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ICANNローマ会議:GNSO ポリシー策定プロセス(PDP)ワークショップ

日時:2004年3月3日(水)8:00~14:55
会場:Melia Roma Aurelia Antica Hotel(イタリア・ローマ)
司会:Bruce Tonkin(GNSO Councilチェア)他
出席者:約40名
内容:1. gTLDレジストリサービス変更の承認プロセス
   2. Whoisタスクフォース1:マーケティング目的のWhoisアクセスの制限
   3. Whoisタスクフォース2:収集・公開するデータの見直し
   4. Whoisタスクフォース3:収集するデータの正確性向上
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<概要報告>

分野別ドメイン名支持組織(GNSO)にてポリシー策定プロセス(PDP)の対象と
なっている以下の2つのトピックについて、ワークショップが開催された。

 ●gTLDレジストリサービス変更の承認プロセス
 (VeriSignによるSiteFinderやWait Listing Serviceなどの新サービスが
  コミュニティに混乱を生じさせた経緯により、ICANNによる承認プロセス
  を確立することとなった)
   <参考> http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20031125-01.html

 ●Whoisにおけるプライバシー問題
 (3つの分野別にタスクフォースが設置され、PDPを実施中)

今回のワークショップは、上記2トピックともPDPに向けての情報共有といった
印象で、議論の進展は見られなかった。特に、Whoisタスクフォースについては、
情報収集のために各関係者に送付した質問表の回答がなかなか集まらないらしく、
協力を呼びかける広報的意味合いが強かった模様。

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<詳細記録>

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■1. gTLDレジストリサービス変更の承認プロセス
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8:00~9:30

●各部会からのコメント

○ビジネス部会
- インターネットの核となるレジストリサービスの変更は、適切な検討の後に
 行われるべき
- マーケットへの影響なども考慮
- 導入されるプロセスは革新的インターネットサービスを制約するものであっ
 てはならない
- 初期報告書(Initial Staff Report)へのコメント:
  + レジストリサービスへのあらゆる変更提案はICANNに提出され、レビュー
  されるべき
  + レビュープロセスは期限付きであるべき

○ISP部会
- 透明な検討プロセスにすべき
- クイックルック・プロセス(レジストリから提案が出された場合、ICANNは
  通常30日以内に行動を取る)を支持
- いかなる当事者も異議申立を行えるようなプロセスにすべき

○知的財産(IP)関係者部会
- オープンで透明なプロセスを保証することが重要。3段階のプロセス

○非商用ユーザ部会
- 官僚的なものにすべきではない
- 新サービスの導入もしくはサービス変更要請が発生した場合、それがGNSO
 において詳細を検討すべきものであるかどうかについての明確なガイド
 ラインが必要

○レジストラ部会
- Bylawsに規定されている3つの「核となる価値」の維持が重要
 (インターネットの技術的安定性、競争、相互運用性 など)

○レジストリ部会
- シンプルで理解容易なプロセスとすべき
- TLDの規模も考慮し、万能型でないものにする
- 合理的かつタイムリーに行動することが最も重要


●会場/メンバからのコメント

- Neulevelは、フローチャートを含む声明文をICANNに提出した
 (Jeff Newman, Neulevel)
- ICANNはlightweightで可能な限り「thin」でなければならず、PDPよりも
 マーケットのパワーの方が重要。レジストリの規模が一番マーケットに
 影響するので、レジストリの規模の違いを考慮に入れたプロセスでなけ
 ればならない
- チェアからのdecision pointsと用語に関するコメント
- PDPのタイトルについて。当初の長いタイトルのままにすべきでは
- レジストリがアセスメントなしに変更を行えばDNSに影響する
- 変更がサービスに影響するのであれば、公開審査にかけるべき
- ICANNによるパブリックレビューのみでなく、さまざまな段階のレビュー
 があることに留意すべき


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■2. Whoisタスクフォース1:マーケティング目的のWhoisアクセスの制限
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9:30~11:00

●チェアからの説明(Jeff Neuman)

○経緯
- 2003年2月、バルクアクセスにより入手したWhois情報のマーケティング利用
  を禁止
- モントリオール会議で第1回、チュニジア会議で第2回Whoisワークショップを
  開催
- この後、3つのタスクフォースを設置し、3つの分野について検討することと
 なった
- バルクアクセスを利用せずとも、ゾーンファイルをダウンロードし、Port43
  経由でデータを入手することが可能
- マーケティング目的でない利用とは?
- このタスクフォースのゴールは、技術的ソリューションを提供することでも、
  どのフィールドをWhois情報に含めるかを検討することでもない
- 過去に開催したワークショップで、各分野の関係者がWhoisを利用する目的
 を知ることができたが、どうやってWhoisにアクセスしているかについては
 詳細がわからなかった
- タスクフォースは各関係者に質問表を送付、かつGNSOウェブに掲載し、調査
 を実施。Whois情報の利用とWhois情報へのアクセスメカニズムに焦点
- その後第2の質問表を送付予定
- さらなる情報を得るために、今日のワークショップを開催している

○質問事項
Q.Whois情報の入手方法
Q.誰を通じて入手しているか
Q.Whois情報へのアクセス頻度
Q.アクセスの目的
Q.Port43によるアクセスが不可能な場合、その他どのようなソースを利用するか


●会場/メンバからのコメント

- 顧客を対象に調査を実施した。Whoisの利用目的については、65%が知的財産
 権の執行のため、30%が自社のドメイン名の整理統合のため、2%がマーケ
 ティング目的(レジストラ:Mark Monitor)
→Whois情報の入手方法について知りたい。(Jeff)
→顧客はPort43が何かも知らない。必要なら調査する

→この調査結果はこのタスクフォースには不適当。バルクアクセスについては
  既にマーケティング利用が禁止されているので、このタスクフォースでは、
  Port43とウェブを通じてのアクセスに焦点を絞っている

- Port43を利用するのはUNIXオタクなど限られたタイプの人間のみ
- プロトコルベースのアクセスにさらに焦点を絞るべき。Port43アクセスは非常
 にシンプルなプロトコル(Ross Rader, Tucows)
- このタスクフォースは、それぞれのWhois利用が合法か非合法かを検討するも
 のではない(Jeff)
- NSIでは、データマイニング防止のため、数ヶ月前にパブリックWhoisのサイト
 に画像コードを取り入れ、有効に機能しているが、一方でPort43というデータ
 マイニングのための裏口もある。誰が合法なWhois利用者かを区別するのは
 困難(Brian Cute, NSI)
- 1回ずつ問合せを行うONE-OFFアクセスは、知的財産権保有者にとっては不適切。
 複数のWhoisレコードが一覧できる形が望ましい
- タスクフォースの活動を広く宣伝することがまず重要(Cade, ビジネス部会)
- ウェブ、Port43、バルクアクセスの3つの手段のうち、Port43に対して変更を
 行うと、他の2つに影響する。バルクアクセスシステムは壊れており、これは
 ポリシーの問題ではなく既存ポリシーの順守の問題


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■3. Whoisタスクフォース2:収集・公開するデータの見直し
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11:30~13:00

●タスクフォースの紹介

プラン:
 1.GNSOの各部会、ccTLD、GACに質問表を送付
 2.データの分析
 3.ポリシー勧告

●コメント

- ポリシー策定をする際には、レジストラ間には競争があり、レジストラの地域
 によって適用法も異なるということを考慮に入れるべき(Brian Cute, NSI)
- 登録者がどのデータを公開するか選択する権利を持てるようにすべき
- 紛争解決のためにはミニマムなデータの公開が必要(Kiyoshi Tsuru, IP部会)
→一般に公開されたWhoisデータがなくとも、レジストラを通じてデータを入手
 することでよいのでは?(Amadeu)
- レジストラとしては、登録者が自身の情報を公開するかどうか選択できるよう
 にすべきと考える(Jean-Michel Becar, GMO)
- 知的財産専門の弁護士の仕事を容易にするために、すべての人のプライバシー
 を犠牲にするのかという点を考えるべき
- サイバースクワッターかどうかを見極めるためには、可能な限りのデータが
 必要
- このテーマについての議論がモントリオール会議前から全く進展していない。
 「公開されたデータが必要」「プライバシーを保護すべき」と主張するだけ
 でなく、Whoisデータベースの目的は何かについて議論すべき
 (Milton Mueller)

#質問表の提出期限を3/15に延長


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■4. Whoisタスクフォース3:収集するデータの正確性向上
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13:30~14:55

●タスクフォースの活動紹介

- 登録時のデータの認証、登録期間中のデータの正確性維持などがテーマ
- 質問表による調査
- まだ回答数は少ない

●CIRA(.CA レジストリ)によるプレゼン(by Burnard Turcotte, CEO)

.CA の紹介
- レジストリは登録者の提供する情報が正確でない場合、登録を取り消す権利
  を持つ
- 強固な正確性確認プロセス
 + 自動確認プロセスでエラーになったものは取り消される
 + 自動プロセスを通過したものは翌日手動でチェックされる
  (所要時間:500ドメイン名につき2時間)
- Whoisに関する調査を実施中(プライバシーに関する法施行に伴い)

[質問]
Q. 個人情報の盗難(Identity theft)は発生しているか?
A. あるが、大した問題ではない。レジストリとしては、正確なデータの維持が
   重要

Q. 国外からの登録を許可しているか?
A. カナダで商標を登記している場合

Q. 登録更新時にデータの正確性確認をしているか?
A. No


●タスクフォースへのコメント

- (先に登場したMark Monitor社が顧客への調査結果を発表。)Whois情報が
 正確でなく、更新されないことへの苦情が多い
- このタスクフォースはプライバシー保護を通して正確性向上をしようとして
 いるのか?

#目下、質問表への回答は1件のみ。さらなる回答を募集(チェア)

- 正確性について議論するのであれば、プライバシーの問題も含めて検討すべ
 き。一登録者としては、両者のバランスが重要(YJ Park)
- タスクフォースはまだ情報収集の段階のようだが、今後の活動内容とスケジュ
 ールが明確でない
→3/19までに関係者からコメント提出してもらう。4/9に初期報告書をCouncil
 へ提出予定

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