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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.316【定期号】2005.12.15 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.316 です
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2005年11月中旬、チュニジア・チェニスにおいて世界情報社会サミット(WSIS) 
が開催されました。今回のWSISについては、世界的なインターネット資源管理
のあり方について議論されるとあって、各メディアでもその動向が注目されて
おりました。

本号の特集では、今回のWSISで議論されたインターネットガバナンスに関する
トピックスについて、これまでの経緯から結果までをご紹介いたします。


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◆ 目次
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【 1 】特集「世界情報社会サミット(WSIS)報告」
【 2 】News & Views Column 
      「親子丼の検索結果から学ぶインターネットの格差」 
         国立天文台 上級研究員 大江将史氏
【 3 】インターネット用語1分解説  
      「IRR (Internet Routing Registry)とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー


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【 1 】特集 「世界情報社会サミット(WSIS)報告」
                                       インターネット政策部 穂坂 俊之
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◆はじめに

2005年11月16日から18日まで、チュニジア・チュニスで世界情報社会サミット
(WSIS)のチュニス会合が行われました。新聞等マスコミでも取り上げられた会
合で既にその結果についてはご存じの方も多いとは思いますが、改めて会合の
結果についてインターネットガバナンスのトピックを中心にご報告いたします。

◆これまでのいきさつ

結果報告の前に、これまでの経過を簡単に辿っていきたいと思います。2003年
に行われたWSISジュネーブ会合に端を発したインターネットガバナンスの議論
は、2004年に国連事務総長配下のワーキンググループ(WGIG)を作り、そのWGIG
がインターネット資源管理を含むインターネットガバナンスの現状と問題点を
まとめた文書を発表し、その後2005年7月に最終報告書を上程するという一連
の作業を経ました。

この最終報告書の中では、現在ICANNが行っているルートサーバ、ドメイン名、
IPアドレスの管理の監視形態を今後どうしていくかについて複数の提案が行わ
れました。

そしてこの最終報告書を基に、サミット前の準備会合を経て最終文書の内容に
関する交渉が各国間で行われることとなったのです。

◆サミット本会合寸前の合意

準備会合では、米国が現在の管理体制を支持する主張をし、これに対しEUは政
府の責任・関与を高めるべきという提案を行います。一方途上国側は米国一国
がICANN監督機能を握っていることへの強い問題意識から、この状態を解消す
るよう求め、意見を一致させるのは非常に難しい状況となりました。参加者の
中には、決裂を覚悟した方もいらっしゃったようです。

しかし本会合前夜の最後の2時間でなんとか各国が最終文書に合意し、無事文
書を発表できることとなりました。

◆サミット最終文書とその内容

サミットの最終成果物として、情報社会の実現に向けた基本原則などを記述し
た「チュニスコミットメント」と、前回持ち越しとなった論点の議論の結果を
記した「チュニスアジェンダ」という2つの公式文書が採択されました。イン
ターネットガバナンスについて記述があるのは後者の「チュニスアジェンダ」
です。

これら2つの文書は、総務省から参考訳が提供されています。関心のある方は
一読することをお勧めします。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051119_1.html

この「チュニスアジェンダ」では、以下の部分に注目すべきと思われます。
(総務省参考訳より)

  72. 我々は、国連事務総長に対し、開かれた包括的なプロセスにより、2006
      年第二四半期までに、マルチステークホルダーの政策対話のための新し
      いフォーラムの会合を開催することを求める。これをインターネットガ
      バナンスフォーラム(IGF)と呼ぶ。

  73. インターネットガバナンスフォーラムは、その作業と機能において、多
      国間、マルチステークホルダー、民主的、及び透明であるべきである。

  77. IGFは監督権限を持たず、既存の取極め、仕組み、機関や組織を置き換
      えることは行わない。しかし、それぞれを包括し、その能力を活用する
      ものである。IGFは中立で、重複することなく、拘束力のないプロセス
      に基づいて進められる。ここにはインターネットの日常的又は技術的運
      営は含まれない。

要約・解釈すると、以下のようになります。

・国際連合管轄でインターネットガバナンスフォーラム(IGF)を設立し、マル
 チステークホルダーアプローチで最低5年間維持する。

・IGFは既存の組織や取り決めなどを置き換えるものではなく、対話のための
  場である。

・議論の対象となっていたICANNの体制は、米国政府の関与を含めて当面現状
 のまま維持される。

実質は、WSISジュネーブ会合に引き続いて再度先送りされたということができ
るでしょう。ただ、米国一国支配という批判に対しては、次の文を入れること
で合意したので、ある程度途上国側としても納得できる結論になったというこ
とは言えると思います。

  63. ~各国は、他の国の国別ドメイン名(ccTLD)に関する意思決定に関与し
      てはならない。~

 69. 我々は、インターネットに関する国際的な公共政策課題に関して、各政
      府が同等の立場でそれぞれの役割や責任を果たすことを可能にするた 
      め、将来、拡張した協力の必要が生じることを認識する。

◆今後の展開

インターネットガバナンスフォーラム(IGF)は、2006年6月を目処にギリシャの
アテネで開かれることがほぼ決まっています。この初会合のアジェンダをどう
するか、参加の形態はどうするか、議長は誰が務めるのかなど、決めなければ
ならない事項は目白押しです。WSIS準備会合議長のKarklins氏、WGIG議長の
Kummer氏は先日行われたICANNバンクーバー会合の中で、「6月に第一回会合を
行うためには、その準備のための会合を3月くらいに行わないと間に合わない
だろう」との見通しを述べています。次の動きが出てくるのは、そう先の話で
はないようです。

実質的に先延ばしとなったインターネットガバナンスに関する議論は、今後
IGFに場を移して続けられます。来年も引き続き要注目の話題ですし、JPNICと
してもIGFでの議論に何らかの形で関わっていきたいと考えています。


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【 2 】News & Views Column
      「親子丼の検索結果から学ぶインターネットの格差」 
                                        国立天文台 上級研究員 大江将史
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インターネットによって、誰もが手軽に情報発信することが可能になり、様々
な情報が入手できるようになりました。私は、趣味が料理ということもあり、
レシピをインターネット上で検索し、参考にすることがあります。たとえば、
親子丼を作るためのレシピを入手するために、「親子丼」「作り方」をキーワー
ドにWeb検索したところ、約6万件を超える情報が表示されました。結果を閲覧
すると、鶏肉やタマネギなどの計量情報や手順が細かく記載されたもの、地鶏
を使ったもの、エスニック風のもの、半熟トロトロで仕上げる技法、丼鍋の柄
の形状などの道具に関する情報、変わったところでは、地上デジタル放送に関
するコラム等々、大量の情報が表示されます。これは、誰もが情報の内容や品
質に関係なく、手軽にネットへ情報発信できるようになったことを反映した結
果といえます。同時に、インターネットを利用できる者と利用できない者との
間に生まれた情報格差が小さくなっていることも示しています。

一方、様々な情報が発信されるようになったことは、検索において、自分が希
望する情報を絞り込む作業と、絞り込まれた結果から求める質を選別する作業
が重要になっていることを導きました。親子丼を一つ作る場合、求める理想の
親子丼を具体化するために、約6万件の検索結果から、自分にとって価値のあ
る情報を選別し、料理手順をくみ上げるというコストが必要となります。大量
の情報が発信されるにつれて、このコストは、日々大きくなっていきます。コ
スト低減のためには、必要とする情報に絞り込むための検索手法の教育や、求
める質の高い情報を検索できる検索アーキテクチャの開発などが必要となるで
しょう。

かくして、インターネットのおかげで作りだせた親子丼は、誰もが公平に情報
を入手できるようになった社会が、同時に、情報を選別できる能力を持つ者と
持たざる者との間に新しい情報格差を生み出す社会を創り出していることを気
づかせてくれました。現在は、検索結果からの取捨選択の能力次第で、得られ
た情報が、有用とも無用ともなることになります。

よって、インターネットをよりよいものとするために、大量の情報発信が生み
出す新たな格差の解決策について、議論していかなければならない時期にある
と考えます。


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【 3 】インターネット用語1分解説
         「IRR (Internet Routing Registry)とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前が示すとおり、インターネットの経路制御に関する情報を登録するデータ
ベースです。インターネット上に経路広告されるプリフィックス(IPアドレス
とネットマスク)とその起源情報、またAS番号に関する情報やそのASの優先制
御情報などが登録されます。主に経路広告されているプリフィクスの正当性の
確認や、AS間におけるフィルタリング情報の生成などの用途に用いられます。
米国の Merit Network, Inc. が運営する RADB(Routing Assets Database)が
代表的なIRRとして挙げられますが、その他に大手ISPやインターネットレジス
トリが運営するIRRが広く利用されています。

JPNICでは、IPアドレスのレジストリが管理する登録情報の正当性を保証する
ことで、より信頼性の高いIRRデータベースの構築に向けた研究を進めており
ます。2002年より試験的にIRRサービス(JPIRR試験サービス)を実施しており、
正式サービス化に向けて検討が進められております。

□JPNIC Newsletter No.27 インターネット10分講座「IRR」
   http://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No27/100.html

□JPIRRについて
   http://www.nic.ad.jp/ja/irr/

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【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2005年7月~2005年12月) 
--------------------------------------------------------------------------------
日付|JP AD  AC    CO    GO   OR    NE    GR   ED   LG  GEO   GA     GJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------
 7/1|0 299 3192 275219 839 20352 17299 9149 4327 2673 4010 287792 109369 734520
 8/1|0 298 3203 276621 835 20487 17316 9122 4348 2649 3960 293673 112869 745381
 9/1|0 298 3210 278159 832 20625 17330 9086 4359 2625 3921 299970 113798 754213
10/1|0 297 3217 279529 834 20723 17285 9043 4371 2623 3880 305481 114004 761287
11/1|0 297 3231 280872 836 20830 17307 9008 4381 2562 3846 311457 114818 769445
12/1|0 297 3237 282451 841 20930 17324 8983 4379 2532 3819 317246 115200 777239
--------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語 


2.IPアドレス

o JPNICからの割り振りとJPNICへの返却ホスト数(2005年6月~2005年11月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量 
------------------------------------------
   6 |   313344 |        0 |   30241054
   7 |   690176 |     8192 |   30923038
   8 |   937984 |     8192 |   31852830
   9 |  1392640 |        0 |   33245470
  10 |    51200 |    24576 |   33272094
  11 |   292864 |    16384 |   33532190
------------------------------------------


□統計情報に関する詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3.会員数  ※2005年12月15日 現在

 --------------------
  会員分類 | 会員数 |
 --------------------
  S会員    |      3 |
  A会員    |      2 |
  B会員    |      7 |
  C会員    |      5 |
  D会員    |    182 |
  個人推薦 |     39 |
  賛助会員 |     42 |
 --------------------
  合計     |    280 |
 --------------------

□会員についての詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4.指定事業者数  ※2005年12月5日 現在

  IPアドレス管理指定事業者数           382


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【 5 】イベントカレンダー 
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  2006.1.20(金)              IPアドレス管理指定事業者定例説明会
  2006.1.22(日)~26(木)      21st APAN
                             (東京、秋葉原コンベンションホール) 
  2006.1.19日(木)~20(金)    JANOG 17 (宮城、仙台国際センター) 
  2006.1.12(木)~20(金)      SANOG VII (Mumbai, India) 
  --------------------------------------------------------------------
  2006.2.12(日)~14(火)      NANOG 36 (Dallas, Texas, USA) 
  2006.2.22(水)~3.3(金)     APRICOT 2006 (Perth, Australia)
                             21st APNIC Open Policy Meeting
                             (Perth, Australia) 
  --------------------------------------------------------------------
  2006.3.2(木)~3(金)        CENTR 29 (London, United Kingdom)) 
  2006.3.19(日)~24(金)      65th IETF (Dallas, Texas, USA) 
  2006.3.27(月)~31(金)      ICANN (Wellington, New Zealand) 


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.316 【定期号】 

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                 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F 
 @ 問い合わせ先   jpnic-news@nic.ad.jp 
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