ICANN DNSO ccTLDレジストリ部会会合 1日目
- 日時:
- 2002年6月24日(月)9:00~17:00
- 会場:
- Bucharest Marriott Grand Hotel(ルーマニア、ブカレスト)
- 司会:
- Nigel Roberts
- 出席者:
- 約70名(各国ccTLD管理者他)
- 内容:
-
- ICANN改革について
- 各国ccTLD管理者による組織紹介
- ccSO結成について
- ccTLD事務局からの2001年度活動報告
- ICANN予算委員会からの報告
- ICANN改革に関するccTLDコミュニケ案作成について
概要報告
本日の会合ではICANN改革を中心に議論が行われた
- 地域別のccTLD組織が各自のポジションペーパーの内容を紹介した後、全体での議論が行われた
- 安定したICANNのためには十分な資金提供をすべきといった意見の一方で、あるべきICANNの姿が明確になっていない段階で資金拠出の問題を検討すべきでないといった慎重派の意見も見受けられた
- また、理事の議席数や構成比など細部の検討が進められようとする中で、従来からのICANN不要論を説く者もおり、相変わらず部会内での見解の相違が目立つ場面もあった
- 明日の会合で、ccTLDレジストリ部会としてICANNに提出するコミュニケを完成させる予定
詳細記録
■1. ICANN改革について
●1.1. Peter Dengate Thrush(NZ)によるプレゼンテーション
- ○ICANN改革に関するccTLD部会の状況
-
- 2001年6月のストックホルム会議にて、DNSOからの脱退および独自のccSO(ccTLD支持組織)結成についての決議を行った。今回のICANN改革案ではccTLDの独自組織が提案されており、我々にとっては前向きな動き
- これまでccTLDは、地域組織単位でのポジションペーパーを発表してきた
- 今日の目標は、ccTLD部会としての統一見解の青写真を作ること
- ○ICANNの発展と改革のための委員会による文書「改革に向けての青写真」の説明
(ICANN: A Blueprint for Reform http://www.icann.org/committees/evol-reform/blueprint-20jun02.htm) -
- 理事の構成案:GNSO(2), ASO(2), CNSO(2), At Large(8), Liaison(5)
- Names Councilの構成案:プロバイダー、ユーザー
- CNSO Councilの構成案:地域別の内部選出メンバー、指名委員会選出メンバー、投票権を持たないGACリエゾン
- ○「ICANNの使命および核となる価値について」の説明
- ○Lynn氏による改革案の説明
- ○所感
-
- 改革委員会はccTLD契約の問題については言及していない
- ccTLDの役割はより一層認識されつつあり、前向きな対話が重要
- 指名委員会の構造は不明確
[意見]
- 改革委員会による文書「改革に向けての青写真」を読んだが、グローバルポリシー策定のためのメカニズムがあるのか不明(Marianne, CENTR)
- ICANNに全員が参加し資金提供をする必要がどこにあるのか未だに納得できない(Willie Black, UK)
- CNSOの資金拠出についてはどうなるのか
●1.2. 地域別ccTLD組織からのICANN改革に関する報告
#以下の3つの地域別組織がそれぞれ発表したポジションペーパーについて説明
- ○APTLD
http://www.dnso.org/constituency/cctld/APTLD-on-ICANN-Reform.html
APTLDの見解と改革委員会案を比較説明 -
- 改革委員会案の多くの点についてさらに明確化する必要がある
- 委員会案では、ccSOを独立組織とすることやTrading Organizationとすることに反対しているが、その理由が示されていない
- ○CENTR
http://www.centr.org/news/approved-ICANN-response.html -
- ICANNのポリシー機能と技術的機能について言及
- 我々はIANAデータベースなどccTLD関連業務に対する資金提供には喜んで応ずる
- ccTLD管理者の変更について規定
- 改革後のICANNは権限のないものとすべき。ルートサーバ、RIR、gTLDレジストリ、ISO 3166レジストリにより構成する
- ○LACTLD
http://www.lactld.org/org/position-on-ER-ICANN.html -
- インターネットが未発展の特定の国々にとってはICANNのような支援機関は必要
●1.3. ドメイン名評議会(NC)代表とのセッション
#Philip SheppardとMarilyn Cade(ビジネス部会)他3名が参加
- 委員会案について、独自の組織やカウンシルを持つといった点については支持する
- 指名委員会の構成については支持しない(Sheppard)
- 指名委員会の役割が大きすぎる
- ICANNへの資金拠出についてはgTLDが多くを負担すべき(Cade)
●1.4. ICANN改革に関する議論再開
- 安定したICANNが重要。ccTLDはICANNから提供されるサービス(IANAサービス)への拠出分に加え、プラスアルファを支払うべき(Kane)
#ここで、Straw Poll(投票による総意の確認)を実施
「IANAサービスに対して資金提供すべき」 → ほぼ全員が賛成 反対なし
「スーパーレジストリ(各レジストリの総括的存在)に対して資金提供すべき」
→賛成なし
- どのようなICANNを望むかが明確でない時点で資金拠出の問題を話し合うのは時期尚早(Patricio, LACTLD)
- ICANNを権威の頂点と見なすccTLD管理者もいれば、ブラックメールと見なす者もいる。ICANNにはまだ解決すべき問題が多く残っている(Marianne)
- 国際化ドメイン名(IDN)のケースをとっても検討すべき課題が山積している。こういった問題の検討を誰が実際に行うのか。スーパーレジストリかICANNかccSOか? (Kilnam Chon, KR)
- 理事会の構成をあれこれ検討する前に、信頼できる理事会を置くことができるのかを考えるべき。個人的見解としては、現在の理事会は信頼できない
- ICANN改革はファーストステップにすぎない。セカンドステップとして日常的な運用に伴う検討が続く。現時点ですべての問題を考えないでほしい(Hervert, ICANN)
- 改革委員会は、「改革に向けての青写真」におけるCNSOに関する記述で、ICANNはポリシー策定機関であるべきとしているが、この点について意見は?(Peter, NZ)
- ccSOがポリシー策定に関してより多くの責務を負うべきだとは思うが、我々は何がグローバルな問題で何がローカルな問題かを十分検討していないのではないか(ノルウェー)
■2. 各国ccTLD管理者による組織紹介
●2.1. SWITCH(スイス)によるプレゼンテーション(※.orgの新レジストリ申請者の一つ)
- 非営利組織
- 1987年より.CHと.LIを運用
- スイス政府と委任契約を締結
- 12~14のネームサーバーをグローバルに配置
- ICANNポリシーを遵守(RFC1591)
- レジストラに対してはリーズナブルな料金設定(初期はUS$5)
- 改良型SRS(RRP+)を開発中。2003年1月には完了予定
●2.2. .ZA(南アフリカ)によるプレゼンテーション
- 歴史説明
- 「thin」ccTLD:14のSLDを別々の管理者に委任、「co.za」ドメインが95%を占める、登録件数は260~280万件)
- 政府による関与が強く(大臣が理事会の任命、財政管理、技術面以外での規制を行う)RFC1591およびICP-1が遵守されていない
- その他、既存ユーザーと将来的ユーザーとの間のデジタルデバイド問題や人種問題などの課題がある
■3. ccSO結成について
●ICANN理事会へ提出するccSO結成の申請書案(ドラフト2.1)の説明(by Peter, NZ)
http://www.wwtld.org/ongoing/ccso_formation/ccSOapp2-1.html
[ccSO構成案]
- 5つの地域別ccTLD組織がカウンシルを構成(各組織より3名)
- うち2名がICANN理事に選出される
- 国際的なアッセンブリーを設置
- 現行と同じ事務局を設置
+-----------------------------+
| International Council (15名)|
+-----------------------------+
[LACTLD] [APTLD] [AFTLD] [CENTR] [NATLD]
中南米地域 アジア太平洋 アフリカ ヨーロッパ 北米
+---------------------------------------------------------------+
| International Assembly |
+---------------------------------------------------------------+
■4. ccTLD事務局からの2001年度(2001年5月~2002年)活動報告(by BK Kim)
- ccTLD常設事務局設置の経緯
- スタッフ紹介(KRNICが全面支援)
- メインオフィスはソウル(KRNICが全面支援)
- 開催会議報告(2001年5月ストックホルム、2001年9月モンテビデオ、2001年11月マリナデルレイ、2002年3月アクラ)
- アウトリーチ活動実施(アクラ、アジア太平洋)
- 予算(収入:US$124,845)
- 2002-2003年度の計画
- 新たな寄付金が必要
- ccTLD部会からccSOへの移行
■5. ICANN予算委員会からの報告(by Sabine Dolderer)
2002-2003年度予算案の説明
●(ICANN/ccSO/DNSO/ccTLD事務局への)資金拠出についての意見
- 資金の使途(IANA機能への資金も含め)について我々はもっと知る必要がある(Kane)
- ccTLDとしての資金拠出の基本的ポリシーについて議論すべき(Peter, NZ)
- ccTLDとgTLDの分担率は不公平(Sabine, DE)
- JPでは登録ドメイン名数を基準に拠出額を決定することに関して問題はなかった。
ccTLDコミュニティの規模に基づく資金拠出は合理的(丸山, JP) - 以下のstraw poll(投票による総意の確認)実施を提案(Kane)
「ccTLD部会はICANNへの拠出金の収集方法について自己決定権を持つという取り決めに積極的に関与すべき」
Is the cctld Const. willing to commit to an arrangement where cctld will collectively determine the collection mechanism for an agreed cctld contribution to ICANN?
→賛成:20、反対:4、棄権:6
■6. ICANN改革に関するccTLDコミュニケ案作成について
#今後議論する際のポイントを列挙
- APTLDが発表文書の中で提起した質問について検討すべき(改革委員会の「改革に向けての青写真」にある「interplay」「other identifiers」とは何か、など)
- ccTLD再委任の問題については今後検討を進めるのか、それともポリシーは設けないのか(Turcotte, CA)
- ccTLD独自組織の名前はどうするか?ccSO or CNSO?
- ICANNが策定するポリシーの枠組みもしくは限界はあるか?
#閉会後、有志によりコミュニケ案を作成し、明日の会合にて検討予定