CIR(Critical Internet Resources)とは
CIR(Critical Internet Resources)とは、 直訳すると「重要なインターネット資源」となりますが、 狭義にはドメイン名とIPアドレスを意味するものとされています。
広義には、 2003年12月にスイス・ジュネーブで開催された第1回の世界情報社会サミット(WSIS: World Summit on the Information Society)(*1)を受けて、 2004年11月に国連事務総長の下に設置されたインターネットガバナンス作業部会(WGIG: Working Group on Internet Governance)による定義(*2)にあるように、 IPアドレスとドメイン名を結び付ける仕組みであるDNS(Domain Name System)およびインターネットの基盤にまで意味が広がります。 すなわち、IPアドレス、ドメイン名を含むDNS、ルートサーバシステムの管理、 技術標準、ピアリングおよび相互接続、 電気通信のインフラストラクチャを含んだ意味で使われます。
用語としてのCIRは、WSISおよびそれを受けて作られたWGIGにおいて、 インターネットガバナンスの議論が行われた際に広く使われ始めました。 もっとも、WSISおよびWGIGを受けて開始されたIGF(Internet Governance Forum)(*3)の初回(2006年)アテネ会合では、 CIR関連のワークショップは開かれたものの、 メインセッションのテーマとしてCIRが明示的に取り上げられることはありませんでした。 しかし、翌年(2007年)のリオデジャネイロ会合以降は、 CIRを名称に含むセッションが毎年開催されています。 2010年までに開催されたIGFの、CIRに関するセッションで議論された主な内容は、 次の通りとなっています。
- IPv6関連:IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6への移行、IPv6の可用性
- ICANNのガバナンス
- 新gTLDおよび国際化ドメイン名(IDN)
- CIRの管理および拡大協力(enhanced cooperation)(*4)における国際化
- 災害および有事におけるインターネットサービスの維持
(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/wsis.html
(*2) http://www.wgig.org/docs/WGIGREPORT.pdf
(*3) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/igf.html
(*4) WSISチュニス会合のステートメント、いわゆるチュニスアジェンダの第69項、第71項に示されている、
インターネットに関する各国政府の国際公共政策問題に対する関与の必要性を指摘するもの。