ネットワーク・ワーキング・グル−プ J.Postel
RFC:1591 ISI
分類:情報案内 1994年3月
このメモは、 インターネットのコミュニティに情報を提供するためのものであり、 インターネットの標準について記したものではありません。 また、このメモの配布については制限はありません。
このメモでは、ドメインネームシステム(DNS)における名前の構造、 特にトップレベル・ドメイン名について、並びに、 ドメインの運用管理についての情報を提供します。 IANA (Internet Assigned Numbers Authority)は、 インターネットで使用されるIPアドレス、ドメイン名、および、 その他の多くのパラメータの全般について権限を持つ機関です。 IPアドレス、ASナンバー(自律システムナンバー)、および、 大半のトップレベルとセカンドレベルのドメイン名の割り当てのための日常業務は、 インタ−ネット・レジストリー(IR: Internet Registry)と地域レジストリーが担当します。
ドメインネームシステム(DNS)におけるコンピュータの名前づけには、 階層構造があります。 システムのルートには名前がつけられていません。 「トップレベル・ドメイン名」(TLD)と呼ばれる一つの集合体があります。 TLDには、一般TLD(EDU、COM、NET、ORG、GOV、MIL、および、INT)と、 ISO-3166で定められた2文字のアルファベットの国コードがあります。 それ以外のTLDが作られることはありません。
個々のTLDの下に、名前の階層構造が作られることになります。 一般に、一般TLDの下は、構造が非常にフラットです。 すなわち、多くの組織がTLDの下に直接登録され、 各組織の下の構造については個々の組織にまかされています。
各国のTLDについては、その構造に様々な形態が見られます。 国によっては、構造が非常にフラットなものもあれば、 実質的な構造を持つものもあります。 いくつかの国のドメインの中には、 セカンドレベルが一般分類(AC、CO、GO、および、REなど)になっているものや、 政治的地域区分に基づくものがあり、また他には、 組織名が国コードの下に直接おかれているものもあります。 USドメインで登録される組織に関しては、RFC 1480 [1] に記載されています。
一般TLDは、一般的な組織分類をするためにつくられたものです。 国コードドメイン(例えば、FR、NL、KR、USなど)はそれぞれ、 その国の運用管理者によって組織化されています。 各国の運用管理者は、 名前の階層構造の一部の管理を他者に委任する場合があります。 これらの運用管理者は、インターネットのコミュニティを代表して、 公共サービスを提供していることになります。 一般ドメインとUSドメインについての記述は以下のとおりです。
これらの一般ドメインのうち5つは本来国際的な使用を目的としたものですが、 2つは米国内に存在する組織の使用に制限されています。
TLDの担当者を探すには、 「whois」プログラムを使ってホスト「rs.internic.net」上のデータベースにアクセスします。 関心のあるTLDの名前に「-dom」を加えてください。
例:「whois -h rs.internic.net us-dom」 「whois -h rs.internic.net edu-dom」
IANAは、ドメインネームシステム(DNS)の全般的な調整と管理、 特にトップレベル・ドメインと呼ばれる名前空間の委任に関して責任があります。 これらトップレベル・ドメインのほとんどは、 ISO標準3166に基づいた2文字の国コ−ドです。
中央IRは、 ドメインネームシステムの日常の運用管理を処理するために選ばれ任命されました。 新規のトップレベル・ドメイン(たとえば、国コードドメイン)の申し込みは、 IANAとの協議のもとに、IRが処理します。 中央IRは、INTERNIC.NETです。 COM、EDU、ORG、NET、および、GOVのセカンドレベル・ドメインは、 InterNICにてIRが登録作業を行ないます。 MILのセカンドレベル・ドメインは、 NIC.DDN.MILにてDDNレジストリーが登録作業を行ないます。 INTのセカンドレベル・ドメイン名はISI.EDUのPVMが登録作業を行ないます。
新規のトップレベル・ドメインを作ることに関する要請は、 InterNIC(メールボックス:hostmaster@internic.net)へ送られなければなりませんが、 特に国レベルの運用管理にともなう問題を解決するに際しては、 地域レジストリーがDNSの運用管理において補助することもしばしばあります。 現在のところ、RIPE NCCがヨーロッパの地域レジストリーで、 APNICがアジア太平洋の地域レジストリーですが、 InterNICが北アメリカ地域と、 まだ権限が委任されていない他のすべての地域を担当しています。
これらの地域レジストリーの担当者のメールボックスは以下のとおりです。
INTERNIC | hostmaster@internic.net |
APNIC | hostmaster@apnic.net |
RIPE NCC | ncc@ripe.net |
新規のトップレベル・ドメインの設置にともなう政策上の留意点は下記のとおりです。 なお、すでに存在しているドメインの運用管理の委任先団体を変更せざるを得ないときに生じる留意点についても記述されています。
新規のトップレベル・ドメインが作られると、通常、 その管理は「指定運用管理機関(designated manager)」にただちに委任されます。
これらの留意点の大部分は、 サブドメインが委任される際にも重要となる事柄であり、 ここに記述されている原則は、概して、 インターネットのDNS名前空間におけるすべての委任において再帰的に適用できるものです。
ある一つのドメインの指定運用管理機関を選定する際の主な留意点は、 その団体が必要な責任を果たすことができるということ、並びに、 業務に対して公平、公正、誠実で、 十分に満足のいく仕事をこなす能力があるということです。
1) 第一に要求されることは、一つ一つのドメインに、 そのドメインの名前空間を管理する指定運用管理機関が存在していることです。 国コードのトップレベル・ドメインの場合には、 その国のドメイン名を管理し、 ドメインネームシステムを運用する運用管理機関が存在することを意味しています。
当然のことながら、 指定運用管理機関はインターネット上に存在していなければなりません。 ネームサーバへのIP (Internet Protocol)接続が必要であり、 指定運用管理機関の管理責任者および職員への電子メール接続が必要となります。
個々のドメインには運用管理担当者と技術担当者がいなければなりません。 国コードのトップレベル・ドメインに関しては、 少なくとも運用管理担当者はその国に居住していなければなりません。
2) これらの指定を受けた機関は、 それぞれに委任されたドメインの受託管理者であり、 そのコミュニティに対してサービスを提供する義務があります。
指定運用管理機関は、国コードの場合、当該国にとっても、 地球規模のインターネットのコミュニティにとってもトップレベル・ドメインの受託管理者ということになります。
ここでの留意点は、ドメインの「権利」と「所有権」に関係することではなく、 コミュニティへの「責任」と「サービス」に関係することであると理解するのが適切です。
3) 指定運用管理機関は、それが管理しているドメイン内において、 ドメイン名の登録を申請するすべての団体に公平でなければなりません。
すなわち、同一の規則がすべての登録申請に適用され、 差別のない形ですべての申請が処理され、学術目的のユーザも、 商業目的のユーザも、そしてその他のユーザも平等に扱われることを意味します。 指定運用管理機関が関係している他のビジネスの顧客から申請を受けることがあったとしても、 そのような申請に対して、特別に他と異なる態度をとることはできません。 例えば、特定のデータ・ネットワーク・プロバイダに対して優先的措置をとることは許されません。 特定のメールシステム(あるいは他のアプリケーション)、特定のプロトコル、 または特定の製品の使用が要求されることはありません。
トップレベル・ドメインのサブドメインに求められる必要条件が、 その上位レベルのドメインに求められる必要条件を超えることはありません。 すなわち、このメモに記載された条件は、 そのままサブドメインにも適用されます。 特に、すべてのサブドメインはそれ自身のドメインネームサーバを運用することが許され、 その中には、サブドメインの運用管理者が適切であると判断する情報はどのようなものでも(それが真実で正確な限り)入れることができます。
4) 当該ドメインの利害関係者は、 委任を受けた指定運用管理機関が適切な団体であるということを、 重要なこととして同意しなければなりません。
IANAは、競合するすべての団体が、 その団体間で合意に達するように努力をしますが、状況を変えるために IANAが行動を起こすことは、一般的にはありません。 唯一、指定運用管理機関が、実質的に誤った行動をとった場合のみ、 IANAが介入することになります。
しかしながら、指定運用管理機関を選定する際に、 利害関係者が意見を述べるということもまた、妥当なことです。
IANAと中央IRが、新規のトップレベル・ドメインを設定し、 その一部のみを委任するケースとしては、次の二つの場合があります。
後者の場合は、国外の団体が、 ある国のネットワーク化開始を支援しようとする場合に時として起こります。 この場合、「代理」DNSサービスと呼ばれることがあります。
IANA によって設立された委員会であるIDNB (Internet DNS Names Review Board)は、競合する団体がその団体間で合意に達しない場合、 評価委員会として行動します。 IDNBの決定には拘束力があります。
5) 指定運用管理機関は、 担当しているドメインのDNSサービス運用に関して、 満足のいく業務を遂行しなければなりません。
すなわち、ドメイン名の割り当て、サブドメインの委任、 ネームサーバの運用といった実際管理業務を、 技術的に高い能力をもって遂行しなければなりません。 この業務の中には、(トップレベル・ドメインの場合には)中央IRに対して、 あるいは、他の上位レベルのドメイン管理者に対して、 当該ドメインの状況を継続的に報告すること、 要請に応じてタイムリーな回答をすること、 正確で堅固で柔軟にデータベース運用をすることが含まれています。
インターネットにIP接続されているプライマリ・ネームサーバとセカンダリ・ネームサーバが不可欠であり、 IRおよびIANAが、 その運用状況やデータベースの正確さを容易に確認できるようになっていなければなりません。
当該ドメインが適正に運用されず、継続的な問題がある場合、 その委任が解約される可能性があり、その場合、 別の指定運用管理機関が委任されることになります。
6) 指定運用管理機関の受託管理者としての権限が移行する場合には、 新旧両機関は必ず、 その上位レベルのドメイン管理者(トップレベル・ドメインの場合にはIANA)に対して連絡をとらなければなりません。 これは、移行が両者合意のものであり、 新しく委任される機関はその責任事項を理解しているということを、 IANAが確認するためです。
また、その移行に関係していたり、 移行によって影響を受ける可能性がある他の団体から連絡を受けることも、 IANA にとって非常に役に立つことです。
特定の名前の使用の権利について、 ドメイン名登録者間で係争が起こった場合、登録機関当局は、 問題となっているドメインの担当者情報を両者に提供する以外、 役割や責任を負いません。
ドメイン名を登録することによって、 それが商標という位置づけをもつことはありません。 申請したドメイン名が、 他の誰かの商標を侵害していないかどうかの確認をとることは、 その申請者の責任に委ねられています。
IANAは、 「国(country)である」か「国でない」かを決定することに関与しません。
国コードのトップレベル・ドメイン名の基準として、 ISO 3166リストが選択されましたが、 これはISO(国際標準化機構)に、 どのエンティティがそのリストに載るべきかについての決定のための手続きがあったためです。
セキュリティの問題は、このメモでは論じられていません。
ここで述べられている説明と手順のドラフトに対して多くの人からコメントを頂きました。 Steve GoldsteinとJohn Klensinはとりわけ助けになってくれました。
Jon Postel
USC/Information Sciences Institute
4676 Admiralty Way
Marina del Rey, CA 90292
Phone: 310-822-1511
Fax: 310-823-6714
E-Mail: Postel@ISI.EDU