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文書管理情報 | |
---|---|
本文書番号 | JPNIC-01243 |
文書名 | JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシー |
発効日 | 2019/9/2 |
最終更新日 | 2019/8/1 |
この文書によって無効となる文書 | JPNIC-01229 |
この文書を無効とする文書 | JPNIC-01267 |
JPNICにおけるアドレス空間管理ポリシー
一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
本文書について
本文書は、 JPNICにおけるIPv4アドレスの割り振りや割り当て、 IPv4アドレス空間の移転に関するポリシーをまとめたものです。 まず本文書をご一読のうえ、 他のアドレス割り当てに関する一連のJPNIC文書をお読みください。
目次
第1部 背景、定義、目標、環境
第2部 アドレス空間管理のポリシー
- 7. 一般的なポリシーのフレームワーク
- 8. アドレス申請
- 9. IPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任
- 10. アドレスの割り振り
- 11. APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫管理の方法
- 12. IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理
- 13. 割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング
- 14. IPv4アドレス空間の移転
- 15. IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承
- 16. 申請審議のガイドライン
- 17. 謝辞
0. 本文書について
本文書は、 JPNICにおけるIPv4アドレス(以下「アドレス」)の割り振りや割り当て、 IPv4アドレス空間の移転に関するポリシーをまとめたものです。 まず本文書をご一読のうえ、 他のアドレス割り当てに関する一連のJPNIC文書をお読みください。
本文書では、具体的なアドレス割り当ての申請手続き、 移転申請手続きなどについては一切述べていません。 これについては技術文書群に詳しい解説がなされていますので、 それらの文書を参照してください。
0.1. 本文書の構成
本文書の構成は以下の通りです。
・ 第1節「はじめに」
本JPNICポリシーの目的についての解説
・ 第2節「本文書が対象とする範囲」
本文書で解説する範囲に関する解説
・ 第3節「アドレス空間分配の階層構造」
インターネットコミュニティにおけるアドレス空間分解の階層構造に関する解説
・ 第4節「定義」
本文書を読むにあたっての言葉の定義についての解説
・ 第5節「アドレス空間管理の目標」
アドレス空間を管理することの目的についての解説
・ 第6節「ポリシーを取り巻く環境」
本JPNICポリシーの策定にあたって要因となるさまざまな環境についての解説
・ 第7節「一般的なポリシーのフレームワーク」
ポリシーのフレームワークについての解説
・ 第8節「アドレス申請」
IPアドレス申請処理についての解説
・第9節「IPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任」
APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任についての解説
・ 第10節「アドレスの割り振り」
JPNICにおけるアドレスの割り振りと割り当てに関するポリシーについての解説
・第11節「APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫管理の方法」
予約されているアドレス空間、JPNICへ返却されたIPv4アドレス空間の管理に
ついての解説
・ 第12節「IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理」
IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理についての解説
・ 第13節「割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング」
特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリングについての解説
・第14節「IPv4アドレス空間の移転」
IPv4アドレス空間の移転についての解説
・第15節 「IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承」
IPアドレス管理指定事業者の管理業務の継承等についての解説
・ 第16節「申請審議のガイドライン」
JPNICにおける申請審議のガイドラインについての解説
第1部 背景、定義、目標、環境
1. はじめに
日本ネットワークインフォメーションセンター(以下「JPNIC」)は、 APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)のメンバーとして日本国内で機能している、 非営利の国別インターネットレジストリである。 JPNICはパブリックなインターネットアドレス空間を分配し、 この分配を管理するためのポリシーを立案・実施している。
本文書に記述されているポリシーは、JPNICをはじめとする、 日本国内で機能している全てのインターネットレジストリが実施するものとして、 アジア太平洋地域および日本国内のインターネットコミュニティが作ってきたものである。
本文書は、APNICが発行している以下の文書を参考に記述されている。 このAPNIC文書はJPNICやJPNICが指定するIPアドレス管理指定事業者を含む全てのインターネットレジストリが従うべき、 アジア太平洋地域全体におけるアドレス空間管理ポリシーについて記述されており、 本文書の上位文書にあたる。従ってAPNIC文書が将来的に変更された場合には、 本文書もそれにともなって変更されることになる。
『APNIC Internet Number Resource Policies』
本文書に記載されているポリシーは基本的にAPNICポリシーとの一貫性、 透明性を旨として策定されるため内容的にほとんどの部分が同一であり、 文書の体裁や構造も同一のものを採用している。ただし、 これはJPNICポリシーがAPNICポリシーと同一のものであるという意味ではない。 地域インターネットレジストリと国別インターネットレジストリという立場の違いによる内容の差異も存在するが、 ポリシーの内容に関してもAPNICにおいて許容される範囲でローカルポリシーを策定する可能性は残されている。
2. 本文書が対象とする範囲
本文書は、 JPNICおよびそのIPアドレス管理指定事業者およびプロバイダ非依存アドレス被割り当て者のために、 グローバルでパブリックなIPv4アドレス空間の責任ある管理を行うことを目標としたポリシーを記述している。 特に、本文書はアドレス空間の割り振りと割り当てに関する目標、 仮定、ポリシーに焦点を当てている。 本文書はIPv6アドレス空間、マルチキャストアドレス空間、 プライベートアドレス空間、 AS番号のポリシーについては記述していない。
3. アドレス空間分配の階層構造
IPアドレスはRFC2050に記述された階層的構造にもとづいて分配されている。 その構造は図1の通りである。
+--------+ | ICANN | +--------+ | +-----------+-----------+-----------+-----------+ | | | | | +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +---------+ | ARIN | |RIPE NCC| | APNIC | | LACNIC | | AFRINIC | Regional Internet Registries +--------+ +--------+ +--------+ +--------+ +---------+ | +-----------+--+--------+ | | | +------+ +-------+ | | NIR | | JPNIC | | National Internet +------+ +-------+ | Registries | | (NIR) | +------+--+ | | | | | | +------+ | +------+ +------+ Local Internet | LIR | | | LIR | | LIR | Registries +------+ | +------+ +------+ | | | | +-----+ | | | | | | | | | | | | | +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ | EU | | EU | | EU | | EU | | EU | End-users +----+ +----+ +----+ +----+ +----+ 図 1
この階層構造では、 ICANN(Internet Corporation For Assigned Names and Numbers)/IANA(Internet Assigned Numbers Authority)はアジア太平洋地域への再分配用としてAPNICにアドレス空間を割り振り、 APNICはNIRの一つであるJPNICに対し、 日本国内のアドレス管理を委任している。 そして、 JPNICは日本国内のローカルインターネットレジストリ(LIR)にアドレス空間を割り振り、 同時にそのLIRがエンドユーザに対して割り当てを行う権限の委任も行う。 JPNICがエンドユーザに割り当てを行う場合もある。 LIRはJPNICの指導のもとで、 本文書に書かれたポリシーや手続きに従い、 自分のメンバーや顧客にアドレス空間を割り当てる。
4. 定義
本文書で使用される用語の定義を行う。
4.1 インターネットレジストリ(IR:Internet Registries)
インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分配し、 その分配を登録する責任を持つ。 IRは図1の階層構造の中で、 主要な機能と地域的担当範囲に基づき分類される。
本文書で用いられるIRという用語にはAPNICとその他の地域インターネットレジストリ(RIR)、 JPNICなどの国別インターネットレジストリ(NIR)、 ローカルインターネットレジストリ(LIR)を含んでいる。
4.1.1 地域インターネットレジストリ(RIR:Regional Internet Registries)
地域インターネットレジストリ(RIR)はICANNの認可で設立され、 大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、 それぞれが担当する各地域内でアドレス空間を分配、 管理することである。 今後、少数のRIRが追加で設立される可能性はあるが、 現在RIRとしては、AFRINIC、APNIC、RIPE NCC、ARIN、 LACNICの五つがある。
4.1.2 国別インターネットレジストリ(NIR: National Internet Registries)
国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、 LIRであるメンバーにアドレスを割り振りするIRであり、 一般的にNIRのメンバーは、 国レベルで組織されたインターネットサービスプロバイダ(ISP:Internet Service Providers)である。 NIRはISPで構成されるが、それ自体はISPとしては機能しない。 NIRは自らを構成しているISPの利益に関して中立を維持することが期待される。 JPNICはこのNIRにあたる。
4.1.3 ローカルインターネットレジストリ(LIR: Local Internet Registries)
ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、 主として自分が提供するネットワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。 LIRは一般にISPのことであり、 その顧客は主としてエンドユーザであるが、 その顧客が別のISPである場合もある。 IPアドレス管理指定事業者はこのLIRにあたる。
4.2 インターネットエクスチェンジポイント(IXP: Internet Exchange Points)
インターネットエクスチェンジポイント(IXP)は、 物理的なネットワークインフラストラクチャーであり、 独立したISP間でのインターネットトラフィックの交換を円滑化するために運用される。 IXPに接続されるISP数は最低でも3つあるべきで、 他のISPが参加するための明確でオープンなポリシーがなければならない。 IXPはIRでなく、アドレス空間のエンドユーザであるとみなされる。
4.3 IPアドレス管理指定事業者
IPアドレス管理指定事業者(以下「IP指定事業者」)とは、 JPNICとの間に取り交わしたIPアドレス管理指定事業者契約書を保持しているネットワークサービス事業者を示す。
4.4 プロバイダ非依存アドレス被割り当て者
JPNICで示すプロバイダ非依存アドレス被割り当て者 (以下「PIアドレス被割り当て者」)とは、 以下の二つの組織を示す。
4.4.1 特殊用途用プロバイダ非依存アドレス被割り当て者
特殊用途用プロバイダ非依存アドレス被割り当て者とは、 JPNICとの間に取り交わした特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書を保持している組織を示す。
4.4.2 歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス被割り当て者
歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス被割り当て者とは、 「歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレス割り当て規約」に同意した組織を示す。
4.5 アドレス空間
本文書では、 アドレス空間はパブリックなIPv4アドレスレンジを意味し、 マルチキャストアドレスやRFC1918で定義されているプライベートアドレス等、 "IANAがIANA IPv4 Special-Purpose Address Registry"として予約しているアドレス空間は対象に含めない。
4.6 割り振られた/割り当てられたアドレス空間
JPNICのアドレスポリシーを理解するためには、 「割り振り」と「割り当て」という用語の区別を明確にしておくことが重要である。
4.6.1 割り振り
割り振りとは、 再分配用としてアドレス空間をIRに分配することである。
4.6.2 割り当て
割り当てとは、IRがエンドユーザに対し、 割り振られたアドレス空間の一部または全部を、 エンドユーザのネットワークで利用するために分配することである。 また、 IRが内部のネットワーク用として使うときも、 そのアドレス空間は割り当てられたアドレス空間と呼ばれる。 割り当てられたアドレス空間は、 エンドユーザが申告した特定の目的のためにのみ使用されるものであり、 さらに割り振りや割り当てされるものではない。
5. アドレス空間管理の目標
5.1 目標
ここに記述されるアドレス空間管理の目標は、 インターネットコミュニティにより形成されてきたもので、 インターネットが最大限に機能し成長できることを保証し、 このコミュニティ全メンバー相互の利益を反映するものである。 日本国内におけるこれらの目標の達成を保証するのが、 公共資源の管理者たるJPNICの第一の義務である。 JPNICは、IP指定事業者が責任を持ってポリシーを策定・実現し、 実践していくにあたり、 リーダシップを発揮してその方向付けを行っていきたいと考えている。 全てのIP指定事業者は各々の活動範囲において、 責任を持ってこれらの目標を達成できるよう努めなければならない。
5.1.1 一意性
各割り当ておよび割り振られたアドレス空間は、 世界にただ一つしかないことを保証しなければならない。 これはインターネット上のそれぞれのパブリックなホストが一意に識別されるための絶対的要件である。
5.1.2 登録
インターネットアドレス空間の割り当てと割り振りは、 インターネットコミュニティの全メンバーがアクセス可能な、 公開されているレジストリデータベースに登録されなければならない。 これは、 インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、 RIRをはじめとする全てのIRやエンドユーザなど、 インターネットを利用するあらゆるレベルの人が遭遇するインターネット上のトラブルを解決するための、 参照情報として利用できるようにするためである。 さらに、アドレス空間のように公共の資源を利用する全ての人が、 その資源の状態等を確認可能であるべきとする、 インターネットコミュニティの考え方を反映するものでもある。
5.1.3 経路の集成
アドレス空間は、 ネットワークインフラストラクチャーのトポロジに沿って、 可能な限り階層的に分配されなければならない。 これは、 経路情報を集成し経路表の増大を抑えるために必要なことである。
5.1.4 アドレスの節約
インターネットアドレス空間という限られた資源の寿命を最大限に延ばすために、 アドレス空間は、 実際の使用量に応じて当面本当に必要となる数だけが分配されるべきである。 従ってアドレス空間を使用せずに蓄積したり、 顧客のために予約したりすることは避けなければならない。
節約するということはまた同時に、 効率的に使用すべきというということも意味しており、 全てのインターネット利用者は、 「可変長サブネットマスク(VLSM)」等の技術の他、 効率的なアドレス空間の利用を実現する技術をできるだけ採用するべきである。
5.1.5 公平性
アドレス空間の使用に関する全てのポリシーは、 現在および未来にわたる全てのインターネットコミュニティの構成員に対し、 場所、国籍、 規模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実践されるべきである。
5.2 目標の衝突
アドレス空間の節約と経路集成という目標はしばしば衝突する。 さらに、 [5.1 目標]で述べたことは、 時として個々のIRおよびエンドユーザの利益と衝突することがある。 アドレス空間の割り振りと割り当ての申請を審査する全てのIRは、 それに関連する全ての事柄を注意深く分析し、 インターネットコミュニティ全体のニーズと申請者のニーズのバランスを取らなければならない。
本文書に記述されているポリシーは、 NIRであるJPNICを含む日本国内の全てのIRが、 首尾一貫した平等な方法でこれらニーズのバランスを取るのを助けるためのものである。 これには、意思決定過程の明文化と透明性維持も必要になる。
6. ポリシーを取り巻く環境
[5. アドレス空間管理の目標]にある目標の他、 インターネットコミュニティの期待、現行の管理構造、 技術的制限などの要因全てを考慮して、 JPNICポリシーは策定される。 環境の変化は突然おこることもあり、 それをまったく予測できないこともある。 IP指定事業者の代表たるJPNICの重要な役割は、 この環境変化を監視し、 その環境変化がJPNICポリシーに対してどのような意味を持つかをIP指定事業者に通知していくことである。 この節では、今現在の環境でJPNICポリシーの策定に最も重要な意味を持っている要因を記述している。
6.1 ルータビリティ(経路制御可能性)
アドレス空間のルータビリティ(経路制御可能性)は保証できるようなものではない。 それは、グローバルに広告された経路数を減らすために、ISPは、 プリフィックス長にもとづく経路フィルタリングを実施する場合があるからである。 この観点からみると、 プロバイダ非依存アドレスはインターネット上で、 ルータビリティ(経路制御可能性)が最も低くなる可能性をはらんでいる。
以上の理由から、JPNICポリシーでは、 ユーザは直接JPNICやAPNICに対してプロバイダ非依存アドレスの割り当てを申請するのではなく、 接続するプロバイダに対してプロバイダ集成可能アドレス申請を行うべきであるとしている。
6.2 インターネットの成長率
アドレス空間分配における初期の戦略は、 インターネットの爆発的成長と利用できるアドレス空間の大きさ、 経路制御に関して、 成長の結果生じる規模拡大への対応性の問題を予測したものではなかった。 アドレス管理ポリシーおよび手続きの策定に際しては、 過去の経験を考慮し、 将来起こりうる問題を予測する努力をしなければならない。
6.3 責任の共有
JPNICは、 管理可能で規模が拡大しても対応可能なインターネットの成長を確保することに対し、 IP指定事業者およびその顧客、 そしてPIアドレス被割り当て者と共に、 その責任の一端を担っていると認識している。 JPNICはIP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者に対し、 アドレス空間管理のポリシー策定とその実行、 [5. アドレス空間管理の目標]にある目標と合致した意志決定の推奨や支援に、 主要な役割を担わなければならない。 JPNICとIP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者との関係は、 提示される情報やネットワークプラン等の根拠書類が、 虚偽なく正確なものであるという信頼関係にもとづいて成立している。
6.4 公平性
JPNICはインターネットコミュニティ全体、 特に日本のインターネットコミュニティ全体の利益を代表している。 JPNICはポリシーを公平、 平等に全IP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者に適用し、 対象組織の規模や地理的場所、 その他の要因によって左右されることはない。
6.5 専門知識のさまざまなレベル
IRスタッフとエンドユーザが持つ経験と専門知識のレベルはさまざまに異なる。 JPNICは、 日本のインターネットコミュニティ全体のアドレス空間管理が、 首尾一貫して実施されることを保証することに適した、 さまざまなレベルの支援や指導を行っていく。
6.6 アドレスの所有
JPNICポリシーは、アドレス空間は希少な共有資源であり、 その分配は必要な数だけを責任を持って行われるべきであると、 インターネットコミュニティ全体に働きかけるものである。 アドレス空間を使用するISPやその他の組織、および個人は、 資源の「所有者」ではなく、「管理者」とみなされる。 アドレスの残数がさらに少なくなると、 アドレス空間管理ポリシーはコミュニティにより修正される場合がある。
6.7 アドレスを蓄積すること
アドレスを使用せずに蓄積しておくことは、 節約と公平性の目標に反する。 JPNICポリシーは、蓄積するのではなく、 すぐ使用するものとして具体的に示された必要性にもとづき、 効率的にアドレスを分配するべきであるとしている。
6.8 効率的技術にもとづいた評価
特定の状況において、 効率的・階層的なアドレス分配が可能になる適切な技術がある場合、 エンドユーザはその時々に最も推奨される技術を採用するべきである。 JPNICはIP指定事業者やさらに広い範囲のインターネットコミュニティと協力し、 インターネットアドレスに関するその時々に推奨される方法を定義し、 発展させていく。
6.9 プライベートアドレス空間
プライベートアドレス空間は、 ファイアウォールを経由してインターネットに接続しているネットワークや、 技術的にパブリックなアドレス空間を利用する必要のないネットワークでのアドレス利用に適している場合がある。 一般的には、プライベートアドレス空間は、 インターネットに接続されないネットワークに使用されるべきである。
6.10 最小割り振りサイズ
経路集成とアドレス空間の節約という二つの目標はしばしば衝突する。 このためアドレス空間割り振りに関しては、 アドレス空間の節約という観点からは最小限で、 経路集成という観点からは実用的な、 バランスの取れたサイズを設定する必要がある。
6.11 根拠資料
アドレス申請を適切に審議するために、 IP指定事業者および特殊用途用IPアドレス申請者には該当するネットワークに関する詳細な資料の提出が要求される。 この資料にはネットワークエンジニアリング計画、 サブネット計画、ネットワークトポロジ、経路制御計画、 機器の請求書と発注書、その他関連書類などの説明が含まれる。 この資料は首尾一貫した基準にもとづいている必要があり、 ここに含まれる見積もりや予測は全て現実的でかつ根拠あるものになっていなければならない。
6.12 機密性
アドレス空間申請をサポートする資料には、 組織や個人に関係する非常に高い機密性が要求される可能性のある情報が含まれている。 従って、JPNICはIP指定事業者およびその顧客のビジネスおよび個人、 そしてPIアドレス被割り当て者に関する機密情報を保護する手段を適用・強化し、 それらの組織や顧客の信頼に足るサービスを提供する。
第2部 アドレス空間管理ポリシー
7. 一般的なポリシーのフレームワーク
7.1 首尾一貫したアドレス管理ポリシーの採用
IP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者は、本文書で示される、 インターネットコミュニティで形成されたポリシーに沿った方針でアドレス空間を管理するべきである。 IP指定事業者は、[10.1アドレス空間のライセンス]の条件に従った契約に基づいてのみ、 それぞれの責任下にあるアドレス空間の割り当てを行わなければならない。
8.アドレス申請
8.1 正確な申請書にもとづく申請処理
JPNICは、完全かつ適切に文書化されている申請書を処理する。 申請書に間違いや抜けがある場合、 JPNICは申請者にできるだけ速やかに通知する。 また、JPNICは提出された申請書の中の不明確な部分に関して、 さらに詳細な情報や説明を求めることがある。 申請者がこのJPNICの疑問を十分解消する解答を行った場合、 できるだけ速やかに処理を進める。 申請書に間違いや抜けが無かった場合も同様である。 JPNICは申請処理に関して一貫した信頼に足るレベルのサービスを維持するために、 可能な限り努力する。
8.2 安全性と機密性
JPNICは、IP指定事業者およびその顧客、 そしてPIアドレス被割り当て者のビジネス上/インフラ上の運用に関する情報の機密性を保護するシステムや手段を維持する。 JPNICのスタッフまたは代理業者は全て明文化された機密性保持の条件にもとづき雇用されている。 JPNICはデータベースへのアクセスコントロールメカニズムを提供している。 このようなメカニズムを利用していくのは、 各IP指定事業者やエンドユーザ、 PIアドレス被割り当て者の責任である。
8.3 公平な申請処理
JPNICは、 適切な申請書を受け取った順番に公平な方法に則って申請を扱う。 全ての申請者は平等に扱われなければならないため、 JPNICは地理的条件、規模その他いかなる理由にも左右されず、 どのような状況においても申請処理の通常の順番から特別扱いをしたり例外を作ったりすることはない。 JPNICは、効率的な管理のため申請チケットシステムを構築し維持する。 これを用いて一定の期間内に申請を処理するよう努める。
8.4 割り振りの一般的要件
アドレス空間の割り振り申請は全て、 申請しているIP指定事業者のネットワークインフラストラクチャー、 申請しているアドレス空間の用途を説明した根拠情報を提出しなければならない。 JPNICはその根拠情報とともに、 そのIP指定事業者が現在保持している全てのアドレス空間と過去の割り当て履歴を考慮して申請を処理する。 この一般要件に加え、 より詳細な根拠資料の提出が求められる場合がある。 (10.2、10.3、10.4を参照のこと)
8.5 複数のIRにアドレス空間を申請する組織
JPNICポリシーのもとでは、 組織は一度にただ一つのIRからのみアドレス空間を取得しなければならない。 複数のIRにアドレス空間を申請する場合、 申請組織は現在保有しているアドレス空間を、 どこから割り当てを受けたかにかかわらず全て申告しなければならない。 さらに、複数のIRに同時に申請している組織はその全ての申請の詳細を申告しなければならない。
しかし、特定の状況(例:組織がマルチホームしている場合)では強力な技術的理由により一つ以上のプロバイダからアドレス空間を受け取るのが適切なこともある。 このため、親組織とその傘下組織は一般に単一の組織とみなされる。 組織の一部が別個の法人で完全に独立したネットワークインフラストラクチャーを維持していて、 それぞれ異なるAS番号のもとに経路制御されている場合、 あるいは複数のIRからアドレス空間を取得する必要があることをその根拠とともに示せる場合は例外となる。
9. IPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任
APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫から委任が認められるIPv4アドレス空間は、 「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」に該当する範囲から最大で/23(512アドレス)相当のサイズに限定される。 また、現在の最小委任サイズは/24(256アドレス)とする。
当該IPv4アドレス空間の委任を受けるためには、 JPNICとIPアドレス管理に関する契約を締結し、 以下いずかの項目で定めた要件を満たさなければならない。
10.3 初回割り振りの基準
10.4 追加割り振りの基準
13.1 小規模マルチホーム割り当て
13.2 インターネットエクスチェンジポイント
13.3 クリティカルインフラストラクチャー
10. アドレスの割り振り
10.1 アドレス空間のライセンス
JPNICは、「ライセンス」という考え方にもとづいて、 IPアドレス空間の委任を行う。 このライセンスの期限は、通常1年間という限定された期間である。 ライセンスの条件は、ライセンスの交付時または更新時に適用される。 これらは資源の割り振りと割り当てに関するJPNICポリシーに従ったものである。 ライセンス更新は可能であり、 その条件は以下の2点を満たしていることである。
- 割り振り当初の根拠が更新時点でまだ有効である
- その割り振りに関する登録要件が更新時点で満たされている
ライセンスが更新される時、更新後のライセンス条件は、 更新時点の資源割り振りポリシーとライセンス更新ポリシーが適用される。 ライセンス条件の変更は、 IP指定事業者およびPIアドレス被割り当て者の総意により認められた例外を除き、 規定されている一定の通知期間を経るものとする。 個々のライセンスを再検討するのは、 関連のIRが、 既存のライセンス条件が守られていないと信ずるに足る理由がある場合のみとする。 IRは、既存ライセンスの再検討のために、 適切と思われる独自の手順を実施することができる。
10.2 最初の割り振りのスロースタート
JPNICは新規のIP指定事業者全てにスロースタートのメカニズムを適用する。 JPNICで適用される1回目の割り振りは、 [9. IPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任]に示されるサイズとなる。 スロースタートはJPNICのほかにも多くのIRが採用している方法であり、 RIRおよびNIRから割り振りされた大きなアドレスブロックが割り当てされないまま残ってしまうことを防止する目的のために適用されている。
10.2.1 スロースタートの例外
例外的に、 IP指定事業者は規定より大きいサイズの割り振りを最初に受け取ることもある。 これはIP指定事業者がすぐに必要とするネットワークアドレスが、 標準的なスロースタート割り振りの大きさを上回ることを示す、 十分に詳細で具体的な根拠情報を提供できる場合においてである。 そのような根拠情報の例としては、 設備購入の領収書、発注書、署名入りプロジェクト契約等のように、 IP指定事業者が目下ネットワーク用にアドレスを必要としていることを示す書類があげられる。
10.3 初回割り振りの基準
初期割り振りを受ける資格のため、 IP指定事業者は以下の基準を満たさなければならない。
- 割り当て済みのアドレスについて、ポリシーに従ったアドレスの運用を行っている
- 上位のプロバイダから、すでに/24を割り当てられ使用している、または直後に/24を使用することを証明できる
- 1年以内に/23を使うことを証明できる詳細な計画を提示できる
10.4 追加割り振りの基準
IP指定事業者は、最初の割り振りを受けた後も、 必要に応じて追加の割り振りを申請することができる。 追加割り振りは、IP指定事業者の過去の割り振り実績、 アドレス空間利用計画、割り当て実績と割り当て率を確認し、 IP指定事業者がどの程度JPNICポリシーに準拠しているかにより決定される。 ここでいう割り当て率とは、 指定事業者が過去に受けた割り振り中の、 実際に割り当てを行った空間の割合のことである。 JPNICはこれらを審査し、 IP指定事業者に対してアドレス空間の追加割り振りをする。
この時割り振られるアドレス空間のサイズは、 IP指定事業者の過去の割り当て実績を考慮して決定される。 これらの要因にもとづき、JPNICは、最高1年までの期間で、 [9. IPv4アドレス在庫からのアドレス空間の委任]に示されるサイズを超えない範囲で、 IP指定事業者が見積もった割り当て需要を満たすのに十分なアドレス空間を割り振るものとする。 JPNICが1年未満の期間で割り振りを行う場合、 JPNICはその割り振り期間、 およびその期間を選んだ理由をIP指定事業者に伝えねばならない。
10.4.1 連続した割り振りは保証されない
JPNICは前回の割り振りと連続したアドレス空間を追加で割り振るよう努力する。 しかし、アドレスの予約ができないため、 JPNICは連続した空間の割り振りができるとは保証できない。
10.5 割り振りを全て使用したIPアドレス管理指定事業者
IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り当てされていなければ、 JPNICはそのIP指定事業者に割り振りを行わない。
10.5.1 特殊な状況・大きな割り当て
IP指定事業者が保持する全割り振りの80%を超える空間がその時点で割り当てされていない場合でも、 残っている空間よりも大きいサイズの割り当てを行う必要がある場合、 その指定事業者はJPNICに追加割り振りを申請できる。
10.6 予約は割り当てとみなされない
IP指定事業者が顧客に割り当てる際には、 必ず現在保有しているアドレス空間から割り当てをしなければならない。 JPNICは割り振り申請を評価するときに、 IP指定事業者によって他の顧客用に予約された空間を未割り当て空間とみなす。
10.7 アドレスの集成
全ての割り振りにおいて、 割り振られたアドレス空間のIP指定事業者による経路広告が最少の数になるように(1が望ましい)集成されるべきである。 経路集成という目標を達成するために、 エンドユーザはそのIP指定事業者の顧客である間だけアドレス割り当てを保持するということを、 ユーザとIP指定事業者間で合意しておくことが要求される。 合意事項には、 そのIP指定事業者がアドレスを使用する際のライセンスの条件とも一貫している必要がある。
10.8 割り振りと割り当ての有効性
アドレス空間の割り振り、割り当ては全て、 割り振られたまたは割り当てられたときに適用された基準が効力を持つ間のみ有効となる。 特定の目的のために割り振りまたは割り当てが行われても、 その目的がなくなった場合は割り振りもしくは割り当ても有効ではなくなる。 割り振りまたは割り当ては、 虚偽もしくは不完全な情報にもとづいて行われたことが判明した場合無効になる。 このときアドレスは適切なIRに返却されるべきである。
10.9 アドレス空間の譲渡
JPNICが書面により承諾した場合を除き、 アドレス空間の譲渡は認められない。 そのような譲渡は無効である。 そのような譲渡によるアドレスを保持する組織は、 そのアドレスを適切なIRに返却しなければならない。
11. APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫管理の方法
11.1 将来における利用のためのアドレス空間の予約
APNIC地域におけるIPv4アドレス在庫のうち、/16空間は、 現時点では予測がつかない将来における利用のために別途リザーブされる。
なお、 APNIC地域における残りのIPv4アドレス在庫からすべてのアドレスを委任した時点でも、 リザーブした/16空間が利用されていない場合、 当該/16空間のリザーブは解除してAPNICの未割り振り在庫として扱い、 「9.IPv4アドレス在庫からのアドレスの委任」で定めたポリシーに従い、分配を実施する。
11.2 JPNICへ返却されるIPv4アドレス空間
JPNICへ返却されるすべてのIPv4アドレス空間は、 APNICまたはJPNICのIPv4アドレス在庫に追加され、 「9. IPv4アドレス在庫からのアドレスの委任」で定めたポリシーに従い、 分配管理を行う。
12. IPアドレス管理指定事業者によるアドレス管理
以下の規定に従い、 IP指定事業者は顧客に対してアドレス空間の割り当てを行うことができる。
12.1 IPアドレス管理指定事業者のためのアサインメントウィンドウ
IP指定事業者が、 JPNICポリシーと[5. アドレス空間管理の目標]を理解し、 それに準拠した活動を行うために、 JPNICはアサインメントウィンドウというメカニズムを採用する。
アサインメントウィンドウとは、 IP指定事業者がJPNICに割り当て審議申請を行わずに割り当てができる最大のアドレス数のことである。 指定事業者がアサインメントウィンドウを超える割り当てを行うことを希望する場合は、 IP指定事業者は割り当てを行う前にまず割り当て審議申請をJPNICに提出しなければならない。 新規にIP指定事業者になったときIP指定事業者の最初のアサインメントウィンドウはゼロである。 つまり、 この段階では全ての割り当てはまずJPNICに承認されなければならない。 JPNICは定期的にIP指定事業者のスタッフが割り当てや割り当て審議の申請を効率的に行っているかを査定し、 アサインメントウィンドウのサイズを再検討する。 IP指定事業者のスタッフの業務熟達度が上がれば、 JPNICはアサインメントウィンドウのサイズを拡大する。 IP指定事業者のアサインメントウィンドウの最大サイズは/19(8,192アドレス分)である。
新人スタッフのトレーニングその他関連する事情により、 IP指定事業者のスタッフの業務熟達度がJPNICの基準を満たさなくなると、 JPNICは一時的にそのIP指定事業者のアサインメントウィンドウのサイズを縮小することがある。
12.2 割り当てアドレスの使用見積り
割り当て申請は、 割り当てしてすぐ発生する必要性と将来予想される必要性にもとづいた使用見積りによって裏付けされなければならない。 その見積りは非常に信頼できる水準で証明できていなければならない。 見積りは3ヵ月以内、半年以内、1年以内のものを提出する。 アドレス割り当ての直後にアドレス空間の25%、 1年以内に50%が使用されるという見積りにもとづいて割り当てが行われる。
12.3 登録の必要性
アドレス割り当ての際、 IP指定事業者はJPNIC データベースにその割り当てに関する全ての情報を以下に従い登録しなければならない。
- /30より大きいネットワークへの割り当ては登録されなければならない /30、または/30より小さいネットワークの割り当てに関しては、IP指定事業者とネットワーク管理者の裁量により上位組織のインフラストラクチャーとして登録してもよい
- ホストへの割り当てはIP指定事業者とエンドユーザの裁量により上位組織のインフラストラクチャーとして登録してもよい
また、JPNICのデータベースに登録された割り振り、割り当て情報は、 JPNICの上位組織であるAPNICのデータベースでも一部公開される。
データベースの情報はインターネット上のトラブルを解決するときに必要なものであり、 かつインターネットコミュニティ全体の利益となる、 情報の信頼性と透明性の維持に役立っている。
12.3.1 登録情報の更新
IP指定事業者は、エンドユーザの登録情報を含み、 IP指定事業者が登録した全ての情報に何らかの変更があった場合にJPNICデータベースを更新しなければならない。 PIアドレス被割り当て者においても、 自ら登録した情報に何らかの変更があった場合に、 JPNICデータベースを更新しなければならない。
12.3.2 連絡担当者の登録
連絡担当者の登録は責任あるアドレス空間管理の重要な部分である。 [管理者連絡窓口]の項目に登録する連絡先は、 その組織を代表して当該ネットワークに関する責任を持つ連絡先であることが望ましい。 ただし、正当な理由がある場合は、 当該連絡先と連絡が取れる連絡先を登録することも認められている。 [技術連絡担当者]の項目に登録する連絡先は、 ネットワークの所在地に必ずしも物理的に居る必要はないが、 そのネットワークの日常的な運用に責任を持つ連絡先でなければならない。
12.4 in-addr.arpa資源レコード維持の責任
/24よりも小さな割り当てに関しては、 IP指定事業者は顧客のネットワークに関するin-addr.arpa資源レコードを維持しなければならない。
13.割り当てと経路集成を促進するためのリナンバリング
13.1 小規模マルチホーム割り当て
組織がマルチホームのためのプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有するのは次の場合である。
- 現在割り当てられたアドレスでマルチホームをしている、あるいは
- 上位のプロバイダから少なくとも/24のアドレスを割り当てられ使用しており、マルチホームする意志がある、あるいは
- マルチホームを行い、6ヶ月以内に割り当てられたアドレス空間を広告する意志がある
この条件下でプロバイダ非依存アドレスの割り当てを申請する組織は、 申請する割り当てのうち25%を直後(割り当て後3ヶ月以内)に、 50%を1年以内に使用することを実証しなくてはならない。 これらの条件の下で行われるJPNICによるプロバイダ非依存アドレスの割り当ては、 割り当て後1年以内に/24から/23未満を使用する計画を証明できる場合である。
13.2 インターネットエクスチェンジポイント
インターネットエクスチェンジポイント(IXP)は、 IXPへ接続を行う機器に対する接続の提供に利用を限定する前提で、 JPNICからプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有する。
この条件下で行われる最小割り当ては/24である。 このプロバイダ非依存アドレスの割り当てのグローバルなルータビリティは、 IXP事業者の裁量に委ねられる。
13.3 クリティカルインフラストラクチャー
日本地域において、 以下のクリティカルインフラストラクチャーを運用する組織は、 JPNICからプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受ける資格を有する。
- ルートドメインネームシステム(DNS)サーバ
- gTLDネームサーバ
- ccTLDsネームサーバ
クリティカルインフラストラクチャーへの割り当ては、 それらの機能のために実際に運用されるネットワークのみが可能である。 ハウジングをしているなどして実際にネットワークを運用していないレジストラは、 このポリシーのもとでは割り当てを受けることができない。 この条件下で行われる最小割り当ては/24である。
13.4 経路集成を促進するためのリナンバリング
複数の集成されないプリフィクスを保有するエンドユーザは、 単一の集成可能なプリフィクスと付け替え、 そのアドレスを返却することが望ましい。
14. IPv4アドレス空間の移転
IPv4アドレスは、一定の要件を満たすことにより、 当初分配を受けた組織から、別の組織へ、 ライセンスを譲渡することができる。 これをIPv4アドレス空間の移転と呼ぶ。
14.1 IPv4アドレス空間の移転に関する定義
IPv4アドレス空間の移転に関わる、 JPNIC以外の組織を以下のように定義する。
14.1.1 JPNIC契約組織
以下のいずれかに該当する組織。
- IPアドレス管理指定事業者契約書を締結している組織、または締結しようとしている組織
- プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約書を締結している組織、または締結しようとしている組織
- 歴史的経緯を持つプロバイダ非依存アドレス割り当てに関する確認書を締結している組織
14.1.2移転対象レジストリ
RIRまたはJPNIC以外のNIRのうち、 国際移転を認めるアドレスポリシーを施行し、 かつJPNIC契約組織との移転を双方向で認めているレジストリ。
14.1.3移転対象レジストリ契約組織
移転対象レジストリからIPアドレスの分配を受ける資格を持つ組織。
14.2 IPv4アドレス空間の移転の種類
IPv4アドレス空間の移転は、JPNIC契約組織間で行う移転と、 JPNIC契約組織と移転対象レジストリ契約組織間で行う移転の2種類に分類される。
14.2.1 JPNIC契約組織間移転
移転元、移転先ともにJPNIC契約組織となる移転を、 「JPNIC契約組織間移転」といい、 あるJPNIC契約組織に分配されたIPv4アドレス空間の一部または全てのライセンスを、 一定の要件を満たすことにより、 別のJPNIC契約組織へのライセンスに変更することをJPNICが承諾し、 その結果をJPNICデータベースへ登録することを指す。
JPNIC契約組織間移転の要件詳細は、 「14.3 JPNIC契約組織間移転の要件」を参照。
14.2.2 国際移転
JPNIC契約組織と移転対象レジストリ契約組織間で行う移転を、 「国際移転」といい、 JPNIC契約組織が移転元となるケースと、 JPNIC契約組織が移転先となるケースがある。
JPNIC契約組織から移転対象レジストリ契約組織へ移転するケースでは、 当該JPNIC契約組織に交付されたIPv4アドレス空間の一部または全てのライセンスを、 一定の要件を満たすことにより、 移転先となる移転対象レジストリ契約組織へ変更することを、 JPNICと移転対象レジストリの両者が承諾する。 また、その結果として、 JPNICは、移転するIPv4アドレス空間をJPNICデータベースから削除し、 移転対象レジストリは、当該IPv4アドレス空間を、 移転先を管理者として、 自らのデータベースに登録する。
移転対象レジストリ契約組織からJPNIC契約組織へ移転するケースでは、 当該移転対象レジストリ契約組織に交付されたIPv4アドレス空間の一部または全てのライセンスを、 一定の要件を満たすことにより、 移転先となるJPNIC契約組織へ変更することを、 JPNICと移転対象レジストリの両者が承諾する。 また、その結果として、移転対象レジストリは、 移転するIPv4アドレス空間を自らのデータベースから削除し、 JPNICは、当該IPv4アドレス空間を、 移転先となるJPNIC契約組織を管理者として、 JPNICデータベースに登録する。
国際移転の要件詳細は、 「14.4 国際移転の要件」を参照。
14.3 JPNIC契約組織間移転の要件
JPNICによるJPNIC契約組織移転の承諾にあたっては、移転元、 移転先両者の合意が得られていることを前提とする。 移転元および移転先は、 両者が移転に合意していることを確認するための書類をJPNICに提出しなければならない。
JPNICは、次に示す要件に基づき、 JPNIC契約組織間の移転申請を処理し、データベースの更新を行う。
- JPNIC契約組織間移転の対象となるIPv4アドレス空間の要件
-
- 移転元となるJPNIC契約組織を管理者としてJPNICデータベースに登録されているIPv4アドレス空間であること
- 対象となるIPv4アドレス空間が「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から委任または割り当てが行われている場合、移転元となるJPNIC契約組織への委任または割り当てから少なくとも5年を経過していること
- 最小移転サイズは/24とする
- JPNIC契約組織間における移転元の要件
-
- JPNIC契約組織であること
- 移転するIPv4アドレス空間の管理者としてJPNICデータベースに登録されていること
- IPアドレスおよびAS番号の利用に関していかなる紛争にも関わっていないこと
14.3.3 JPNIC契約組織間における移転先の要件
- JPNIC契約組織であること。または、移転結果をJPNICデータベースに登録するまでにJPNIC契約組織となっていること
- 有効なJPNICアドレス空間管理ポリシーに基づき、移転後のIPv4アドレス空間の管理を行うこと
- 移転を行うIPv4アドレス空間について、「プロバイダ非依存アドレス(PIアドレス)」、「プロバイダ集約可能アドレス(PAアドレス)」、のどちらのアドレス種別として管理するのか選択すること
上記に加え、 当該JPNIC契約組織間移転で移転されるIPv4アドレス空間が、 国際移転によってJPNICデータベースに登録されたIPv4アドレス空間である場合に限り、 移転申請前に、 JPNICから移転可能IPv4アドレスサイズの通知を受けていることが必須となる。 詳細は「14.5 JPNICからの移転可能IPv4アドレスサイズの通知」を参照。
14.4 国際移転の要件
国際移転においても、JPNICによる移転の承諾にあたっては、移転元、 移転先両者の合意が得られていることを前提とする。
JPNIC契約組織が、移転元あるいは移転先になるいずれの場合も、 移転に関する申請書類をJPNICに提出しなければならない。
JPNICは、次に示す要件に基づき、国際移転の申請を処理し、 JPNIC管理アドレスに関わるデータベースの更新を行う。
- 国際移転の対象となるIPv4アドレス空間の要件
-
-
次のいずれかに該当するIPv4アドレス空間であること
- JPNIC契約組織が移転元となるケースでは、当該組織が管理者としてJPNICデータベースに登録されているIPv4アドレス空間であること。加えて、対象となるIPv4アドレス空間が「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から委任または割り当てが行われている場合、移転元となるJPNIC契約組織への委任または割り当てから少なくとも5年を経過していること
- 移転対象レジストリ契約組織が移転元となるケースでは、当該組織が管理者として移転対象レジストリのデータベースに登録されているIPv4アドレス空間であること
- 最小移転サイズは/24とする。ただし、移転対象レジストリが、/24よりも大きいサイズを最小移転サイズをとして定めている場合は、当該移転対象レジストリの最少移転サイズに従うものとする
-
次のいずれかに該当するIPv4アドレス空間であること
- 国際移転における移転元の要件
-
- 国際移転の場合、移転元の要件は、移転元となる組織が契約しているレジストリがそれぞれ定めるものとする
- JPNIC契約組織が移転元となる場合は、14.3項にて「JPNIC契約組織間における移転元の要件」として定めた要件が適用される
- 移転対象レジストリ契約組織が移転元となる場合は、移転対象レジストリが定義している要件が適用される
- 国際移転における移転先の要件
-
- 国際移転の場合、移転先の要件は、移転先となる組織が契約しているレジストリがそれぞれ定めるものとする
- JPNIC契約組織が移転先となる場合は14.3項にて「JPNIC契約組織間における移転先の要件」として定めた要件が適用される。これに加え国際移転の場合、移転先は、移転申請前に、JPNICから移転可能IPv4アドレスサイズの通知を受けていることが必須となる。詳細は「14.5 JPNICからの移転可能IPv4アドレスサイズの通知」項参照
移転対象レジストリ契約組織が移転先となる場合は、 移転対象レジストリが定義している要件が適用される。
14.5 JPNICからの移転可能IPv4アドレスサイズの通知
移転申請前に、 JPNICから移転可能IPv4アドレスサイズの通知を受けていることが必須となる場合は、 移転先は当該通知を受けるために必要な申請を行い、 JPNICに対して以下を示す必要がある。
- 移転先がIPv4アドレスの分配を受けていない場合:
-
- 移転を希望するIPv4アドレスサイズに関する利用計画
- 最長で24ヶ月以内のIPv4アドレスの利用に関する詳細な計画
- 移転を希望するIPv4アドレスサイズに関する利用計画
- 移転先がすでにIPv4アドレスの分配を受けている場合:
-
- 最長で24ヶ月以内のIPv4アドレスの利用に関する詳細な計画
- 過去の利用率および過去に委任を受けたIPv4アドレスがJPNICのポリシーに準拠していることの証明
JPNICは、上記の内容を精査した上で、 移転可能IPv4アドレスサイズを判断し、移転先に通知する。
なお、 移転可能IPv4アドレスサイズの通知が必要な移転申請にもかかわらず、 通知を受けていない場合は、その移転申請は受け付けられない。
14.6 IPv4アドレス空間の移転履歴の公開
JPNICは、IPv4アドレス空間の移転結果をデータベースに反映し、 本ポリシーに基づいて行われた移転に関する以下の公開履歴を維持する。
- 移転元組織名
- 移転元組織への割り振り日または割り当て日
- 移転先組織名
- 移転対象のIPv4アドレス
- 移転申請完了日
- 国際移転アドレスの該当有無
15 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収、および継承
JPNICは合併、買収、および継承に伴う移管の処理を行い、その結果を記録する。
対象となるIPv4アドレス空間が「/8相当の最後のAPNICにおけるIPv4未割り振り在庫」から委任されている場合、 委任から少なくとも5年を経過していない場合には、移管することができない。 委任から5年を経過するまでの間に、 IPv4アドレスを必要としていた理由が有効ではなくなった場合には、 対象となるIPv4アドレス空間はJPNICに返却しなければならない。
15.1 登録情報の更新
IP指定事業者としての権利が(合併、買収、 継承などにより)変更された場合は、新しい組織は、 そのネットワークに関する情報および連絡担当者に関する情報を変更しなければならない。 権利所有者の変更の結果、 IPアドレス管理指定事業者の組織名が変更した場合は、 そのIP指定事業者は、 組織名変更の裏付けとなる法的書類をJPNICに提出しなければならない。
15.2 IPアドレス管理指定事業者契約に対する影響
IP指定事業者の権利の所有者を変更した場合は、 新しい組織は変更をJPNICに通知すべきである。 IP指定事業者の権利は、譲渡することはできない。
15.3 IPアドレス管理指定事業者の合併、買収の割り振りへの影響
IP指定事業者の合併、売却、買収の後、 JPNICは新組織(複数ある場合はそれら該当する複数組織)の保有する全割り振りがどのような状態にあるかを確認する。 また、これに伴い、 当該組織のインフラストラクチャーに対する実際的な影響も顧慮する。 合併、売却、 買収の実際的影響として二つ以上のIP指定事業者のインフラストラクチャーが合併された場合、 JPNICは両方のネットワークにそれぞれ継続してアドレスを割り振ることはない。 この場合包含されるIP指定事業者のIPアドレス管理指定事業者契約は無効となる。
このケースにおいてJPNICは割り振りの状態を確認する際に、 該当する全IP指定事業者が保持するアドレス空間の完全な情報開示を求める。 このような開示が行われない場合は、割り振りは無効とみなされ、 JPNICはそのアドレスの返却を求める。
15.4. IPアドレス割り当て管理業務の停止
IP指定事業者がIRとして機能しなくなった場合、 そのIRの未割り当てアドレスは全てJPNICに返却されるべきである。 さらに、そのIP指定事業者(またはIP指定事業者の事業整理のため指名されたIP指定事業者の清算人、 管財人)は全顧客にIPアドレス割り当て管理業務停止の旨を通知し、 別のIP指定事業者のアドレス空間へのリナンバリングに向けた調整を進める責任がある。 廃業したIP指定事業者の事業やインフラストラクチャーを、 新しく別のIP指定事業者が引き継ぐ場合、 既存のアドレス空間を新IP指定事業者へ移管してもよい。 ただし、そのような移管はJPNICによる再審査の対象となり、 また新規のアドレス申請処理として扱われる場合もある。
16. 申請審議のガイドライン
本文書では、JPNICによる申請審議や、 特定の技術についての詳細は述べない。 そのような詳細は技術の進歩に左右され、 また頻繁に変わる可能性があるためである。 従って、JPNICは必要に応じて特定の技術や技法に関し、 ガイドラインとなる文書を別に策定する。 そのようなガイドラインには以下のような内容が含まれる場合がある。
- アドレス空間申請の特定のタイプで使用される審議方法についての説明
- アドレス空間を申請する組織が、ネットワーク計画において一般的に実装するだろうと思われる現行の最善の実施策の概要
- 組織がアドレス空間申請を行う際に役立つ可能性のあるその他の情報
発行されたガイドラインはいずれも、 本文書で述べた目標とポリシーに首尾一貫したものとなる。
17. 謝辞
本文書作成にあたり、 貴重なコメントをしていただいたAPNICに感謝する。
関連文書
- 「APNIC Internet Number Resource Policies」
- https://www.apnic.net/community/policy/resources
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