- + はじめに
- + 第1章 資源管理とレジストリ
- + 第2章 JNIC発足前の資源管理とJPNICの設立
- + 第3章 JPNICによる資源管理への本格的な体制整備
- + 第4章 ドメイン名における資源管理方針の変遷
- + 第5章 本格的インターネット時代のIPアドレスポリシー
- + 第6章 グローバルなIPアドレス管理体制の確立へ
- + 第7章 ICANNによるグローバルなドメイン名管理体制
- + 第8章 汎用JPドメイン名とJPRSの設立
- + 第9章 登録情報の「公開」と「開示」
- + 第10章 IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6
- + 付録1:IPアドレスとドメイン名の説明
- + 付録2:インターネット資源管理の変遷
- + 歴史編纂チームについて
- + 修正履歴
はじめに
研究者や技術者の小さなコミュニティのネットワークから始まったインターネットは、 いまや、世界中の多くの人々が使う身近なものとなっています。 利用者のためのアプリケーションやサービスも、 メールやファイル転送のような単純なものに加え、 Webアプリケーションやクラウドサービスのような、 より高度で複雑なものが次々に生まれています。
また、インターネットが生み出した新たなコミュニケーション環境は、 一国の体制をも変える大きなパワーを持つようになってきました。
このような中、インターネットの信頼性、 安定性を向上しどのように発展させていくか、 インターネットをどのような体制でどのように管理していくかという、 いわゆるインターネットガバナンスの議論が活発になってきています。
インターネットアドレス(IPアドレス)やドメイン名などの番号や名前資源の管理は、 インターネットが健全に運営・発展し続けるために必須かつ基本的なもので、 言わば屋台骨に当たります。
円滑な資源管理の実現はインターネット全体の信頼性や安定性に直接影響することから、 インターネットガバナンスにおける重要なテーマの一つになっています。 そのことから、インターネットガバナンスを議論する上でも、 現在の資源管理の仕組みがどのような経緯で出来たのかを知ることは重要です。
本文書は、日本における資源管理の歴史をまとめたものです。
日本においては、 コミュニティによって作られたJPNICが中心となって資源管理を行ってきました。 現在、IPアドレスなどの番号資源はJPNICが、 JPドメイン名という名前資源はJPRSが管理しています。 そうした背景から、今回、JPNIC/JPRSの活動を中心とした視点から、 日本における資源管理の歴史を編纂しました。
本文書は、 2013年9月に発行した「JPNIC20年の歩み - 日本のインターネットとともに」をベースに大幅に加筆し、 参考資料のリファレンスを追加したものです。 このような文書では年代を順に追って説明する書き方が一般的ですが、 ここではそれぞれの事象の変遷を明確にするためにトピックスに分けて解説しています。 順番に読んでもよいですし、 興味のあるところだけ読んでもよいでしょう。
編纂にあたっては、インターネット資源管理の専門家のみならず、 専門知識を持たない多くの方々にも資源管理の仕組みと歴史についてご理解していただけるものとすることを心がけました。 その際に、多くの方々から多大なご協力をいただきました。 心より感謝いたします。
本文書が、多くの方々にとってインターネットの資源管理を理解する際の一助になることを望みます。 なお、内容については十分に調査し正確を期しておりますが、 お気付きの点がございましたらJPNIC <history-comment@nic.ad.jp>までお知らせください。 また、ご意見、ご感想もお待ちしております。
2014年11月 歴史編纂チーム一同
Ver.1.0-2014年11月17日 | 第1章→ |