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文書管理情報 | |
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文書番号 | JPNIC-01112 |
文書名 | JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシー |
発効日 | 2011/8/1 |
最終更新日 | 2011/6/14 |
有効期限 | 2011/10/2 |
この文書によって無効となった文書 | JPNIC-01111 |
この文書を無効とする文書 | JPNIC-01119 |
JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシー 社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター *本文書について* 本文書は、 JPNICにおけるIPv4アドレスの割り振りや割り当てに関するポリ シーをまとめたものです。まず本文書をご一読のうえ、他のアドレス割り当て に関する一連のJPNIC文書をお読みください。 -------------------------------------------------------------------------------- *目次* 第1部 背景、定義、目標、環境 0. 本文書について 0.1 本文書の構成 1. はじめに 2. 本文書が対象とする範囲 3. アドレス空間分配の階層構造 4. 定義 4.1 インターネットレジストリ(IR) 4.1.1 地域インターネットレジストリ(RIR) 4.1.2 国別インターネットレジストリ(NIR) 4.1.3 ローカルインターネットレジストリ(LIR) 4.2 インターネットエクスチェンジポイント 4.3 IPアドレス管理指定事業者 4.4 プロバイダ非依存アドレス被割り当て者 4.4.1 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス被割り当て者 4.4.2 歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス被割り当て者 4.5 アドレス空間 4.6 割り振られた/割り当てられたアドレス空間 4.6.1 割り振り 4.6.2 割り当て 5. アドレス空間管理の目標 5.1 目標 5.1.1 一意性 5.1.2 登録 5.1.3 経路の集成 5.1.4 アドレスの節約 5.1.5 公平性 5.2 目標の衝突 6. ポリシーを取り巻く環境 6.1 ルータビリティ(経路制御可能性) 6.2 インターネットの成長率 6.3 責任の共有 6.4 公平性 6.5 専門知識のさまざまなレベル 6.6 アドレスの所有 6.7 アドレスを蓄積すること 6.8 効率的技術にもとづいた評価 6.9 プライベートアドレス空間 6.10 最小割り振りサイズ 6.11 根拠資料 6.12 機密性 第2部 アドレス空間管理のポリシー 7. 一般的なポリシーのフレームワーク 7.1 首尾一貫したアドレス管理ポリシーの採用 8. アドレス申請 8.1 正確な申請書にもとづく申請処理 8.2 安全性と機密性 8.3 公平な申請処理 8.4 割り振りの一般的要件 8.5 複数のIRにアドレス空間を申請する組織 9. アドレスの割り振り 9.1 アドレス空間のライセンス 9.2 最初の割り振りのスロースタート 9.2.1 スロースタートの例外 9.3 初回割り振りの基準 9.4 追加割り振りの基準 9.4.1 連続した割り振りは保証されない 9.5 割り振りを全て使用したIPアドレス管理指定事業者 9.5.1 特殊な状況・大きな割り当て 9.6 予約は割り当てとみなされない 9.7 アドレスの集成 9.8 割り振りと割り当ての有効性 9.9 アドレス空間の譲渡 9.10 /8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫からの分配 10. IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理 10.1 IPアドレス管理指定事業者のためのアサインメントウィンドウ 10.2 割り当てアドレスの使用見積り 10.3 登録の必要性 10.3.1 登録情報の更新 10.3.2 連絡担当者の登録 10.4 in-addr.arpa資源レコード維持の責任 11. 割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング 11.1. 小規模マルチホーム割り当て 11.2 インターネットエクスチェンジポイント 11.3 クリティカルインフラストラクチャー 11.4 経路集成を促進するためのリナンバリング 12. IPv4アドレス空間の移転 12.1 IPv4アドレス空間の移転 12.1.1 移転対象のIPv4アドレス空間の条件 12.1.2 移転元の条件 12.1.3 移転先の条件 12.1.4 IPv4アドレス空間の移転履歴の公開 13 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承 13.1. 登録情報の更新 13.2 IPアドレス管理指定事業者契約に対する影響 13.3 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収の割り振りへの影響 13.4. IPアドレス割り当て管理業務の停止 14. 申請審議のガイドライン 15. 謝辞 -------------------------------------------------------------------------------- 0. 本文書について 本文書は、 JPNICにおけるIPv4アドレス(以下「アドレス」)の割り振りや割り 当てに関するポリシーをまとめたものです。まず本文書をご一読のうえ、他の アドレス割り当てに関する一連のJPNIC文書をお読みください。 本文書では、具体的なアドレス割り当ての申請手続きなどについては一切述 べていません。これについては技術文書群に詳しい解説がなされていますので、 それらの文書を参照してください。 0.1. この文書の構成 本文書の構成は以下の通りです。 ・ 第1節「はじめに」 このJPNICポリシーの目的についての解説 ・ 第2節「本文書が対象とする範囲」 本文書で解説する範囲に関する解説 ・ 第3節「アドレス空間分配の階層構造」 インターネットコミュニティにおけるアドレス空間分解の階層構造に関する解説 ・ 第4節「定義」 本文書を読むにあたっての言葉の定義についての解説 ・ 第5節「アドレス空間管理の目標」 アドレス空間を管理することの目的についての解説 ・ 第6節「ポリシーを取り巻く環境」 このJPNICポリシーの策定にあたって要因となるさまざまな環境についての解説 ・ 第7節「一般的なポリシーのフレームワーク」 ポリシーのフレームワークについての解説 ・ 第8節「アドレス申請」 IPアドレス申請処理についての解説 ・ 第9節「アドレスの割り振り」 JPNICにおけるアドレスの割り振りと割り当てに関するポリシーについての解説 ・ 第10節「IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理」 IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理についての解説 ・ 第11節「割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング」 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てと経路集成を促進するための リナンバリングについての解説 ・第12節「IPv4アドレス空間の移転」 IPv4アドレス空間の移転についての解説 第13節 「IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承」 IPアドレス管理指定事業者の管理業務の継承等についての解説 ・ 第14節「申請審議のガイドライン」 JPNICにおける申請審議のガイドラインについての解説 第1部 背景、定義、目標、環境 1. はじめに 日本ネットワークインフォメーションセンター(以下「JPNIC」)は、 APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)のコンフェデレーションメ ンバーとして日本国内で機能している、非営利の国別インターネットレジスト リである。 JPNICはパブリックなインターネットアドレス空間を分配し、この 分配を管理するためのポリシーを立案・実施している。 本文書に記述されているポリシーは、JPNICをはじめとする、日本国内で機 能している全てのインターネットレジストリが実施するものとして、アジア太 平洋地域および日本国内のインターネットコミュニティが作ってきたものであ る。 本文書は、APNICが発行している以下の文書を参考に記述されている。この APNIC文書はJPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含む全ての インターネットレジストリが従うべき、アジア太平洋地域全体におけるアドレ ス空間管理ポリシーについて記述されており、本文書の上位文書にあたる。従っ てAPNIC文書が将来的に変更された場合には、本文書もそれにともなって変更 されることになる。 『Policies for IPv4 address space management in the Asia Pacific region』 本文書に記載されているポリシーは基本的にAPNICポリシーとの一貫性、透 明性を旨として策定されるため内容的にほとんどの部分が同一であり、文書の 体裁や構造も同一のものを採用している。ただし、これはJPNICポリシーが APNICポリシーと同一のものであるという意味ではない。地域インターネット レジストリと国別インターネットレジストリという立場の違いによる内容の差 異も存在するが、ポリシーの内容に関してもAPNICにおいて許容される範囲で ローカルポリシーを策定する可能性は残されている。 2. 本文書が対象とする範囲 本文書は、 JPNICおよびそのIPアドレス管理指定事業者およびプロバイダ非 依存アドレス被割り当て者のために、グローバルでパブリックなIPv4アドレス 空間の責任ある管理を行うことを目標としたポリシーを記述している。特に、 本文書はアドレス空間の割り振りと割り当てに関する目標、仮定、ポリシーに 焦点を当てている。本文書はIPv6アドレス空間、マルチキャストアドレス空間、 プライベートアドレス空間、AS番号のポリシーについては記述していない。 3. アドレス空間分配の階層構造 IPアドレスはRFC2050に記述された階層的構造にもとづいて分配されている。 その構造は図1の通りである。 +--------+ | ICANN | +--------+ | +-----------+-----------+-----------+.................+ | | | : : +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +.....................+ +--------------+ | ARIN | |RIPE NCC| | APNIC | | LACNIC | |AfriNIC | +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +.....................+ +--------------+ | +-----------+--+--------+ | | | +------+ +-------+ | | NIR | | JPNIC | | National Internet +------+ +-------+ | Registries | | (NIR) | +------+--+ | | | | | | +------+ | +------+ +------+ Local Internet | LIR | | | LIR | | LIR | Registries +------+ | +------+ +------+ | | | | +-----+ | | | | | | | | | | | | | +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ | EU | | EU | | EU | | EU | | EU | End-users +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ 図 1 この階層構造では、 ICANN(Internet Corporation For Assigned Names and Numbers)/IANA(Internet Assigned Numbers Authority)はアジア太平洋地域へ の再分配用としてAPNICにアドレス空間を割り振り、 APNICはNIRの一つである JPNICに対し、日本国内のアドレス管理を委任している。そして、 JPNICは日 本国内のローカルインターネットレジストリ(LIR)にアドレス空間を割り振り、 同時にそのLIRがエンドユーザに対して割り当てを行う権限の委任も行う。 JPNICがエンドユーザに割り当てを行う場合もある。 LIRはJPNICの指導のもと で、本文書に書かれたポリシーや手続きに従い、自分のメンバーや顧客にアド レス空間を割り当てる。 4. 定義 本文書で使用される用語の定義を行う。 4.1 インターネットレジストリ(IR) インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分 配し、その分配を登録する責任を持つ。 IRは図1の階層構造の中で、主要な機 能と地域的担当範囲にもとづき分類される。 本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネット レジストリ(RIR)、 JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、ローカ ルインターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。 4.1.1 地域インターネットレジストリ(RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)はICANNの認可で設立され、大きな地域 にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、それぞれが担当 する各地域内でアドレス空間を分配、管理することである。現在RIRとしては、 APNIC、RIPE NCC、ARIN、LACNICの4つがある。将来はさらに他のRIRが設立さ れる可能性がある。 4.1.2 国別インターネットレジストリ(NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、 LIRであるメンバーに アドレスを割り振りするIRであり、一般的にNIRのメンバーは、国レベルで組 織されたインターネットサービスプロバイダ(ISP)である。 NIRはISPで構成さ れるが、それ自体はISPとしては機能しない。 NIRは自らを構成しているISPの 利益に関して中立を維持することが期待される。 JPNICはこのNIRにあたる。 4.1.3 ローカルインターネットレジストリ(LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自分が提供するネッ トワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。 LIRは一般 にISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が 別のISPである場合もある。 IPアドレス管理指定事業者はこのLIRにあたる。 4.2 インターネットエクスチェンジポイント インターネットエクスチェンジポイント(IXP)は、物理的なネットワークイ ンフラストラクチャーであり、独立したISP間でのインターネットトラフィッ クの交換を円滑化するために運用される。 IXPに接続されるISP数は最低でも 3つあるべきで、他のISPが参加するための明確でオープンなポリシーがなけ ればならない。 IXPは一般的にはIRでなく、アドレス空間のエンドユーザであ るとみなされる。 4.3 IPアドレス管理指定事業者 IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」)とは、 JPNICとの間に取 り交わしたIPアドレス管理指定事業者契約書を保持しているネットワークサー ビス事業者を示す。 4.4 プロバイダ非依存アドレス被割り当て者 JPNICで示すプロバイダ非依存アドレス被割り当て者 (以下「PIアドレス被 割り当て者」)とは、以下の2つの組織を示す。 4.4.1 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス被割り当て者 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス被割り当て者とは、 JPNICとの間に取 り交わした特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書を保 持している組織を示す。 4.4.2 歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス被割り当て者 歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス被割り当て者とは、「歴史的経 緯をもつプロバイダ非依存アドレス割り当て規約」に同意した組織を示す。 4.5 アドレス空間 本ドキュメントでは、アドレス空間はパブリックなIPv4アドレスレンジを意 味し、マルチキャストアドレスやRFC1918で定義されているプライベートアド レスは含めない。 4.6 割り振られた/割り当てられたアドレス空間 JPNICのアドレスポリシーを理解するためには、「割り振り」と「割り当て」 という用語の区別を明確にしておくことが重要である。 4.6.1 割り振り 割り振りとは、再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。 4.6.2 割り当て 割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、割り振られたアドレス空間の一部 または全部を、エンドユーザのネットワークで利用するために分配することで ある。また、IRが内部のネットワーク用として使うときも、そのアドレス空間 は割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。割り当てられたアドレス空間は、 エンドユーザが申告した特定の目的のためにのみ使用されるものであり、さら に割り振りや割り当てされるものではない。 5. アドレス空間管理の目標 5.1 目標 ここに記述されるアドレス空間管理の目標は、インターネットコミュニティ により形成されてきたもので、インターネットが最大限に機能し成長できるこ とを保証し、このコミュニティ全メンバー相互の利益を反映するものである。 日本国内におけるこれらの目標の達成を保証するのが、公共資源の管理者たる JPNICの第一の義務である。 JPNICは、IP指定事業者が責任を持ってポリシー を策定・実現し、実践していくにあたり、リーダシップを発揮してその方向付 けを行っていきたいと考えている。全てのIP指定事業者は各々の活動範囲にお いて、責任を持ってこれらの目標を達成できるよう努めなければならない。 5.1.1 一意性 各割り当ておよび割り振られたアドレス空間は、世界にただひとつしかない ことを保証しなければならない。これはインターネット上のそれぞれのパブリッ クなホストが一意に識別されるための絶対的要件である。 5.1.2 登録 インターネットアドレス空間の割り当てと割り振りは、インターネットコミュ ニティの全メンバーがアクセス可能な、公開されているレジストリデータベー スに登録されなければならない。これは、インターネットアドレスの一意性を 保証するためであり、また、RIRをはじめとする全てのIRやエンドユーザなど、 インターネットを利用するあらゆるレベルの人が遭遇するインターネット上の トラブルを解決するための、参照情報として利用できるようにするためである。 さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用する全ての人が、その資源の 状態等を確認可能であるべきとする、インターネットコミュニティの考え方を 反映するものでもある。 5.1.3 経路の集成 アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャーのトポロジに沿って、 可能な限り階層的に分配されなければならない。これは、経路情報を集成し経 路表の増大を抑えるために必要なことである。 5.1.4 アドレスの節約 インターネットアドレス空間という限られた資源の寿命を最大限に延ばすた めに、アドレス空間は、実際の使用量に応じて当面本当に必要となる数だけが 分配されるべきである。従ってアドレス空間を使用せずに蓄積したり、顧客の ために予約したりすることは避けなければならない。 節約するということはまた同時に、効率的に使用すべきというということも 意味しており、全てのインターネット利用者は、「可変長サブネットマスク (VLSM)」等の技術の他、効率的なアドレス空間の利用を実現する技術をできる だけ採用するべきである。 5.1.5 公平性 アドレス空間の使用に関する全てのポリシーは、現在および未来にわたる全 てのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、規模その他い かなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践されるべきである。 5.2 目標の衝突 アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。さらに、 [5.1 目標]で述べたことは、時として個々のIRおよびエンドユーザの利益と衝 突することがある。アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査する全て のIRは、それに関連する全ての事柄を注意深く分析し、インターネットコミュ ニティ全体のニーズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。 本文書に記述されているポリシーは、 NIRであるJPNICを含む日本国内の全 てのIRが、首尾一貫した平等な方法でこれらニーズのバランスを取るのを助け るためのものである。これには、意思決定過程の明文化と透明性維持も必要に なる。 6. ポリシーを取り巻く環境 [5. アドレス空間管理の目標]にある目標の他、インターネットコミュニティ の期待、現行の管理構造、技術的制限などの要因全てを考慮して、 JPNICポリ シーは策定される。環境の変化は突然おこることもあり、それをまったく予測 できないこともある。 IP指定事業者の代表たるJPNICの重要な役割は、この環 境変化を監視し、その環境変化がJPNICポリシーに対してどのような意味を持 つかをIP指定事業者に通知していくことである。この節では、今現在の環境で JPNICポリシーの策定に最も重要な意味を持っている要因を記述している。 6.1 ルータビリティ(経路制御可能性) アドレス空間のルータビリティ(経路制御可能性)は保証できるようなもので はない。それは、グローバルに広告された経路数を減らすために、ISPは、プ リフィックス長にもとづく経路フィルタリングを実施する場合があるからであ る。この観点からみると、プロバイダ非依存アドレスはインターネット上で、 ルータビリティ(経路制御可能性)が最も低くなる可能性をはらんでいる。 以上の理由から、JPNICポリシーでは、ユーザは直接JPNICやAPNICに対して プロバイダ非依存アドレスの割り当てを申請するのではなく、接続するプロバ イダに対してプロバイダ集成可能アドレス申請を行うべきであるとしている。 6.2 インターネットの成長率 アドレス空間分配における初期の戦略は、インターネットの爆発的成長と利 用できるアドレス空間の大きさ、経路制御に関して、成長の結果生じる規模拡 大への対応性の問題を予測したものではなかった。アドレス管理ポリシーおよ び手続きの策定に際しては、過去の経験を考慮し、将来起こりうる問題を予測 する努力をしなければならない。 6.3 責任の共有 JPNICは、管理可能で規模が拡大しても対応可能なインターネットの成長を 確保することに対し、 IP指定事業者およびその顧客、そしてPIアドレス被割 り当て者と共に、その責任の一端を担っていると認識している。 JPNICはIP指 定事業者およびPIアドレス被割り当て者に対し、アドレス空間管理のポリシー 策定とその実行、 [5. アドレス空間管理の目標]にある目標と合致した意志決 定の推奨や支援に、主要な役割を担わなければならない。 JPNICとIP指定事業 者およびPIアドレス被割り当て者との関係は、提示される情報やネットワーク プラン等の根拠書類が、虚偽なく正確なものであるという信頼関係にもとづい て成立している。 6.4 公平性 JPNICはインターネットコミュニティ全体、特に日本のインターネットコミュ ニティ全体の利益を代表している。 JPNICはポリシーを公平、平等に全IP指定 事業者およびPIアドレス被割り当て者に適用し、対象組織の規模や地理的場所、 その他の要因によって左右されることはない。 6.5 専門知識のさまざまなレベル IRスタッフとエンドユーザが持つ経験と専門知識のレベルはさまざまに異な る。 JPNICは、日本のインターネットコミュニティ全体のアドレス空間管理が、 首尾一貫して実施されることを保証することに適した、さまざまなレベルの支 援や指導を行っていく。 6.6 アドレスの所有 JPNICポリシーは、アドレス空間は希少な共有資源であり、その分配は必要 な数だけを責任を持って行われるべきであると、インターネットコミュニティ 全体に働きかけるものである。アドレス空間を使用するISPやその他の組織、 および個人は、資源の「所有者」ではなく、「管理者」とみなされる。アドレ スの残数がさらに少なくなると、アドレス空間管理ポリシーはコミュニティに より修正される場合がある。 6.7 アドレスを蓄積すること アドレスを使用せずに蓄積しておくことは、節約と公平性の目標に反する。 JPNICポリシーは、蓄積するのではなく、すぐ使用するものとして具体的に示 された必要性にもとづき、効率的にアドレスを分配するべきであるとしている。 6.8 効率的技術にもとづいた評価 特定の状況において、効率的・階層的なアドレス分配が可能になる適切な技 術がある場合、エンドユーザはその時々に最も推奨される技術を採用するべき である。 JPNICはIP指定事業者やさらに広い範囲のインターネットコミュニティ と協力し、インターネットアドレスに関するその時々に推奨される方法を定義 し、発展させていく。 6.9 プライベートアドレス空間 プライベートアドレス空間は、ファイアウォールを経由してインターネット に接続しているネットワークや、技術的にパブリックなアドレス空間を利用す る必要のないネットワークでのアドレス利用に適している場合がある。一般的 には、プライベートアドレス空間は、インターネットに接続されないネットワー クに使用されるべきである。 6.10 最小割り振りサイズ 経路集成とアドレス空間の節約という2つの目標はしばしば衝突する。この ためアドレス空間割り振りに関しては、アドレス空間の節約という観点からは 最小限で、経路集成という観点からは実用的な、バランスの取れたサイズを設 定する必要がある。現在アジア太平洋地域において実用的だと考えられるアド レス空間の大きさは /22 (1,024アドレス分) であるため、JPNICにおいても、 最小割り振りサイズを/22とする。 6.11 根拠資料 アドレス申請を適切に審議するために、 IP指定事業者および特殊用途用IP アドレス申請者には該当するネットワークに関する詳細な資料の提出が要求さ れる。この資料にはネットワークエンジニアリング計画、サブネット計画、ネッ トワークトポロジ、経路制御計画、機器の請求書と発注書、その他関連書類な どの説明が含まれる。この資料は首尾一貫した基準にもとづいている必要があ り、ここに含まれる見積もりや予測は全て現実的でかつ根拠あるものになって いなければならない。 6.12 機密性 アドレス空間申請をサポートする資料には、組織や個人に関係する非常に高 い機密性が要求される可能性のある情報が含まれている。従って、JPNICはIP 指定事業者およびその顧客のビジネスおよび個人、そしてPIアドレス被割り当 て者に関する機密情報を保護する手段を適用・強化し、それらの組織や顧客の 信頼に足るサービスを提供する。 第2部 アドレス空間管理ポリシー 7. 一般的なポリシーのフレームワーク 7.1 首尾一貫したアドレス管理ポリシーの採用 IP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者は、本文書で示される、インター ネットコミュニティで形成されたポリシーに沿った方針で運用するべきである。 IP指定事業者は、[9.1アドレス空間のライセンス]の条件に従った契約に基づ いてのみ、それぞれの責任下にあるアドレス空間の割り当てを行わなければな らない。 8.アドレス申請 8.1 正確な申請書にもとづく申請処理 JPNICは、完全かつ適切に文書化されている申請書を処理する。申請書に間 違いや抜けがある場合、JPNICは申請者にできるだけ速やかに通知する。また、 JPNICは提出された申請書の中の不明確な部分に関して、さらに詳細な情報や 説明を求めることがある。申請者がこのJPNICの疑問を十分解消する解答を行っ た場合、できるだけ速やかに処理を進める。申請書に間違いや抜けが無かった 場合も同様である。 JPNICは申請処理に関して一貫した信頼に足るレベルのサー ビスを維持するために、可能な限り努力する。 8.2 安全性と機密性 JPNICは、IP指定事業者およびその顧客、そしてPIアドレス被割り当て者の ビジネス上/インフラ上の運用に関する情報の機密性を保護するシステムや手 段を維持する。 JPNICのスタッフまたは代理業者は全て明文化された機密性保 持の条件にもとづき雇用されている。 JPNICはデータベースへのアクセスコン トロールメカニズムを提供している。このようなメカニズムを利用していくの は、各IP指定事業者やエンドユーザ、 PIアドレス被割り当て者の責任である。 8.3 公平な申請処理 JPNICは、適切な申請書を受け取った順番に公平な方法に則って申請を扱う。 全ての申請者は平等に扱われなければならないため、JPNICは地理的条件、規 模その他いかなる理由にも左右されず、どのような状況においても申請処理の 通常の順番から特別扱いをしたり例外を作ったりすることはない。 JPNICは、 効率的な管理のため申請チケットシステムを構築し維持する。これを用いて一 定の期間内に申請を処理するよう努める。 8.4 割り振りの一般的要件 アドレス空間の割り振り申請は全て、申請しているIP指定事業者のネットワー クインフラストラクチャー、申請しているアドレス空間の用途を説明した根拠 情報を提出しなければならない。 JPNICはその根拠情報とともに、そのIP指定 事業者が現在保持している全てのアドレス空間と過去の割り当て履歴を考慮し て申請を処理する。この一般要件に加え、より詳細な根拠資料の提出が求めら れる場合がある。 (9.2、9.3、9.4を参照のこと) 8.5 複数のIRにアドレス空間を申請する組織 JPNICポリシーのもとでは、組織は一度にただ1つのIRからのみアドレス空間 を取得しなければならない。複数のIRにアドレス空間を申請する場合、申請組 織は現在保有しているアドレス空間を、どこから割り当てを受けたかにかかわ らず全て申告しなければならない。さらに、複数のIRに同時に申請している組 織はその全ての申請の詳細を申告しなければならない。 しかし、特定の状況(例:組織がマルチホームしている場合) では強力な技 術的理由により1つ以上のプロバイダからアドレス空間を受け取るのが適切な こともある。このため、親組織とその傘下組織は一般に単一の組織とみなされ る。組織の一部が別個の法人で完全に独立したネットワークインフラストラク チャーを維持していて、それぞれ異なるAS番号のもとに経路制御されている場 合、あるいは複数のIRからアドレス空間を取得する必要があることをその根拠 とともに示せる場合は例外となる。 9. アドレスの割り振り 9.1 アドレス空間のライセンス JPNICは、「ライセンス」という考え方にもとづいて、IPアドレスの割り振 りを行う。このライセンスの期限は、通常1年間という限定された期間である。 ライセンスの条件は、ライセンスの交付時または更新時に適用される。これら は資源の割り振りと割り当てに関するJPNICポリシーに従ったものである。ラ イセンス更新は可能であり、その条件は以下の2点を満たしていることである。 ・割り振り当初の根拠が更新時点でまだ有効である ・その割り振りに関する登録要件が更新時点で満たされている ライセンスが更新される時、更新後のライセンス条件は、更新時点の資源割 り振りポリシーとライセンス更新ポリシーが適用される。ライセンス条件の変 更は、 IP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者の総意により認められた 例外を除き、規定されている一定の通知期間を経るものとする。個々のライセ ンスを再検討するのは、関連のIRが、既存のライセンス条件が守られていない と信ずるに足る理由がある場合のみとする。 IRは、既存ライセンスの再検討 のために、適切と思われる独自の手順を実施することができる。 9.2 最初の割り振りのスロースタート JPNICは新規のIP指定事業者全てにスロースタートのメカニズムを適用する。 JPNICで適用される1回目の割り振りは、 [6.10. 最小割り振りサイズ]に示さ れるサイズとなる。スロースタートはJPNICのほかにも多くのIRが採用してい る方法であり、 RIRおよびNIRから割り振りされた大きなアドレスブロックが 割り当てされないまま残ってしまうことを防止するためである。 9.2.1 スロースタートの例外 例外的に、 IP指定事業者は規定より大きいサイズの割り振りを最初に受け 取ることもある。これはIP指定事業者がすぐに必要とするネットワークアドレ スが、標準的なスロースタート割り振りの大きさを上回ることを示す、十分に 詳細で具体的な根拠情報を提供できる場合においてである。そのような根拠情 報の例としては、設備購入の領収書、発注書、署名入りプロジェクト契約等の ように、 IP指定事業者が目下ネットワーク用にアドレスを必要としているこ とを示す書類があげられる。 9.3 初回割り振りの基準 初期割り振りを受ける資格のため、 IP指定事業者は以下の基準を満たさな ければならない。 ・割り当て済みのアドレスについて、ポリシーに従ったアドレスの運用を行っ ている ・上位のプロバイダから、すでに/24を割り当てられ使用している、または 直後に/24を使用することを証明できる ・1年以内に/23を使うことを証明できる詳細な計画を提示できる ・1年以内にそれまで使用していたアドレスから、新たに割り振られるアド レスにリナンバする 9.4 追加割り振りの基準 IP指定事業者は、最初の割り振りを受けた後も、必要に応じて追加の割り振 りを申請することができる。追加割り振りは、IP指定事業者の過去の割り振り 実績、アドレス空間利用計画、割り当て実績と割り当て率を確認し、 IP指定 事業者がどの程度JPNICポリシーに準拠しているかにより決定される。ここで いう割り当て率とは、指定事業者が過去に受けた割り振り中の、実際に割り当 てを行った空間の割合のことである。 JPNICはこれらを審査し、IP指定事業者 に対してアドレス空間の追加割り振りをする。 この時割り振られるアドレス空間のサイズは、 IP指定事業者の過去の割り 当て実績を考慮して決定される。これらの要因にもとづき、JPNICは、最高1年 までの期間で、 IP指定事業者が見積もった割り当て需要を満たすのに十分な アドレス空間を割り振るものとする。 JPNICが1年未満の期間で割り振りを行 う場合、JPNICはその割り振り期間、およびその期間を選んだ理由をIP指定事 業者に伝えねばならない。 9.4.1 連続した割り振りは保証されない JPNICは前回の割り振りと連続したアドレス空間を追加で割り振るよう努力 する。しかし、アドレスの予約ができないため、 JPNICは連続した空間の割り 振りができるとは保証できない。 9.5 割り振りを全て使用したIPアドレス管理指定事業者 IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り当 てされていなければ、 JPNICはそのIP指定事業者に割り振りを行わない。 9.5.1 特殊な状況・大きな割り当て IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り当 てされていない場合でも、残っている空間よりも大きいサイズの割り当てを行 う必要がある場合、その指定事業者はJPNICに追加割り振りを申請できる。 9.6 予約は割り当てとみなされない IP指定事業者が顧客に割り当てる際には、必ず現在保有しているアドレス空 間から割り当てをしなければならない。 JPNICは割り振り申請を評価するとき に、IP指定事業者によって他の顧客用に予約された空間を未割り当て空間と みなす。 9.7 アドレスの集成 全ての割り振りにおいて、割り振られたアドレス空間のIP指定事業者による 経路広告が最少の数になるように(1が望ましい)集成されるべきである。経 路集成という目標を達成するために、エンドユーザはそのIP指定事業者の顧客 である間だけアドレス割り当てを保持するということを、ユーザとIP指定事業 者間で合意しておくことが要求される。合意事項には、そのIP指定事業者がア ドレスを使用する際のライセンスの条件とも一貫している必要がある。 9.8 割り振りと割り当ての有効性 アドレス空間の割り振り、割り当ては全て、割り振られたまたは割り当てら れたときに適用された基準が効力を持つ間のみ有効となる。特定の目的のため に割り振りまたは割り当てが行われても、その目的がなくなった場合は割り振 りもしくは割り当ても有効ではなくなる。割り振りまたは割り当ては、虚偽も しくは不完全な情報にもとづいて行われたことが判明した場合無効になる。こ のときアドレスは適切なIRに返却されるべきである。 9.9 アドレス空間の譲渡 JPNICが書面により承諾した場合を除き、アドレス空間の譲渡は認められな い。そのような譲渡は無効である。そのような譲渡によるアドレスを保持する 組織は、そのアドレスを適切なIRに返却しなければならない。 9.10 /8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫からの分配 9.10.1 IP指定事業者への割り振り IP指定事業者は、/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫から、 以下の条件に基づき、1組織につき1件の割り振りを求める資格を有する。 ・割り振りは、最小割り振りサイズで行われる ・IP指定事業者は、本ポリシー文書において、以下いずれかの項目にて定めた 割り振り条件を満たさねばならない - 9.3 初回割り振りの基準 - 9.4 追加割り振りの基準 IP指定事業者が、/8相当のアドレス空間から受けられる割り振りは1組織に つき、1件に限定される。これは既存、新規、いずれのIP指定事業者にも適用 される。 9.10.2 将来における利用のための割り振り /8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫のうち、/16空間は、現 時点では予測がつかない将来における利用のために別途リザーブされる。 なお、「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫からの分配」用 に確保している残りのIPv4未割り振り在庫が消費された時点でも、リザーブし た/16空間が利用されていない場合、当該/16空間のリザーブは解除してAPNIC の未割り振り在庫として扱い、「9.10.1 IP指定事業者への割り振り」の項目 に基づいた分配を実施する。 10. IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理 以下の規定に従い、 IP指定事業者は顧客に対してアドレス空間の割り当て を行うことができる。 10.1 IPアドレス管理指定事業者のためのアサインメントウィンドウ IP指定事業者が、JPNICポリシーと[5. アドレス空間管理の目標]を理解し、 それに準拠した活動を行うために、 JPNICはアサインメントウィンドウという メカニズムを採用する。 アサインメントウィンドウとは、 IP指定事業者がJPNICに割り当て審議申請 を行わずに割り当てができる最大のアドレス数のことである。指定事業者がア サインメントウィンドウを超える割り当てを行うことを希望する場合は、IP指 定事業者は割り当てを行う前にまず割り当て審議申請をJPNICに提出しなけれ ばならない。新規にIP指定事業者になったときIP指定事業者の最初のアサイン メントウィンドウはゼロである。つまり、この段階では全ての割り当てはまず JPNICに承認されなければならない。 JPNICは定期的にIP指定事業者のスタッ フが割り当てや割り当て審議の申請を効率的に行っているかを査定し、アサイ ンメントウィンドウのサイズを再検討する。 IP指定事業者のスタッフの業務 熟達度が上がれば、 JPNICはアサインメントウィンドウのサイズを拡大する。 IP指定事業者のアサインメントウィンドウの最大サイズは/19(8,192アドレス 分)である。 新人スタッフのトレーニングその他関連する事情により、 IP指定事業者の スタッフの業務熟達度がJPNICの基準を満たさなくなると、 JPNICは一時的に そのIP指定事業者のアサインメントウィンドウのサイズを縮小することがある。 10.2 割り当てアドレスの使用見積り 割り当て申請は、割り当てしてすぐ発生する必要性と将来予想される必要性 にもとづいた使用見積りによって裏付けされなければならない。その見積りは 非常に信頼できる水準で証明できていなければならない。見積りは3ヵ月以内、 半年以内、1年以内のものを提出する。アドレス割り当ての直後にアドレス空 間の25%、 1年以内に50%が使用されるという見積りにもとづいて割り当てが行 われる。 10.3 登録の必要性 アドレス割り当ての際、 IP指定事業者はJPNIC データベースにその割り当 てに関する全ての情報を以下に従い登録しなければならない。 ・/30より大きいネットワークへの割り当ては登録されなければならない- /30、または/30より小さいネットワークの割り当てに関しては、IP指定事 業者とネットワーク管理者の裁量により上位組織のインフラストラクチャー として登録してもよい ・ホストへの割り当てはIP指定事業者とエンドユーザの裁量により上位組織 のインフラストラクチャーとして登録してもよい また、JPNICのデータベースに登録された割り振り、割り当て情報は、 JPNICの上位組織であるAPNICのデータベースでも一部公開される。 データベースの情報はインターネット上のトラブルを解決するときに必要な ものであり、かつインターネットコミュニティ全体の利益となる、情報の信頼 性と透明性の維持に役立っている。 10.3.1 登録情報の更新 IP指定事業者は、エンドユーザの登録情報を含み、 IP指定事業者が登録し た全ての情報に何らかの変更があった場合にJPNIC データベースを更新しなけ ればならない。 PIアドレス被割り当て者においても、自ら登録した情報に何 らかの変更があった場合に、 JPNICデータベースを更新しなければならない。 10.3.2 連絡担当者の登録 連絡担当者の登録は責任あるアドレス空間管理の重要な部分である。 [管理 者連絡窓口]の項目に登録する連絡先は、その組織を代表して当該ネットワー クに関する責任を持つ連絡先であることが望ましい。ただし、正当な理由があ る場合は、当該連絡先と連絡が取れる連絡先を登録することも認められている。 [技術連絡担当者]の項目に登録する連絡先は、ネットワークの所在地に必ずし も物理的に居る必要はないが、そのネットワークの日常的な運用に責任を持つ 連絡先でなければならない。 10.4 in-addr.arpa資源レコード維持の責任 /24よりも小さな割り当てに関しては、 IP指定事業者は顧客のネットワーク に関するin-addr.arpa資源レコードを維持しなければならない。 11.割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング 11.1 小規模マルチホーム割り当て 組織がマルチホームのためのプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける 資格を有するのは次の場合である。 ・現在割り当てられたアドレスでマルチホームをしている、あるいは3ヶ月 以内にマルチホームをする計画があることを実証する ・それまでに割り当てを受けていたアドレス空間のリナンバに同意する 組織がマルチホームをしているとみなされるのは、その組織のネットワーク が複数のISPから常時接続をうけ、そのISPのうち最低2つが、 1つ以上のルー ティングプリフィクスを広告している場合である。この条件下でプロバイダ非 依存アドレスの割り当てを申請する組織は、申請する割り当てのうち25%を直 後(割り当て後3ヶ月以内)に、 50%を1年以内に使用することを実証しなくては ならない。これらの条件の下で行われるJPNICによるプロバイダ非依存アドレ スの割り当ては、割り当て後1年以内に/24から/23未満を使用する計画を証明 できる場合である。 11.2 インターネットエクスチェンジポイント インターネットエクスチェンジポイント(IXP)は、IXPへ接続を行う機器に対 する接続の提供に利用を限定する前提で、JPNICからプロバイダ非依存アドレ スの割り当てを受ける資格を有する。 この条件下で行われる最小割り当ては/24である。このプロバイダ非依存ア ドレスの割り当てのグローバルなルータビリティは、IXP事業者の裁量に委ね られる。 11.3 クリティカルインフラストラクチャー 日本地域において、以下のクリティカルインフラストラクチャーを運用する 組織は、 JPNICからプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有す る。 ・ルートドメインネームシステム(DNS)サーバ ・gTLDネームサーバ ・ccTLDsネームサーバ クリティカルインフラストラクチャーへの割り当ては、それらの機能のため に実際に運用されるネットワークのみが可能である。ハウジングをしているな どして実際にネットワークを運用していないレジストラは、このポリシーのも とでは割り当てを受けることができない。この条件下で行われる最小割り当て は/24である。 11.4 経路集成を促進するためのリナンバリング 複数の集成されないプリフィクスを保有するエンドユーザは、単一の集成可 能なプリフィクスと付け替え、そのアドレスを返却することが望ましい。 12. IPv4アドレス空間の移転 JPNICが書面により承諾するIPv4アドレス空間の譲渡を本項にて「移転」と 定義する。 12.1 IPv4アドレス空間の移転 IPv4アドレスの移転とは、JPNICからある組織に対して付与されたIPv4アド レス空間の一部または全てのライセンス先を、別の組織へ変更することを JPNICが承諾し、その結果をJPNICのデータベースへ反映することである。 JPNICによる移転の承諾にあたっては、移転元、移転先両者の合意が得られて いることを前提とする。移転元および移転先は、両者が移転に合意している ことを裏付ける書類をJPNICに提出しなければならない。 12.1.1 移転対象のIPv4アドレス空間の条件 ・ JPNIC管理下のIPv4アドレスブロックに含まれる空間であり、移転申請時 点でJPNICとIPv4アドレスの管理に関する契約締結を行っている組織へ割 り振り、または割り当てが行われている空間であること ・ 最小移転サイズは/24とする 12.1.2 移転元の条件 ・ JPNICとIPアドレスの管理に関する契約締結を行っている以下のいずれか に該当する組織であること ・ IPアドレス管理指定事業者契約書を締結している組織 ・ プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書を締結している 組織 ・ 歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス割り当てに関する確認 書を締結している組織 ・ IPv4アドレス資源の現行の登録先であり、番号資源の利用状況について、 いかなる紛争にも関わっていないこと 12.1.3 移転先の条件 ・ JPNICとIPアドレスの管理に関する契約締結を行っている、または移転結 果のデータベースへの反映までにJPNICとIPアドレスの管理に関する契約締結 を行う以下のいずれかに該当する組織であること。 ・ IPアドレス管理指定事業者契約書を締結している組織 ・ プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書を締結している組織 ・ 歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス割り当てに関する確認書を 締結している組織 ・ 有効なJPNICアドレス空間管理ポリシーに基づき、移転後のIPv4アドレス 空間の管理を行うこと。また、移転を行うIPv4アドレス空間について、 プロバイダ非依存アドレス(PIアドレス)、プロバイダ集約可能アドレス (PAアドレス)、どちらのアドレス種別として管理するのか選択すること。 12.1.4 IPv4アドレス空間の移転履歴の公開 JPNICは、IPv4アドレス空間の移転結果をデータベースに反映し、本ポリシー に基づいて行われた移転に関する以下の公開履歴を維持する。 ・移転元組織名 ・移転元組織への割り振り日または割り当て日 ・移転先組織名 ・移転対象のIPv4アドレス ・移転申請完了日 13 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承 13.1 登録情報の更新 IP指定事業者としての権利が(合併、買収、継承などにより)変更された場合 は、新しい組織は、そのネットワークに関する情報および連絡担当者に関する 情報を変更しなければならない。権利所有者の変更の結果、IPアドレス管理指 定事業者の組織名が変更した場合は、そのIP指定事業者は、組織名変更の裏付 けとなる法的書類をJPNICに提出しなければならない。 13.2 IPアドレス管理指定事業者契約に対する影響 IP指定事業者の権利の所有者を変更した場合は、新しい組織は変更をJPNIC に通知すべきである。 IP指定事業者の権利は、譲渡することはできない。 13.3 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収の割り振りへの影響 IP指定事業者の合併、売却、買収の後、 JPNICは新組織(複数ある場合はそ れら該当する複数組織)の保有する全割り振りがどのような状態にあるかを確 認する。また、これに伴い、当該組織のインフラストラクチャーに対する実際 的な影響も顧慮する。合併、売却、買収の実際的影響として2つ以上のIP指定 事業者のインフラストラクチャーが合併された場合、 JPNICは両方のネットワー クにそれぞれ継続してアドレスを割り振ることはない。この場合包含されるIP 指定事業者のIPアドレス管理指定事業者契約は無効となる。 このケースにおいてJPNICは割り振りの状態を確認する際に、該当する全IP 指定事業者が保持するアドレス空間の完全な情報開示を求める。このような開 示が行われない場合は、割り振りは無効とみなされ、JPNICはそのアドレスの 返却を求める。 13.4. IPアドレス割り当て管理業務の停止 IP指定事業者がIRとして機能しなくなると、そのIRの未割り当てアドレスは 全てJPNICに返却されるべきである。さらに、そのIP指定事業者(またはIP指定 事業者の事業整理のため指名されたIP指定事業者の清算人、管財人)は全顧客 にIPアドレス割り当て管理業務停止の旨を通知し、別のIP指定事業者のアドレ ス空間へのリナンバリングに向けた調整を進める責任がある。廃業したIP指定 事業者の事業やインフラストラクチャーを、新しく別のIP指定事業者が引き継 ぐ場合、既存のアドレス空間を新IP指定事業者へ移管してもよい。ただし、そ のような移管はJPNICによる再審査の対象となり、また新規のアドレス申請処 理として扱われる場合もある。 14. 申請審議のガイドライン 本文書では、JPNICによる申請審議や、特定の技術についての詳細は述べな い。そのような詳細は技術の進歩に左右され、また頻繁に変わる可能性がある ためである。従って、JPNICは必要に応じて特定の技術や技法に関し、ガイド ラインとなる文書を別に策定する。そのようなガイドラインには以下のような 内容が含まれる場合がある。 ・アドレス空間申請の特定のタイプで使用される審議方法についての説明 ・アドレス空間を申請する組織が、ネットワーク計画において一般的に実装 するだろうと思われる現行の最善の実施策の概要 ・組織がアドレス空間申請を行う際に役立つ可能性のあるその他の情報 発行されたガイドラインはいずれも、本文書で述べた目標とポリシーに首尾 一貫したものとなる。 14. 謝辞 本文書作成にあたり、貴重なコメントをしていただいたAPNICに感謝する。 *関連文書* 「Policies for IPv4 address space management in the Asia Pacific region」 http://www.apnic.net/policy/add-manage-policy/
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