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文書管理情報 | |
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本文書番号 | JPNIC-01042 |
文書名 | JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー |
発効日 | 2005/12/25 |
最終更新日 | 2005/11/25 |
この文書によって無効となった文書 | JPNIC-01024 |
この文書を無効とする文書 | JPNIC-01062 |
JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 本文書の立場 本文書は、APNICが発行している以下のAPNIC、ARIN、RIPE NCCのコミュニティ によって共同で議論され策定された文書をもとに記述されている。このAPNIC の文書は、JPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含むすべての インターネットレジストリが従うべきポリシーについて記述されており、本文 書の上位文書にあたる。従って、APNIC文書が将来的に変更された場合は、本 文書もそれにともなって遅滞なく変更されるものである。 『IPv6 Address Allocation and Assignment Policy』 本文書に記載されているポリシーは基本的にAPNICポリシーとの一貫性、透明 性を旨として策定されるため、内容的にはほとんどの部分が同一であり、文書 の体裁や構造も同一のものである。 ただし、これはJPNICポリシーがAPNICポリシーと完全に同一のものであるとい う意味ではない。地域インターネットレジストリと国別インターネットレジス トリという立場の違いによる差異も存在する。 -------------------------------------------------------------------------------- 目次 本文書の立場 1. はじめに 1.1. 概要 2. 定義 2.1. インターネットレジストリ(IR) 2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR) 2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR) 2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR) 2.5. 割り振り 2.6. 割り当て 2.7. 利用率 2.8. HD-Ratio 2.9. エンドサイト 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 3.2. 一意性 3.3. 登録 3.4. 経路の集成 3.5. 節約 3.6. 公平性 3.7. オーバーヘッドの最小化 3.8. 目標の衝突 4. IPv6ポリシーの考え方 4.1. アドレス空間は所有物とはみなされない 4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性) 4.3. 最小割り振りサイズ 4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1. 初期割り振り 5.1.1. 初期割り振りの基準 5.1.2. 初期割り振りの最小サイズ 5.1.3. 最小サイズを超える初期割り振りサイズ 5.2. 追加割り振り 5.2.1. 追加割り振りの基準 5.2.2. HD-Ratioの適用 5.2.3. 追加割り振りのサイズ 5.3. IP指定事業者からISPへの割り振り 5.4. 割り当て 5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 5.4.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て 5.4.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て 5.5. 登録 5.6. 逆引き 5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者 5.8. インターネットエクスチェンジポイントおよびクリティカルインフラストラクチャへの割り当て 6. 参考情報 7. 付録A :HD-Ratio -------------------------------------------------------------------------------- 1. はじめに 1.1. 概要 本文書では、インターネットプロトコルバージョン6(以下、IPv6)に関して、 世界的に固有なインターネットアドレス空間の分配とその運用に関するポリシー について説明する。 [RFC2373、RFC2373bis]では、IANAがRIRへ割り振ることのできるグローバル ユニキャストアドレス空間に2000::/3を指定している。[RFC2928、RFC2373bis、 IAB-Request]に従い、IANAは既存のRIRに対して2001::/16アドレスブロックか らのグローバルユニキャストIPv6アドレス空間の初期領域を割り振っている。 本文書では、RIRが割り振り/割り当てポリシーを定めている2000::/3 ユニキャ ストアドレス空間の初期および追加の割り振りを扱う。エンドサイトは一般に /48の割り当て[RFC3177、RIRs-on-48s]を与えられるため、本文書では 2000::/3から/48までの領域にあるビットに関するポリシーを特に重視する。 ただし、エンドサイトには/64と/128の割り当てを受けるものもあるため、 2000::/3から/64までの領域にあるすべてのビットが対象となる。 このポリシーは暫定的(Interim)であるものとしてみなされ、将来IPv6の運用 に関するより幅広い経験に従って見直される。 2. 定義 以下の用語とその定義は、本文書に書かれている目標、環境、ポリシーを理解 するために特に重要なものである。 IPv6アドレス空間を管理する責任は、以下のような階層構造により世界に配分 される。 +--------+ | IANA | +--------+ | +-----------+ | | +--------+ +--------+ | RIR | | RIR | Regional Internet +--------+ +--------+ Registries (APNIC, ARIN, RIPE NCC,LACNIC | | plus possible future RIRs) | | | +-----+ | | NIR | National Internet | +-----+ Registries (AP region) | | +--------+ +--------+ |LIR/ISP | |LIR/ISP | Local Internet +--------+ +--------+ Registries (ISPs) | | +--------+ | | | | +-------+ +----+ +----+ |EU(ISP)| | EU | | EU | End users +-------+ +----+ +----+ 2.1. インターネットレジストリ(IR) インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分配 し、その分配を登録する責任を持つ。IRは上記の階層構造の中で、主要な機能 と地域的担当範囲にもとづき分類される。 本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネットレ ジストリ(RIR)、JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、ローカル インターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。 2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)は、各地域のコミュニティによる承認と ICANNの認可で設立され、大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でアドレス空間を分配、管理 することである。 現在RIRとしては、APNIC、RIPE NCC、ARIN、LACNICの4つがある。将来はさら に他のRIRが設立される可能性がある。 2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、LIRであるメンバーにアド レスを割り振りするIRであり、一般的にNIRのメンバーは、国レベルで組織さ れたインターネットサービスプロバイダ(ISP)である。NIRは主にアジア太平洋 地域に存在する形態である。 NIRはISPで構成されるが、それ自体はISPとしては機能しない。NIRは自らを構 成しているISPの利益に関して中立を維持することが期待される。 JPNICはこのNIRにあたる。 2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自己が提供するネット ワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIRは一般に ISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が別 のISPである場合もある。 IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」という)はこのLIRにあた る。 2.5. 割り振り 割り振りとは、再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。 2.6. 割り当て 割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部ま たは全部を、エンドユーザのネットワークで利用するために分配することであ る。また、IRが内部のネットワーク用として使うときも、そのアドレス空間は 割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。 割り当てられたアドレス空間は、エンドユーザが申告した特定の目的のために のみ使用されるものであり、さらに割り振りや割り当てされるものではない。 2.7. 利用率 IPv4と異なり、IPv6は概ね各エンドサイトに固定サイズ(/48)で割り当てられ る。それぞれの割り当て内での実際の利用率は、IPv4の割り当てと比較すると 極めて低くなる。IPv6では「利用率」は/48境界の左側のビットについてのみ 計測する。言い換えれば、利用率とはエンドサイトへの/48の割り当てを指す のであり、それらエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数 を指すものではない。 本文書では、利用率という語はエンドサイトへの/48の割り当てを指し、それ らのエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数を指すもので はない。 2.8. HD-Ratio HD-Ratioはアドレス割り当て効率を評価する方法である[RFC 3194]。これは [RFC 1715]で当初定義されたH-Ratioの応用であり、以下のように表される。 Log (割り当てられたオブジェクトの数) HD = ----------------------------------------- Log (割り当て可能なオブジェクトの最大数) (注)上位文書では、「割り振られたオブジェクトの数」、「割り振り可能なオ ブジェクトの最大数」と記述されていますが、本来割り当てと記述されるべき 個所であるため、本文書ではは割り当てとしています。 この文書の場合、オブジェクトとはあるサイズのIPv6プリフィックスの中から 割り当てられたIPv6サイトアドレス(/48)となる。 2.9. エンドサイト エンドサイトは、以下のようなサービスプロバイダと契約関係を持つエンドユー ザ(加入者)として定義される。 ・エンドユーザにアドレス空間を割り当てるサービスプロバイダ ・エンドユーザに対し、他のサイトへのトランジットサービスを提供するサー ビスプロバイダ ・エンドユーザのトラフィックを転送するサービスプロバイダ ・エンドユーザの割り当てを含む集成プリフィクス経路を広告するサービスプ ロバイダ 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 IPv6アドレス空間は公共の資源であり、インターネットの長期的な利益に関し 慎重に管理されねばならない。責任あるアドレス空間管理には、時として対立 する目標同士のバランスをとる必要がある。次に述べるのはIPv6アドレスポリ シーに関する目標である。 3.2. 一意性 割り当ておよび割り振られた各アドレス空間は、世界にただ1つしかないこと を保証しなければならない。 これは、インターネット上の各パブリックホストが一意に識別できるようにす るための絶対的要件である。 3.3. 登録 インターネットアドレス空間は、インターネットコミュニティの適切なメンバー がアクセス可能な、レジストリデータベースに登録されなければならない。こ れは、各インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、RIR をはじめとするすべてのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用するあ らゆるレベルの人がインターネット上のトラブルを解決するための参照情報と して利用できるようにするためである。 さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用するすべての人が、その資源 の状態等を確認可能であるべきとする、インターネットコミュニティの考え方 を反映するものでもある。 登録という目標は、適切なプライバシーへの配慮と既定の法に従って施行され るべきである。 3.4. 経路の集成 アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャーのトポロジに沿って、 可能な限り階層的に分配されなければならない。これは、経路情報を集成し、 経路表の増大を抑えるために必要なことである。 この目標はIPv6アドレス体系において特に重要であり、IPv6アドレスでは、ア ドレスプール全体のサイズが内部経路制御および外部経路制御の両方に重大な 影響を与える。 IPv6アドレスポリシーは、アドレスレンジの断片化防止に努めるものであるべ きである。 さらにAPNIC/JPNICは、現在割り振りを行っている空間に、連続した空間で追 加割り振りが行える可能性を最大にするような運用を採用すべきである。ただ し、連続した割り振りは保証されるものではない。 3.5. 節約 IPv6は非常に膨大なアドレス空間を持つものの、アドレスポリシーによって不 必要に浪費的な運用を回避すべきである。アドレス空間の申請者は、適切な文 書による裏付けを行うべきであり、未使用アドレスの備蓄は避けるべきである。 3.6. 公平性 パブリックなアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーは、現在および未 来にわたるすべてのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、 規模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践されるべ きである。 3.7. オーバーヘッドの最小化 アドレス空間の委任によるオーバーヘッドは最小化されるのが望ましい。 JPNICに対して追加アドレス空間の申請をあまりに頻繁に行うこともオーバー ヘッドとなるほか、大きい空間拡張を少ない回数で行うのではなく、小さな拡 張を続けて数多く行うこともアドレス空間管理のオーバーヘッドに結びついて しまう。 3.8. 目標の衝突 アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。 さらに、上に述べた目標は、時として個々のIRおよびエンドユーザの利益と衝 突することがある。 アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査するすべてのIRは、それに関 連するすべての事柄を注意深く分析し、インターネットコミュニティ全体のニー ズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。 IPv6アドレスポリシーでは、集成の目標が最も重要であると考えられる。 4. IPv6ポリシーの考え方 3.[IPv6アドレス空間管理の目標]で示した目標を達成するために、本文書に おけるポリシーは以下にかかげるような基本的な考え方を議論し、採用する。 4.1 アドレス空間は所有物とはみなされない アドレス空間を自己の所有物とみなすことは、本文書で述べられている目標だ けでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することである。 本文書におけるポリシーでは、グローバルにユニークなIPv6ユニキャストアド レス空間は所有されるものではなく、ライセンスが交付されたものだという理 解にたっている。 具体的には、IPアドレスはライセンスに基づいて割り振り/割り当てが行われ、 そのライセンスは定期的に更新を受ける。ライセンスを受けるには、ライセン スの交付時または更新時に適用される特定の条件がある。 JPNICは通常、申請組織が割り振り/割り当ての資格あるいはライセンスを交付 された際の基準を満たすべく、誠意を持って努力している場合、ライセンスを 自動的に更新する。ただし、申請組織がそのアドレス空間を当初の予定通りに 使用していない、あるいはアドレスのライセンスに伴う義務の遂行に対して不 誠実であった場合、JPNICはライセンスを更新しない権利がある。 ライセンスを新しく更新するとき、そのライセンスは、更新時に適用されてい るIPv6アドレスポリシーに基づいて審査および管理が行われるが、そのポリシー は割り振り/割り当てを受けた時点でのポリシーとは異なる場合がある。 4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性) 割り振りや割り当てはいずれも、グローバルに経路制御可能であるという保証 はない。 しかしJPNICは、ルータビリティ(経路制御可能性)の低下を引き起こしかねな いアドレス空間分断化の可能性を抑える方法を採用しなければならない。 4.3 最小割り振りサイズ プリフィクスを基準にしたフィルタリング促進のため、JPNICはIPv6割り振り に対して最小割り振りサイズを適用する。 IPv6アドレス空間における最小割り振りサイズは/32である。 4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮 IPv6アドレスの初回割り振りサイズを判断するにあたり、5.1.3[最小サイズを 超える初期割り振り]のもと、既存のIPv4ネットワークを考慮することも可能 である。 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1 初期割り振り 5.1.1. 初期割り振りの基準 IPv6アドレス空間の初期割り振りの資格を得るには、申請する組織は、 a) IP指定事業者であること b) エンドサイトでないこと c) /48を割り当てた組織に対し、IPv6の接続性を提供する計画があり、その 経路広告を、割り振られたアドレス一つに集成して行うこと。 d) 2年以内に最低でも200の/48の割り当てを行う計画があること。 以上の4つを満たさねばならない。 プライベートネットワーク(グローバルインターネットに接続を行っていない ネットワーク)も上記と同等の基準を満たしていればIPv6アドレスの割り振り を受けられることがある。 5.1.2. 初期割り振りの最小サイズ 初期割り振りの基準を満たす組織は、/32の最小割り振りを受けることができ る。 5.1.3 最小サイズを超える初期割り振り 以下の前提のもと、/32より大きな初期割り振りを正当化することができる: a)構築を計画しているIPv6のインフラストラクチャーが、/32より大きな割り 振りを必要なことを示す審議情報の提供; もしくは b)以下すべての審議情報の提供 ・既存のIPv4ネットワークにおけるインフラストラクチャーおよび顧客規模 ・既存のIPv4サービスをIPv6経由で提供し、かつ、2年以内に、既存のIPv4顧 客の一部をIPv6に移行させる意思の表明 ・a)、b)いずれの方法を選択した場合も、HD-Ratioをもとにした利用率に従っ て算出されたアドレスの需要を満たす割り振りが行われる。 5.2. 追加割り振り 既存のIPv6アドレス割り振りを受けている組織は、以下のポリシーに従って追 加割り振りを受けることができる。 5.2.1. 追加割り振りの基準 追加割り振りは、IP指定事業者が、/48を単位とするサイト数という観点にお いて過去のアドレス使用での評価基準を満たした場合に実施される。 HD-Ratio[RFC 3194]は、以下に示すように、アドレス空間の追加割り振りを正 当化する利用率を確定するために用いられる。 5.2.2. HD-Ratioの適用 アドレスの追加割り振りを正当化するための必要なアドレス利用率を示す値と して、HD-Ratioは 0.8 が採用される。付録 Aは、アドレスブロックのサイズ に対して、必要な利用率を達成するために必要な割り当て数を示した表である。 5.2.3. 追加割り振りのサイズ 組織が割り振られたアドレス空間において必要な利用率を満たした場合、その 組織は、結果としてアドレス空間が2倍となる追加割り振りをただちに受けら れる。その追加割り振りは、可能な限り隣接したアドレスブロックから行われ る。つまり既存の割り振りが1ビット左に拡大する。 組織がより大きなアドレス空間を必要とする場合、2年間の必要量を証明する 審議情報を提出しなければならない。割り振りはこの必要量を基にして行われ る。 5.3. IP指定事業者からISPへの割り振り IP指定事業者がアドレス空間を下位ISPに割り振るための特定のポリシーはな い。 各IP指定事業者は、IP指定事業者に割り振られたアドレスブロック全体の効率 的な利用を確保するため、下位ISPのための独自のポリシーを作成することが できる。しかし、追加割り振りが必要になった場合にJPNICがHD-Ratioを正し く評価できるように、エンドサイトに割り当てられた/48はすべて、IP指定事 業者によって登録される必要がある。 5.4. 割り当て IP指定事業者/ISPは以下の条件に従ってIPv6割り当てを行わなくてはならない。 5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 割り当ては現在あるガイドライン [RFC3177,RIRs-on-48]に従って行われる。 そのガイドラインを要約すると; ・非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48 ・仕様により唯一のサブネットが必要であることがわかっている場合は/64 ・唯一の機器が接続することが確実にわかっている場合は/128 JPNICは、IP指定事業者/ISPが実際にどのアドレスサイズを割り当てるかにつ いて関与しない。そのため、JPNICは、IPv4の場合と異なりIPv6ユーザネット ワークの詳細情報を要求しない。ただし、4.4[IPv4 インフラストラクチャー の考慮]で説明した場合や、本文書で定義された利用率を計測する目的がある 場合は除く。 5.4.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て 単一のエンドサイトが複数・追加の/48アドレスブロックを必要とする場合、 複数割り当て請求時には、その要求の妥当性を示す審議資料を提出しなければ ならない。その請求は、APNIC/JPNICレベルで審議・検討(つまり妥当性の判断) が行われる。 注: 同一エンドサイトに対し複数の/48を割り当てることについては、これま で経験がない。APNIC/JPNICでこのような割り当てすべてを審議するのは、あ る程度の経験が積まれ、一般に通用するポリシーが整備されるまでの一時的な 措置である。この件に関するポリシーを策定するさらなる作業が近々に行われ るべきである。 5.4.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て IP指定事業者/ISPは、IPv6サービスオペレータのサービスインフラストラク チャーとして、PoP毎に1つの/48を割り当てることができる。PoPに対するそれ ぞれの割り当ては、PoPを利用するエンドユーザの数にかかわらず1つの割り当 てとみなされる。オペレータの社内業務に対しては別途の割り当てを受けられ る。 5.5. 登録 IPv6アドレスを割り振られた組織は、IPv6アドレス割り当てを行う際、JPNIC が必要に応じてアクセス出来るデータベースに、その割り当てに関する情報を 登録しなければならない (JPNICによって登録された情報は、将来的にはアド レス管理情報を登録するための分散データベースに置き換わる可能性がある)。 情報は割り当てた/48ネットワークの単位で登録される。組織が/48より大きな アドレス空間を割り当てられた場合、そのアドレス空間をJPNICのデータベー スに登録されるようにすることは、IP指定事業者の責任である。 RIR/NIRは、追加割り振り申請時のHD-Ratio の計算、および割り当ての過去の 実績を検証するためにこの登録データを利用する。 IRは、申請審議時に使用された個人情報やビジネス情報の安全性を確保するシ ステムと運用を維持すべきである。しかしこれは公開情報として登録される必 要はない。 5.6. 逆引き APNIC/JPNICは、IPv6アドレス空間を組織に委譲するとき、割り振られたIPv6 アドレス空間に対応する逆引きルックアップゾーンを管理する責任も委譲する。 各組織はその逆引きルックアップゾーンを適切に管理する。アドレスの割り当 てを行う際、組織は、割り当てられたアドレスに対応する逆引きルックアップ ゾーンを管理する責任を、要求に応じて割り当て先の組織に委譲しなければな らない。 5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者 以前のIPv6アドレスポリシーに従って/35のIPv6割り振りを受けている組織は、 保有している割り振りを/32のアドレスブロックに拡張することが直ちに可能 になる。その際5.1.1[初期割り振りの基準]で述べた基準を満たしている限り、 正当化の必要はない。/32アドレスブロックは、割り振り済みのより小さなア ドレスブロック(多くの場合、1つまたは複数の/35アドレスブロック)を含む。 そのブロックはその組織への追加の割り振りのためにAPNICによって予約され たブロックである。 /32の最小サイズを超える追加空間の申請は、5.1.3[最小サイズを超える初期 割り振り]で説明した通りに審査される。 5.8 インターネットエクスチェンジポイントおよびクリティカルインフラス トラクチャへの割り当て 5.8.1. インターネットエクスチェンジポイント インターネットエクスチェンジポイント(以下、IXP)は、IXPへの接続機器に対 する接続提供に利用を限定する前提で、JPNICからプロバイダ非依存アドレス の割り当てを受ける資格を有する。この条件のもとに行われる割り当ての最小 サイズは/48である。このプロバイダ非依存アドレス割り当てに対するグロー バルなルータビリティは、IXP事業者の裁量に委ねられる。 5.8.2. クリティカルインフラストラクチャ 日本地域において、以下のクリティカルインフラストラクチャーを運用する組 織は、 JPNICからプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有する。 ・ルートドメインネームシステム(DNS)サーバ ・gTLDネームサーバ ・ccTLDsネームサーバ クリティカルインフラストラクチャへの割り当ては、上記の機能をもつネット ワークインフラストラクチャの実際の運用者に対してのみ認められる。レジス トリインフラストラクチャを含むネットワークに実際に対応していないレジス トラ組織は、本ポリシ下で割り当てを受けることはできない。これらの条件下 で行われる最小割り当てサイズは/32である。 6. 参考情報 [RFC1715] "The H Ratio for Address Assignment Efficiency", C. Huitema. November 1994, RFC 1715. [IAB-Request] "Email from IAB to IANA", http://www.iab.org/iab/DOCUMENTS/IPv6addressspace.txt. [RFC2373] "IP Version 6 Addressing Architecture", R. Hinden, S. Deering. July 1998, RFC 2373. [RFC2373bis] draft-ietf-ipngwg-addr-arch-v3-07.txt. [RFC2928] "Initial IPv6 Sub-TLA ID Assignments", R. Hinden, S. Deering, R. Fink, T. Hain. September 2000, RFC 2928. [RFC3177] "IAB/IESG Recommendations on IPv6 Address". IAB, IESG. September 2001, RFC 3177. [RFC3194] "The H-Density Ratio for Address Assignment Efficiency An Update on the H ratio", A. Durand, C. Huitema. November 2001, RFC 3194. [RIRs-on-48] http://www.arin.net/library/guidelines/ipv6_initial.html, IPv6 Address Allocation and Assignment Policy http://www.apnic.net/docs/policy/ipv6-address-policy.html "IPv6 Address Allocation and Assignment Policy" 翻訳文 http://www.nic.ad.jp/ja/translation/ipv6/20040714-01.html 7. 付録A : HD-Ratio HD-Ratioは、現在ISPがIPv4にて使用している、従来の利用率の計測法に置き 換えることを意図されているわけではない。実際、HD-Ratioでも、依然として 割り当ての登録数を数える必要がある。HD-Ratioの主要な価値とは、あるアド レス空間に対し必要な目標利用率を設定する際の有効性にある。本文書では、 ある割り振りが必要なレベルの利用率を達成し、追加割り振りが正当化される ような閾値を設定するために、HD-Ratioを使用する。 利用率の基準Tは、IPv6プリフィクスPから割り振られる個々の/48プリフィッ クスの数として表され、次のように計算できる。 ((48-P)*HD) T = 2 したがって、IPv6アドレスブロックの追加割り振りを申請する組織に対する利 用率の基準は、プリフィクスサイズと対象HD-Ratioの利用比率の関数として指 定される。ここでの利用率は、エンドサイトに対する/48の割り当てを指し、 それらのエンドサイト内での/48の利用率を指すものではない。これはアドレ ス割り振りの利用率であり、アドレス割り当ての利用率ではない。 [RFC3194]の推奨に従い、本文書ではIPv6アドレス空間割り振りにおける利用 率の閾値として、HD-Ratio は0.8を採用する。 次の表は、0.8のHD-Ratioに対応する、IPv6プリフィクスのアドレス利用の絶 対値と百分率で示したものである。 P 48-P /48の総数 閾値 利用率 48 0 1 1 100.0% 47 1 2 2 87.1% 46 2 4 3 75.8% 45 3 8 5 66.0% 44 4 16 9 57.4% 43 5 32 16 50.0% 42 6 64 28 43.5% 41 7 128 49 37.9% 40 8 256 84 33.0% 39 9 512 147 28.7% 38 10 1024 256 25.0% 37 11 2048 446 21.8% 36 12 4096 776 18.9% 35 13 8192 1351 16.5% 34 14 16384 2353 14.4% 33 15 32768 4096 12.5% 32 16 65536 7132 10.9% 31 17 131072 12417 9.5% 30 18 262144 21619 8.2% 29 19 524288 37641 7.2% 28 20 1048576 65536 6.3% 27 21 2097152 114105 5.4% 26 22 4194304 198668 4.7% 25 23 8388608 345901 4.1% 24 24 16777216 602249 3.6% 23 25 33554432 1048576 3.1% 22 26 67108864 1825677 2.7% 21 27 134217728 3178688 2.4% 20 28 268435456 5534417 2.1% 19 29 536870912 9635980 1.8% 18 30 1073741824 16777216 1.6% 17 31 2147483648 29210830 1.4% 16 32 4294967296 50859008 1.2% 15 33 8589934592 88550677 1.0% 14 34 17179869184 154175683 0.9% 13 35 34359738368 268435456 0.8% 12 36 68719476736 467373275 0.7% 11 37 137438953472 813744135 0.6% 10 38 274877906944 1416810831 0.5% 9 39 549755813888 2466810934 0.4% 8 40 1099511627776 4294967296 0.4% 7 41 2199023255552 7477972398 0.3% 6 42 4398046511104 13019906166 0.3% 5 43 8796093022208 22668973294 0.3% 4 44 17592186044416 39468974941 0.2%
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