ICANN上海会議:一般討論会(Public Forum)
日時:2002年10月30日(水)8:30~18:10
会場:Shanghai International Convention Center(中国・上海)
司会:Vint Cerf(ICANN理事長)
出席者:理事18名+約100名
内容:1.各組織・委員会からの報告
2.LACNICからの報告
3.ICANN改革について
4.新gTLD評価の実施計画ついて
5.公開討論
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<概要報告>
- LACNICとICANNとの覚書調印が行われた。LACNICは11/18より完全に独立運用される
予定。両代表による調印の際には会場から大きな拍手が起こり、記念すべき瞬間と
なった
- 新gTLD評価プロセスについては、タスクフォースチェアのStuart Lynnより、早急に
取り組める点として「新たに3つのスポンサ付きgTLDを追加」という提案が紹介され、
これに対して限定的導入ではなく、より広範囲なものにすべきとの意見が出た
- ICANN改革については、ERCからの提案が自らに有利なものとなっている組織(gTLD
レジストリ等)からは積極的にERCの取り組みを支持する意見が、また、不利なもの
となっている組織(ビジネス、At Large活動参加者等)からは批判的意見が出され、
そのギャップが顕著であった
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<詳細記録>
■1. 各組織・委員会からの報告
●1.1 ICANN事務総長報告(by Stuart Lynn)
○予算
- ccTLDからの資金拠出が極めて少ない
- 積立金(reserves)が大幅に不足している
○スタッフ人事
- Andrew Mclaughlin, Herbert Vitzdumの2人が今年末で辞任
- Andrew Challanet(南ア)がccTLDリエゾン、ポリシー分析担当として就任
- Steve Conti, Denise Michel(At Large諮問委員会のサポート)が就任
○2001-2002監査報告
- 来週には報告書発表予定
- 新gTLDに関する支出
○米国商務省とのMoU
- 9/12に1年更新の契約済
- 特定の問題に専心
○ccTLD
- 今後数週間でいくつかの覚書締結予定
- ポリシーについての見解がccTLDと我々との間で隔たりがある
- この隔たりを建設的な枠組みへ変えていくことが必要
- ネームサーバ変更の迅速な処理がカギ
- IANA機能はポリシーではなく機能。これについてもccTLDとの間に見解の相違がある
○「.org」再委任
- 新レジストリとしてISOCを選出
- PIRとの契約案は公開済
- Afiliasが技術的バックアップを行う。VeriSignと協力しスムーズな移行を進める
○新TLD
- 実行計画(Action Plan)を来週発表予定
○会議予定
- 2002年年次総会はアムステルダムで12/14,15に開催
- 2003年3月はリオデジャネイロ
- 2003年6月はモントリオール
- 2003年秋(おそらく11月)はアフリカ
○改革
- この8ヶ月の改革に向けての取り組みに感謝
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●1.2 政府諮問委員会(GAC)報告(by Paul Twomey)
- GACはICANN改革プロセスに継続して取り組んできた
- 新付属定款案に関していくつかの提案がある(第9条ccNSOなど)
- GACはICANNがIANAデータベースの変更を迅速に行うことを期待
- IPv6のスムーズで安全な実装に向けての取り組みを支持
- 2003年1月中旬に新チェアが就任。欧州委員会(European Commission)が暫定事務局
となる
- IDNについて
- 「.info」について:モンテビデオ会議決議に基づき「.info」登録の監視・促進を
継続して行う
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●1.3 ルートサーバシステム諮問委員会(RSSAC)報告(by 村井純氏)
- 会合開催報告
- ルートネームサーバの説明
- 10/21のDDoS攻撃について
- IDNについて:ルートサーバへの深刻なインパクトはないとの結論に達したが、実装
の前にテストが必要
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●1.4 セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SAC)報告(by Steve Crocker)
- 脆弱性、セキュリティ、アーキテクチャ、評価の記述
- 個別の脅威を特定し、対策をたてる
- DDoS攻撃について:
+ DNSの改善、DDoSに対する包括的改良(キャプチャされやすいホストの減少)が
必要
+ RSSAC等と共同で報告書作成予定
- ゾーントランスファーについて:
+ AXFRについて
+ 変更要請認証について改善が必要
+ parentとchildの一貫性
- 災害からの迅速な復旧対策が必要
- ccTLD、IANA、SACが共同で小規模のワーキンググループを作ることに決定
- gTLD WHOISについて
[意見]
- 9/11のテロ後も、IANAネームサーバ変更迅速処理に関する対策がとられていない
(Nigel, ccTLD)
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●1.5 国際化ドメイン名委員会(IDN Committee)報告(by 加藤幹之氏)
○活動報告
○容認可能なコードポイントの問題について
- IETFに対し、UNICODEすべてを適用するのではなく文字セットを制限することを
提案した。CJK地域では特に重要
○今後の課題
- IDN実装のためのソフトウェア開発など
○勧告
- 一般へのアウトリーチが重要
- 当委員会継続の検討を理事会に要請
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●1.6 アドレス支持組織(ASO)報告
- LACNICとAFRINICの状況報告
- ICANN改革についてはRIRと協力のもと取り組んでいる
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●1.7 プロトコル支持組織(PSO)報告
- ブカレスト会議後、ISOよりPSOへの参加要請があったが、承認されず
- ITU-TからW3Cへ事務局変更
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●1.8 ドメイン名支持組織(DNSO)報告
- NC決議報告:GNSO評議会構成、IANAゾーンファイルアクセス、タスクフォースチェア
指名プロセスについて(#前日のNCメモ参照)
- WHOIS/Transferタスクフォースからの報告書について
- ccTLD代表の脱退
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●事務総長報告の補足:
2003-2004予算編成プロセスは遅れ気味。広範囲からのインプットを要請
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■2. LACNIC(新RIR)からの報告
●2.1 LACNICについて
- ARINからの移行の最終段階における計画完成
- ブラジル、メキシコと契約し各種支援を受ける
- 11/18より完全独立運用を開始
- 移行作業の経過報告
- 資金:ARINと同様の構造を採用、歳入シェア(LACNIC35%、ARIN65%)
●2.2 ARINアセスメントについて
- RIR活動報告(アウトリーチ、調整活動)
- AFRINIC設立についても取り組んでいく
#この場でStuart Lynn(ICANN)とRaul Echeberria(LACNIC)が覚書に調印。
会場からは拍手で賞賛
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■3. ICANN改革について
●3.1 発展と改革に関する委員会(ERC)報告(by Alejandro Pisanty, ERCチェア)
○プロセス
- 経緯
- ERCの活動
○解決すべき諸問題
- 主要な関係者の参加(GAC、RIR、ccTLD、gTLD、At Large)
+ 関係者からの信頼を得るために組織の安定化が重要
+ 第一のステップとして、ICANN内での信頼関係構築
- プロセスの過度な重視
- 資金確保
○ERCのプロセスについて
- コミュニティからの意見収集がまだ不十分
○ICANNの限界
「mission creep」(終わりの見えない展開)の恐れ
○これまでの進捗状況報告
- 改革後のICANN各組織についての検討
- 新たな動き:ccNSO支援グループ、RIRについてのタスクフォース、技術リエゾン
グループ、GACとの協力関係
○各種の争点紹介
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●3.2 GACコミュニケ紹介(by Paul Twomey)
○新付属定款案に関する言及&提案:
第1条「使命および核となる価値」、第3条「透明性」、第10条の「GNSO評議会」他
<提案抜粋>
- GACのメンバシップは理事会ではなくGACの裁量により決定
- 独自のチャーターを採用
- GACは理事会に対し直接勧告を行う
- 勧告が受け入れられない場合、理事会はしかるべき理由を書面にて示す
- GACは、外部専門家からの助言に関し、理事会による決定の前にコメントする機会
を持つ
- ただ、理事会があくまで最終意思決定者であると認識しており、政府がとってかわる
つもりはない
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●3.3 公開討論
(#抜粋)
- GNSO評議会構成案への反対意見(#NC決議参照)(Philip Shepard, ビジネス部会)
- GNSO評議会の議決権をICANNと契約している組織・していない組織間で均等にすると
いう提案を支持 / 理事会決定に意義を唱えることのできる仕組みが必要
(gTLDレジストリ部会)
- GAのような部会をクロスオーバーする仕組みが必要。そのためにAt Large諮問委員会
設置の取り組みを早急に進めるべき(GAチェア)
- ccNSO支援グループからの勧告作成が遅延している旨の報告
- 現在のNCにはアフリカ地域の代表がおらず、地理的多様性が反映されていない。
非英語圏の人々にとってはERCから発表される文書を理解しコメントするまでに時間
を要する。ERCプロセスの改善を要求(NCDNH部会)
- At Large理事の議席に関する当初の約束が破られ続けている(9名→5名→0)ことへ
の抗議
→At Large諮問委員会がAt Large参加の機能を果たすと考える(Lynn)
- ccTLDコミュニケの発表(Peter, ccTLD)
+ DNSOの脱退プロセスが完了
+ ICANN改革:ccNSO支援グループ提案の枠組みは、ccNSO責務の範囲を規定する上で
有効
+ DNSデータエントリをccTLDが独自に行うためのプラン策定ワーキンググループを
結成する
- ccTLDは、第1のステップ「DNSO脱退」の次には「ICANN脱退」を想定している。
ICANN外で会合を持つ計画を始めている。これは警告。ICANNに対しccTLDとのリエゾ
ン関係構築を要請(Peter, ccTLD)
→上記はあくまで想定の1つであって、ccTLDからのコミュニケに従うものではない
(ccTLDメンバ)
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■4. 新gTLD評価の実施計画ついて
- 来週報告書を発表し、30日間のコメント募集期間を設ける予定。その結果により、
12月のアムステルダムで理事会が何らかの措置をとるかが決まる
- 実施計画1は勧告作成、2は報告書中の鍵となる勧告に基づく実施、3は早急に取り組
める点についての実施(3つの新たなスポンサ付きgTLDを追加)
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■5.公開討論(続き)
<新gTLD評価について>
- 先に導入されたスポンサ付き新gTLD(.museum/.coop/.aero)が利用されているのを
見たことがない。限定的導入ではなく、より広範なものにすべきではないか
- 将来的には、新gTLD創設を検討する常設委員会を設置すべき(理事会ではなく)
- 新TLD導入をすべて同じプロセスで行うことの方がより時間を要することになる
- ccTLDでは、近年新たなTLDが追加されているが(.peなど)、その導入には何らの
プロセスも適用されていないではないか
<その他>
- ICANNは国際的な参加促進のため、言語の壁の問題を解決すべき(文書を翻訳する
など)(会津氏)
#翻訳問題に関する議論が続く
- ICANN=理事でもスタッフでもなく、ICANN=全参加者であるべき。ICANNがボラン
ティアで成り立つ組織であるのならば、ボランティアにもっと責任や権限を与える
べき
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