各位
一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
ICANN通常理事会(2024年6月8日開催)決議概要
1. SSACメンバーの任命
理事会は、Hadia Elminiawi氏をSSACメンバーに任命しました。 同人の任期は、理事会による任命時から2026年12月31日までとなります。
2. 第83回ICANN公開会議のための契約の承認
理事会は、2025年6月のチェコ共和国、 プラハでのICANN公開会議の開催予定地のために必要なすべての契約と支払いを行うよう、 暫定の事務総長またはその指名する者に指示しました。 なお、契約金額の上限については、交渉事項にあたるため非開示とします。
この決議のうち特定の項目については、 付属定款第3条第3.5項(b)の定めに従い交渉事項であることを理由として暫定の事務総長兼CEOが開示の判断をするまでは公開しないことが承認されました。
3. 国際化ドメイン名に関するEPDPによるPhase 1最終報告書
理事会は、 IDN EPDP Phase 1勧告に関するスコアカード を承認しました。 理事会の承認内容はスコアカードのSection Aに示されています。 Section Bは、理事会が保留としたものです。
理事会はICANNの暫定の事務総長兼CEOに、 既にある次期新gTLD (SubPro)のためのIRTのサブトラックとしてEPDP-IDN実施評価チーム(EPDP-IDNs Implementation Review Team(IRT))を作り、 スコアカードSection Aで採用されている勧告の実施をできるだけ早く開始するよう、指示しました。
申請者ガイドブックや基本レジストリ契約への一定の変更を求める勧告については、 Phase 1からの勧告が次期ラウンド開始に関連する内容であるため、 これらの勧告の内容を次のラウンドの申請者ガイドブックに速やかに組み込むよう、指示します。
理事会は、EPDP-IDNチームのメンバーによる献身的な取り組みとPhase 1報告書を完成させるための3年近くにわたる尽力に謝意を表明します。 チームメンバーの努力によって、トップレベルに異体字gTLD導入を可能にする58の勧告が完成しました。 また理事会は、既に実施されている勧告の作成に多大な時間とリソースを投じたコミュニティにも感謝します。 さらに、コミュニティのリーダー、EPDP-IDNチームのメンバー、 これらの努力をサポートしたICANN事務局のスタッフによって、Phase 1最終報告書の公開は実現しました。 共同の取り組みによって、 言語面でより包括的で利用者に優しいインターネットの構築に向けた大きな一歩が踏み出されました。 そこでは、世界中のWebユーザーが完全に母国語でデジタルコンテンツにアクセスすることができるようになり、 デジタルインクルーシブ性が向上します。 今後の実装フェーズ全体を通じて、継続的な協力が不可欠です。
4. 次期ラウンドにおけるレジストリ契約での、gTLDにおけるコンテンツや使用制限に関するレジストリによる誓約事項の取り扱い
ICANN理事会は、 gTLDにおけるコンテンツについて制限をもうけるレジストリの任意誓約(Registry Voluntary Commitment/RVC)やその他のレジストリによる誓約事項を、 次期ラウンドにおけるレジストリ契約に含めないことを決定しました。
理事会はICANNの暫定の事務総長兼CEOまたはその指名する者に、 RVCやその他のレジストリ契約における誓約事項に関連する次期新gTLDに関する勧告を実施するよう、指示しました。 ここには、RVCやレジストリ契約における誓約事項をレジストリ契約から除外するための判断基準やプロセスの作成や実施も含まれます。
理事会は、 新gTLDプログラム次期ラウンドにおけるレジストリによる誓約事項導入の問題を理事会が検討するにあたって、 コンサルテーションプロセスに参加し、 貴重な意見を提供したコミュニティに謝意を表明します。
5. 次期新gTLDポリシー策定プロセスからの最終報告書の補足勧告
理事会は、 次期新gTLD補足勧告に関する2024年6月8日付スコアカード を承認します。 ここには、以下の二つのセクションが含まれています。
- Section A 理事会が受け入れを承認した補足勧告
- Section B 理事会が受け入れを承認しなかった補足勧告(根拠含む)
理事会は暫定の事務総長兼CEOまたはその指名する者に、 2024年6月のスコアカードのSection Aが示す理事会が承認した勧告について、 理事会の見解を考慮に入れつつ、実施作業を開始するよう、指示しました。
理事会はスコアカードのSection Bが示す補足勧告は、 ICANNコミュニティまたはICANNの最善の利益にそぐわないと判断し、 これらの補足勧告を承認しませんでした。 2023年9月のスコアカードが詳述する当初の勧告を承認しない理由が依然として当てはまると判断し、 これらの補足勧告を採用しないこととしました。
理事会は、補足勧告案の作成に多大な時間とリソースを投じたSmall Team Plusに深い謝意を表明します。
6. 商用/非商用申請者間のオークションの回避に関するICANN77GAC勧告
理事会は、 オークションに関するGACワシントンD.C.コミュニケ中の項目4.a.i.と相容れない(または相容れない可能性のある)、 競合文字列に関するラストリゾート/プライベートオークションの問題にとりかかることを決定しました。 求められる理事会-GAC間のConsultation Processの開始を指示し、 ICANN付属定款が定めるConsultation Processが規定するプロセスを開始するために、GACに文書で通知を行います。
7. 申請者サポートに関するGNSO Guidance Process (GGP)による勧告
理事会は1年にわたり九つのガイダンス勧告作成に尽力した申請者サポートGGPチームのメンバーに謝意を表明します。
ICANN理事会は、 申請者サポート最終報告書に関するGGPの最終報告書に含まれている九つの勧告すべてを承認しました。
理事会は暫定の事務総長兼CEOまたはその指名する者に、 九つのガイダンス勧告すべてについて実施作業を進めるよう、指示しました。
8. 次期ラウンドのための資金
理事会は暫定の事務総長兼CEOまたはその指名する者に、 2025年3月31日までの新gTLD次期ラウンドの実施作業のために、 新gTLDプログラムから2300万米ドルを支出することを承認しました。
理事会は、2025年3月31日以降の実施のための資金の要請については、 理事会財務委員会(BGC)が第82回ICANN公開会議までに勧告を提出し、 理事会が勧告を検討することができるよう、 BFCへの要請の適時な提出を事務総長兼CEOまたはその指名する者に指示しました。
9. ICANN事務総長兼CEOへのKurt Lidqvist氏の任命
理事会は、ICANN付属定款の定めに基づきKurt Erik Lindqvist氏をICANN事務総長兼CEOに任命することを承認しました。 任命は、理事会が承認した条件に基づいて正式に書面化された契約書の取り交わしを条件とし、 契約期間は2024年12月5日から2027年11月30日まで(契約満了日は相互合意に基づき延長可能)、 または辞任・解任の発生、その他職務不適格となる日、契約の満了日の到来までとなります。
理事会が承認した条件に基づく正式に書面化された契約書の取り交わしを条件として、 ICANN事務総長兼CEOとなるLindqvist氏は、2024年12月5日から年次評価の対象となり、 報酬を受ける権利が発生します。 ただし、雇用に関する項目であるため、報酬額は非開示とします。
ICANN理事会議長と法律顧問兼書記は、 ICANNとKurt Erik Lindqvist氏との間の正式に書面化された契約を作成する権限を付与され、 また、ICANN理事会議長はICANNに代ってその契約を締結する権限を持つものとします。
理事会は、事務総長兼CEOの探索プロセスへの協力について、 Perrett Laver氏に謝意を表明したいと思います。
理事会はSally Costerton氏に対して、ICANNへの献身と、長期にわたる理事会の重要な選考の間、 また、Lindqvist氏がICANN事務総長兼CEOの職務を2024年12月5日に開始するまでの間、 他の職責に加えICANNの暫定の事務総長兼CEOとしての責務を2022年12月21日から果たしてくれていることに深い謝意を表明します。
本決議における特定の項目は人事または雇用に関する事項であるため、 ICANN付属定款第3条第3.5.b項およびd項の定めに従い非公開とすることが承認されました。 また、公表後も、理事会が非公開とするべきではないと判断するまで、 一部は非公開を継続する可能性があります。
決議事項の詳しい内容は、以下の原文をご覧ください。
Approved Resolutions | Regular Meeting of the ICANN Board | 8 June 2024
以上