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JPドメイン名 グランドデザイン1999(叩き台)に対するコメント(3)

JPNICグランドデザインに関する「日本知的財産協会・商標委員会」の見解は、 現在のところ下記の通りです。
正式には、別途、提出致しますが、提出期限の関係上、 取り敢えず、本日メール致します。

商標委員会 第1小委員長 菅 幸二

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今回の「JPドメイン名グランドデザイン1999(叩き台)」(以下、 グランドデザインと略す)については、 2(4)の汎用SLDが最も問題になると考えます。
汎用SLDについては、 前回ご提案があったブランドドメインと実態においては何ら変わりがなく、 事実上はブランドドメイン案の復活であると思われます。
1996年にブランドドメインの導入が検討された際に、 当委員会からは、 知的財産権に関する紛争が深刻化するとの理由により、 ブランドドメインの導入には反対の要望書を提出しております(要望書については、 「知財管理」Vol46 No12に掲載)。 当委員会では、ドメインネームと知的財産権に関する現在の状況については、 1996年当時とは何ら変わるところはなく、 特に紛争予防・解決システムについては、 特段の進展はないと認識しています。
したがって、汎用SLDが、 事実上のブランドドメインの復活である以上、当委員会としては、 汎用SLDの新設には反対せざるを得ません。 なお、 グランドデザインに関する当委員会の見解および要望の詳細については、 下記のとおりです。

  1. ドメインネーム登録のその後
    先の当委員会から提出した要望書(以下、要望書と略す)において、 「他社の商号と同一のドメインネームを意図的に登録している者がいる」旨指摘していますが、 その状況は現在に至るも変わっておりません。
    ドメインネーム登録については、GRドメインにおいて、 有名企業の商号と同一のドメインネームを多数登録する者が出ている一方で、 ドメインネームに関する訴訟が提起され始めた等、 むしろドメインネームと知的財産権に関する状況は悪化していると考えております。
  2. 汎用SLDの問題点について
    まず、 グランドデザインにおいて「汎用SLDについての要望が高まっている」とされていますが、 ドメインネームと知的財産権について、 上記1.の如き認識をしている者もいる以上、 知的財産権との紛争の増大を招きかねないSLDの増設については、 その増設の理由を開示していただきたいと考えます。
    つまり、具体的にどのような要望が、どの程度あり、 それについてどのようなご判断がなされた結果汎用SLDを増設するに至ったのかについて、 情報の開示をお願いします。
    このような情報開示なくして、 知的財産権の紛争増加につながる可能性が大きいSDLの増設には納得し難いと考えます。

    次に、汎用SLDは複数ドメインの登録が可能とのことですが、 これについては先の「要望書」と同様の理由で問題であると考えます。
    つまり、JPドメインについては、 「1組織1ドメイン」の原則が存在するからこそ、 紛争が現在の程度で納まっていると考えております。 汎用SLDのような性格が曖昧なSLDを増設して、 複数登録を可能にすると、 自社商標保護のためのドメインネーム登録、 将来の自己使用を目的としたドメインネームのストック登録、 更にはドメインネーム・ブローカーによる不正登録等、 無用のドメイン獲得競争が起きることは確実と思われます。 これに伴い、 ドメインネームに関する紛争も米国の如く更に増加することは明らかです。
    現に、GRドメインについて、 早速有名企業の商号を多数ドメインネーム登録した者が現れたことでも、 汎用SLDが導入された際に生じる混乱は、 容易に推測できると考えます。

    第三に、汎用SLDについて、 無償または妥当な対価で譲渡を可能にするとのことですが、 これについても、 先の「要望書」と同様の理由で問題であると考えます。
    仮に、グランドデザインの通りに、 無償での譲渡しか認めないという規約を制定しても、 その規約は現実での譲渡価格を拘束するものではありません。 つまり、不正登録をした者が、 高額な譲渡対価を受け取ったとしても、 JPNIC殿には現実の対価を確認することはできず、 対価をコントロールすることも不可能です。 むしろ実態は、高額な対価で譲渡され、 JPNIC殿への届け出は「無償譲渡」ということになりましょう。 「無償または妥当な対価での譲渡」という条件は、 「無償または妥当な対価」には実効がなく、 「譲渡可能」であることに効力があり、 それこそが問題と考えます。 したがって、このような条件は、 ドメインネームの健全な取引を保護するというよりは、 むしろドメインネーム不正登録を促進するものとして機能することは確実と思われます。 当委員会では、譲渡禁止こそが、 不正なドメインネーム登録を防止する有効な手段であろうと考えます。

    以上、汎用SLD導入についての反対理由を述べましたが、 個人SLDにつきましても、その構造如何では、 汎用SLDと同様の問題が生ずると考えます。
  3. ドメインネームに関する紛争解決について
    ドメインネームと知的財産権との紛争解決についてはグランドデザイン3.について記載されています。 しかしながら、グランドデザイン3.は、 「WIPOにおける紛争解決システムと、将来的に整合性を保つ」と言う趣旨であり、 現在の紛争解決について新たな構想が示されているわけではありません。
    つまり、 「現在または近い将来のドメインネームに関する紛争をどのように解決するのか」という問題については、 具体的な提案がなされていないと理解しています。 しかし、汎用SLDという、かつてのブランドドメインと同様に、 紛争の多発が予想される構造のSLDの新設について提案されるのであれば、 現在の紛争予防・解決処理についても具体的な提案がなされるべきと考えます。
    ちなみに、当委員会では、 ドメインネームに関する紛争解決システムは、 汎用SLDの問題がなくとも、緊急の問題であると認識しています。
    なお、インターネットは、 社会活動のインフラストラクチャとして機能し始めており、 一方では、多数の商標権者もまたユーザーとなっています。 このような状況においては、既存の権利との整合について、 更なる積極的なアプローチが必要であると思われます。
  4. 要望事項
    (1)1組織1ドメインの原則の維持
    先の当委員会からの要望書において述べましたとおり、 1組織1ドメインの原則が維持されているからこそ、 ドメインネームに関する紛争が現状程度に止まっているものと考えます。
    当委員会としては、 引き続き1組織1ドメインの原則を維持していただくよう要望します。
    (2)ドメインネームの譲渡禁止
    (1)同様、先の要望書のとおり、 ドメインネームの譲渡を認めることは、 ドメインネーム・ブローカーの増加を助長するものと考えます。 譲渡禁止の原則につきましても、 引き続き維持していただくよう要望します。
    (3)汎用SLDを増設しないこと
    今回ご提案いただきました汎用SLDは、 その実態はブランドドメインと何ら変わることがないと考えます。 汎用SLDについては、 ブランドドメインと同様に上述の問題を含んでおりますので、 汎用SLDの増設は見合わせていただくようお願いします。
    (4)紛争解決処理システムの早期確立
    WIPOにおいても、 ドメインネームの紛争予防・解決システムの検討がなされており、 JPドメインについても、将来的には、 WIPOのシステムとの整合をとる必要があることは理解します。 しかし、水面下での紛争は現に生じているため、 現在の紛争予防・解決システムについて、 暫定的なものにせよ、 構築しておく必要があるのではないかと考えます。

以 上

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