レジストラ変更(レジストラ間のドメイン名移転)に関する新ポリシー
(2004年11月12日施行)
(2008年11月7日改訂)
2004年11月5日公開
最終更新日 2010年5月19日
- レジストラ変更に関する新ポリシーとは?
- なぜ新ポリシーが導入されたの?
- 新ポリシーによってなにが変わるの?
- 新ポリシーでのレジストラ変更プロセスは?
- 2008年11月7日改訂版での変更点
- ICANNにおける検討の経緯
レジストラ変更に関する新ポリシーとは?
レジストラ変更(レジストラ間のドメイン名移転)に関する新ポリシーとは、 gTLDドメイン名の登録者がより円滑に登録先レジストラの変更を行えるよう、 手続の統一化および明確化を図り策定されたものであり、 2004年11月12日以降に行われるすべてのレジストラ変更に適用されます。
このポリシーは2008年11月7日に改訂され、
2009年3月15日以降はレジストラ変更に関するポリシー(2008年11月7日版)が有効になっています。
なお、この改訂では、規定をより明確にするための小変更が行われただけで、
ポリシーの内容については実質的な変更はありません。
なぜ新ポリシーが導入されたの?
ドメイン名登録者が、 登録先レジストラを現在のレジストラから別のレジストラに変更したい場合、 登録者は変更先の新レジストラに対してレジストラ変更要請を行い、 新レジストラは、変更手続を進める前に、 確認のために登録者から許可を得ることになっています。 また、現レジストラも、任意で登録者に意思確認を行います。
従来のポリシーでは、 こうした登録者に対する意思確認のプロセスが明確化されておらず、 レジストラ側の対応が統一されていなかったために、 登録者への意思確認が十分になされないまま、 知らない間に第三者によって不正にレジストラ変更が行われるといった問題が一部で発生していました。
また、現レジストラが変更要請を拒否する際の基準も不明確であったことから、 現レジストラが不当に変更拒否をしたり、 プロセスを遅延させているといった批判が、 他のレジストラから寄せられるケースもありました。
こうした問題が表面化してきた2001年以降、 ICANNにおいて問題解決のための検討が続けられ、 レジストラ変更の手続を統一化・ 明確化するための新たなポリシーが策定されることになりました。 その後2003年4月になって、 検討結果をまとめたポリシー勧告がICANN理事会によって採択され、 さらに2004年7月、手続の詳細を定めた文書が新ポリシーとして発表されました。
新ポリシーによってなにが変わるの?
新ポリシーでは、以下のような仕組みが新たに導入されています。
●第三者による不正なレジストラ変更を防止するための仕組み
-
標準書式の使用
新ポリシーでは、レジストラが登録者(または、現レジストラもしくはレジストリのWhoisに記載されている管理担当者)へ意思確認を行う手順を統一し、下記の標準書式を使用することが定められています。
-
Form GR (Standardized Form for Gaining Registrars)
(新レジストラが、登録者(または管理担当者)に対してレジストラ変更を許可するかどうか確認する際に使用。登録者(または管理担当者)が指定の期日までに指定の方法によって返答した場合のみ、レジストラ変更の手続が進められる。)
-
Form LR (Standardized Form for Losing Registrars)
(現レジストラが、任意で登録者(または管理担当者)に対してレジストラ変更の意思確認を行う際に使用。)
※レジストラは、自らの責任で標準書式を英語から別の言語に翻訳して使用することができます。
-
Form GR (Standardized Form for Gaining Registrars)
-
本人確認の導入
登録者(または管理担当者)が新レジストラに対してレジストラ変更の許可を行う際には、電子署名や電子メールアドレス(電子的方法による場合)、または、パスポートや運転免許証(郵便などの電子的でない方法による場合)などによって本人確認を行い、変更要請が登録者(または管理担当者)本人からなされた真正なものであることを証明する必要があります。
-
連絡担当者の規定
登録者からレジストラ変更要請を受けた新レジストラが、登録者に標準書式を送付してレジストラ変更の許可を求めた際には、登録者およびWhoisに記載されている管理担当者のみが「レジストラ変更の連絡担当者」として、レジストラ変更を許可もしくは却下する権限を持ちます。
-
認証コード(AuthInfo Code)の使用
「.org」「.biz」「.info」といった、レジストリがEPP (Extensible Provisioning Protocol:レジストリ・レジストラ間の通信において登録者情報のやりとりが可能なプロトコル)を採用しているgTLDの場合、レジストラ変更要請を行う登録者は、当該ドメイン名に割り当てられている認証コード(AuthInfo Code)を現レジストラから取得し、変更要請の真正性を証明するための材料として新レジストラに提出する必要があります。
●レジストラ変更に伴う紛争を解決するための仕組み
現レジストラまたは新レジストラのいずれかが、 レジストラ変更要請がポリシーの規定通りに取り扱われていないと判断した場合には、 「レジストラ変更における紛争処理方針」(Transfer Dispute Resolution Policy:TDRP) に基づいて紛争処理手続を開始することができます。
新ポリシーでのレジストラ変更プロセスは?
新ポリシーでのレジストラ変更は、以下のプロセスで進められます。
- 登録者(または管理担当者)が新レジストラにレジストラ変更を要請する(レジストリがEPPを採用しているgTLDの場合は、認証コード(AuthInfo Code)を提出)。
- 新レジストラは、当該ドメイン名のWhois情報が有効であるか確認した後、登録者(または管理担当者)に連絡を取り、レジストラ変更を許可するかどうか確認する(その際、標準書式「Form GR」を使用)。
- 登録者(または管理担当者)は、レジストラ変更を許可(もしくは却下)する旨の返答を行う。その際、本人確認が必要となる。
- 新レジストラは、レジストラ変更要請が真正であることを確認した後、レジストリに対しレジストラ変更の要請を行う。
- レジストリは、新レジストラからの要請を受け取り次第、現・新双方のレジストラに通知を行う。
-
現レジストラは、レジストリからの通知を受領した後24時間以内に、任意で登録者(または管理担当者)に対してレジストラ変更の意思確認を行う(その際、標準書式「Form LR」を使用)。
※現レジストラがレジストリに対し5日以内に返答しなかった場合は、レジストラ変更を承認したものとみなされる。
※現レジストラは、所定の場合、変更要請を拒否することができる。
- レジストリはレジストラ変更処理を行い、双方のレジストラに通知する。
- 新レジストラは、登録者にレジストラ変更手続が完了した旨を通知する。
2008年11月7日改訂版での変更点
レジストラ間のドメイン名登録移転に関するポリシーが2008年11月7日に改訂され、 2009年3月15日からはこの改訂版のポリシーが有効になっています。
ただし、変更が行われたのは現レジストラが移転要請を拒否できる場合について定めている9事例のうちの2箇所のみで、 また内容の実質的な変更では無く規定をより明確にするための変更です。 したがって、レジストラ移転の方針や具体的な手続方法などは従来と変わりません。
レジストラ間のドメイン名登録移転に関するポリシー(2004年7月12日)
- ドメイン名が初期登録期間の最初の60日間にある場合
- ドメイン名が移転後60日以内(または今後決定されるさらに短い期間)にある場合(双方のレジストラが合意したことにより、 もしくは紛争処理プロセスにおいてかかる決定が下されたことにより、 ドメイン名が元のレジストラへ戻された場合は別とする)
レジストラ間のドメイン名登録移転に関するポリシー(2008年11月7日)
- 当該ドメイン名の登録日としてレジストリのWHOISに表示される日から60日以内に移転が申請された場合
- ドメイン名が移転後60日以内(または今後決定されるさらに短い期間)にある場合(双方のレジストラが合意したことにより、 もしくは紛争処理プロセスにおいてかかる決定が下されたことにより、 ドメイン名が元のレジストラへ戻された場合は別とする)。 「移転」とは、本ポリシーに定める手続きに従って発生する、レジストラ間の移転をのみを指すものとする。
ICANNにおける検討の経緯
- [2008年11月7日]
ICANNがレジストラ間のドメイン名移転ポリシーを改訂 - レジストラ間のドメイン名登録移転に関するポリシー(2008年11月7日)(原文、日本語訳)
- [2004年11月8日]
ICANNがレジストラ間のドメイン名移転における紛争解決サービスプロバイダーを認可 - レジストラ間のドメイン名移転における紛争解決サービスプロバイダー認可のお知らせ(2004年11月8日)(原文)
- [2004年7月12日]
ICANNがポリシー実施に関する文書を発表 -
注意勧告「レジストラ間のドメイン名移転:実施要件」(2004年7月12日)(原文)
レジストラ間のドメイン名登録移転に関するポリシー(2004年7月12日)(原文、日本語訳) - [2004年4月21日]
ICANNがレジストラ間のドメイン名移転における紛争解決サービスプロバイダーを募集 - レジストラ間のドメイン名移転における紛争解決サービスプロバイダー募集のお知らせ(2004年4月21日)(原文、日本語訳)
- [2004年3月31日]
ICANNがレジストラ間のドメイン名移転ポリシーに関する最新情報を発表 - レジストラ間のドメイン名移転ポリシーに関する情報(2004年3月31日)(原文)
- [2004年1月]
Transfer Assistance Group (TAG)がポリシー実施に関する勧告をICANNに提出 - [2003年11月5日]
ICANNがレジストラ間のドメイン名移転ポリシーに関する最新情報を発表 - レジストラ間のドメイン名移転ポリシーに関する情報(2003年11月5日)(原文)
- [2003年7月]
ICANNがポリシー実施に向けての検討を行うTransfer Assistance Group (TAG)を設置 - [2003年4月25日]
ICANN理事会がGNSO移転タスクフォース(Transfer TF)からの最終報告書に示された勧告を採択 - ICANN理事会特別会議決議文(2003年4月25日)(原文)
- [2003年3月4日]
ICANNがリオデジャネイロ会議に向けてパブリックコメントを募集 - ICANNリオデジャネイロ会議議題:レジストラ間のドメイン名登録移転(2003年3月4日)(原文)
- [2003年2月20日]
ICANN GNSO評議会が移転タスクフォースからの最終報告書を承認 - GNSO評議会 電話会議議事録(2003年2月20日)(原文)
- [2003年2月12日]
ICANN DNSO(現GNSO)移転タスクフォースが最終報告書修正版を発表 - 移転タスクフォースからの報告書修正版(2003年2月12日)
「変更先/変更元レジストラのためのポリシーおよびプロセス」(原文) - [2002年11月30日]
ICANN DNSO移転タスクフォースが最終報告書を発表 - 移転タスクフォースからの報告書(2002年11月30日)
「変更先/変更元レジストラのためのポリシーおよびプロセス」(原文) - [2002年10月29日]
ICANN上海会議にて公開討論を実施 - ICANN上海会議議題:gTLDドメイン名の移転(2002年10月14日)(原文・日本語訳)
- [2002年10月15日]
ICANN DNSO移転タスクフォースが中間報告書を発表 - 移転タスクフォースからの中間報告書(2002年10月15日)(原文)
- [2001年10月11日]
ICANN DNSOドメイン名評議会(Names Council)がタスクフォース(Transfer Task Force)の設置を決定 - ドメイン名評議会 電話会議議事録(2001年10月11日)(原文)
- [2001年9月9日]
ICANNモンテビデオ会議にて公開討論を実施 - ICANNモンテビデオ会議議題:ドメイン名登録の移転に関するルール(2001年8月27日)(原文)