「.日本」に寄せられたご意見7
2010年3月16日
「選定基準(案)」について意見する。 IDN TLDの業者選定基準にも関わらず、冒頭1行目の基準、 「IDNテーブルが規定されていること」が必須項目とされていないことからして、 理解ができない。 このように、最初から出端を挫かれる代物ではあるが、雑感を述べる。
(1)「選定基準」なのか「選定されたあとに満たして欲しい基準」なのか曖昧
前述の「IDNテーブル」の件に関しては、 すでにJPRSが定めているIDNテーブルと同等のものを利用するということかも、 もしくは、「これらの規定は選定の際にはテーブルは必要ないが、 選定された後に決めて欲しい」ということなのかもしれない。 ただ、もし前者ならそのように注釈すべきで、 この基準案を決めた人以外に意図が伝わらない。 また後者なら、厳密には選定の基準ではないのだから、 選定基準案には入れるべきではない。
このように、 「選定基準」なのか「選定されたあとに満たして欲しい基準」なのかが、 全体を通して一貫してあいまいに書かれている。 実際の応募要項にどういう書類を出せばいいのか具体的に明示されることを切に望むが、 基準として何をどう書類上で判断するのかわからないような、 定性的な基準の記載もやめるべきだ。
(2)どのようにウエイト付けするのか、不透明
よく読むと、 選定基準案ではなく意見の募集要項の方に「具体的な配点や採点・決定の方法は、 今後検討の上決定する予定です。」などと書かれている。
- 「1技術的能力」
- 「2経営基盤、3事業計画」
- 「4事業運営の公正性・透明性、5コンプライアンス体制、6ドメイン登録者等外部からの苦情・問合せ、紛争などへの対応、情報セキュリティの管理体制、7国際的な役割の遂行、8国内のインターネットの発展への貢献」
と上記3点のウエイト付けが1:1:1らしいが、 項目の数と必須項目の数から考えても、 各項目をどう配点すればそれが可能となるのか、バランスが悪く、 全く読み取れない。
「技術的能力」以外の必須項目が少なすぎる。必須項目の配点が、 必須項目でない事項の点より低いなどという配点は不透明なので、 絶対にすべきでない。
(3)DNSSECに対応していない
他のTLDがDNSSECを対応するという時期に、 これを必須としないのはおかしい。 明らかにスペックの低いTLDが生まれるということになる。 通常、後発の商品の市場投入は、 先発のものよりスペック的に優れるものとすべきである。
(4)基準の書きぶりが不統一
上記(1)(2)と内容的にはかぶるが、基準の書きぶり、細かさが不統一で、 何人かで作ったものを単に貼りあわせただけなのではないかといういいかげんな印象を受けた。
基準の細目を全部満たせる企業はあるはずもないが、 しかし「必須項目」だけ満たすということでよければ、 「技術的能力と金さえあれば、外資でも何でもあり、 あとは野となれ山となれ」というように普通の読解力では読めてしまう。 どこからどこまでが本当に譲れないラインなのか。 それが曖昧なまま、これで選定するとしたら、 恣意性を存分に働かさなくては選定できないであろう。
全体的な記載に関して、万事が万事そのごとくであるため、 すでに業者は内定しているのではないかという不信感さえ生む。 役所は、このようなずさんな基準案を容認しているのだろうか。