ドメイン名マーケットプレイスとは
ドメイン名マーケットプレイスとは、 ドメイン名の登録に関連したビジネス市場およびそこで行われる取り引き等の経済活動全般を指す用語です。 通常のユーザーによる、ドメイン名登録や移転、廃止といった日常的な行為も、 広義のドメイン名マーケットプレイスには含まれますが、 ドメイン名を利益を上げるための手段と考え、 ドメイン名を使ってさまざまな方法で行われるビジネス行為を指す用語としての使われ方が、 より一般的です。
最近では、 ドメイン名そのものを利益を上げるための商品として捉えるドメイン名売買だけでなく、 ある程度のアクセス数が見込めるドメイン名を登録し、 そのドメイン名を用いたWebサイトにオンライン広告を掲載することなどにより、 そこから一定の収入を得ようとする例などが増えてきています。
そのようなドメイン名の登録のためには、 登録期限切れで更新されなかったドメイン名を狙って登録する、 ドロップキャッチと呼ばれる行為が行われることが一般的です。 これは、一度登録されていたドメイン名は、 それだけで何がしかの価値を有する(一定のアクセス数が見込める)と見なされることが多いためです。
このドロップキャッチと呼ばれる行為は年々激しくなってきていますが、 その原因として、gTLDで導入された、 登録後一定期間内であれば登録の取り消しを行うことができるAdd Grace Period(AGP:登録猶予期間)(*1) という仕組みが挙げられています。 このAGPを利用し、 よりアクセスの多いドメイン名を選別するために短期間の間に大量のドメイン名が登録・ 取り消しされるという事態が発生し、 ICANNでも大きな問題となっています。(なお、このような選別行為はドメイン名テイスティング(*2)と呼びます)
このような行為に対し、数日毎に登録の可/不可という状態が変化することから、 一般のドメイン名登録者が混乱するといった問題や、 それに対応するためのレジストラやリセラのコスト増の問題、 またドロップキャッチを試みるコマンドがレジストリのシステムに過大な負荷をかけている問題などが指摘されています。
特に、AGPについては、本来は間違いによる登録などから一般の登録者を救済する目的で導入されたものであり、 ドメイン名テイスティングのような行為に用いられることは意図したものではないことから、 現在ICANNでも見直しのための議論が行われています。
(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/Domain-Name-Tasting.html
(*2) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/Add-Grace-Period.html