「.日本」に寄せられたご意見6
2010年3月16日
IDN ccTLD「.日本」に関する意見
「.日本」は凍結すべきである。
「.日本」の提供は不健全なマーケット創造である。
下記に、意見の裏付けとなる簡単な調査と、意見を記す。
調査対象
日経225の企業名称から推察される、企業名.JP という IDN 195 を収集
- 富士フイルムホールディングス→富士フイルム.jp など
- 個人が取得したと思われるものも多少含まれるようだが未確認
調査結果
- whoisへのNameServer登録 115 (未登録80)
- 企業名.JPへのAレコード付与 66 うち、非IDNへのリダイレクト 35 (うち30はJPRSのリダイレクトサービス) うち、HTTP接続がTimeout(2秒) 18
結論
企業名.JPの利用率は単純計算で、(66-18)/195≒24.6%、
その一部には
http://エーザイ.jp/
のようにレジストラのページを指しているも含まれており、
内訳の精査が必要ですが、ざっと、
「70%~80% の 企業名.JP は利用されておらず、 防衛的にやむなく取得されたものだと推測できる」
ということが言えるのではないでしょうか。
意見
公共的な企業を例示に使わせていただきたいと思います。 私の自宅や職場に電気を送っている中部電力さんについて調べてみると、
中部電力株式会社.JP, 中部電力.JP, 中電.JP
ちゅうぶでんりょく.JP, ちゅうでん.JP
等々を取得しており、これらには Aレコードは付与されていません。
こうした調査結果、推測からみて、 「.日本」は不必要な出費を経済界に与えることは目に見えています。 「.日本」が利用可能となれば、中部電力さんは、
中部電力株式会社.日本, 中部電力.日本, 中電.日本, ちゅうぶでんりょく.日本, ちゅうでん.日本
などを取得することになるでしょう。
不要であれば取らなければ良いという意見もあるでしょうが、 ある程度の信頼性がある(身元確認がとれる) ドメイン名は属性ドメインだけであり、 それら以外のドメイン名を信用してはならないなどといった教育も不十分である現状において、 信頼性を確保したい組織が、 いくつもの不要なドメイン名を防衛的に取得することはやむをえないことではないでしょうか。
こうしたマーケットの創造は不健全であり、 一種の「原野商法」と言ってもいいでしょう。 健全化のためには「.日本」は凍結し、 組織は信頼性の高い属性ドメインを利用することを啓蒙していくのが JPNICの役割であると考えます。
2010年3月16日 中京大学情報理工学部准教授 鈴木常彦