=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.387【定期号】2006.9.15 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ◆ 政府機関も「日本語JPドメイン名」を採用へ! “セキュア・ジャパン2006”(http://www.nisc.go.jp/active/kihon/)で 政府機関であることが保証される、利用を推進すべきドメイン名として 「日本語JPドメイン名」が挙げられています。 注目度は ますます上昇中! 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) ◆ ---------------------------------------------------------------------- ---------- PR -------------------------------------------------------- ◆◇━━━━◇◆AT&Tグローバル・サービス株式会社◇◆━━━━━◇◆ 10月19日(木)「AT&Tネットワーク・サミット2006」開催決定! 【変化に強い企業体質を確立せよ-次世代グローバル・ネットワークによる ビジネスの統制と俊敏性の両立-】IT部門必見!参加費無料・登録受付中↓ ◆◇━━━◇◆>>詳細・申し込み>>http://www.ciojp.com/event/att/ ---------- PR -------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.387 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2006年9月4日(月)~9月8日(金)にかけて、第22回APNICオープンポリシーミー ティングが開催されました。ベトナムのハノイ、オーストラリアのパースに続 き、今回は台湾の高雄での開催です。 本号では、ミーティングに出席してきたIP事業部の奥谷がミーティングの模様 をレポートします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第22回APNICオープンポリシーミーティングレポート」 【 2 】News & Views Column 「次世代トランスポートプロトコル: SCTP」 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 西田佳史氏 【 3 】インターネット用語1分解説 「コンセンサスとは」 【 4 】統計資料 1. JPドメイン名 2. IPアドレス 3. 会員数 4. 指定事業者数 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第22回APNICオープンポリシーミーティングレポート」 JPNIC IP事業部 奥谷泉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このたび、2006年9月4日(月)~9月8日(金)、台湾第2の都市として知られてい る高雄で開催された第22回APNICオープンポリシーミーティングへ参加してき ました。 JPNICからの参加は私を含めた職員4名と、APNIC EC(理事)でもあるIP分野担当 理事の前村昌紀というメンバーです。 高雄は南部の工業都市でもあるそうですが、街の西側を流れている愛河の周辺 には小さなカフェやバーが立ち並び、街全体はのんびりしている印象を受けま した。 ミーティング会場であったGrand Hi-Lai Hotelは漢神デパートと隣接した街の 中心にあり、参加者からの評判もよかったようです。この号ではこのような環 境で開催されたAPNIC22の様子をお伝えします。 ■ミーティング概要 開催期間:2006年9月4日(月)~9月8日(金) 会場:台湾 高雄 GRAND HI-LAI HOTEL 参加者:157名 プログラム:チュートリアル、各種BoF、APOPS(The Asia Pacific OperatorS Forum)、各種SIG、APNIC総会、懇親会 http://www.apnic.net/meetings/22/program/ (※)台湾のNIRであるTWNICがローカルホストを務めました ■ミーティング全体について 今回のミーティングは、少なくとも私が参加した中では内容の濃さにおいて トップ3に入るミーティングだったのではないかと感じています。 まず1点目としては、これまでのAPNICオープンポリシーミーティングはどち らかといえばポリシー議論が中心という傾向がありましたが、今回はオペ レーションに関する話題が随分充実したミーティングでした。 今回初の試みとして、従来BoFセッションとして開催してきたAPOPSに水曜日 のセッション枠を終日割り当て、運用に関する議論・情報共有が集中して行 われました。内容も、12点の発表のうち、バングラデシュ、中国、台湾、 フィリピン等、地域内の運用状況の紹介や、BotNet、DoS攻撃への対策、RIR による電子証明書の実装等、多岐にわたるトピックスが取り挙げられ、個人 的にはBoTNetとAS-pathの分析の話が興味を引かれました。 また、ポリシーSIGにおいても提案事項が9点提出され、これは過去で最多の 提案数とのことです。しかしながら、提案数が多い状況にもかかわらず、議 論はさほど発散せず、また、IPv6アドレスポリシーについては日本のコミュ ニティからいただいていた意見をスムーズに通すことができて胸をなでおろ しています。なお、ポリシーSIGでの主な議論についてはまた別の号でもう 少し詳しくお伝えすることにします。 それから、過去数回にわたって議論を続けているAPNICの料金体系の見直し については、今回のミーティングにおいても、APNICから提示された案を基 に引き続き議論が行われました。現時点ではまだ新料金体系についての結論 は出ていませんが、TWNICのCEO、Ching-Ming Liang氏がFEE-WGのチェアを務 め、引き続きメーリングリストで議論を行うことになっています。 そして、特にAPOPSセッションにおいては、これまでの発表者を常連が占め ていた状態と比べて、初の発表者が多く見受けられたことが新鮮でした。今 後、APNICオープンポリシーミーティングの構成がどのように変わっていく のかはまだわかりませんが、今回のようにオペレーショナルな話題も多く盛 り込むことによって、参加者層が広がっていくとよいのではないかと考えま す。 ■提案事項の結果 [コンセンサスの得られた提案] prop-033-v001 IPv6における割り当てポリシーの変更について prop-035-v001 マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設 について prop-038-v001 機能しない逆引きDNSに関するAPNICポリシーの変更につい て prop-039-v001 IANAからの新たな割り振りアドレスの到達性向上に向けて の提案 prop-041-v001 クリティカルインフラストラクチャに対するIPv6アドレス の割り当てについて [コンセンサスの得られなかった提案] prop-034-v001 エンドユーザーへのIPv6 PIアドレスの新設について prop-036-v001 IPv6割り振り基準の変更について prop-037-v001 APNICデータベースにおける電子メールによる情報更新の廃 止について prop-040-v001 非会員に対するAPNIC料金改訂の提案 ■参考情報 APNIC22公式ページ http://www.apnic.net/meetings/22/ 提案事項一覧 http://www.apnic.net/docs/policy/proposals/ (※)当日の議論は公式ページより動画や、トランスクリプトでご参照いただ けます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】News & Views Column 「次世代トランスポートプロトコル: SCTP」 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 西田佳史 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皆さんも普段から電子メールやウェブブラウジングなど様々な形で、インター ネットを利用していることと思います。この電子メールの送受信やウェブブラ ウジングには、TCP/IPという通信技術が用いられています。 TCP/IPの通信規格の中でも特にTCPと呼ばれる技術は、現在のインターネット 上の通信の8割以上で利用されており重要な役割を果たしています。実はこの TCPの通信規格は、1980年代の後半に確立されたもので、実に20年近くもほぼ 同じ仕様のまま、現在でも利用され続けています。しかしながら、20年の間に ネットワーク技術が大きく発展したために、当時の設計思想に基づいたTCPで は対応できない問題が生じており、最近ではそれが無視できないレベルになっ てきてしまいました。 このようなことから、現在インターネット上の技術の標準化を行うIETFなどで TCPに代わる技術としてSCTP(Stream Control Transmission Protocol)という 新しい通信技術の研究開発が行われています。SCTPの目標は、TCPでは対応で きない新しい形の通信をサポートすることです。 SCTPの大きな特徴の1つは、1つの通信に複数のIPアドレスを用いることができ ることです。TCPは、1つの通信に1つのIPアドレスを用いることしかできませ ん。これはTCPが1台のPCは、1つだけIPアドレスを持っているという前提のも とに設計されたためですが、これは現在のネットワーク機器の実態に合ったも のではありません。 例えば今のノートPCやPDAでは、モデム用の電話回線、無線LAN、イーサネット などを標準的に装備しています。これらの通信デバイスを利用する場合は、そ れぞれの通信デバイスにIPアドレスが設定されます。しかしTCPでは1つの通信 で1つのアドレスしか扱えないために、同時にこれらの通信デバイスを利用し て通信することができません。一方、SCTPでは同時に複数の通信デバイスを利 用してデータ転送を行うことも可能です。 また、最近の携帯電話の中には無線LAN機能をサポートした機種がいくつかあ ります。このような種類の携帯電話を利用する際に、無線LANが利用できるエ リアに入れば自動的に通信を無線LANに切り替え、エリアから出ると再び携帯 電話網を利用した通信に移行するような機能があれば、通信の効率を向上させ ることや通信料金を軽減することができます。しかし、TCPでこのような機能 を実現しようとすると、一旦通信を切断して、再接続するなどの手間がかか り、スムーズな切り替えができません。 これに対し、SCTPでは通信を切断す ることなくスムーズに通信を切り替えることが可能です。 この他にも、SCTPには部分信頼性という機能もあります。TCPはすべてのデー タを完全な形で相手に送信するように設計されているため、転送中にデータが 1バイトでも欠損した場合、欠損した部分が相手に届くまで、繰り返し再送を 行います。このため、映像や音声などのように、データの一部が欠損しても影 響の少ないものの転送にTCPは不向きとされてきました。一方、SCTPは転送す るデータの中に、再送が必要なものと必要でないものを指定することができま す。この機能を用いることによりSCTPでは、例えばMPEGのIフレームの転送だ け再送を行い、他のフレームは再送をしないといった特殊なデータ転送を行う ことができます。 以上簡単ですが、次世代トランスポートプロトコルの概略について解説しまし た。 SCTPのコードはまだ実験段階ではありますが、既に最新のLinuxカーネルでサ ポートされています。(*1) またBSD系ではKAMEプロジェクトなどからリリース されているコードを利用することができます。(*2) ネットワークプログラミングに興味のある方は是非一度新しいプロトコルを試 してみてください。 *1 http://www.kernel.org/ から最新の Linuxのカーネルコードを入手できま す。 *2 http://www.kame.net/ から最新のKAME実装を入手できます。 ■ 著者略歴 西田佳史 1999年、慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程終了。博士(政策・ メディア) 1999年より株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所にて、トランスポー トプロトコル、輻輳制御技術などの研究に従事。WIDEプロジェクトにて Area Director、SCTPワーキンググループチェアを務める。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 3 】インターネット用語1分解説 「コンセンサスとは」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNICやAPNICのポリシーフォーラムにおける「コンセンサス」とは、特定の提 案事項に対するコミュニティの「総意」を意味します。そして、コンセンサス に至った提案はJPNICやAPNICのポリシー、またはIPアドレス登録管理業務に反 映、施行されます。 コンセンサスの判断は、提案が提出されたSIG(Special Interest Group:IPア ドレス関連の特定のトピックスをオープンに議論する場)セッションのチェア (議長)が行い、ミーティングでのコンセンサスの確認後、ミーティングへ参加 できなかったコミュニティメンバーへの確認も含めて、メーリングリストで最 終的な意見募集を行います。 ミーティングにおけるコンセンサスの確認は、提案内容に対して「賛成」、 「反対」のどちらかに参加者の挙手を求め、その状況をもとにSIGチェアが判 断します。判断は単純に多数決に基づくものではなく、それまでの議論や会場 の雰囲気も含めて総合的に判断します。その後、メーリングリストでも大きな 反対意見がないとチェアが判断した場合、その提案は「コンセンサスに至っ た」とされます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 4 】統計資料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.JPドメイン名 o 登録ドメイン数(2006年4月~2006年9月) -------------------------------------------------------------------------------- 日付|JP AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ TOTAL -------------------------------------------------------------------------------- 4/1|0 297 3279 288151 835 21467 17306 8868 4454 2318 3686 341368 119580 811609 5/1|0 294 3286 289729 837 21581 17306 8851 4472 2300 3637 347754 120302 820349 6/1|0 294 3290 291141 836 21648 17340 8799 4467 2254 3585 353096 122660 829410 7/1|0 294 3306 292816 836 21758 17333 8749 4461 2236 3524 359253 123396 837962 8/1|0 293 3312 294237 841 21845 17324 8721 4460 2234 3475 364915 123946 845603 9/1|0 291 3317 295632 848 21966 17334 8690 4459 2230 3434 370688 121813 850702 -------------------------------------------------------------------------------- GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字) GJ:汎用ドメイン名 日本語 2.IPアドレス o JPNICからの割り振りとJPNICへの返却ホスト数(2006年3月~2006年8月) ------------------------------------------ 月 | 割振 | 返却 | 現在の総量 ------------------------------------------ 3 | 638976 | 10240 | 35703070 4 | 661504 | 0 | 36364574 5 | 290816 | 0 | 36655390 6 | 376832 | 4096 | 37028126 7 | 2154496 | 0 | 39182622 8 | 1114112 | 0 | 40296734 ------------------------------------------ □統計情報に関する詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/stat/ 3.会員数 ※2006年9月6日 現在 --------------------- 会員分類 | 会員数 | --------------------- S会員 | 3 | A会員 | 2 | B会員 | 6 | C会員 | 6 | D会員 | 154 | 非営利会員| 14 | 個人推薦 | 39 | 賛助会員 | 40 | --------------------- 合計 | 264 | --------------------- □会員についての詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ 4.指定事業者数 ※2006年9月7日 現在 IPアドレス管理指定事業者数 380 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2006.10.2(月)~6(金) RIPE 53 (Amsterdam, Netherlands) 2006.10.8(日)~10(火) NANOG 38 (St. Louis, Missouri, USA) 2006.10.10(火) CENTR 31 (Toronto, Canada) 2006.10.11(水)~13(金) ARIN XVIII (St. Louis, Missouri, USA) 2006.10.18(水) 第57回臨時理事会 2006.10.30(月)~11.2(木) IGF Greece 2006 (Athens, Greece) -------------------------------------------------------------------- 2006.11.1(水) シンポジウム「ドメイン名紛争のガバナンス ~JP-DRPの現状と課題~」 (東京、キャンパス・イノベーションセンター 国際会議室) 2006.11.5(日)~10(金) 67th IETF (San Diego, CA, USA) 2006.11.13(月)~14(火) APTLD Meeting (Bangkok, Thailand) 2006.11.24(金) 第30回臨時総会(東京、八重洲富士屋ホテル) 2006.11.27(月)~12.1(金) AfriNIC-V (Grand-Baie, Mauritius) -------------------------------------------------------------------- 2006.12.4(月)~6(水) Global IPv6 Summit in Australia (Canberra, Australia) 2006.12.4(月)~8(金) ICANN (Sao Paulo, Brazil) 2006.12.5(火)~8(金) Internet Week 2006 (横浜、パシフィコ横浜) 12/5(火) IP Meeting 2006 12/6(水) DNS DAY 12/7(木) 第11回JPNICオープンポリシー ミーティング ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.387 【定期号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2006 Japan Network Information Center