドDC誘致は地元のメリットになるか
      技術者が育つ土壌として
      行政が誘致に前向きになる決め手は?
  • Internet of Things
    M2M/IoT用途のクラウド環境
      制御が絡むとリアルタイム性が重要
      低遅延なクラウドサービス
      Things とのクラウドの距離も重要になるのでは
      地域の IoT 環境が重要
    電動バスを開発
      車両CANバスRAWデータ+ライブカメラ*4+センサ情報をWiMaXでクラウドにアップ
    ビッグデータとして活用方法を研究中

ディスカッション

Q: 地方というのとクラウドというのは背反していないか。
C: 小山さんは、 クラウドはどこでもよいので中央でなくても良い。 佐々木さんは、地方になくても良いというのに繋がる話。
Q: (会場にむけて)都会から見て地方はどうですか? 草狩り場だと思われてない?
C: 雇用も一定あるはずだし、経済効果もある。 ライン工場誘致と比べれば効果がない。
C: 雇用より固定資産税とか金の話になることが多い。 行政が直接やろうとすると民業圧迫

議論テーマその2

  • 地方とクラウドの未来
    • 今から5年後、はたしてどうなっているだろう
    • 「クラウド」と「地方」って、仲良くなれるのか?
    • 期待と恐怖、妄想と現実
    • そんな中、地方エンジニアはどう動くべき?

伊勢さんの発表

  • 急遽資料を作りました。
    会場全てを敵に回すかも。
    いまさらクラウドとか三周ぐらい遅れてねーか?
    と、思ったけどもしかしたら的を射ているかも…
  • クラウドサービスの場所に人が行くことはない。
    が、地域に依存しないでサービスができるかも
  • 商売の基本
    安いものを仕入れて高く売らなくてはない
    地方では人口がないので、マーケットベースがない
    ので地域でサービスして儲かるはずはない
    地方の安いものを使って都会に売るのが商売になる
  • 札幌のインフィニティループ 安いリソースを使って、高く買ってくれるユーザに売る
    札幌は家賃と人件費が安いので、それを使って中央に売る。
    外で売り上げれば地域に経済的になメリット
  • 地方が地方にサービスを提供しても意味がない
    大間のマグロを大間の人間が食べているのか?
    DR用のデータセンター
  • 都市部のバックアップとかありえない
    バックアップしたい人は、金がなくなったらバックアップをやめる
    経済状況で変わりすぎるので、そこに体重をかけてはいけない。
    地域がマスターにならないといけない。バックアップは都市で。
  • 美唄市
    回線、サーバ、電気
    地域でDCやるメリットは、人件費と、電気代が若干安い、土地が非常に安い。
    10年で、回線は1/400、サーバは1/10になった。
    電気代は16年ぐらいで1円ぐらいしか安くなっていない。
    要は電気代!
  • 北海道で考えると
    1000kVAの場合
    PUE1.0だと1100万/月
    PUE2.0だと2200万/月
    年間1億3200万円の差が出る。
  • どこに建設するか?
    PUEを1.1にするには冷却をやめれば良い。0.1はファンの電力。
    温度湿度図で説明。
    東京、大阪、岩見沢、白河、松江、下関、那覇、で比較
  • 日本でサービスして海外に売らないといけない
    地震、津波、政情不安(中国)、の影響があって日本にデータを置き難い。
    北海道、東北の日本海側は大丈夫だ。
  • 北極から見たファイバの図で説明
    ヨーロッパ、北米、東南アジア、オーストラリアの中心は北海道だ。
    どこからも遅延が小さい
  • 電気代
    北海道:12.5円(ボリュームディスカウントで10円ぐらい)
    欧米:7円以下(FBは5円)
  • あとは地方エンジニアの技術だ!詳細はオフレコ。

ディスカッション

C: 大変参考になりました。
C: 地方のサービスやモノを都会に売るスキームはICT以外でこれまでもあった。 クラウドも同じ考え方でいけるかと。

議論テーマその3

  • 地方在住であることへの想い
    • 地方在住の魅力、地方在住の挫折
    • 地方でもやりがいのある仕事はできるはず?
    • 地方であることをむしろ「強み」に
    • 地方で成功するためにやるべきことは?

ディスカッション

C: 伊勢さんの言う失敗するクラウドサービスをやっている
福井のリソースを東京で噴くというのはありかな。
東京のユーザは良く知っているが、 地方のユーザはVPSと区別がついていなかったりする。
地方ユーザは大丈夫か。
C: 地方のクラウドサービスは特産品にできるか。
なかなか特徴を出すのは大変。
C: 土地が安いので、平屋で作れる。償却コストが安い。
Q: NTTはどこにでもある。 携帯も売るけどwebもうる。 POIの周りにはデータセンターもエンジニアもいる。 地方の低レイヤサービスはそういうところにしかないのでは。 高レイヤには行かないのか。
A: 地方にあまり2-4層の技術者はいないのでは。 0-1層はそれなりにいるので。
A: 質問の意図は?
Q: インフラはNTTとCATVに任せて、 他の人々は上のレイヤにいくのが良いか。
A: 地方のエンジニアは全部のレイヤをみなくてはいけない。 地方の事業者の特徴であり、強みになるかも。 その特徴を突き詰めるしかないのでは。 ファイバ工事からお客さん対応まで。
C: 産業材か消費材か
産業材なら安い方が勝ち。 ユーザが消費材を求めるならそちらに勝機がある。
C: 上のレイヤをどうみるのか。
上のレイヤで成功するのは競争相手が多すぎて大変。 インフラはブレークはないが競争相手がそこそこしかない。 プラットフォームぐらいまでやれば競争力がある。

クロージング

Q: 最後にどなたか会場からコメントあれば。
C: 地方の人は東京の人と違ってすさんでいない。
人間関係とか大変かな。
C: エンジンがかかってきたところで恐縮ですが時間です。 BoF議事録は後日web公開。アンケートを。
懇親会があります。
C: 最後にパネリスト一言ずつ感想をお願いします。
総括/所感

今回のBoFでは、 「地方在住エンジニアにとってのクラウドとの付き合い方」と 題して、 地方の現状と可能性について議論を行いました。

クラウドサービスの隆盛と巨大資本による世界的な大競争時代の中で、 地方の状況は厳しい、という現状認識の一方で、 自らのポジションやターゲットを見直し、 その地方にしかない資源や、 地方であるが故の強みを見出し伸ばすことで、 明るい未来は描きうる、 という前向きな議論へ進むことができました。

今後も引き続き、BoF開催も含めて、 地方在住エンジニアを盛り上げる活動を継続していきたいと思います。