=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.113【臨時号】2003.9.29 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.113 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNICは、内閣の司法改革推進本部事務局より2003年7月29日に出されました 「総合的なADRの制度基盤の整備について」に対し、9月1日付けで意見書を提 出しました。 本件の担当理事である丸山より、ADRについて、また提出した意見書について 解説してもらいました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 「総合的なADRの制度基盤の整備について」意見書提出 JPNIC DRP分野担当理事 丸山直昌 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 小泉内閣が政策に掲げた司法制度改革が、JPドメイン名紛争処理方針(*1)(以 下、JP-DRP)にまで影響してくることになるとは、政治の動きに鈍感な私には 昨年は想像できてなかったのですが…… ADRというのはAlternative Dispute Resolutionの略で、紛争を裁判所外で解 決する仕組みを意味します。法律の世界で仲裁とか調停と呼ばれているものは 典型的な例です。シドニーオリンピック代表選考を巡る水泳の千葉すず選手と 日本水泳連盟の争いの行司役となったスポーツ仲裁裁判所(The Court of Arbitration for Sport:CAS)は、「裁判所」という名称を使っていますが、 どこかの国の裁判制度に組み入れられたものではなく、法律的には仲裁機関に あたり、ADRの典型的な例です。ドメイン名紛争を扱うICANNのUDRP(Uniform Domain Name Dispute Resolution Policy)やJPドメイン名を扱うJP-DRPも、 仲裁ではありませんが、ADRの一種にあたると考えられます。 小泉内閣が政策として掲げる司法制度改革には、ADRの推進がスローガンとし て含まれており、そのために内閣の司法制度改革推進本部にADR検討委員会 (*2)が作られて、昨年来議論が進められてきたようです。司法制度改革推進本 部は「ADR基本法」のような法律の案を作ることを目標としており、もしその ような法律ができると、JP-DRPがその対象に含まれることになると思われます。 またUDRPに関しても、パネリストが日本在住の人である場合などでは、やはり そのような法律の対象に含まれる可能性があります。したがって、JP-DRPや UDRPに影響が出てくる可能性があり、JPNICとしては「ADR基本法」の法案作り の動きに注意を払う必要があるわけです。 実際、2003年7月29日には、ADR検討委員会での議論をもとに「総合的なADRの 制度基盤の整備についての意見募集(*3)」が出されました。この意見募集を予 想してJPNICのDRP検討委員会では意見書作りのための議論を7月中頃から開始 し、8月の初旬まで集中的に議論したうえで意見書を作成し、最終的に理事会 の承認を得て意見書(*4)を内閣の司法改革推進本部へ提出しました。2003年9 月末現在、意見募集のWebページ(*3)は無くなってしまったようですが、元と なったADR検討委員会の資料(*5)はまだ見ることができます。 提出した意見書の内容について、詳しくは意見書そのものを見ていただきたい のですが、要点は「ADR基本法」ができることによってJP-DRPやUDRPが無用な 制約を受けないようにすることで、特にADRの国家認定制度や、弁護士法第72 条による制約は、JP-DRPやUDRPの今後の運用や発展を阻害するという観点から 反対意見を述べました。 なお、今回の意見募集はあくまでも「ADR基本法」をどう作るか、という観点 での意見募集であって、JP-DRPやUDRPに対する意見募集ではありません。司法 制度改革推進本部のADR検討委員会は、日本におけるADR全般の議論をしている のであって、JP-DRPやUDRPなどの特定のADRを議論の対象としているわけでは なく、ましてやJP-DRPやUDRPの善悪・良否を判定する場でもありません。 JPNICから提出した意見書の中でも、ADR検討委員会の資料(*5)で述べられてい る論点に直接的に回答している「記」以下の部分が核心部分です。JP-DRPや、 その元となったUDRPの今後の改良に関する議論は、従来通り、インターネット の伝統的な草の根的意見形成の過程によって、我々自身の手で行わなくてはな りません。 (*1) JP-DRP http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-DRP (*2) ADR検討委員会 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/03adr.html (*3) 総合的なADRの制度基盤の整備についての意見募集 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/pc/0729comment_a.html (*4) 「総合的なADRの制度基盤の整備について」意見書 http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20030901-01.html (*5) ADR検討会におけるこれまでの検討状況等 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/pc/0729adr/seibi.html ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.113 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2003 Japan Network Information Center