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IPアドレスの割当について 2-1. 割当基準 近年インターネットは急速に発展しており、接続ネットワーク数の急増による 経路制御上の諸問題および利用可能なIPアドレスの枯渇の問題が緊迫化してい る。これらの究極的な解決は IP version 6 によって行なわれることが期待さ れているが、それまでは現バージョンのIPアドレスを大切に使用していく必要 がある。このために、各インターネット接続組織に対してどのくらいの大きさ のIPアドレス空間が割り当てられるべきかを判断するための基準が、RFC1466 により規定されている。 つまり、IPアドレスの割当は、ISPが接続組織に対して割当を行なう場合も、 JPNICが直接割当を行なう場合も、全てRFC1466に示される基準に基づいて行わ れなければならない。したがって、原則として 2年後のホスト数予測値を 256 で除して端数を切り上げた個数のクラス Cの割当が行われる。 JPNICやISPでは、割当基準を越える割当申請に対しては、申請の内容に関して 審議を行い、基準を越える部分についての割当を行うかどうかを決定する。審 議においては、申請者に具体的なネットワーク構築計画を説明する文書の提出 を求めることがある。審議によって、割当が認められた場合は、IPアドレスの 割当てを行い、申請者に通知する。審議によって、割当てが認められなかった 場合は、JPNIC の定める基準までの割当を行い、申請者に通知する。 なお、RFC1466が改訂された場合には、日本国内でのIPアドレスの割当基準も ただちにその改訂に従うものとする。 2-2. 割当を受ける必要の無い場合 インターネットに接続を持たないネットワークでは、一般的にIPアドレスの割 当を受ける必要はない。特にこのような場合にアドレスの割当を受けることな しに使用することができるように、アドレスが RFC1597 によって予約されて いる。 RFC1597 によって、自由に利用することができるアドレスは以下の通りである: 10.0.0.0 -- 10.255.255.255 172.16.0.0 -- 172.31.255.255 192.168.0.0 -- 192.168.255.255 ただしこれらのアドレスはインターネット上の経路制御の対象にはならない点 に注意してほしい。つまり、これらのアドレスを持つホストは、インターネッ トには直接接続できなくなる。 以上の様な状況、およびインターネットに対するセキュリティ問題を回避する ための典型的な方法として、組織内部のインターネットから直接接続されない 部分には RFC1597 に示されているアドレスを用い、インターネットから直接 接続可能な、いわゆる防火壁(firewall)の部分にはISPから割り当てら れたアドレスを用いるという方法もある。詳しい方法については、接続予定の ISPに相談されることをお勧めする。 3. IPアドレスの割当申請 JPNIC は、InterNIC/APNIC と協調して、Class C のアドレスを管理し、ネット ワーク部の割当てを行う。割当てられた IP アドレスのホスト部は、申請者が 管理する。 3-1 ISPによる IP アドレスの割当 JPNIC は、いくつかのISPに IP アドレスの割当を委任している。これらのISP に接続する組織は、特別な理由が無いかぎりISPから IP アドレスの割当を受 ける。さらに、別のいくつかのISPに対しては、そのISPに接続される組織に割 り当てるためのアドレス空間が予約されており、JPNIC はISPからの要請に基 づき、接続される組織に対するアドレス割当を行なっている。 いずれの場合もIPアドレスの申請は接続予定のISPに対して直接行うべきもの であり、JPNICではそのような申請のISPへの仲介は一切行わない。 現在、委任を受けているISPおよび予約されたアドレス空間を持っているISPと そのアドレス申請窓口の一覧を「IPアドレス割当業務委任会員リスト」に示す。 (cidr-block-list.txt) これらのISPに接続を予定している場合は、接続時にそのISPに委任もしくは予 約されたアドレスブロックからの割当を受けるものとし、JPNIC から直接割当 を受けることはできない。したがって、アドレス割当の申請はISPに対して行 なう必要がある。アドレスの申請用紙等は、ISPによって異なるので、申請を 行う際は当該ISPに問い合わせ、申請用紙を入手して欲しい。 すでに JPNIC などからアドレスの割当を受けている場合でも、割当済みのア ドレスに対する経路情報を外部にアナウンスしない場合には、ISPから 別に Class C のアドレスの割当を受けることができる。また、現在割当を受 けているアドレスを返却することを前提に、ISPから新たなアドレスの 割当を受けることもできる。 このようなISPから割り当てられたアドレスは、当該ISPとの接続を失った場合 はISPに返却する必要がある。この場合接続を失った日から、原則として3ヶ月 以内にそのアドレスを返却しなければならない。したがって、別なISPとの接 続を行った場合には、新しいISPからアドレスの割当を受ける必要がある。 3-2 JPNIC による割当 以下のいずれかの場合には、JPNICが直接IPアドレスの割り当てを行う。 1. RFC1466で判断した結果割当を受けるアドレスの個数がClass C 16個以上となる場合 2. 複数のISPに接続を持つことが確定している場合 3. 接続予定のISPが、JPNICからのアドレス割当の委任や、アドレス 空間の予約を受けていない場合 これらに該当する場合には、「IPアドレス割当申請について」を参照のうえ JPNICに申請を行って欲しい。申請を行ううえでの質問等がある場合は、 query@ip.nic.ad.jp までメールで問い合わせを行って欲しい。 なお、Class B アドレスが必要な場合には、上記1に相当するので、申請は JPNICで受け付ける。JPNIC では審査の上、必要と認められた場合には APNIC を経由して InterNIC に申請を仲介する。Class B アドレスの割り当ては、最 終的には IANA --- Internet Assigned Numbers Authority --- によって判断 される。 4. IP アドレス割当に関する情報の公開 JPNIC 及び InterNIC/APNIC は、アドレスの割当が行われた場合には、申請書 に記入された事項のうち、ホスト数、サブネット数、インターネット接続予定、 アドレス割当詳細情報、備考欄以外の全ての情報を公開できるものとする。な お、その他の申請者とのやりとりは、申請者の許可なく公開しない。また、ホ スト数やサブネット数の現在値、予測値は誠実に記入するものとし、虚偽の申 請に関しては割当を取り消すことがある。これらは、JPNICが直接行った割当 のみではなく、ISPが行った割当に関しても同様である。 5. IP アドレス割当て後の作業 ISPやJPNICから割当を受けたアドレスは、その組織に対して譲渡されたもので はなく、インターネットに接続を持つために、接続する期間中貸与されたもの であるという認識が広まってきている。すなわち、IPアドレスはインターネッ トとの接続を失った場合には返却を行なわなければならない。また、接続する ISPを変更した場合にも、接続が切れるISPから割当を受けたIPアドレスはその ISPに対して返却をし、新たに接続を行うISPから改めて割当を受ける必要があ る。IPアドレスの返却については、新たに接続を行うISPで処理代行を行って いる場合もある。 割当を受けた IP アドレス(ネットワークアドレス部)のホストアドレス部は、 運用責任者の責任において管理する。 IPアドレス割当後、組織名、住所、運用責任者を変更する場合は、IPアドレス に関する変更申請が必要となる。「IPアドレスに関する変更申請について」を 参照のこと。その他の情報の変更(技術連絡担当者の変更や運用責任者の所属/ 電話番号/メールアドレス等の変更)は、「JPNIC登録フォームの記入方法」 を参照のこと。なおこれらの変更申請に関してはISP側で申請代行を行ってい る場合もある。 JPNIC は、割当済み IPアドレスの技術連絡担当者に対して、情報の確認を行うこ とがある。技術連絡担当者に対する連絡が、連続して 2回以上取れなくなった場合、 JPNIC は、IPアドレスの割当を解除することがあるので注意されたい。 5. 質問、問合わせ IPアドレスの割当て、管理に関する質問・問合わせは、 電子メイル query@ip.nic.ad.jp 郵送 申請書送付先と同じ のほか、 FAX 03-5684-7256 により行うことができる。 JPNICに直接行った申請に関する質問、問合わせの際には、申請の受付番号を 記入すること(電子メイルによる場合は、Subject: 欄に受付番号を記入するこ と)。また、FAX の場合は、1 ページ目に、JPNIC の IP アドレス割当グルー プあてであることを明記すること。 参考文献 Bjork, S.; Marine, A., eds. Network Protocol Implementations and Vendors Guide. Menlo Park, CA: SRI International, DDN Network Information Center; 1990 August; NIC 50002 (August 1990). 242 p. (nic.ddn.mil:netinfo/vendors-guide.doc). Braden, R.T.; Postel, J.B. Requirements for Internet Gateways. Marina del Rey, CA: University of Southern California, Information Sciences Inst.; 1987 June; RFC 1009. 55 p. Feinler, E.J.; Jacobsen, O.J.; Stahl, M.K.; Ward, C.A., eds. DDN Protocol Handbook: Menlo Park, CA: SRI International, DDN Network Information Center; 1985 December; NIC 50004 and NIC 50005 and NIC 50006. 2749 p. V. Fuller, T. Li, J. Yu, K. Varadhan, "Classless Inter-Domain Routing (CIDR): an Address Assignment and Aggregation Strategy", 09/24/1993. RFC 1519. 24p. Garcia-Luna-Aceves, J.J.; Stahl, M.K.; Ward, C.A., eds. Internet Protocol Handbook: The Domain Name System (DNS) Handbook. Menlo Park, CA: SRI International, Network Information Systems Center; 1989 August; NIC 50007. 219 p. AD A214 698. Gerich, E. Guidelines for Management of IP Address Space. Merit Network Inc. May 1993, RFC1466. 10p. Kirkpatrick, S.; Stahl, M.K.; Recker, M. Internet Numbers. Menlo Park, CA: SRI International, DDN Network Information Center; 1990 July; RFC 1166. 182 p. Mogul, J.; Postel, J.B. Internet Standard Subnetting Procedure. Stanford, CA: Stanford University; 1985 August; RFC 950. 18 p. Postel, J.B. Transmission Control Protocol. Marina del Rey, CA: University of Southern California, Information Sciences Inst.; 1981 September; RFC 793. 85 p. Postel, J.B. Address Mappings. Marina del Rey, CA: University of Southern California, Information Sciences Inst.; 1981 September; RFC 796. 7 p. Postel, J.B. User Datagram Protocol. Marina del Rey, CA: University of Southern California, Information Sciences Inst.; 1980 August 28; RFC 768. 3 p. Postel, J.B. Internet Protocol. Marina del Rey, CA: University of Southern California, Information Sciences Inst.; 1981 September; RFC 791. 45 p. J. Postel, "INTERNET OFFICIAL PROTOCOL STANDARDS", 03/14/1994. RFC 1600. 36 p. J. Reynolds, J. Postel, "ASSIGNED NUMBERS", 07/10/1992. RFC 1340. 139 p. Y. Rekhter, R. Moskowitz, D. Karrenberg, G. de Groot, "Address Allocation for Private Internets", 03/17/1994. RFC 1597. 8 p. ========================================================================