IPv4アドレス在庫枯渇対応諮問委員会議事録
■日時:2007年11月21日(水) 10:00~12:00
■場所:八重洲富士屋ホテル 3F「赤松」の間
■諮問委員(敬称略)
株式会社NTTデータ 海野 忍
財団法人地方自治情報センター 太田 正剛
早稲田大学理工学術院 後藤 滋樹
生活経済ジャーナリスト 高橋 伸子
松下電工株式会社 野村 淳二(代理:藤原 憲明)
ソフトバンクモバイル株式会社 牧園 啓市
楽天株式会社 安武 弘晃
社団法人日本ケーブルテレビ連盟 山下 良蔵
株式会社フジテレビジョン 上瀬 千春(欠席)
■JPNIC側参加者
理事長 後藤 滋樹
副理事長 野村 純一
IP・IPv6分野担当理事 荒野 高志
事務局長 成田 伸一
IP事業部長 前村 昌紀
■配布資料
・IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書(サマリー)
■議事内容:
1. 開会宣言
JPNIC後藤滋樹理事長よりご挨拶を行った。
○後藤委員を諮問委員会座長とすることを決めた。
2. 諮問委員、役員紹介
座長が各諮問委員の紹介および理事と職員の紹介を行った。
また上瀬委員が欠席されているが、事前に報告書の内容についてコメント
をいただいている旨の説明があった。
3. 報告書の説明
前村部長が、IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書(サマリー)
に基づいて説明を行った。
※p3 グラフの「IPv4アドレスの分配上限」の線は編集上のミス。
縦軸221にラインを修正した。
4. 討議
▼委員からの意見
報告書サマリーの説明に対して、各委員からそれぞれ意見をいただいた。
主な意見は下記の通り。
a) 利用者への周知に対する意見
1. 利用者が在庫枯渇問題を周知するための啓発活動が不足している
2. 在庫枯渇問題の国民への周知が十分ではないと感じている
3. 利用者にIPv4とIPv6の違いを分かりやすく説明してほしい
b) 技術者の教育、啓発に関する意見
1. 技術者がIPv6を理解するための教育が必要である
c) IPv6対応の促進についての意見
1. IPv6対応について、利用者個々の状況に合わせるべきか、国全体で
進めるべきか、最適な方法を検討する必要がある
2. IPv6の潤沢なアドレス空間を利用した、ユビキタス社会にふさわしい
新たなサービスの出現が期待される。日本がこのような新たなサービ
スで世界をリードしていくことが望ましい
3. 現在上がっている課題で重要なものを絞り込んで戦略的に進めるべき
4. 三つの対応策のうちIPv6対応についてもっと重点を置き、IPv6対応を
行う事業者にインセンティブを与えられる形で推進に協力してほしい
5. IPv6への対応を円滑に行うため、IPv6のメリットを利用者にアピール
できるようにJPNICをはじめ関連する業界全体で取り組んで欲しい
6. IPv4インターネットのサービスを継続したままIPv6に対応し、IPv4と
IPv6を並存させる仕組みと手順を整備する必要がある。
d) IPv6技術および製品の品質に関する意見
1. IPv6インターネットでセキュリティ強化が実現されるならば、強い
導入インセンティブを感じる
2. IPv6製品の品質が現段階でまだ十分ではない。信頼性向上を関係者と
連携して進めていく必要がある
e) 対応時期の明確化に関する意見
1. 対応のための適切な投資ができるよう時間軸を明確にして欲しい
f) 世界的動向に関する意見
1. 日本のIPv6対応が世界的な先駆けとなるのか、またそれがメリットに
なるのかを把握できるように、世界的動向についても報告書に盛り
込んでほしい
▼JPNICからの補足説明
- 総務省の研究会について
o 総務省で「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」を
開催しており、3月に報告書を出す予定である
o 内容的にはJPNICの検討結果に近いものになると思われる
o 利用者への影響についてどこまで反映されるかは確認が必要
- 国際的な動向について
o 今年に入ってJPNICが国際会議などでIPv4アドレス在庫枯渇についての
議論喚起を行うことで議論が盛り上がってきた
o 今年の半ば頃からICANNおよび各RIR、メキシコや中国のNIRから、IPv4
アドレスが数年で枯渇すること、その後はIPv6の対応が必要になる、
という旨の声明が出された
o 各国のIPv6対応状況は政府主導で行われているが、民間での対応状況
は不明であり、今後調査が必要
o アジアのIPv4アドレス消費は増加傾向にあり、特に中国の伸びが著しい
- 検討時の背景、状況について
o 今回JPNICでは全体最適をめざす意味でIPv6導入推進を打ち出すことに
した
o IPv6移行技術については数年前から議論されてきたが、IPv4アドレス
在庫が十分に残っている間に移行するという、当時の前提が大きく崩れ
ている。再考のための議論にも取り組む必要がある
▼意見交換
+ は委員からの意見
o はJPNICからのコメント
- 報告書に対する意見、要望
o 報告書のサマリーでは、ベンダーや利用者は二次的影響となっているが、
影響が直接的か間接的かの違いであって時間差がある訳ではないの
で、表現を再考してほしい
- 利用者への影響/対応について
+ IPv6対応にあたり、利用者にはメリットだけでなくデメリットも合わ
せて伝えるようにしてほしい
+ モバイルのインターネット利用がかなり進んでいるが、早晩行われる
であろうSIMロック解除で利用者にどのような影響が起きるのか、
しっかり検証してほしい
o 今後の取り組みでは利用者における影響に関しても検討していく
- IPv6の利用状況の情報について
+ IPv6対応の投資を正当化するためにも現在のIPv6ユーザー数や利用状況
に関する情報も周知されるようにしてほしい
- IPv6対応製品の認証について
+ IPv6対応している製品やISPを認定するプログラムを設けたり、その検
証を行うためのテストベッドなどを用意することを検討してはどうか
o 製品に対してはIPv6 ForumでIPv6 Ready Logo Programを提供している
が、ISPの認定は検討したものの断念した経緯がある。再度検討するこ
を考えた方がよいかもしれない
▼いただいた意見の取り扱いと対応について
- 報告書への反映と取り扱いについて
+ 諮問委員の意見は整理した上で、適切に報告書に反映する
+ 諮問委員の意見を反映した報告書を、議事録とともに理事会へ報告する
- いただいた意見に対するJPNICの今後の対応について
+ 以下の点について報告書に明記する
- 今後対応として、周知などの手段を含め、利用者の意見が対応策に
取り入れられるための対策の検討を行うこと (a)に対応)
- IPv6の準備期から本格運用の具体的なタイミングの推定を検討する
(e)に対応)
- 国際的なIPv6対応動向に関する現状の記述(f)に対応)
+ 以下については他組織と連携調整の上、具体的な取り組みを検討する
- IPv6普及推進に関する方策に関する取り組み(c)に対応)
- IPv6技術、製品の品質向上に関する取り組み(b)とd)に対応)
以 上