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文書管理情報 | |
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本文書番号 | JPNIC-01110 |
文書名 | JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー |
発効日 | 2010/12/1 |
最終更新日 | 2010/11/1 |
この文書によって無効となった文書 | JPNIC-01108 |
この文書を無効とする文書 | JPNIC-01121 |
JPNICにおけるIPv6アドレス割り振りおよび割り当てポリシー 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター 本文書の立場 本文書は、APNICが発行している以下のAPNIC、ARIN、RIPE NCCのコミュニティ によって共同で議論され策定された文書をもとに記述されている。 『IPv6 Address Allocation and Assignment Policy』 このAPNICの文書は、JPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含む すべてのインターネットレジストリが従うべきポリシーについて記述されてお り、本文書の上位文書にあたる。従って、APNIC文書が将来的に変更された場合 は、本文書もそれにともなって遅滞なく変更されるものである。 本文書に記載されているポリシーは基本的にAPNICポリシーとの一貫性、透明 性を旨として策定されるため、内容的にはほとんどの部分が同一であり、文書 の体裁や構造も同一のものである。 ただし、これはJPNICポリシーがAPNICポリシーと完全に同一のものであるとい う意味ではない。地域インターネットレジストリと国別インターネットレジス トリという立場の違いによる差異も存在する。 -------------------------------------------------------------------------------- 目次 本文書の立場 1. はじめに 1.1. 概要 2. 定義 2.1. インターネットレジストリ(IR) 2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR) 2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR) 2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR) 2.5. 割り振り 2.6. 割り当て 2.7. 利用率 2.8. HD-Ratio 2.9. エンドサイト 2.10. インターネットエクスチェンジポイント(IXP) 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 3.2. 一意性 3.3. 登録 3.4. 経路の集成 3.5. 節約 3.6. 公平性 3.7. オーバーヘッドの最小化 3.8. 目標の衝突 4. IPv6ポリシーの考え方 4.1. アドレス空間は所有物とはみなされない 4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性) 4.3. 最小割り振りサイズ 4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1 JPNICから直接IPv4の分配を受けている組織へのIPv6アドレスブロック 5.1.1 分配基準 5.1.2. IPv6ブロックの最上サイズ 5.2. 初期割り振り 5.2.1. 初期割り振りの基準 5.2.2. 初期割り振りの最小サイズ 5.2.3. 最小サイズを超える初期割り振りサイズ 5.3. 追加割り振り 5.3.1. 追加割り振りの基準 5.3.2. HD-Ratioの適用 5.3.3. 追加割り振りのサイズ 5.4. IP指定事業者から下位ISPへの割り振り 5.5. 割り当て 5.5.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 5.5.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て 5.5.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て 5.6. 登録 5.7. 逆引き 5.8. 既存のIPv6アドレス空間保持者 5.9. プロバイダ非依存アドレスの割り当て 5.9.1. 小規模マルチホーム割り当て 5.9.2. インターネットエクスチェンジポイント 6. 参考情報 7. 付録A :HD-Ratio -------------------------------------------------------------------------------- 1. はじめに 1.1. 概要 本文書では、インターネットプロトコルバージョン6(以下、IPv6)に関して、 世界的に固有なインターネットアドレス空間の分配とその運用に関するポリシー について説明する。 [RFC2373、RFC2373bis]では、IANAがRIRへ割り振ることのできるグローバル ユニキャストアドレス空間に2000::/3を指定している。[RFC2928、RFC2373bis、 IAB-Request]に従い、IANAは既存のRIRに対して2001::/16アドレスブロックか らのグローバルユニキャストIPv6アドレス空間の初期領域を割り振っている。 本文書で扱う領域は、RIRが割り振り/割り当てポリシーを定めている2000::/3 ユニキャストアドレス空間の初期および追加の割り振りである。 ここに述べられるポリシーは暫定的(Interim)であるものとしてみなされ、将来 IPv6の運用に関するより幅広い経験に従って見直される。 2. 定義 以下の用語とその定義は、本文書に書かれている目標、環境、ポリシーを理解 するために特に重要なものである。 IPv6アドレス空間を管理する責任は、以下のような階層構造により世界に配分 される。 +--------+ | IANA | +--------+ | +-----------+ | | +--------+ +--------+ | RIR | | RIR | Regional Internet +--------+ +--------+ Registries (APNIC, ARIN, RIPE NCC,LACNIC, | | AfriNIC, plus possible future RIRs) | | | +-----+ | | NIR | National Internet | +-----+ Registries (AP region) | | +--------+ +--------+ |LIR/ISP | |LIR/ISP | Local Internet +--------+ +--------+ Registries (ISPs) | | +--------+ | | | | +-------+ +----+ +----+ |EU(ISP)| | EU | | EU | End users +-------+ +----+ +----+ 2.1. インターネットレジストリ(IR) インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分配 し、その分配を登録する責任を持つ。IRは上記の階層構造の中で、主要な機能 と地域的担当範囲にもとづき分類される。 本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネットレ ジストリ(RIR)、JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、ローカル インターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。 2.2. 地域インターネットレジストリ(RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)は、各地域のコミュニティによる承認と ICANNの認可で設立され、大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でアドレス空間を分配、管理 することである。 2.3. 国別インターネットレジストリ(NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、LIRであるメンバーにアド レスを割り振りするIRであり、一般的にNIRのメンバーは、国レベルで組織さ れたインターネットサービスプロバイダ(ISP)である。NIRは主にアジア太平洋 地域に存在する形態である。 JPNICはこのNIRにあたる。 2.4. ローカルインターネットレジストリ(LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自己が提供するネット ワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIRは一般に ISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が別 のISPである場合もある。 IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」という)はこのLIRにあた る。 2.5. 割り振り 割り振りとは、再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。 2.6. 割り当て 割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部ま たは全部を、エンドユーザのネットワークで利用するために分配することであ る。また、IRが内部のネットワーク用として使うときも、そのアドレス空間は 割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。 割り当てられたアドレス空間は、エンドユーザが申告した特定の目的のために のみ使用されるものであり、さらに割り振りや割り当てされるものではない。 2.7. 利用率 それぞれの割り当て内での実際の利用率は、IPv4の割り当てと比較すると極め て低くなる。IPv6では「利用率」は/56境界の左側のビットについてのみ計測 する。言い換えれば、利用率とはエンドサイトへの/56の割り当て数に関する ものであり、それらエンドサイトにおける個々の/56内での割り当てアドレス 数に関するものではない。 本文書では、利用率という語はエンドサイトへの/56の割り当て数を指し、それ らのエンドサイトにおける個々の/56内での割り当てアドレス数を指すものでは ない。 2.8. HD-Ratio HD-Ratioはアドレス割り当て効率を評価する方法である[RFC 3194]。これは [RFC 1715]で当初定義されたH-Ratioの応用であり、以下のように表される。 Log (割り当てられたオブジェクトの数) HD = ----------------------------------------- Log (割り当て可能なオブジェクトの最大数) (注)上位文書では、「割り振られたオブジェクトの数」、「割り振り可能なオ ブジェクトの最大数」と記述されていますが、本来割り当てと記述されるべき 個所であるため、本文書では割り当てとしている。 この文書の場合、オブジェクトとはあるサイズのIPv6プリフィックスの中から 割り当てられたIPv6サイトアドレス(/56)となる。 2.9. エンドサイト エンドサイトは、以下のようなサービスプロバイダと契約関係を持つエンドユー ザ(加入者)として定義される。 ・エンドユーザにアドレス空間を割り当てるサービスプロバイダ ・エンドユーザに対し、他のサイトへのトランジットサービスを提供するサー ビスプロバイダ ・エンドユーザのトラフィックを転送するサービスプロバイダ ・エンドユーザの割り当てを含む集成プリフィクス経路を広告するサービスプ ロバイダ 2.10. インターネットエクスチェンジポイント(IXP) インターネットエクスチェンジポイント(IXP)は、物理的なネットワークインフ ラストラクチャであり、独立したISP間でのインターネットトラフィックの交換 を円滑化するために運用される。IXPに接続されるISP数は最低でも3つあるべき で、他のISPが参加するための明確でオープンなポリシーがなければならない。 IXPは一般的にはIRでなく、アドレス空間のエンドユーザであるとみなされる。 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 IPv6アドレス空間は公共の資源であり、インターネットの長期的な利益に関し 慎重に管理されねばならない。責任あるアドレス空間管理には、時として対立 する目標同士のバランスをとる必要がある。次に述べるのはIPv6アドレスポリ シーに関する目標である。 3.2. 一意性 割り当ておよび割り振られた各アドレス空間は、世界にただ1つしかないこと を保証しなければならない。 これは、インターネット上の各パブリックホストが一意に識別できるようにす るための絶対的要件である。 3.3. 登録 インターネットアドレス空間は、インターネットコミュニティの適切な数のメ ンバーがアクセス可能な、レジストリデータベースに登録されなければならな い。これは、各インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、 RIRをはじめとするすべてのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用する あらゆるレベルの人がインターネット上のトラブルを解決するための参照情報 として利用できるようにするためである。 さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用するすべての人が、その資源 の状態等を確認可能であるべきとする、インターネットコミュニティの考え方 を反映するものでもある。 登録という目標は、適切なプライバシーへの配慮と既定の法に従って施行され るべきである。 3.4. 経路の集成 アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャのトポロジに沿って、可 能な限り階層的に分配されなければならない。これは、経路情報を集成し、経 路表の増大を抑えるために必要なことである。 この目標はIPv6アドレス体系において特に重要であり、IPv6アドレスでは、ア ドレスプール全体のサイズが内部経路制御および外部経路制御の両方に重大な 影響を与える。 IPv6アドレスポリシーは、アドレスレンジの断片化防止に努めるものであるべ きである。 さらにAPNIC/JPNICは、現在割り振りを行っている空間に、連続した空間で追 加割り振りが行える可能性を最大にするような運用を採用すべきである。ただ し、連続した割り振りは保証されるものではない。 3.5. 節約 IPv6は非常に膨大なアドレス空間を持つものの、アドレスポリシーによって不 必要に浪費的な運用を回避すべきである。アドレス空間の申請者は、適切な文 書による裏付けを行うべきであり、未使用アドレスの備蓄は避けるべきである。 3.6. 公平性 パブリックなアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーは、現在および未 来にわたるすべてのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、 規模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践されるべ きである。 3.7. オーバーヘッドの最小化 アドレス空間の委任によるオーバーヘッドは最小化されるのが望ましい。 JPNICに対して追加アドレス空間の申請をあまりに頻繁に行うこともオーバー ヘッドとなるほか、大きい空間拡張を少ない回数で行うのではなく、小さな拡 張を続けて数多く行うこともアドレス空間管理のオーバーヘッドに結びついて しまう。 3.8. 目標の衝突 アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。 さらに、上に述べた目標は、時として個々のIRおよびエンドユーザの利益と衝 突することがある。 アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査するすべてのIRは、それに関 連するすべての事柄を注意深く分析し、インターネットコミュニティ全体のニー ズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。 IPv6アドレスポリシーでは、集成の目標が最も重要であると考えられる。 4. IPv6ポリシーの考え方 3.[IPv6アドレス空間管理の目標]で示した目標を達成するために、本文書に おけるポリシーは以下にかかげるような基本的な考え方を議論し、採用する。 4.1 アドレス空間は所有物とはみなされない アドレス空間を自己の所有物とみなすことは、本文書で述べられている目標だ けでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することである。 本文書におけるポリシーでは、グローバルにユニークなIPv6ユニキャストアド レス空間は所有されるものではなく、ライセンスが交付されたものだという理 解にたっている。 具体的には、IPアドレスはライセンスに基づいて割り振り/割り当てが行われ、 そのライセンスは定期的に更新を受ける。ライセンスを受けるには、ライセン スの交付時または更新時に適用される特定の条件がある。 JPNICは通常、申請組織が割り振り/割り当ての資格あるいはライセンスを交付 された際の基準を満たすべく、誠意を持って努力している場合、ライセンスを 自動的に更新する。ただし、申請組織がそのアドレス空間を当初の予定通りに 使用していない、あるいはアドレスのライセンスに伴う義務の遂行に対して不 誠実であった場合、JPNICはライセンスを更新しない権利がある。 ライセンスを新しく更新するとき、そのライセンスは、更新時に適用されてい るIPv6アドレスポリシーに基づいて審査および管理が行われるが、そのポリシー は割り振り/割り当てを受けた時点でのポリシーとは異なる場合がある。 4.2. 保証されないルータビリティ(経路制御可能性) 割り振りや割り当てはいずれも、グローバルに経路制御可能であるという保証 はない。 しかしJPNICは、ルータビリティ(経路制御可能性)の低下を引き起こしかねな いアドレス空間分断化の可能性を抑える方法を採用しなければならない。 4.3 最小割り振りサイズ プリフィクスを基準にしたフィルタリング促進のため、JPNICはIPv6割り振り に対して最小割り振りサイズを適用する。 IPv6アドレス空間における最小割り振りサイズは/32である。 4.4. IPv4インフラストラクチャーの考慮 IPv6アドレスの初回割り振りサイズを判断するにあたり、5.2.3[最小サイズを 超える初期割り振り]のもと、既存のIPv4ネットワークを考慮することも可能 である。 5. 割り振りと割り当てのポリシー IPv6アドレスの初回割り振りポリシーは5.2項、割り当てポリシーは5.9項に て定義している。ただし、JPNICから直接IPv4アドレスの分配を受けている組 織は、5.1項にて定義しているポリシーに基づき、最小単位でのIPv6アドレス の分配を受けることも可能である。 5.1. JPNICから直接IPv4アドレス空間の割り振り/割り当てを受けている組織 に対するIPv6アドレス空間の初期割り振りおよび割り当て 5.1.1 初期割り振りおよび割り当て基準 JPNICから直接IPv4アドレス空間の割り振り/割り当てを受けているが、IPv6 アドレス空間の分配を受けていないIP指定事業者および特殊用途用プロバイ ダ非依存アドレス被割り当て者は、割り振り/割り当てを受けているIPv4アド レスの種類に応じて、適切なサイズのIPv6アドレス空間の分配を受ける条件 を満たす。例えば、IXP用のIPv4アドレス空間の割り当てを受けている組織は、 IXP用のIPv6アドレスの割り当てを受ける条件を満たす。 5.1.2. 初期割り振りおよび割り当ての最小サイズ 本基準を満たす組織へ分配されるIPv6アドレスのサイズは、以下に基づくも のとする。 ・JPNICからIPv4アドレス空間の割り振りを受けている場合、/32のIPv6アド レス空間の割り振りを受けることができる ・JPNICから直接IPv4の特殊用途用プロバイダ非依存アドレスの割り当てを 受けている場合、/48のIPv6のプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受 けることができる。 上記で定義したサイズよりも大きな初期割り振りおよび割り当てを希望する 対象組織は、5.2項および5.9項にて別途定める基準に基づき、申請が必要と なる。 5.2 初期割り振り 5.2.1. 初期割り振りの基準 IPv6アドレス空間の初期割り振りの資格を得るには、申請する組織は、 a) IP指定事業者であること b) エンドサイトでないこと c) 割り当て先組織に対し、IPv6の接続性を提供する計画があること d) IPv4アドレスの割り振りを受けているIPアドレス管理指定事業者であり、 割り振りを受けたIPv6アドレスを他の組織へ割り当てまたは再割り振り を行い、2年以内に当該アドレス空間をインタードメインルーティングシ ステムで広告すること または2年以内に最低でも200の割り当てを行う計画があること 以上の4つを満たさねばならない。 プライベートネットワーク(グローバルインターネットに接続を行っていない ネットワーク)も上記と同等の基準を満たしていればIPv6アドレスの割り振り を受けられることがある。 5.2.2. 初期割り振りの最小サイズ 初期割り振りの基準を満たす組織は、/32の最小割り振りを受けることができ る。 5.2.3 最小サイズを超える初期割り振り 以下の前提のもと、/32より大きな初期割り振りを正当化することができる: a)構築を計画しているIPv6のインフラストラクチャーが、/32より大きな割り 振りを必要なことを示す審議情報の提供; もしくは b)以下すべての審議情報の提供 ・既存のIPv4ネットワークにおけるインフラストラクチャーおよび顧客規模 ・既存のIPv4サービスをIPv6経由で提供し、かつ、2年以内に、既存のIPv4顧 客の一部をIPv6に移行させる意思の表明 ・a)、b)いずれの方法を選択した場合も、HD-Ratioをもとにした利用率に従っ て算出されたアドレスの需要を満たす割り振りが行われる。 5.3. 追加割り振り 既存のIPv6アドレス割り振りを受けている組織は、以下のポリシーに従って追 加割り振りを受けることができる。 5.3.1. 追加割り振りの基準 追加割り振りは、IP指定事業者が、/56を単位とするサイト数という観点にお いて過去のアドレス使用での評価基準を満たした場合に実施される。 HD-Ratio[RFC 3194]は、以下に示すように、アドレス空間の追加割り振りを正 当化する利用率を確定するために用いられる。 5.3.2. HD-Ratioの適用 アドレスの追加割り振りを正当化するための必要なアドレス利用率を示す値と して、HD-Ratioは 0.94が採用される。付録 Aは、アドレスブロックのサイズ に対して、必要な利用率を達成するために必要な割り当て数を示した表である。 5.3.3. 追加割り振りのサイズ 組織が割り振られたアドレス空間において必要な利用率を満たした場合、その 組織は、結果としてアドレス空間が2倍となる追加割り振りをただちに受けら れる。その追加割り振りは、可能な限り隣接したアドレスブロックから行われ る。つまり既存の割り振りが1ビット左に拡大する。 組織がより大きなアドレス空間を必要とする場合、2年間の必要量を証明する 審議情報を提出しなければならない。割り振りはこの必要量を基にして行われ る。 5.4. IP指定事業者から下位ISPへの割り振り IP指定事業者がアドレス空間を下位ISPに割り振るための特定のポリシーはな い。 各IP指定事業者は、IP指定事業者に割り振られたアドレスブロック全体の効率 的な利用を確保するため、下位ISPのための独自のポリシーを作成することが できる。しかし、追加割り振りが必要になった場合にJPNICがHD-Ratioを正し く評価できるように、エンドサイトに割り当てられた/48はすべて、IP指定事 業者によって登録される必要がある。 5.5. 割り当て IP指定事業者およびIP指定事業者から割り振りを受けたISPは以下の条件に従っ てIPv6割り当てを行わなくてはならない。 5.5.1. 割り当てアドレス空間のサイズ エンドユーザはIP指定事業者またはIP指定事業者から割り振りを受けたISPから 割り当てを受ける。実際の割り当てサイズは、/48以上の割り当てが正当化され るエンドサイトを除いて、最小/64(1サブネットのみがエンドサイトとして想定 される場合)から原則として最大/48までの範囲でIP指定事業者または割り当て を行うISPが判断するものとする。 JPNICは、IP指定事業者およびIP指定事業者から割り振りを受けたISPが実際に どのアドレスサイズを割り当てるかについて関与しない。そのため、JPNICは、 IPv4の場合と異なり割り当てサイズを審議するためのIPv6ユーザネットワーク の詳細情報を要求しない。ただし、4.4[IPv4 インフラストラクチャの考慮]で 説明した場合や、本文書で定義された利用率を計測する目的がある場合は除く。 5.5.2. 単一のエンドサイトに対する複数の/48の割り当て 単一のエンドサイトが複数・追加の/48アドレスブロックを必要とする場合、 複数割り当て請求時には、その要求の妥当性を示す審議資料を提出しなければ ならない。その請求は、APNIC/JPNICレベルで審議・検討(つまり妥当性の判断) が行われる。 注: 同一エンドサイトに対し複数の/48を割り当てることについては、これま で経験がない。APNIC/JPNICでこのような割り当てすべてを審議するのは、あ る程度の経験が積まれ、一般に通用するポリシーが整備されるまでの一時的な 措置である。この件に関するポリシーを策定するさらなる作業が近々に行われ るべきである。 5.5.3. オペレータのインフラストラクチャーに対する割り当て IP指定事業者およびIP指定事業者から割り振りを受けたISPは、IPv6サービスオ ペレータのサービスインフラストラクチャーとして、PoP毎に1つの/48を割り当 てることができる。PoPに対するそれぞれの割り当ては、PoPを利用するエンド ユーザの数にかかわらず1つの割り当てとみなされる。オペレータの社内業務に 対しては別途の割り当てを受けられる。 5.6. 登録 IPv6アドレスを割り振られた組織は、IPv6アドレス割り当てを行う際、JPNIC が必要に応じてアクセス出来るデータベースに、その割り当てに関する情報を 登録しなければならない (JPNICによって登録された情報は、将来的にはアド レス管理情報を登録するための分散データベースに置き換わる可能性がある)。 情報は割り当てた/48ネットワークの単位で登録される。組織が/48より大きな アドレス空間を割り当てられた場合、そのアドレス空間をJPNICのデータベー スに登録されるようにすることは、IP指定事業者の責任である。 RIR/NIRは、追加割り振り申請時のHD-Ratio の計算、および割り当ての過去の 実績を検証するためにこの登録データを利用する。 IRは、申請時には使用されるが、公開情報として登録する必要はない個人情報 や企業情報を保護する機構や要領を維持しなければならない。 5.7. 逆引き APNIC/JPNICからIPv6アドレス空間の委譲を受ける組織は、割り振られたIPv6ア ドレス空間に対応する逆引きゾーンを管理する責任を負う。各組織はその逆引 きゾーンを適切に管理しなければならない。アドレスの割り当てを行う際、組 織は、割り当てられたアドレスに対応する逆引きゾーンを管理する責任を、要 求に応じて割り当て先の組織に引き継がなければならない。 5.8. 既存のIPv6アドレス空間保持者 以前のIPv6アドレスポリシーに従って/35のIPv6割り振りを受けている組織は、 保有している割り振りを/32のアドレスブロックに拡張することが直ちに可能 になる。その際5.2.1[初期割り振りの基準]で述べた基準を満たしている限り、 正当化の必要はない。/32アドレスブロックは、割り振り済みのより小さなア ドレスブロック(多くの場合、1つまたは複数の/35アドレスブロック)を含む。 そのブロックはその組織への追加の割り振りのためにAPNICによって予約され たブロックである。 /32の最小サイズを超える追加空間の申請は、5.2.3[最小サイズを超える初期 割り振り]で説明した通りに審査される。 5.9 プロバイダ非依存アドレスの割り当て 5.9.1. 小規模マルチホーム割り当て 現在マルチホームをしている、あるいは3ヶ月以内にマルチホームをする計画 がある組織は、マルチホームのためのプロバイダ非依存アドレスの割り当てを 受ける資格を有する。 組織がマルチホームをしているとみなされるのは、その組織のネットワークが 複数のISPから常時接続をうけ、そのISPのうち最低2つが、1つ以上のルーティ ングプリフィクスを広告している場合である。 これらの条件下で行われる最小割り当てサイズは/48である。 これらの条件下で割り当てられたIPアドレス空間が、割り当てから3ヶ月以内に マルチホームのために使用されない場合は回収される。 5.9.2. インターネットエクスチェンジポイント インターネットエクスチェンジポイント(以下、IXP)は、IXPへの接続機器に対 する接続提供に利用を限定する前提で、JPNICからプロバイダ非依存アドレス の割り当てを受ける資格を有する。この条件のもとに行われる割り当ての最小 サイズは/48である。このプロバイダ非依存アドレス割り当てに対するグロー バルなルータビリティは、IXP事業者の裁量に委ねられる。 5.9.3. クリティカルインフラストラクチャ 日本地域において、以下のクリティカルインフラストラクチャを運用する組織 は、JPNICからプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有する。 ・ルートドメインネームシステム(DNS)サーバ ・gTLDネームサーバ ・ccTLDネームサーバ クリティカルインフラストラクチャへの割り当ては、上記の機能をもつネット ワークインフラストラクチャの実際の運用者に対してのみ認められる。レジス トリインフラストラクチャを含むネットワークに実際に対応していないレジス トラ組織は、本ポリシ下で割り当てを受けることはできない。これらの条件下 で行われる最大割り当てサイズは/32である。 6. 参考情報 [RFC1715] "The H Ratio for Address Assignment Efficiency", C. Huitema. November 1994, RFC 1715. [IAB-Request] "Email from IAB to IANA", http://www.iab.org/iab/DOCUMENTS/IPv6addressspace.txt. [RFC2373] "IP Version 6 Addressing Architecture", R. Hinden, S. Deering. July 1998, RFC 2373. [RFC2373bis] draft-ietf-ipngwg-addr-arch-v3-07.txt. [RFC2928] "Initial IPv6 Sub-TLA ID Assignments", R. Hinden, S. Deering, R. Fink, T. Hain. September 2000, RFC 2928. [RFC3177] "IAB/IESG Recommendations on IPv6 Address". IAB, IESG. September 2001, RFC 3177. [RFC3194] "The H-Density Ratio for Address Assignment Efficiency An Update on the H ratio", A. Durand, C. Huitema. November 2001, RFC 3194. [RIRs-on-48] http://www.arin.net/library/guidelines/ipv6_initial.html, IPv6 Address Allocation and Assignment Policy http://www.apnic.net/policy/ipv6-address-policy 7. 付録A : HD-Ratio HD-Ratioは、現在IP指定事業者および割り当てを行うISPがIPv4にて使用してい る従来の利用率の計測法に置き換えることを意図されているわけではない。実 際、HD-Ratioを利用した場合でも、依然として割り当ての登録数を数える必要 がある。HD-Ratioの主要な価値とは、あるアドレス空間に対し必要な目標利用 率を設定する際の有効性にある。本文書では、ある割り振りが必要なレベルの 利用率を達成し、追加割り振りが正当化されるような閾値を設定するために、 HD-Ratioを使用する。 利用率の有効性の基準Tは、IPv6プリフィクスPから割り振られる個々の/56プリ フィックスの数として表され、次のように計算できる。 ((56-P)*HD) T = 2 したがって、IPv6アドレスブロックの追加割り振りを申請する組織に対する利 用率の基準は、プリフィクスサイズと対象HD-Ratioの関数として指定される。 ここでの利用率は、エンドサイトに対する/56の割り当てに関するものであり、 それらのエンドサイト内での/56の利用率に関するものではない。これはアドレ ス割り振りの利用率であり、アドレス割り当ての利用率ではない。 本文書ではIPv6アドレス空間割り振りにおける利用率の閾値として、HD-Ratio は0.94を採用する。 次の表は、0.94のHD-Ratioに対応する、IPv6プリフィクスのアドレス利用の絶 対値と百分率で示したものである。 P 56-P /56の総数 閾値 利用率 56 0 1 1 100.0% 55 1 2 2 95.9% 54 2 4 4 92.0% 53 3 8 7 88.3% 52 4 16 14 84.7% 51 5 32 26 81.2% 50 6 64 50 77.9% 49 7 128 96 74.7% 48 8 256 184 71.7% 47 9 512 352 68.8% 46 10 1,024 676 66.0% 45 11 2,048 1,296 63.3% 44 12 4,096 2,487 60.7% 43 13 8,192 4,771 58.2% 42 14 16,384 9,153 55.9% 41 15 32,768 17,560 53.6% 40 16 65,536 33,689 51.4% 39 17 131,072 64,634 49.3% 38 18 262,144 124,002 47.3% 37 19 524,288 237,901 45.4% 36 20 1,048,576 456,419 43.5% 35 21 2,097,152 875,653 41.8% 34 22 4,194,304 1,679,965 40.1% 33 23 8,388,608 3,223,061 38.4% 32 24 16,777,216 6,183,533 36.9% 31 25 33,554,432 11,863,283 35.4% 30 26 67,108,864 22,760,044 33.9% 29 27 134,217,728 43,665,787 32.5% 28 28 268,435,456 83,774,045 31.2% 27 29 536,870,912 160,722,871 29.9% 26 30 1,073,741,824 308,351,367 28.7% 25 31 2,147,483,648 591,580,804 27.5% 24 32 4,294,967,296 1,134,964,479 26.4% 23 33 8,589,934,592 2,177,461,403 25.3% 22 34 17,179,869,184 4,177,521,189 24.3% 21 35 34,359,738,368 8,014,692,369 23.3% 20 36 68,719,476,736 15,376,413,635 22.4% 19 37 137,438,953,472 29,500,083,768 21.5% 18 38 274,877,906,944 56,596,743,751 20.6% 17 39 549,755,813,888 108,582,451,102 19.8% 16 40 1,099,511,627,776 208,318,498,661 18.9% 15 41 2,199,023,255,552 399,664,922,315 18.2% 14 42 4,398,046,511,104 766,768,439,460 17.4% 13 43 8,796,093,022,208 1,471,066,903,609 16.7% 12 44 17,592,186,044,416 2,822,283,395,519 16.0% 11 45 35,184,372,088,832 5,414,630,391,777 15.4% 10 46 70,368,744,177,664 10,388,121,308,479 14.8% 9 47 140,737,488,355,328 19,929,904,076,845 14.2% 8 48 281,474,976,710,656 38,236,083,765,023 13.6% 7 49 562,949,953,421,312 73,357,006,438,603 13.0% 6 50 1,125,899,906,842,620 140,737,488,355,328 12.5% 5 51 2,251,799,813,685,250 270,008,845,646,446 12.0% 4 52 4,503,599,627,370,500 518,019,595,058,136 11.5%
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