事件番号:JP2001-0005

               裁 定 書

 申立人:
 (名称)エムピ-3 ドット コム インコ-ポレイテッド
     (MP3.com Incorporated)
 (住所)アメリカ合衆国 カリフォルニア州 92121
     サンディエゴ イ-ストゲイトモ-ル 4790
 代理人:弁護士 神谷 光弘
     同   唐津 真美
     同   今井 浩人
 登録者:
 (名称)有限会社 システム・ケイジェイ
 (住所)埼玉県北足立郡伊奈町栄3丁目145番地ハイツイナピア103

 日本知的財産仲裁センタ-紛争処理パネルは、JPドメイン名紛争処理方針、JPドメ
イン名紛争処理方針のための手続規則及び日本知的財産仲裁センタ-紛争処理方針のため
の手続規則の補則並びに条理に則り、申立書、答弁書及び提出された証拠に基づいて審理
を遂げた結果、以下のとおり裁定する。

1 裁定主文
  ドメイン名「MP3.CO.JP」の登録を申立人に移転せよ。
2 ドメイン名
  紛争に係るドメイン名は「MP3.CO.JP」である。
3 手続の経緯
  別記のとおりである。


4 当事者の主張
 a 申立人の主張
 (1)紛争処理対象となるドメイン名の登録
 登録者は、社団法人日本ネットワ-クインフォメ-ションセンタ-(以下「JPNI
C」という。)に、1999年7月16日付でドメイン名「mp3.co.jp」(以下
「登録者ドメイン名」という。)を登録し、同年12月7日に接続している。

 (2)申立人並びに「mp3.com」及び「mp3」の表示が申立人を示すものとし
て著名であること
 申立人は、1998年3月にアメリカ合衆国デラウェア州において設立され、設立以前
の1997年11月ころから「mp3.com」のドメイン名及び商標を表示して、また、
設立後には「mp3.com,Inc.」の商号を用いて、通信ネットワ-クを利用した
音楽通信サ-ビス等の業務を世界的規模で営むものである。
 申立人は、通信ネットワ-クにおいて、無数のア-ティスト及びインディペンデントレ
-ベルに関する音楽をMP3ミュ-ジックという形式で提供・販売を開始し普及させた先
駆者的な存在であり、現在も通信ネットワ-クにおける音楽配信サ-ビス業界の中心的な
役割を担っている。
 登録者ドメイン名が登録された1999年7月16日より以前である1998年11月
10日に発行された書籍、デジタル新世代MP3誌上において、申立人は、「世界中のM
P3情報は彼(mp3.com)を中心に発信されていると言っても過言ではない。」と
世界のMP3先駆者として紹介されている。また、日本経済新聞社の「読者が選ぶ人気ホ
-ムペ-ジランキング」1999年7月分集計結果において、申立人は日本における人気
ホ-ムペ-ジ第6位として紹介されている。
 実際に申立人のサ-ビスは、主として通信ネットワ-クを利用して申立人の「htt
p://www.mp3.com」サイト(以下「申立人サイト」という。)に利用者が
アクセスしサイト上で音楽又はオ-ディオファイルを検索・ダウンロ-ドすることによっ
て提供されている。
 登録者が登録者ドメイン名を登録した直前の1999年6月における申立人サイトへの
日本からの利用者は、のべ約460万人、直後の同年11月にはのべ約950万人を数え、
現在デ-タ入手済みの国からの同年6月の全利用者はのべ約4,200万人を超えている。
 また、申立人は、これまで新聞・雑誌・街頭等の広範囲において宣伝広告活動を展開し
ており、例えば、メディア関係の宣伝広告費用として、1999年下四半期から2000
年下四半期までの間で、約合計3,890,700ドル(約4億6,000万円)を費や
している。
 申立人は、日本を含む世界各国において、「mp3.com」に関連する商標を登録し
又は出願している。
 さらに、「mp3.com」は、主要紙及び雑誌記事において英語の媒体に限定しても
1998年3月から2000年4月までの間に世界各国で合計約1,000回以上も掲載
されている。
 以上から、「mp3」及び「mp3.com」の表示は、申立人及びそのサ-ビス・商
品を表示するものとして、日本のみならず世界的規模で著名であり、優れた顧客吸引力を
有するものである。

 (3)登録者ドメイン名が申立人の表示と類似しており、その結果、登録者ドメイン名
が申立人を表示するものであると利用者に誤認混同を引き起こすこと
 登録者ドメイン名である「mp3.co.jp」は、申立人及びそのサ-ビス・商品を
示す「mp3.com」の表示(以下「申立人表示」という。)と利用者が誤認混同を生
じるほど類似している。
 ドメイン名は、一般的に主体を識別する部分とその主体の属性を示す部分から構成され
る。登録者ドメイン名においては、「mp3」が主体を識別する部分であり、トップレベ
ルドメインである「.jp」が国別コ-ドとしてホストの属する国、すなわち、日本を示
すもので、セカンドレベルドメインである「.co」が組織の種別コ-ドとしてホストの
属する組織、すなわち、企業を示すものである。他方、申立人表示においては、「mp
3」の部分が主体を識別する部分であり、トップレベルドメインである「com」が属性
を示すものである。
 登録者ドメイン名と申立人表示においては、主体を識別する部分である「mp3」の部
分が同一であり、属性を含めて全体として観察しても誤認混同を生じせしめるほど類似し
ているといえる。
 なお、「mp3」部分は、音声情報圧縮の国際規格を意味するものであるから、申立人
を表示するものとして識別力に欠けるとの反論が考えられる。しかし、単なる規格を示す
名称であっても、特定のサ-ビス・商品に関連して使用された結果、利用者に特定人の業
務に係るサ-ビス・商品の表示であることが認識されるようになったものについては識別
力を有するものと考えるべきである。本件においては、申立人が、「mp3.com」の
表示を使用して、MP3情報を通信ネットワ-クを介して配信する業務者として世界最大
規模であり先駆者的存在であることを考えれば、申立人が「mp3」の表示を通信ネット
ワ-クに関連して使用する場合には、「mp3」部分は申立人を表示するものとして機能
し、それ自体識別力を有するものと評価できる。
 本件においては、主体を示すコ-ドである「mp3」は申立人を示すものとして認識さ
れているため、申立人及びそのサ-ビス・商品の提供を受けようとする顧客が、たとえ、
申立人のドメイン名すべてを正確に記憶していなくとも、申立人を識別する「mp3」の
主体コ-ドさえ覚えていれば、それに加えて限られた数のその他属性を任意に数回程度選
択入力を繰り返すことによって容易に申立人のサイトにアクセスできることを可能にする
ものであり、同コ-ド自体、通信ネットワ-ク上において、申立人を示すものとして識別
力を有するものであるといえる。換言すれば、多くのネット利用者は、「mp3」の主体
コ-ドからなるドメイン名を、申立人に関連する商品・サ-ビスの提供を受けられるもの
と期待して訪れるのであり、「mp3」の表示は優れた顧客吸引力を有するものといえる。
 仮に「mp3」部分の有する識別力のみを理由とするだけでは、登録者ドメイン名が申
立人を表示するものであるといえないとしても、以下の理由により、登録者ドメイン名は、
申立人を表示するものとして誤認混同される可能性が極めて高いものといえる。
 すなわち、本件においては、上述のとおり、「mp3」の部分が申立人を表示するもの
として知られていることもさることながら、属性である「.com」部分と主体コ-ドで
ある「mp3」部分とが結合して構成される「mp3.com」の表示が単なるドメイン
名であることを超えて申立人及びそのサ-ビス・商品を示すものとして特に顕著であるこ
とに特殊性がある。
 したがって、本件の類似性判断においては、「.com」及び「.co.jp」部分を
単なる属性と考えずに、主体コ-ドに属性をも加えた「mp3.com」全体とを比較し
て判断することも必要である。
 そこで検討すると、「mp3.com」は、「エムピ-スリ- ドット コム」との呼
称を有するのに対し、「mp3.co.jp」は「エムピ-スリ- ドット コオ ドッ
ト ジェイピ-」との呼称を有し、両者は呼称において類似するものといえる。
 次に、それぞれの属性を検討すると、「com」と「co」は外観において類似である
のみならず、「co」が企業を表示する属性である点で、法人である申立人と組織の概念
においても同一であるといえる。
 また、「.com」を企業名の一部として使用する場合には、利用者は、当該企業、す
なわち、「mp3.com」社をコンピュ-タ又は通信ネットワ-ク関連の業者であると
連想する蓋然性が高いところ、ドメイン名である「mp3.co.jp」もコンピュ-タ
又は通信ネットワ-ク関連の同一の観念を意味するものである。したがって、申立人の表
示「mp3.com」は、観念においても登録者ドメイン名と同一であるといえる。
 さらに、登録者ドメイン名のトップレベルドメイン「.jp」は日本を意味するもので
あり、近年多くの企業が海外に進出し各国ごとにホストを置き各国ごとにドメインネ-ム
を取得して活動している傾向を考えると、登録者ドメイン名は、申立人が日本におけるサ
イトで事業活動を行うために登録し表示するものとして誤認混同される蓋然性が著しく高
いものといえる。
 例えば、マイクロソフトのホ-ムペ-ジを検討すると、米国における同サイトのドメイ
ン名は「msn.com」を使用しているのに対して、日本における同サイトでは「ms
n.co.jp」を使用し、英国においては「msn.co.uk」を使用している。ま
た、ヤフ-のホ-ムペ-ジにおいては、米国の同サイトが「yahoo.com」を使用
しているのに対して、日本においては「yahoo.co.jp」を使用している。さら
に、日本においても通信ネットワ-クを利用した書籍等の販売業者として「アマゾン ド
ット コム」の名称で有名なamazon.com,Inc社は、「amazon.co
m」の表示及びドメイン名を使用して業務を開始し、その後、例えば、日本では「ama
zon.co.jp」の表示及びドメイン名で、英国においては「amazon.co.
uk」の表示及びドメイン名で業務を行っている。
 このように、「.com」及び「.co.jp」などの属性は同一企業の各国における
サイトを表示するものとして、各国ごとに入れ替え使用される可能性が極めて高い属性と
して利用者に認知されており、各国における利用者は、自国のサイトにおいて同種サ-ビ
スを受けようとする場合には、当該企業が使用する主体コ-ド(例えば、「mp3」、
「msn」、「yahoo」及び「amazon」)に自国の属性を加えることにより容
易に検索してサ-ビスを受けられるものと期待しているのである。
 特に、申立人の表示においては、「mp3.com」として著名であるから、日本にお
ける利用者は容易に「.com」部分を「.co.jp」に置き換えることによって申立
人サイトを検索する可能性が強い。仮に「mp3.co.jp」の表示がされていれば、
申立人の日本サイトと誤認混同する蓋然性が極めて高いものといえる。以上から、登録者
ドメイン名は申立人表示と誤認混同を生じさせるものである。
 したがって、仮に今後登録者が「mp3.co.jp」のドメイン名を継続して使用す
るならば、申立人表示の顧客吸引力によって多くの利用者が、登録者ドメイン名サイトを
申立人の日本におけるサイトと誤認混同して、登録者のサイトを訪れることとなる。登録
者の登録者ドメイン名の使用は、必然的に申立人の有する顧客吸引力を利得するものであ
る。

 (4)登録者が登録者ドメイン名に対し正当な利益を有せずそれを不正の目的で登録・
使用していること
 登録者は、登録以来約1年6か月が経過しているにもかかわらず、現在においても、未
だ登録者ドメイン名においてウェブサイトを構築していない。
 申立人代理人が平成13年2月8日に登録者ドメイン名サイトを訪れた際には、「該当
ホストが見当たりません。」との表示がされ、ウェブサイト自体すら存在しなかった。
 そこで、申立人及びその代理人は、平成13年2月8日、登録人に連絡をとるべくJP
NICの登録情報を調査したが、登録担当者については電話番号もファクシミリ番号も登
録されていなかった。そこで、技術連絡担当者欄記載のファクシミリ番号及び登録担当者
と技術連絡担当者の共通の通知アドレスとして登録されているE-MAILアドレスに対
してドメイン名譲受けの交渉をすべく連絡を取ったが、いずれも送信不能であり、登録人
が何らかの営業を行っている様子すら全く伺えなかった。申立人は、平成13年2月13
日、技術連絡担当者欄記載の電話番号に連絡し、留守番電話に申立人に折返し連絡して欲
しい旨メッセ-ジを残した。
 平成13年2月15日、登録人から全く連絡がないため、再度登録者ドメイン名のサイ
トを訪れたところ、これまでの検索で見られた「該当ホストが見当たりません。」などの
表示に変わって、突然「COMMING SOON」などの表示を示すサイトが見られる
ようになったのである。もっとも、当該サイトも単に「COMMING SOON」の表
示などがされているだけで何らウェブサイトとして実体がないものであり、その後も申立
人代理人は何度となく当該サイトを訪れたが、現在にいたるまで同様の実体のない表示が
継続している。
 つまり、登録者は、申立人の残したメッセ-ジを受けて、将来申立人がドメイン名の譲
受けを申し出てきた場合などに登録者ドメイン名サイトに何の使用実績もないことが交渉
において不利であると懸念し、取り急ぎ「COMMING SOON」の表示を構築した
可能性が極めて高いといわねばならない。
 申立人が、「COMMING SOON」の表示とともに掲げられた「メイルの送付
先:info@gnn.co.jp」に平成13年2月中旬連絡してみたところ、平成1
3年2月20日(日本時間)、ようやく返送メ-ルを受信し、同日それに記載された登録
人代表者李氏に電話にて連絡した。その際、申立人は、実費を弁償するので登録者ドメイ
ン名を譲渡して欲しい旨同氏に伝えたが、同氏は、いかなる条件でもドメイン名を譲渡す
るつもりはない旨を述べて申立人の申し出を拒否し、登録者ドメイン名のサイトを日本に
おける申立人の「mp3.com」サイトとして申立人と共に事業を行うことだけが唯一
考えられることである旨返答してきた。しかしながら、登録人が申立人の音楽製作サ-ビ
スに従事していることは伺われないため、これは申立人がドメイン名の譲渡を要求する場
合の条件交渉のためにかかる処分を行っているにすぎないと推測される。
 以上のような登録者の一連の行動に鑑みると、登録者が当該登録者ドメイン名を取得・
保持している目的は、申立人の「mp3.com」サイトの日本版サイトとして、当該サ
イトが持つ顧客吸引力を利用しようと意図するものであることは明らかである。つまり、
登録者は、申立人の表示である「mp3.com」の優れた顧客吸引力を熟知した上で、
それに極めて類似した表示である登録者ドメイン名「mp3.co.jp」を登録したも
のであり、利用者が申立人表示と誤認混同して登録者ドメイン名サイトに訪れることを意
図したものといえる。
 また、通信ネットワ-クに関する知識を少しでも有するものにとって、申立人が近い将
来日本に進出し業務を開始する際には、登録者ドメイン名と同一のドメイン名を登録出願
する可能性が極めて高いことは、上述の「msn.co.jp」及び「amazon.c
o.jp」などの著名サイトの例を考えても明白である。登録者は、自ら登録者ドメイン
名を登録することにより、申立人の同ドメイン名の登録及び日本における営業を妨げ、申
立人が同ドメイン名譲受けに関する交渉を求めてくることを予期し、その際何らかの利益
を申立人から得ようと意図したものと強く推認される。事実、登録者は上述の電話におい
て、登録者ドメイン名の譲渡は絶対にしない旨主張し、申立人が登録者ドメイン名を利用
したいのであれば、自己と何らかの業務提携することが条件である旨主張している。登録
者は、登録者ドメイン名を自らの業務に利用するためではなく、申立人の有する顧客吸引
力を利用し、又は申立人から何らかの利益を得るための不正の目的のために登録したもの
であり、何ら登録者ドメイン名を登録・保持する正当な利益を有しない。
 さらに、申立人が上記登録者ドメイン名のサイトからリンクされているサイトを訪れた
ところ、合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジが表示された。登録者は、現在単に同
ホ-ムペ-ジにリンクさせるためだけに登録者ドメイン名サイトを利用しているのである。
 上記合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジにおいて同社の取引先として登録者名
「有限会社システム・ケイジェイ」が表示されたので、さらに同名からリンク先を訪れた
ところ、登録者のサイトである「skj.net」のサイトにリンクされた。しかし、同
サイトにおいても登録者は何らウェブサイトを構築していない。登録者は、登録者ドメイ
ン名のほか登録者の英語社名の略語を表示する他のドメイン名「skj.net」も取得
保持しており、しかも、いずれのサイトにおいてもウェブサイトを構築していない。
 さらに、合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジにおいて、登録者が企画開発者、G
NNが販売者であるとしてインタ-ネットフォン”Voice Keeper”を販売予
定である旨の表示がされている。しかし、当該表示には、「99年1月15日に販売開始
します。」との記載が未だされており、販売されている実態が全くみられない。また、同
ホ-ムペ-ジにおいては、”Voice Keeper”の企画開発を登録者が、販売を
合資会社ジ-・エヌ・エヌが担当しているかのような記載がされているが、製造元とされ
ているQuakeCom社のプレス・リリ-スによれば、そのような事実は伺われない。
結局、登録者が何らかの事業を行っているという情報は得ることができなかった。
 加えて、平成13年2月26日に申立人の関係者が登録人の商業登記簿上の本店所在地
を訪れたところ、同所は居住用マンションの一室にすぎず、入口及び郵便受けには何の表
示もなく営業を行っている実態がみられなかった。
 以上から、登録者は、登録以来長期にわたり登録者ドメイン名を全く有効に利用してお
らず、単に、申立人との業務提携等を名目にした不当な利益の取得を意図し、又は申立人
の有する顧客吸引力を不当に利用することを意図して、登録者ドメイン名を登録・保持す
るものであり、登録者は登録者ドメイン名を登録するについての権利又は正当な利益を何
ら有する者ではなく、不正の目的で登録者ドメイン名を登録し使用するものである。また、
上述のとおり、登録者には申立人と業務提携できるような実績は何ら見受けられず、登録
者ドメイン名を登録・保持することを正当化する理由は何も見当たらない。

 (5)登録者に登録者ドメイン名の登録・使用を継続させることは社会的妥当性を著し
く欠くこと
 申立人は、これまでに通信ネットワ-クにおけるmp3情報の配信業者としての地位を
全世界に築き、「mp3」及び「mp3.com」の表示に優れた顧客吸引力を獲得して
きたものである。申立人が費やした費用・労力は計り知れない。申立人が「mp3」の主
体を示すコ-ドをネット上において利用することは、顧客に商品・サ-ビスの誤認混同を
生じさせることを防ぐのみならず、申立人の重要な財産を構成するものである。また、申
立人自身が登録者ドメイン名を利用できず他のものに利用されることは、申立人サイトの
利用者に混乱を招くのみならず、申立人の営業を著しく阻害し、これまで培ってきた「m
p3」及び「mp3.com」の表示の顧客吸引力を著しく損ねるものである。また、申
立人は、日本語のサイトを装備しており、これに「MP3.com」のドメイン名を使用
したいという希望を有している。
 他方、登録者は、複数のドメイン名を保持するうえ、未だ登録者ドメイン名を含むいず
れのサイトにおいてもウェブサイトを構築しておらず、何らかの営業の実態すら見られな
い。「mp3」及び「mp3.co.jp」の表示価値を高めるために費やした費用労力
も皆無であると考えられる。また、登録者にとって、他のドメイン名を使用して営業を開
始することは極めて容易であり、「mp3」及び「mp3.co.jp」の表示に登録者
を示す識別力が全くない以上何らの不利益を被るものでもない。
 このような状況の下で、単に登録が先にされたことをもって登録者に登録者ドメイン名
を独占させることは、著しく社会的妥当性を欠くものといえる。
 したがって、登録者は、登録者ドメイン名を使用することに何ら正当な利益を有するも
のではなく、それにもかかわらず、登録者ドメイン名の登録・使用を継続することは、申
立人が高めた「mp3」及び「MP3.com」の表示の顧客吸引力を不当に利得するも
のであり、登録者は不当の目的で登録者ドメイン名を登録・使用するものと評価されるべ
きである。

 (6)以上から、本件は、JPドメイン名紛争処理方針4条に定めるJPドメイン名紛
争処理手続の適用対象となる紛争であることは明らかであり、申立人は処理方針3条に基
づき、登録者が登録するドメイン名「mp3.co.jp」を申立人に移転するよう求め
るものである。
 申立人は、ドメイン名の登録に関する請求もしくは救済、紛争又は紛争処理について、
故意による不法行為を除き、(a)紛争処理機関及びパネリスト、(b)JPNIC、
(c)JPNICの役員、職員、委員その他すべての関係者に対する一切の請求又は救済
を放棄することに同意する。
 申立人は、この申立書に記載されている情報は、申立人が知りうる限りにおいて、完全
かつ正確なものであり、この申立が嫌がらせなどの不当な目的のためにされていないこと
を保証する。

5 求める救済処置
  (手続規則3条(b)(x))
 申立人は、この紛争処理手続において選任されたパネルが、紛争の対象であるドメイン
名の登録について、次のような裁定を下すことを求める。
 ドメイン名「mp3.co.jp」の登録を申立人に移転せよ。

 b 登録者の主張
 (1)登録者は、事業活動を行っているれっきとした企業であること。
以下登録者の過去の事業活動の経歴について述べる。
 登録者は、1998年6月に設立され、主にインタ-ネット関連機器の開発やサ-ビス
を提供する法人である。設立当時から来るべきブロ-ドバンド社会を見据え、インタ-ネ
ット電話機器の開発、インタ-ネット電話サ-ビスの提供、MP3小型プレイヤ-の開発
等の業務を行ってきた。
 また、合資会社ジ-・エヌ・エヌは、よりコンピュ-タ及びインタ-ネット関連の、よ
り現実的なサ-ビスを提供することを主眼に1998年2月26日に設立され、その設立
時より登録者とは協力関係にある。
 1998年当時、韓国国内では、日本より進んだインタ-ネット環境によりMP3圧縮
規格が大変な話題になっており、手軽に個人間で音楽ファイルをやりとりできる手段とし
て定着しつつあった。そうした動きから、日本国内でもMP3が注目の的になると確信、
日本国内のドメイン名登録は先願主義のため、申立人の設立とほぼ同時期、1998年3
月18日、合資会社ジ-・エヌ・エヌの協力を得て、「mp3.co.jp」ドメインの
登録申請を出し、3月26日に登録を行っている。日本国内では、co.jpドメインは
正規に登記された法人しか取得できず、また、1法人1ドメインのため、別法人に協力を
得ている。
 したがって、申立人の商標登録の時期から考えても、JPドメイン名紛争処理方針第4
条(b)項に記載されている事実に当てはまらないといえる。
 登録者ドメイン名を取得した後、設立準備を進める中で、登録者では、インタ-ネット
電話機器及びMP3規格音声ファイル携帯型再生機器の開発を進めてきた。
 その後、同様の携帯型MP3再生機が他社から発売されたため、当初予定より計画を前
倒しし、登録者ドメイン上にて開発計画を5月下旬に予告、宣伝活動を一切しないにもか
かわらず、多くの関心とアクセスを受け、また、インプレス社のニュ-スサイトにも記事
として信憑性にやや疑問をもたれつつも、掲載された。この間、登録者の設立人員は、開
発が佳境に入っていたインタ-ネット電話機器への傾注と設立の準備のために、協力会社
である合資会社ジ-・エヌ・エヌがマ-ケティングの意味合いも兼ねて事務処理を代行、
メ-ルマガジンを数度にわたり発行した。また、全体の需要により生産数を見極めるため、
仮予約者を募ったところ、数百もの予約者のほか、数多くの激励の言葉や問合せのメ-ル
を受領している。また、企業やマスコミからも問合せがあり、大変多くの注目を集めてい
たことが分かる。また、登録者の仮予約に登録していたNTT社の部署より、この発表が
きっかけとなりAAC-3フォ-マットの小型携帯再生機器の発売をするなど、大変大き
なインパクトを社会に与えた。
 言い換えれば、1998年夏の時点で、登録者ドメイン名「mp3.co.jp」は、
申立人が主張するサ-ビスとは別に、申立人が日本国内で活動する遙か以前から認知され
ていたという事実にほかならない。また、単なるアクセス数の集計とは異なり、利用者か
ら直接の登録や問合せが殺到したことからも、登録者ドメイン名「mp3.co.jp」
上で、携帯型MP3再生機が登録者ドメイン名固有の製品として発売されていたことが、
認知されていたといえる。
 1998年6月に登録者の登記が完了したのを受け、登録者は、同時期に開発の完了し
たインタ-ネット電話機器Voice Keeperの販売を開始し、また、同時に合資
会社ジ-・エヌ・エヌに対して同製品のテスト販売を依頼した。この際、登録者としての
判断で、資金や人的資源の問題から、先に開発の完了したインタ-ネット電話機器に資源
を集中し、MP3については引き続き継続して開発を続けていくものとした。
 1998年9月、携帯型MP3再生機生産のための金型発注の検討までに至ったものの、
実際の生産に当たる工場の選定に難航しつつあり、また、引き続きインタ-ネット電話機
器の拡販の方に企業としての力を集中する方針が出された。
 1998年10月には、購入希望の仮予約者全員に正式に登録者を主体として携帯型M
P3再生機の開発・生産・販売を行う旨を発表した。また、登録者のサ-バ環境が整った
ため、同月末に登録者ドメイン名を正式に登録者名義で確保する必要があった。当時のJ
PNICのドメイン名管理方針として「ドメイン名の譲渡や移転は認めない」というもの
であったため、一度協力会社名義の登録者ドメイン名を廃止、登録者名義で再登録を試み
た。
 ところが、JPNICの登録方針により、「ドメイン名の廃止や未使用による登録の抹
消があった場合、その後一定期間は「一時凍結ドメイン名」としてどの組織に対しても登
録致しません」という規定があったため、1998年11月時点での申請は却下された。
 その後、ドメイン名取得までの間に、登録者は、1998年12月下旬、インタ-ネッ
ト電話機を使った日韓国際電話サ-ビスを開始し、その格安の価格から、爆発的な人気と
使用者を獲得した。
 ただし、この時既に、1998年6月に発表した携帯型MP3再生機については競争力
を失ってしまっており、試作の段階のまま、生産・販売計画を中止することとなった。
 登録者は、開発環境が整っておりコストも安価な韓国国内の他者に委託して、これら機
器の実際の開発・生産を行ってきた。しかし、不都合も目立つようになり、そこで、登録
者自身が韓国国内にも法人を設立すべく東奔西走し、2000年3月16日、資本金を募
り韓国国内にてBibum,Inc.(非凡株式会社)を設立した。そして、現在に至る。
 登録者ドメイン名については、継続的に合資会社ジ-・エヌ・エヌに管理を委託してい
るほか、当初の機器販売ではない別の形で事業展開すべく検討を加えてきた。しかしなが
ら、海外でMp3での音楽配信やデ-タ交換を目的としてサ-ビスを提供している各事業
者が、SONYやUniversal Music等の多数の著作権業者から訴訟を受け、
敗訴し、数千万ドルに及ぶ賠償金請求を受けている事態を鑑み、一定の法律的指針が市場
で提起されるまで、一時事業展開を見合わせていた。
 また、それ以前に、日本国内では音楽作品をウェブ上で公開することは改正著作権法上
明確に定義されており、海外のようにサ-ビス提供者側の任意の形で展開できないことか
ら、現在著作権利者との交渉を含め、2001年4月現在、新事業について鋭意事業の準
備中である。
 以上が、登録者及び登録者が登録者ドメイン名のウェブサイトでこれまで展開してきた
事業についての流れである。

 (2)申立人は、申立人並びに「mp3.com」及び「mp3」の表示が申立人を示
すものとして著名であると主張しているが、「MP3」の表記は申立人を示すものとして
限定される単語ではない。また、申立人が日本国内で「MP3」と同義であるほど著名で
あるという論拠に欠ける。申立人の提出した証拠は単なるアクセス数と広告費の集計にす
ぎず、申立人及び申立人の提供するサ-ビス・商品に対する日本国内の認知の度合いに関
するものではない。アクセス数の中には検索ペ-ジより「MP3」という単語を入力した
結果、申立人のペ-ジを閲覧するケ-スも多々あると考えられる。人気ランキング6位と
いうのも、人気ランキング集計の手法、応募者数が不明であるため、申立人にとって都合
の良い、特定の集計結果における一例にすぎない。
 申立の時点で、申立人のホ-ムペ-ジには日本語の記載は一切なく、簡単な日本語ペ-
ジも用意されていないようなサイトが、どうして日本国内での顧客吸引力を有すると判断
できるか大変理解に苦しむ。また、違法なMP3楽曲ファイルを取り扱うサイトでは、申
立人と同程度のアクセス数は決して珍しいものではない。

 (3)申立人が奇しくも指摘しているとおり、「MP3」とは音声情報圧縮の国際規格
であり、登録者はMP3圧縮規格に関連した事業を展開するために、企業体として日本国
内のドメイン規定に則り「mp3.co.jp」を取得している。主体はあくまでも「M
P3」という国際規格の名称にすぎず、インタ-ネットのドメイン名の定義により、主体
を識別する単語より後方は単に「組織の識別コ-ド+国別コ-ド」を表しているだけにす
ぎない。
 また、「MP3」という単語は2001年2月現在世界中広く用いられている言葉であ
り、日本語でも、「MP3プレイヤ-」や「MP3ソフト」等と店頭でも掲示されており、
この単語単体で申立人の組織であり商標であると主張する「mp3.com」と同一のも
のとして認識されることはない。
 したがって、「mp3.co.jp」と「mp3.com」を誤認混同するという申立
人の主張はこじつけにすぎず、また、申立人の論拠をもってするならば、「mp3.co.
kr」や「mp3.co.uk」等といった諸外国のドメイン名もすべて申立人と誤認混
同するため、申立人が独占的に使用する権限を有する、という理論になる。
 また、申立人の主張する商標登録は「mp3.com」であり、ドメイン名の規定に従
い、仮に登録者が「mp3com.co.jp」というドメイン名を取得しているのであ
れば、それは十分に申立人及び申立人の提供するサ-ビスと誤認混同せしめる可能性があ
ると言えるが、登録者のドメイン名の主体を識別する部分があくまでも「MP3」単体で
ある以上、単に同じ国際規格の名称を使用しているにすぎない。
 加えて、登録者が登録者独自の事業計画に従い登録者ドメイン名を取得し、1998年
の時点で広く認知されていたのは冒頭陳述のとおりであり、先取権の正当な行使にほかな
らない。

 (4)申立人及びその代理人が収集した情報が余りにもいい加減で断片的であり、事実
と大いに異なる。したがって、申立人の主張の根拠が誤りであり、その主張に有効性が認
められない。
 申立人は、登録者は、登録以来約1年6か月が経過しているにもかかわらず、現在にお
いても未だ登録者ドメイン名においてウェブサイトを構築していないと主張しているが、
1998年6月2日にインプレス社のimpress watchホ-ムペ-ジ上にて登
録者ドメイン名にて開発を発表したMP3小型プレイヤ-の記事が記載されている。申立
人が登録者より時期が早いと主張する1998年11月10日発行の雑誌「デジタル新世
代MP3」よりさらに5か月早い。
 また、インプレス社発表によると、2000年11月末現在の実数にて月間総合/76,
402,024PV、また、1999年7月の時点でもWeb総アクセス数:50,35
0,000PV電子メ-ルサ-ビスは総発行部数:652,000部の読者がいる。
 申立人が挙げた前記雑誌の発行部数は不明だが、以上により、1998年6月の時点に
おいても、少なくとも数十万の読者が、登録者が計画していたMP3関連事業について、
登録者ドメイン名の下で認知したといえる。また、陳述のとおり実際に数多くの反響があ
った。
 また、申立人は、登録者ドメイン名のサイトは現在に至るまで実態のない表示が継続し
ているが、登録者は、前述のとおり、日本国内での著作権問題をクリアするため、事業に
関係する団体と調整中である。
 申立人は、登録者は、申立人の残したメッセ-ジを受けて・・・取り急ぎ「COMMI
NG SOON」の表示を構築した可能性が極めて高いといわねばならないと主張してい
るが、平成13年1月23日、登録者ドメイン名「mp3.co.jp」を管理する合資
会社ジ-・エヌ・エヌの所有するウェブサ-バの一部がハッカ-によって書き換えられる
被害にあい、また、その前後に同サ-バ機の物理的故障もあり、2月初旬にかけて代替機
による復旧作業を行った。その際に、たまたま「mp3.co.jp」ドメインが後回し
になり2月14日に復旧しただけであり、申立人が「連絡を請う」と伝言した時期と重な
ったのは偶然にすぎない。また、申立人以外からも複数の提案やオファ-が以前より他の
企業・団体からあったため申立人を特別視することはなく、申立人の主張するような問合
せ作業では決してない。加えて、申立人が登録者ドメイン名に対してどのような意図をも
って連絡を試みたのか2月上旬の時点では不明で、さらには、申立手続について登録者が
知ったのは仲裁センタ-から連絡のあった3月16日の時点であり、全くの偶然である。
したがって、申立人の都合の良い推測にすぎない。
 申立人は、登録者の一連の行動に鑑みると、利用者が申立人表示と誤認混同して登録者
ドメイン名サイトに訪れることを意図したものといえると主張しているが、完全な申立人
の思いこみである。事実として、登録者ドメイン名サイトに対して、申立人サイト「mp
3.com」と混同して問合せがあったのは、2001年3月20日にわずか1件だけで
ある。申立人が主張する数百万人の日本の利用者が登録者ドメイン名サイトを誤認して訪
ねるとした場合、もっと数多くの問合せが登録者宛にあってしかるべきである。しかしな
がら、実際にはそのような誤認混同されている実態は、一切見受けられない。また、申立
人が独自に日本語サ-ビスを開始したこと、そして、登録者ドメイン名上のウェブサイト
にて、登録者側が申立人との関連を一切否定していることから、今後も誤認混同の可能性
はさらに低いものと予測される。
 申立人は、登録者は、登録者ドメイン名を登録することにより、申立人が近い将来日本
に進出し業務を開始する際には何らかの利益を申立人から得ようと意図したものと強く推
認されると主張しているが、申立人が主張する国内での知名度を得る以前から、登録者ド
メイン名を活用して登録者は事業活動を継続的に行ってきた。したがって、時系列上もこ
の主張は完全な申立人の勘違いである。また、申立人の管理する「mp3.com」は日
本国内では認知度が低く、その設立当初より本件申立時点まで日本語でのサ-ビスも提供
されていないため、我々登録者が、申立人が日本国内でサ-ビスを開始するかどうかを予
期できるという根拠に乏しい。加えて、登録者は、国内市場を主眼にすえて事業展開し関
連企業と連絡をとっていたため、申立人が自分達で意識するほど、(2月時点で)日本語
表記が一切ない申立人ウェブサイト「mp3.com」を認知しておらず、今回の申立書
自体が大変意外である。
 申立人は、登録者は現在、韓国国内での開発業務に資源を集中しているため、ウェブサ
イトを現時点で鋭意構築する必要性が薄い、販売されている実態がみられないなどと主張
しているが、その論拠が一切不明である。申立人の単なる想像にすぎない。申立人が提出
した合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジに様々な記載があるように、Voice
Keeperはリックテレコム社が発行する業界誌「CTI創刊号」にも新製品として記
載され、様々な宣伝活動を経て、実際に発売されている製品である。
 Voice Keeperは発売以来国内各所で使われており、利用者を獲得している。
また、スリ-テックコンサルティング株式会社を初めとしていくつもの販売提携先を確保
し、実際に営業活動を行ってきた。合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジには、電話
番号も記載されており、にもかかわらず、4月14日現在まで、事実確認のために申立人
及び申立人の代理人からのVoice Keeper製品についての問合せはない。つま
り、申立人の調査がいかにいい加減であり、また、勝手な推測の積み重ねにすぎないこと
の証左である。
 また、申立人提出の甲第13号証は、米国Quakecom社のホ-ムペ-ジであり、
登録者はQuakecom本社との取引であるため、証拠として不適切である。韓国Qu
akecom社ホ-ムペ-ジ(http://www.quakecom.co.kr
/)にはきちんと登録者ロゴが記載されている。(4月14日閲覧不能)。また、合資会
社ジ-・エヌ・エヌとQuakecom社とは面識があり、事実製品開発においてQua
kecom社朴課長代理とやりとりをしている。登録者との取引については、韓国Qua
kecom社李社長及び朴課長代理が1998年当時担当している。
 なお、登録者が東京都新宿区を商号登記簿上の本店所在地として選択したのは、通信回
線の敷設にきわめて有利なこの新宿のエリアを検索したからである。また、事業所の維持
に無駄なコストをかけるのは会社経営上きわめて愚かであり、事業所として利用可能な居
住用マンションを選択したのは登録者なりの方針である。また、訪問客相手の商売でない
ため、事業所として掲示は不要であり、このことで登録者の営業活動上なんら不利益を被
るものではない。

 (5)申立人は、単に登録が先にされたことをもって登録者に登録者名ドメイン名を独
占させることは、著しく社会的妥当性を欠くものといえると主張しているが、ドメイン名
は先願主義のため、登録者が計画する事業に関連した他のドメイン名についても予め取得
する必要があり、また、順次事業化をはかっていく予定である。しかしながら、人的金銭
的資源の限界があるため、構築が遅れているにすぎない。
 以上のように、申立人の主張のほとんどは事実誤認や根拠のないものであり、あたかも、
登録者を、申立人の事業を妨害する意図を持って机上の会社を設立したような誹謗中傷を
行っており、到底納得できるものではない。また、申立人の主張する「事実」は、申立人
の都合の良い解釈によって彩られており、登録者ドメイン名を移転する理由として、逆に
全く社会的妥当性に欠けるといわざるをえない。
 登録者の反論反証により、申立人の各主張はその論拠の多くが事実に反し、また、申立
人にとって都合の良い一面のみをその拠り所としているため、申立人が主張する登録者ド
メイン名の移転の理由として、きわめて不適切な内容であるといわざるをえない。
 また、登録者が登録者ドメイン名を先取し、その正当な権利を行使し登録者ドメイン上
で営業活動しており、申立人の主張は申立人の利益を追求するための言いがかりにすぎな
い。
 甲第11号証及び登録者との電話のやりとりによれば、登録者が上述の各陳述のとおり、
登録者ドメイン名の維持のために多大な努力を払っている事実を無視し、申立人の事業を
日本国内で新たに遂行するため、登録者に対して、数万円程度の金額で買収しようとした。
 登録者としては、登録者ドメイン名上で独自の事業を過去に展開し、また、今後も展開
していく計画があるため、申立人の取引条件は到底受けいられない内容であることは明ら
かである。申立人は、その交渉に失敗したため、審理を提訴したにすぎない。
 申立人が登録者ドメイン名の登録を希望するいかなる目的や理由があるにせよ、登録者
の持つ先取権は無視することはできない。しかも、申立人及び申立代理人は、登録者に関
するまともな情報収集も行わず、資本力や宣伝力の過小をもって申立内容を正当化し、公
有の資源である登録者ドメイン名を独占しようという意図が明確であり、「登録者ドメイ
ン名を登録者から移転せよ」という申立人の主張は社会的妥当性に著しく欠けている。
 また、申立人は、4月上旬に独自に、日本語ウェブサイトを申立人の提供するサ-ビス
として申立人が管理するウェブサイト上にて開始しており、登録者が登録者ドメイン名の
登録を維持することにより、申立人の事業活動に対して何ら不利益を与えるものではない。
加えて、このサ-ビス提供時点の2001年4月以前に日本国内ないしは日本人向けに、
申立人が日本語でサ-ビスを提供したという事実はなく、登録者が独自の事業を発表した
1998年5月以前に、申立人が主張する顧客吸引力及び識別性が日本で認知されていた
という主張は蓋然性に欠ける。
 さらに、申立人の主張に基づけば、「MP3」という単語が申立人に対して識別力を有
し、日本国内の「mp3.ne.jp」「mp3.gr.jp」「mp3.or.jp」
ドメイン、さらには「mp3.jp」ドメイン等に対して申立人が同様の主張を展開でき
るという論理になるが、登録者ドメイン名以外の他のドメイン名に対して申立をした事実
はなく、申立人が登録者の事業に対して一種の嫌がらせの意図を持って申立を行ったと推
測せざるをえない。
 以上により、登録者が登録者ドメイン名を今後も継続して登録していく権利を有するこ
とは明らかであり、裁定者であるパネルに対して、申立内容について、その資格と妥当性
に欠けるとして却下されることを強く求めるものである。

5 争点及び事実認定
 JPドメイン名紛争処理のための手続規則(以下「規則」という。)15条(a)は、
パネルが紛争を裁定する際に使用することになっている原則についてパネルに次のように
指示する。「パネルは、提出された陳述・文書および審問の結果に基づき、処理方針、本
規則および適用されうる関係法規の規定・原則、ならびに条理に従って、裁定を下さなけ
ればならない。」
 JPドメイン名紛争処理方針(以下「処理方針」という。)4条aは、申立人が次の事
項の各々を証明しなければならないことを指図している。
(i)登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同
一または混同を引き起こすほど類似していること
(ii)登録者が、当該ドメイン名の登録についての権利または正当な利益を有していないこ
と
(iii)登録者のドメイン名が、不正の目的で登録または使用されていること

 本パネルは、提出された陳述及び証拠の結果に基づき、上記当事者の主張に現れた争点
について、次のとおりの事実を認定した。
(1)申立人及び登録者
1)  申立人は、1998年3月にアメリカ合衆国デラウェア州において設立された会社
であって、「mp3.com,Incorporated」の商号を用いて、通信ネット
ワ-クを利用した音楽配信サ-ビス等の業務を営むものである(甲第3号証)。
2) 登録者は、ドメイン名「MP3.CO.JP」をJPNICに1999年7月16日
に登録し、同年12月7日に接続の承認を受けた者である(甲第1号証)。
 登録者は、商号 有限会社システム・ケイジェイ、本店 東京都新宿区大久保2丁目2
番20号アルプスマンション西大久保202号、成立年月日 平成10年6月11日、目
的 インタ-ネットにおける個人・法人向け通信サ-ビス、インタ-ネット電話サ-ビス
業、パソコン周辺機器の開発・販売、コンピュ-タ-システムの保守・管理代行、インタ
-ネット接続代行業、コンピュ-タ-・ソフトウエアの開発・販売、音響製品の販売、そ
れらに付帯する一切の事業、資本の総額 300万円、役員 埼玉県北足立郡伊奈町栄3
丁目145番地ハイツイナピア103 取締役 李 知娟、という会社である(甲第15
号証)。

(2) 申立人の表示と登録者ドメイン名との類似の有無等
1) 1998年11月10日エ-アイ出版株式会社発行の書籍「デジタル新世代MP3」
には、1998年7月2日にサンディエゴ大学において、MP3サミットが開催されたこ
と、300人を越える参加者は、主としてアメリカ各地からの参加者、一部の欧州人、僅
かの東洋人のゲストから構成されていたこと、当時、「mp3.com」は、1日7万ヒ
ットを誇る超人気サイトであったこと、世界中のMP3情報は「mp3.com」を中心
に発信されたこと、「mp3.com」には、ハ-ドウェア・ニュ-ス・MP3ア-ティ
スト情報などの最新ニュ-スが日々アップデ-トされていること、「mp3.com」は、
1997年11月に立ち上げたものであって、その大きな特徴は、インタ-ネットで多く
の音楽情報を収集し、素早い情報発信を行うことにあること、このサミットにおいて「m
p3.com」の日本語版を立ち上げることが決まったことなどが記載されている(甲第
3号証)。
 1999年8月26日付日経産業新聞には、日本経済新聞社のインタ-ネットサ-ビス
「NIKKEI NET」が実施している「読者が選ぶ人気ホ-ムペ-ジランキング」の
7月分の結果によると、話題のMP3形式で音楽デ-タを配信している米MP3・ドッ
ト・コムは、「音質が良い」「MP3についてのあらゆる情報が集まる」と支持を集めた
ことが記載され、また、そのランキングは、第6位であって、その紹介として、「⑥MP
3.com(www.mp3.com/)米MP3・ドット・コム。MP3のポ-タルサ
イト。MP3形式を使用した世界中の音楽を楽しめる。音質にも高い評価」と記載されて
いる(甲第4号証の〔記事1〕)。
 1999年12月21日付日経産業新聞には、1999年の米ネット業界の変遷をまと
めた記事が掲載されているが、その中に、「④MPS 音楽業界も今年、ネットによって
大いに揺さぶられた。「MP3」と呼ばれる圧縮技術を用い、ネット経由で取り込んだ音
楽を再生できる携帯端末が発売されてから音楽のネット配信に一気に火が付いたからだ。
今夏にはMP3・ドット・コムやミュ-ジックメ-カ-・ドット・コムといった、ネット
音楽配信会社のIPOが相次いだ。MP3は違法コピ-を防止できないため、音楽業界は
反発。この問題を解決する新配信システムを開発したりリキッド・オ-ディオも今年の新
規公開銘柄だ。」との記載がある(甲第4号証の〔記事2〕)。
 日本から「MP3.com」のウェブサイトにアクセスした回数は、1999年2月か
ら2000年8月まで合計8,902万6,032回(1か月平均468万5,580
回)であった。また、世界各国から「MP3.com」のウェブサイトにアクセスした回
数は、1999年2月から同年7月まで合計1億8,639万5,611回であった。そ
のうち、日本からのアクセスの回数は1,757万5,419回であった(甲第5号証)。
 申立人は、1999年に広告宣伝費用として約58万ドル(日本円にして約6,700
万円)の支出をしており、また、その広告媒体は、雑誌、インタ-ネットサイトなど合計
27個になっている(甲第6号証)。
2) 申立人は、オ-ストラリア、ベネルクス、中国、ヨ-ロッパ共同体、フランス、香港、
日本、マレ-シア、モロッコ、ニュ-ジ-ランド、フィリピン、シンガポ-ル、韓国、ス
イス、台湾、チュニジアなどにおいて、1999年4月から2000年12月にかけて、
商標「MP3.COM」「MP3.COOM」「MY.MP3.COM」「MP3RAD
IO.COM」についてそれぞれ商標登録出願をし、そのうち数件は登録されている(甲
第7号証)。そのうち、日本においては、1999年11月16日に商標「MP3RAD
IO.COM」について、2000年12月8日に商標「MY.MP3.COM」につい
てそれぞれ商標登録出願がされている。
3) 申立人は、1998年には新聞61回、雑誌に21回、1999年には新聞に585
回、雑誌に272回、2000年には、4月中旬の段階で新聞に210回、雑誌に74回
それぞれ取り上げられた(甲第8号証)。
 以上認定の事実によれば、申立人は、「MP3.com,Incorporated」
の商号を用いて通信ネットワ-クを利用した音楽配信サ-ビス等の業務を営むものである
こと、申立人の米国におけるドメイン名「mp3.com」のウェブサイトには、日本を
含む世界各国から多数のアクセスがあること、申立人は、世界各国において、商標「MP
3.COM」の商標登録出願をし、その中には既に登録されたものもあること、日本の新
聞においても、「MP3.com」がホ-ムペ-ジランキングの上位にあることが紹介さ
れたこと、申立人は、米国の新聞や雑誌などに多数回にわたって紹介されたことなどに照
らし、「mp3.com」は、現に、申立人及びそのサ-ビス等を表示するものとして、
日本においても、「mp3.com」のインタ-ネット利用者の間で著名になっているも
のと認められる。したがって、「mp3」及び「mp3.com」の表示は、高い顧客吸
引力を取得しており、申立人において、これを継続して使用する正当な利益を有している
ものということができる。この点に関して、登録者は、「mp3.com」の表示は申立
人を表示するものとして著名ではないと主張する。確かに、「MP3」の用語は、本来、
申立人も認めるとおり、音声情報圧縮の国際規格を意味するものであるが、このような用
語であっても、その表示が使用をされた結果、その表示に接する者が何人かを表示するも
のとして認識することができるものもあり得るところ、前記申立人の申立人サイトの使用
の事実に照らすと、「mp3.com」が通信ネットワ-クに関連して使用されるときに
は、「mp3」は申立人を表示するものと認識されるものと認められる。
 ところで、登録者ドメイン名は、「MP3.CO.JP」というものであるところ、
「mp3」の部分が主体を識別する部分であり、また、トップレベルドメインである「.
JP」が国別コ-ドとしてホストが属する国、すなわち、日本を示すものであり、更に、
セカンドレベルドメインである「.CO」が組織の種別コ-ドとしてホストの属する組織、
すなわち、企業を示すものであること、申立人表示である「mp3.com」の「mp
3」が主体を識別する部分であり、また、トップレベルドメインである「com」が属性
を示すものであることは、インタ-ネットの利用者にとっては周知の事実である。そうす
ると、登録者ドメイン名の要部は「MP3」であるのに対して、申立人サイトの要部は
「mp3」であるといわなければならない。そして、両者は、英文字が大文字と小文字の
違いがあるだけであって、外観、称呼及び観念において類似しており、全体的にみても混
同を引き起こすほどに類似していることは明らかである。この点に関して、登録者は、
「mp3.co.jp」と「mp3.com」とは、主体を識別する部分があくまでも
「MP3」単体である以上、単に同じ国際規格の名称を使用しているにすぎないから、誤
認混同はあり得ない旨主張している。しかしながら、「MP3」が本来国際規格を意味す
るものであっても、前述のとおり、申立人サイトの使用の事実に照らすと、「mp3.c
om」が通信ネットワ-クに関連して使用されるときには、「mp3」は申立人を表示す
るものと認識されるものと認められるところである。
 更に、登録者は、「mp3.co.jp」と「mp3.com」とは誤認混同するとい
う申立人の主張はこじつけにすぎないとか、登録者は登録者が計画していたMP3関連事
業について登録者ドメイン名の下で認知されているとか、混同の事例は1件だけであるな
どと主張している。しかし、登録者が認めているように登録者ドメイン名サイトが構築さ
れていないからであって、もしも通信ネットワ-クに関連して登録者ドメイン名サイトが
構築されれば、両者の類似性に照らし、出所の混同のおそれがあることは明らかであると
解される。また、登録者のいう登録者が計画していたMP3関連事業というものを示すも
のはなく、かえって、ゼネラル商事株式会社の会社案内(乙第2号証)は、同会社の事業
が記載されているだけであって、登録者のMP3関連事業についての記載はなく、また、
AKIBA Hotline1998年5月1日号(乙第3号証)はインプレス社のホ-
ムペ-ジであって、これには同会社の事業が記載されているだけであって、登録者のMP
3関連事業が記載されているのではないから、これにアクセスした者は登録者のMP3関
連事業と認識することはできないものと思われる。乙第4号証も、インプレス社のホ-ム
ペ-ジであって、登録者のものではない。乙第5号証のEメ-ルは、合資会社ジ-・エ
ヌ・エヌのものであって、登録者のものではなく、かえって、同会社が登録者ドメイン名
を登録者のためではなく、自社のために用いようとしていることが伺われる。乙第11号
証のVoice Keeperに関するホ-ムペ-ジにしても、合資会社ジ-・エヌ・エ
ヌのものであって、登録者の事業についてのものではない。乙第16号証の「新製品」と
題する書面には、Voice Keeperの発売元が登録者である旨の記載があるが、
「問い合せ先」は「systemkj@gnn.co.jp」になっている。このように
みてくると、登録者は、MP3関連事業をしているのではなく、登録者主張の事業は、別
会社である合資会社ジ-・エヌ・エヌの事業であると認められる。

(3) 登録者ドメイン名の使用状況
 申立人が平成13年2月15日に登録者ドメイン名のサイトを訪れたところ、「COM
MING SOON」の表示を示すサイトが見られるようになった(甲第10号証)。そ
して、申立人は、同月20日に登録者の代表者 李 知娟に電話連絡して、実費を弁償す
るので登録者ドメイン名を譲渡して欲しい旨申し入れたところ、李 知娟は、どのような
ことがあってもドメイン名を譲渡するつもりはない旨述べるとともに、登録者ドメイン名
のサイトを日本における申立人の「mp3.com」サイトとして申立人と共に事業を行
うことだけが唯一考えられることである旨返答した(甲第11号証)。登録者ドメイン名
サイトの表示が上記のとおりであるにとどまっていること、前記のとおり登録者が現に自
ら返信ネットワ-クを利用した音楽配信サ-ビス等の業務を行っていないこと、李 知娟
の申立人に対する返答が上記のとおりであることなどを併せ考えると、登録者が登録者ド
メイン名を保持している目的は、申立人の「mp3.com」サイトとして、当該サイト
が持つ顧客吸引力を利用しようとする意図を有するものと推認される。そうすると、登録
者は、登録者ドメイン名を自らの業務に利用するためではなく、申立人の顧客吸引力を利
用し、又はそれによって何らかの利益を得るために登録者ドメイン名を使用しているもの
といわざるを得ない。また、申立人が登録者ドメイン名のサイトからリンクされているサ
イトを訪ねたところ、合資会社ジ-・エヌ・エヌのホ-ムペ-ジが表示されたというので
あって(甲第12号証の1)、これによると、登録者は、現在同ホ-ムペ-ジにリンクさ
せるためだけに登録者ドメイン名サイトを利用しているのである。合資会社ジ-・エヌ・
エヌのホ-ムペ-ジに同社の主取引先として登録者名が表示されたので(甲第12号証の
2)、申立人は、さらに同表示からリンク先を訪れたところ、登録者のサイトである「s
kj.net」にリンクされたが、同サイトにおいても、登録者は何らウェブサイトを構
築していなかったというのである(甲第12号証の3)。このように、登録者は、登録者
ドメイン名を登録以来全く有効に利用していないのであって、これらの点からも、登録者
の登録者ドメイン名の登録の意図は上記の点にあるとみざるを得ない。
 以上によれば、登録者は、ドメイン名の登録についての権利又は正当な利益を有してい
ないものというほかはない。

(4) 登録者ドメイン名の登録又は使用の目的
 以上認定した事実関係によれば、登録者ドメイン名は、不正の目的で登録又は使用され
ているものといわざるを得ない。

6 結論
 以上の認定判断に照らし、本紛争処理パネルは、登録者によって登録されたドメイン名
「MP3.CO.JP」が申立人の営業表示及び商標と混同を引き起こすほどに類似し、
また、登録者が、登録者ドメイン名について権利又は正当な利益を有しておらず、更に、
登録者ドメイン名が不正の目的で登録又は使用されているものと裁定する。
 よって、処理方針4条i.に従って、ドメイン名「MP3.CO.JP」の登録を申立
人に移転を命ずるものとして、主文のとおり裁定する。

  2001年5月29日

              日本知的財産仲裁センタ-紛争処理パネル
                     パネリスト  清永 利亮


手続の経緯

(1)申立書受領日
    2001年3月5日(電子メール)
    2001年3月7日(郵送)
(2)料金受領日
     申立人代理人は、2001年3月6日に189,000円(消費税込)を支払
    った。
(3)ドメイン名、登録者の確認日
    2001年3月5日 センターの照会日(電子メール)
    2001年3月5日 JPNICの確認日(電子メール)
   確認内容
    1) 申立書に記載の登録者はドメイン名の登録者であること
    2) 登録担当者は李相協であること
(4)申立不備通知書
     2001年3月12日、申立書に不備があったので、申立不備通知書を申立人
    代理人に送付(FAX、郵送及び電子メール)
(5)補正申立書受領日
    2001年3月12日(電子メール)
    2001年3月13日(窓口)
(6)適式性
     センターは2001年3月15日、補正申立書がJPNICの処理方針、規則、補
    則の形式要件を充足することを確認した。
(7)手続開始日     2001年3月16日
   手続開始日の通知 2001年3月16日
            JPNICへ(電子メール)
            申立人代理人へ(電子メール及び郵送)
(8)登録者・登録担当者への送付、内容及び到達
   1) 2001年3月16日、センターは申立書及び申立通知書を登録者及び登録担
     当者へ郵送した。
   2) センターは答弁書提出期限が2001年4月16日であることを通知した。
   3) 2001年3月23日、登録者・登録担当者は申立書及び申立通知書を受領し
     た。
(9)答弁書の提出の有無及び受領日
   1) 提出有
   2) 2001年4月15日(電子メール)
     2001年4月16日(郵送)
   3) 答弁書の申立人代理人への送付日
      2001年4月16日(電子メール、FAX及び郵送)
   4) パネリストの選任
      申立人は1名パネルを要求
      中立宣言書の受領日 2001年4月25日
      パネリスト 清永 利亮
(10)答弁不備通知書
     2001年5月11日、答弁書に不備があったので、答弁不備通知書を登録者
    代理人に送付(電子メール及び郵送)
(11)補正答弁書受領日
   1)  第1回 2001年5月18日(郵送)
     第2回  2001年5月19日(電子メール)
         2001年5月21日(郵送)
   2) 補正答弁書の申立人代理人への送付日
      2001年5月23日(電子メール及び郵送)
(12)紛争処理パネルの指名及び予定裁定日の通知日(JPNIC及び両当事者へ)
    2001年4月20日(電子メール及び郵送)
    裁定予定日 2001年5月15日
(13)パネルによる審理
    適宜に、電子メール及びFAX・電話等の手段を利用