=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.375【臨時号】2006.8.9 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.375 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 6月末にモロッコのマラケシュで開催されたICANN会議を受けて、恒例となり ました「第16回ICANN報告会」が開催されました。本号では、そのレポートを お届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第16回ICANN報告会レポート JPNIC インターネット推進部 高山由香利 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2006年7月19日(水)、九段会館(東京都千代田区)にて、JPNICと財団法人イン ターネット協会の共催で第16回ICANN報告会を開催しました。以下に、報告会 の内容を項目別にご紹介します。 ◆ICANNマラケシュ会議概要報告 ドメイン名マーケットプレイスに関する議論について JPNICの穂坂俊之より、ICANNマラケシュ会議(2006年6月25日~30日)の概要報 告を行いました。会議スケジュールと本会議でのトピックをご紹介した後、主 な理事会決議の内容(ICANN2006年度予算案承認の件、理事の交代、新gTLD創設 プロセスの促進に関する決議)とドメイン名マーケットプレイスに関する議論 についてご報告いたしました。 ドメイン名マーケットプレイスに関する議論と主な理事会決議の内容は、下記 にてご参照いただけます。 JPNIC News & Views vol.368【臨時号】2006.7.10 ICANNマラケシュ会議報告 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol368.html ◆IDNに関する動向 マラケシュ会議では、多くの会議でIDN(Internationalized Domain Name:国 際化ドメイン名)に関連する議論がありました。そこで、株式会社日本レジス トリサービス(JPRS)の堀田博文氏より、IETFでの議論も交えIDNに関する動向 のご説明がありました。 IDNの標準化は、日本を含むアジアのccTLDレジストリが推進的役割を担う形で 1990年代末にはじまり、2003年3月に基本プロトコルがRFCとして発行される と、IDNが世界中で正式サービス化されました。2005年頃からは、多くのTLDで IDNサービスが急激に進展する興味深い動きが見られます。これは、日常生活 でASCII文字を使うことがない国や地域からの、IDN TLDに対する要求の高まり が関係しています。 IDN TLDはルートDNSへのIDN登録であり、技術面、サービスポリシー面でグ ローバルな調整が必要になります。そこで、最近ではポリシー調整の動きのほ か、2006年7月にはDNSにNSレコードを追加する技術実験が開始され、DNAMEを 用いた実装方法について机上検討が行われています。 しかしながら、IDN TLDレジストリの選定基準やICANNとの契約条件との関係な どのポリシー検討が残されており、オルタネート・ルートの懸念なども残るた め、今後の動向が注目されるとの報告がありました。 ◆ccTLDの動向 引き続き、JPRSの堀田博文氏より、マラケシュでの国コードドメイン名支持組 織(ccNSO)会合で話し合われた議題について報告がありました。 トピックとして、アフリカのccTLD連合組織(AFTLD)が発足し5つの地域連合 となったこと、各ccTLDがICANNに資金拠出する際の参考となるパターンを検討 する予算ワーキンググループの活動、IANAの業務処理向上に貢献するIANA WG の活動などが報告されました。 また、ICANN付属定款のccNSO関連部分が改訂され、ccNSO加盟の意義が分かり やすくなったことで、加盟して内からICANNを良くしようという傾向が加速さ れ、議論の発展が見られる点が最近の傾向として伝えられました。 ◆再びWHOISについて - gTLDの最近の話題から - GNSOでは、ドメイン名マーケットプレイスに関する議論と並んで、前回のウェ リントン会議に引き続きWHOISの議論がトピックとなりました。そこで、JPNIC 理事の丸山直昌より、「再びWHOISについて - gTLDの最近の話題から -」と題 し、前回報告した内容についてアップデートを行いました。 2006年4月以降の動きとして、まずWHOIS TFが最終報告書(*1)でふたつの定式 (Formulation)を示しました。これを受けてGNSOは、投票により「WHOISの目的 としてFormulation1(DNSデータの設定にかかわる問題を解決できる人(団体)に 連絡を取るために十分な情報を集める)を選択する」ことを決めました。この 選択は、今後WHOIS TFが活動していく上での指針と捉える旨も伝えられていま す。 しかしながら、Formulation1ではドメイン名登録が引き起こす社会的・法的問 題を解決する際に解決できる人(団体)に連絡を取るための十分な情報が取得で きなくなるのではという懸念がGACから示され、GNSO評議会の場でも議論が振 り出しに戻りました。 結果として、Formulation1の定義に賛成した評議員はその理由とFormulation1 をどう理解しているか説明する、ICANNスタッフは各国政府やコミュニティに よりどのような解釈が表明されているか要約する、などが宿題事項となりまし た。 マラケシュ会議でも、WHOISの目的に関する議論が一筋縄では行かないことを 再認識させられ、そうであるからこそ、GNSOひいてはICANNの存在意義が問わ れる問題であると言える、とのコメントがありました。 (*1) Final task force report on the purpose of Whois and of the Whois contacts (15 March 2006) http://gnso.icann.org/issues/whois-privacy/tf-report-15mar06.htm ◆ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省の糸将之氏より、政府諮問委員会(GAC)に関する報告がありました。ご 報告いただいた内容のうち、次の3点をお伝えします。 まず、WHOISの目的についてGAC-GNSOのjoint sessionを開催し、前述の報告に もある通りGNSOは2案のうちFormulation1の定義で合意し、年末に向け引き続 き検討していく旨GNSOより説明があったことが報告されました。 なお、2案いずれにも懸念が示され、WHOISの有用性とプライバシー保護のバラ ンスを考慮し、次回会議に向けて議論が進められることとなり、次回会議で GACの見解が作成される予定とのことです。 2つ目は、日本政府代表の議事のもとIPv6の問題を検討するWGが開催され、 ICANN/IANAからRIRへのIPv6アドレス割り振り方針承認作業の進捗を含めIPv6 に関するNRO/ASOの活動が報告されたことが伝えられました。途上国側からは、 先進国に有利な割り振りであるのではとの懸念が示されたものの、その点に配 慮した割り振りとする旨が回答されたとのことです。 3つ目は、本年9月末に期限を迎えるICANNと米国商務省とのMoUに関するGAC内 の議論についてです。ICANNによりインターネットが長期的に安定運用されて きたことを評価し、各関係諸機関との連携を継続していくべきである、という 意見が多かったようですが、米国の関与については様々な意見があるようで す。 インターネット資源管理について、各国が平等にかかわることが重要であると のブラジルの意見や、途上国からの参加が重要とのシンガポールの意見があっ たことも伝えられました。 ◆ICANN At-Large諮問委員会(ALAC)報告 財団法人ハイパーネットワーク社会研究所副所長の会津泉氏より、At-Large諮 問委員会(ALAC)の活動内容が報告されました。 ALACのミッションであるRALO(Regional At-Large Organization : 地域別 At-Large組織)形成への取り組みについては、APRALOやEURALO形成への進展が 見られ、他の地域でもRALO準備会議が行われているなどの進捗が報告されまし た。 ICANNと米国商務省とのMoUに関するNTIA(National Telecommunications and Information Administration : 電気通信情報局)のコメント募集に対しては、 マルチステークホルダーの枠組みを強化し、エンドユーザーがより積極的に関 与できる、真のマルチステークホルダーの枠組みを実現できるように要求する などのコメントを、ALACとして伝えたことが報告されました。 ALAC内では、ALACの機能が強化されてきていると感じ取れるのもの、より効果 的な機能を発揮するためには、ICANNとのかかわり方や諮問委員会という形そ のものの見直しが課題として考えられているそうです。また、WHOISやIDNなど のポリシー議論にも取り組んでいますが、ALACの15名がエンドユーザーの意見 を反映しきれているのか、といった問いかけもあり、ユーザー調査の実施が提 案されているとのことです。日本におけるALACへの関心や期待についても興味 があることが伝えられました。 ◆ICANN理事からの報告 株式会社ネオテニー代表取締役社長の伊藤穰一氏より、Webページ上の理事会 決議の内容(http://www.icann.org/minutes/resolutions-30jun06.htm)に沿っ てコメントがありましたので、いくつかのトピックについてお伝えします。 - Progress on ICANN Board/GAC Joint Working Group ICANNと米国商務省とのMoUが間もなく期限を迎えるにあたり、MoUに対して はICANN理事会内でも米国政府内でも様々な意見があるようです。そのよう な状況下で、今後は特にICANN理事会とGACとの関係が重要になると考えら れ、理事会としても注目するワーキンググループであることが伝えられまし た。 - Board Resolution Regarding New gTLD Process 先般のVeriSignとの.com契約についてはコミュニティよりネガティブな反応 が多数寄せられたため、gTLDを増やし競争原理を働かせることに積極的であ ると意思表示したい、理事会の意向が込められた決議と言えるそうです。 - Board Resolution Regarding WHOIS Policy Process 理事会内でも意見が二分しているが、いずれにしても理事会としてのプレゼ ンスが求められる場はないので、理事メンバーであっても個人で議論に参加 している状況にあるとのことです。 - NomCom Chair Appointment NomCom ChairにEugenio Triana氏が選出されたことに関連してNomComの活動 についても触れ、後任の理事長選出が大きな課題となっていることが伝えら れました。 - SSAC Reports on Domain Renewal Considerations ドメイン名登録に関する問題(ドメイン名テイスティングなど)が顕在化する 昨今の事情を反映して、マラケシュ会議期間中にはドメイン名マーケットプ レイスワークショップが開催され、レジストリとレジストラでそれら課題を 解決していこうという風潮であることが伝えられました。 続いて、理事会決議以外の項目として、ICANNと米国商務省とのMoUについて触 れられ、9月が期限でありながら今回の会議で議論されなかったことは不思議 であり、またこの件についてICANNスタッフから理事会への情報伝達も少ない との状況をお知らせいただきました。 今回の会議は、全体的に穏やかな雰囲気で議事が進んだ印象がありますが、ト ピックスの内容は今後の動向が気になるものが多くあります。次回会議(12月 2~8日、ブラジル サンパウロ)でも、それぞれの進展を注目したいと思いま す。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.375 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2006 Japan Network Information Center