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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.470【臨時号】2007.8.2 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.470 です
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2007年7月22日から27日の6日間にわたり、アメリカ合衆国のシカゴで開催され
た第69回IETFのレポートを、本号より連載でお届けします。

まず[第1弾]として、本号では全体会議の報告をお送りします。

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◆ 第69回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告
                           JPNIC 技術部/インターネット推進部  木村泰司
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◆はじめに

11時間半のフライトを経て、航空機はやや揺れながらシカゴ・オヘア空港に着
陸しました。シカゴはミシガン湖から吹く風のため「Windy City(風の街)」と
呼ばれているそうですが、そのためか湿度が高く、この時期の気候は東京の気
候に近いように感じます。しかし、ループと呼ばれるダウンタウンの中心部に
は、ビルがひしめくように建っており、ビルの間を高架の電車が行き交う様子
はシカゴ特有の情景と言えます。世界第三の高さを誇るシアーズタワーはシカ
ゴのループ内にあります。

◆概要

第69回IETFは、2007年7月22日(日)から27日(金)にかけて、シカゴのPalmer 
House Hiltonというホテルで開催されました。このホテルのビルは歴史のある
建物で、テラス付きのホールがあるなど内装が素晴らしい会場です。

今回のIETFの参加登録者数は1,146名で、前回より37名ほど増えました。前回
と同様に約40ヶ国からの参加があり、内訳は第一位がアメリカ(45%)、第二位
は日本(10%)、第三位は韓国(3%)でした。その後はドイツ(4%)、フランス
(4%)、イギリス(3%)と続きます。今回も日曜日のチュートリアルから始まり、
月曜日から金曜日までWGやBoFのミーティングがありました。水曜日と木曜日
に、それぞれIETF Operations and Administration PlenaryとTechnical 
Plenaryが開かれました。Plenaryは参加者全員を対象とした全体会議です。

◆IETF Operations and Administration Plenary

IETF Operations and Administration Plenaryは、こちらも前回と同様、4日
目の水曜日に行われました。このPlenaryは、IETFの活動全体や各ミーティン
グの運営に関する報告などが行われるミーティングです。

今回は、Russ Housley氏がIETFチェアに就任してから初めて行われるPlenary
です。アジェンダの構成には特に変更がなく、NOCのレポート、ホスト企業の
プレゼンテーション、第69回IETFミーティングの概要、IESGのオープンマイク
(会場から意見を挙げてもらって議論を行う時間)がありました。

NOCのレポートによると、今回のIETFミーティングでは、合計87台のアクセス
ポイントが使われて、参加者が行き来する1階、2階から6階までで無線LANが使
えるようになっていました。会期中の同時利用ノード数は最大で748ありまし
た。これは参加登録者数の65%にあたります。参加者の半数以上が同時に無線
LANに接続しているカンファレンスは、他にはあまり例を見ないのではと思わ
れます。近年のIETFでは、会議の資料をWebで閲覧できるようになっているこ
とが関係しているかもしれません。

   □ IETF 69 Preliminary & Interim Materials
      https://datatracker.ietf.org/meeting/69/materials.html

ホストを行ったMotorola社からは、インターネットの昔と今を比べたプレゼン
テーションが行われました。10年前は世界の携帯電話台数が約32万台であった
のが、今や30億台に達しているそうです。ユーザーの接続部分である "エッ
ジ" を提供しているMotorola社らしく、IETF参加者に向けて「Don't forget 
the Edge.」というメッセージが伝えられていました。

続いてRuss Housley氏からIETF活動状況の報告がありました。現在、約120の
WGが活動しており、新たに436のドラフトが作成されました。またRFCは103発
行されました。ここ1年のドキュメント数を比較してみましたが、WG数や新規
ドラフト数には大きな変化はないようです。

        WG数 前回以降の新規ドラフト 前回以降の新規RFC
 第69回IETF  120      436         103
 第68回IETF  120      441          95
 第67回IETF  120      440         104

他に、IAOC(IETF Administrative Oversight Committee) Webページの公開
や、IETF ToolsのWebページにパスワード認証機能が付加されたことについて
お知らせがありました。

  □ IETF Administrative Support Activity (IASA)
     http://iaoc.ietf.org/

  □ IETF Tools
     http://tools.ietf.org/
     パスワード入手のためのページは、左側の「Get Password」
     というリンクから辿ることができます。

IESGオープンマイクは、参加者がIESGメンバーとIETFの運営等に関する議論を
行う時間です。会場からは、IPv6 WGの活動が見られない、IPv6におけるNATの
位置づけなどIPv6への移行について包括的に整理した文書が必要である、IETF
の策定プロセスを改善する議論を継続する必要がある、といった意見が出され
ていました。

◆Technical Plenary

Technical Plenaryは5日目の木曜日に行われました。今回はOlaf Kolkman氏が
IABチェアに就任してから初めてのTechnical Plenaryです。

今回は、IRTF活動報告とIAB活動報告の後に、恒例のテクニカルプレゼンテー
ションはなく、そのままオープンマイクの時間になりました。

IRTFの活動報告とIABの活動報告は比較的手短に終わりました。IRTFではここ
3ヶ月の間にRFC4838を作成し、新たなドラフトの作成も行っているそうです。
この報告では他に大きなトピックはありませんでした。

IABからは、ITUから送られてきた"Consultation on ITU Resolution 102"とい
う活動のアンケートに対して回答したという報告がありました。これはIPアド
レスやドメイン名などの管理に付随する、国際的かつパブリックなポリシーの
策定に関するアンケート(問い合わせ)で、ITUメンバーの活動方針を検討する
ために使われるようです。IETFの活動を概説した回答がなされていました。

   □ Response on "Consultation on Resolution 102"
      http://www.iab.org/documents/corresponence/
      2007-05-21-itu-resolution-102.html

オープンマイクでは、まず今回のTechnical Plenaryで技術的なプレゼンテー
ションがなく、技術的な議題が明らかになっていないことに対する指摘から議
論が始まりました。これに対しては、今回適切なスピーカーが見つからなかっ
たというKolkman氏からの回答に留まりました。

この他には、IPv6におけるNATの位置づけを発端とする、End to endの原則に
関する議論が行われました。会場の参加者による呼びかけで挙手が行われ、自
宅においてグローバルIPアドレスを使ってインターネットに接続しているユー
ザーは、NATもしくはNAPTを使って接続しているユーザーよりも少ないことが
わかりました。この結果から、IPのレイヤーでは、End to endの原則が成り
立っていないのではという問いかけがありました。

これに対し、IABメンバーからは、IETFにおけるEnd to endの原則は、技術の
複雑化を避け、ネットワークの堅牢性を維持するために重要である、デザイン
ゴールとしての原則であるといった反論がありました。続いて、ユーザーのPC
においてファイアウォールをデフォルトで設定せざるを得ない状況や、IPv6ア
ドレスが必要とされる場所についての意見交換などに繋がっていきました。た
だし、議題の中心的なトピックが提示されなかったためか深い議論にはなら
ず、ほぼ定刻通りにPlenaryが終了しました。

IABによるRouting & Addressing workshopやその報告を受けて、今の段階で必
要とされる議論は多いと考えられます。次回以降のTechnical Plenaryでは、
より活発な議論が行われることが望まれていると思われます。

       ◆        ◆        ◆

次回の第70回IETFミーティングは、2007年12月2日から7日にかけて、カナダの
バンクーバーで開催される予定です。Plenaryで発表されたIASAの予算計画に
よると、ホスト企業が現れない場合、参加費の大幅な値上げが見込まれるよう
です。


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 JPNIC News & Views vol.470 【臨時号】

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