2006年8月1日
マルチステークホルダーモデル固有の長所をより向上させる、
事務総長戦略委員会からICANNコミュニティへのコンサルテーション
2005年12月のICANN会議において、ICANN理事会は、 ICANNのボトムアッププロセスの重要性を強調するとともに、 "ICANNが直面する戦略事項に関わる所見や勧告を述べる立場にあるグループからのアドバイスは、 ICANNのコミュニティも、その恩恵を受けられるもの" との表明を行いました。 これにより、ICANN理事会は、 事務総長が事務総長戦略委員会を指名するとの決議を承認しました。 委員会は、ICANNが直面する戦略事項に関わる所見や勧告を行い、 ICANNコミュニティとのコンサルテーションから生じるICANNの戦略計画プロセスに貢献するにあたり、 重要な役割を演じます。
ICANNは米国政府との覚書(MOU)の2006年9月30日の期限の満了に向っているため、 事務総長戦略委員会のメンバーは今後の道筋について準備的な検討を行いました。 これらの検討の結果、委員会は、 コミュニティからのインプットが必要な幾つかの項目を特定しました。
ICANNの使命は2つのコンセプトの上に成り立っています。 ICANNは社会からの信頼の中で、 コンセンサスを基礎とした手続きであるボトムアップにより決定を行っています。 ICANNは、独自の識別システムの調整と管理により、 唯一の権威ある安定したインターネットドメイン名システム(DNS)のパブリックルートを委託されています。 更にICANNは、 コミュニティの参加により策定され容認されたポリシーによる社会からの信頼の中で、 その唯一のルートの管理を委託されています。 ユーザーにWebサイト、e-mailサーバー、 及びその他の様々なインターネットサービスにつながる使い易く信頼できる確実な方法を提供することで、 DNSはインターネットが商業、リサーチ、 教育及び文化的あるいはその他の表現活動の実現のためのグローバルなコミュニケーションの手段の確実な実現を促進しています。 実際、ICANNは、 インターネットの名前資源に依拠するユーザのための管理人として、 効果的に運営を行っています。 その結果、 ICANNはこのグローバルな資源についての意思決定への参加とインプットについて焦点を当てる必要が出てきています。
委員会のメンバーは、 このモデルの基本的な要素に強みがあることをコミュニティは信じていると考えています。 主な強みの一つとして、 コミュニティによる広範でかつ情報を得た参加があります。
ICANNが描くモデルは過去7年にわたって展開され、 今や世界中で広く認められています。 そのモデルは全ての利害関係者に参加の機会を提供しているという点で独特のものであり、 マルチステークホルダーが参加するモデルになっています。 そのモデルの主な強みの一つとして、 インターネットコミュニティに対する説明責任と、 グローバルなコミュニティの広範で情報を得た参加の強調があります。 OECDで報告され、世界情報社会サミットで議論された通り、 ICANNはインターネットガバナンスに関連する、 特定の重要な課題とトピックに対して責任を持つ組織として受け入れられています。
ICANNのモデルのもう一つの強みは、 その使命を達成するために必要に応じて進化することができることにあります。 その進化を援助するため、委員会のメンバーは、 ICANNが既存のモデルのその固有の強みの上に構築され、 特定の鍵となる分野について、 フィードバックやアイディアを得るためにコミュニティからの参加を促すことに同意しています。
委員会が自問した基本的な質問は以下のようなものでした: インターネットの成長と進化において、 ICANNのモデルは如何にしてより強靭なものと成り得るのか。
モデルの高度な分析が既に行われた一方、 委員会はコミュニティより特定の質問事項についてインプットを得たいと思っています。
下記の質問事項は、更なる調査を行う分野を特定するものであり、 ICANNの法的枠組み、ポリシー策定プロセス、管理運営、 透明性及び説明責任とともに、 ドメイン名システムの継続した安定的成長に関連するものです。
質問事項は:
- インターネットのドメイン名システムとIPアドレスシステムの継続的な安定した安全なオペレーションの保障への主な課題は何でしょうか、また、その改善のために採り得る方策はあるのでしょうか。
- 委員会のメンバーは、ICANNがボトムアップの参加モデルとポリシーの決定を行うための調整という独特なモデルであるため、直面する多くの管理上の問題が多くあることを認めています。他のグローバ ルな団体が似たような課題に直面した例はあるでしょうか。ICANNにとってグローバルなコミュニティに従事する最良の方法についての参考のため、他の団体の経験をICANNに適用することはできるでしょうか。
- 国際的規模となり得る団体の能力は、特定の法的管轄に基づく法人格に影響を受けるでしょうか。
- ICANNに対して技術面での調整に関する限られた使命と責任が付与されている中で、WSISの決定から派生する関連事項や課題、これにはインターネットガバナンスに関連するものも含まれますが、そうしたものにICANNはどのように応答していくべきでしょうか。
- 特に、ICANNの活動範囲に降りかかって来るインターネットガバナンスの問題において、ICANNはICANNの全ての利害関係者とどのようにして協力関係を更に強めていくべきでしょうか。
- GACとその個々のメンバーがマルチステークホルダーの枠組みと公共政策上の懸念に対して与えている価値をさらに向上させるために、ICANNは何ができるでしょうか。
- 全ての地域、政府の代表も含む関心のある全ての利害関係者からのより広範な情報を得た参加を進めることへの援助のために何ができるでしょうか。
- ICANNのプロセスの透明性に対して世界中からアクセスでき、意思決定プロセスへのインプットができる状態を今後も改良し続けるために、既存のプロセスの上に構築できる活動や手順はあるでしょうか。
手順とフィードバック:
委員会は、 上記の質問事項に対するコミュニティからのフィードバックを歓迎します。
これに伴い、7月21日(金)(時間は別途お知らせします)、 web対応のオンラインのコンサルテーションを行います。 この日程と手順は最近のICANNマラケシュ会議で前もって示されていました。
21日の時間を最大限有効利用するため、 委員会は上記質問事項に対する投稿やコメントを psc@icann.org宛に7月18日よりも前に提出いただくよう、 お願いいたします。 投稿されたコメントは、 http://forum.icann.org/lists/psc/で見ることができます。
7月21日(金)のweb対応のオンラインのコンサルテーションの議題は、 7月20日に掲載されます。 投稿者には、7月19日/7月20日に連絡があり、翌日投稿について話すよう、 求められるかも知れません。 これにより委員会は特定の事項について更に非常に詳細に検討することができ、 投稿者にはより多くの情報を提供し、 自身が考えたポイントを詳細に述べる機会を与えるものです。
投稿や批評は、全てオンラインで掲載されます。
投稿には以下の内容を含めることができます:
- 事実
- 意見
- 議論及び
- 実行への勧告
投稿のためのフォーマットはありません。 短いレターでも、より内容のあるものでも結構です。 もし希望されるなら別紙やその他の裏付資料を添付して頂くこともできます。 ですが、その投稿が、 委員会がインプットが欲しい上記の質問事項のいずれに対するものなのかを特定していただくと助かります。 投稿が長い場合は、短い要約もあると助かります。
このコンサルテーションを通じて得た最初のフィードバックは委員会によりレビューされ、 7月26日に行われる米国商務省のコンサルテーションにその要約が提出される可能性があります。
しかしながら、 継続中のインプットとそれに対する回答は8月15日まで委員会宛に投稿することができます。 委員会はこれらを検討し、 更なるコメントのためにその要約を8月25日に公開しますが、 これは要約が受取った見解を正しく反映しているかを確認するためです。 委員会はその後、ICANN理事会に9月1日までに報告を行います。
手順と予定の概略は以下のとおりです:
7月11日 | 本アナウンスの掲載 |
7月18日 | コミュニティからの投稿/コメントの提出 |
7月20日 | Web対応のオンラインコンサルテーションの議題を掲載 |
7月21日 | Web対応のコンサルテーション |
7月26日 | 第一次コンサルテーションの要約を米国商務省コンサルテーションに提出 |
8月15日 | 更なる投稿とコメントの委員会による受取最終日 |
8月25日 | 委員会によるコンサルテーションの要約が掲載 |
9月01日 | 委員会はICANN理事会とコミュニティに報告 |
情報のアップデート、 関連資料やコンサルテーションの議題に関しては、 本サイトをご参照下さい。
現在の委員会メンバー
Paul Twomey (Chair)
Carl Bildt (co-Chair)
Peter Dengate Thrush (co-Chair)
Marilyn Cade
Art Coviello
Janis Karklins
Thomas Niles
Adama Samasse
ICANNからのアナウンス(2007年07月11日)
以上