=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.505【定期号】2007.12.17 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ◆あなたはもうアクセスしましたか? JPドメイン名の周知キャンペーンサイト「JPRS24」<http://jprs24.jp/>で ドメイン名の重要性をわかりやすく体験! 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) ◆ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.505 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2007年12月2日から7日の6日間にわたり、カナダのバンクーバーで開催された 第70回IETFのレポートを、本号より連載でお届けします。 まず[第1弾]として、本号では全体会議の報告をお送りします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第70回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告」 【 2 】News & Views Column 「ネット社会の微妙な現実」 有限責任中間法人Mozilla Japan代表理事 瀧田佐登子 【 3 】インターネット用語1分解説 「ドロップキャッチとは」 【 4 】統計資料 1. JPドメイン名 2. IPアドレス 3. 会員数 4. 指定事業者数 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第70回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告」 JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆はじめに バンクーバーは、カナダの西海岸にある都市で、この時期は最低気温が摂氏0 度近くになる場所です。スキー場のある地域が近くにある一方、第70回IETFの 会場であるThe Westin Bayshore Resort and Marinaの側にはヨットハーバー があり、夏には水上バイクやクルージングを楽しむことができるようです。時 折、水上飛行機の飛び交う音が聞こえていました。水上飛行機は、水上を滑走 して飛び立ち、水上に着水するタイプの飛行機です。 この会場は、2年前の第64回IETFが行われた場所です。会場となる部屋の構成 などは2年前と全く変わりませんが、エントランスや通路、会議室に至るまで クリスマスの飾りが施されており、前回よりも会場が和やかな雰囲気になって いるような印象を受けました。 ◆概要 今回の参加登録者数は1,114名で、前回より32名ほど減りました。国別の内訳 は第1位がアメリカ(43%)、第2位は日本(11%)、第3位はカナダ(6%)でした。今 回のミーティングでは、初日の日曜日にはチュートリアルが、二日目の月曜日 から木曜日までWGセッションが、水曜日と木曜日にPlenary(全体会議)が行わ れました。 ◆IETF Operations and Administration Plenary IETF Operations and Administration Plenaryは、IETFの活動自体や各ミー ティングの運営に関する報告、議論が行われる全体会議です。第70回IETFのホ スト企業である、Cisco Research Centerのプレゼンテーションや、会場に設 置されたネットワークの運用報告、IAOC(IETF Administratire Oversight Committee)とIASA(IETF Administrative Supporting Activity)のオープンマ イクなどが行われました。オープンマイクは、参加者が会場に設置されたマイ クを使って自由に発言し、その話題について議論を行う形式の会議です。 Plenaryでは、2007年10月29日に亡くなられた(*1)、いとぢゅん(itojun)こと 萩野純一郎氏を偲び、彼の貢献を称える時間が設けられました。2003年から 2004年にIABメンバーを務められたほか、IPv6の実装で知られるKAMEプロジェ クト(*2)のコア・メンバーとして活躍されたことなどが紹介されました。 (*1) http://www.wide.ad.jp/news/press/20071031-itojun-j.html (*2) http://www.kame.net/ ホスト企業からのプレゼンテーションでは、Cisco Research CenterのStephen Wolff氏から、1986年に開催された第2回IETFの頃を振り返り、当時のインター ネットがどうであったか、という講演がありました。当時はTCPにスロース タートの実装が行われておらず、TCPを使ったパケットの転送がスムーズに行 われていなかったそうです。 後半にJonathan B. Postel賞(Jon Postel賞)の発表がありました。Jon Postel 賞は、技術的な貢献やリーダーシップの発揮といったコミュニティに対する継 続的な貢献のあった人物に対して毎年贈られます。今回の受賞者は、AfriNIC の議長であるNii Quaynor氏です。Nii Quaynor氏はAfriNIC設立当初からの議 長であるとともに、アフリカのネットワークオペレーターグループである AfNOGの議長でもあります。 □ Internet Society (ISOC) - Postel Service Award http://www.isoc.org/awards/ IETFチェアのRuss Housley氏からは、IETFの活動報告が行われました。現在約 105のWGがあり、新たに421のI-D(Internet Draft)が作成されました。前回の 第69回IETF以降、103のRFCが作られました。このうち、Standards TrackのRFC は76あり、BCPは4ありました。I-DやRFCの数はこの1、2年であまり変化はあり ませんが、以前120ほどあったWGの数は減ったようです。 IAOCオープンマイクでは、IETF toolsの開発とRFCに含まれるコードの利用に 関する議論が行われました。RFCに記述されているプログラムを使った開発に ついて、IETFのIPR(Intellectual Property Rights)で明確化されているか、 といった議論です。これについてはIPR WGで検討される、とのことでした。 IESGオープンマイクでは、IPv6への移行(transition)について意見が寄せられ ました。会場からはIEPG(Internet Engineering and Planning Group)やIETF がIPv6を推奨すべきではないか、IPv6を簡単に使うための十分な情報が足りて いない、第54回IETFが行われた横浜ではIPv6を使ってWebサーバにアクセスす るなどできていた、といった意見が出されていました。 ◆Technical Plenary Technical Plenaryでは、IRTF(Internet Research Task Forse)とIAB (Internet Architecture Board)の活動報告、二つのテクニカルプレゼンテー ションと、その二つのプレゼンテーションに関する議論が行われました。 Research Groupの一つであるRRG(Routing Research Group)では、LISP (Locator Identifier Separation Protocol)を中心とする新しいルーティング プロトコルの議論が進められています。現在、これらのプロトコルの評価が行 われており、また2009年3月までには議論が収束し、プロトコルの提案になる ようにする活動が計画されています。なお、今回のIETFでは、LISPに関する チュートリアルのセッションと、LISPに関わるプロトコルについて議論を行う セッションの二つが行われていました。 IABからは、Routing and Addressingワークショップの報告と、Unwanted Trafficワークショップの報告がRFCとして出されました。 □ Report from the IAB Workshop on Routing and Addressing http://www.ietf.org/rfc/rfc4984.txt □ Report from the IAB Workshop on Unwanted Traffic March 9-10, 2006 http://www.ietf.org/rfc/rfc4948.txt その他に、Ole Jacobsen氏がICANNのNomCom(Nominating Committee)に、IETF メンバーを代表して選ばれたことなどが報告されました。 テクニカルプレゼンテーションの一つ目は、IABのDave Thaler氏によって "What Makes For a Successful Protocol?"と題して行われました。HTTPやIP といった「成功した」プロトコルの、成功の要因と考えられる点をまとめてい ます。ここでいう成功とは、当初の目的を外れることがなく、かつ広く利用さ れていること、とされています。成功の要因として、ハードウェアコストが低 いことや他の運用手順に影響が少ないこと、利用のための設定が簡単であるこ とや設定の必要がないことなどが挙げられていました。会場からは、IPほど広 く使われていなくても「成功」と捉えられるプロトコルがある、といった意見 が挙げられていました。 二つ目のプレゼンテーションは、"Energy Engineering for Protocols and Networks"と題して、電力に関する調査を行っているBruce Nordman氏により行 われました。インターネットのために使われている(ルータ等で消費される)電 力の効率化のために何ができるか、という話題です。会場からは、インター ネットによって、遠隔地とのコミュニケーションに要されるエネルギーが大幅 に省力化されており、別の観点での捉え方が必要なのではないかといった意見 が挙げられていました。 ◆ ◆ ◆ 12月3日の夜、Westin Bayshoreにある会議場の一室で、萩野純一郎氏を偲ぶ会 が開かれました。これはWIDEプロジェクトの有志によるもので、彼の遺品や写 真が展示されていました。萩野純一郎氏は、IETFに参加する数多くの方から慕 われ、また広い交流があったことが、うかがわれました。 次回の第71回IETFミーティングは、2008年3月9日から14日にかけて、アメリカ のフィラデルフィアで開催される予定です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】News & Views Column 「ネット社会の微妙な現実」 有限責任中間法人Mozilla Japan代表理事 瀧田佐登子 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「ネット社会」となった今日、わかってはいるつもりでも、世の中の人々のラ イフスタイルが以前とは大きく変わっていることに、しばしば驚かされます。 先日、ある中学校の文化祭を訪問し、自由研究の展示を見たときのことです。 展示の9割がパソコンで作成したレポートで、しかも参考文献欄には、皆Webの URLが書かれ、当たり前のようにインターネットを利用しているという現実に 目を見張りました。我々の中学時代と比べるのは、時代が違うといってしまえ ばそれまでですが、昔は文献探しに図書館に通い、必死で手書きしたもので す。それが今や、Googleなどで検索する時代のようです。 先日も、小学校高学年の宿題で「携帯電話についていろいろな視点で(便利 さ、問題点など)考え、調査しレポートをする」というような課題が出された と聞きました。子どもたちがこのような宿題にどのように取り組んでいるのか 話を聞いてみると、やはりここでも真っ先にパソコンを利用し、Webで検索 し、レポートを仕上げているというのです。そして、大人顔負けのレポートの 出来にまたまたびっくり。出題した側の意図は私にはわかりませんが、子ども たちが考える前に便利さを巧みに利用する手段を選んでしまっている事実をど う受け止めるべきなのか……。 子どもたちだけに限らず、最近では、教育現場の方も大きく様変わりし、保護 者との連絡は電子メールが主体となっていて、親が携帯電話かパソコンを持っ ていることが前提になりつつあるのです。このような状況を推進しているわけ ではないにせよ、現実的に、今やパソコンとインターネットなくしては宿題す らできない状況、コミュニケーションができなくなっていく状況に、困惑する のは私だけなのでしょうか? デジタルメディアを便利に利用するようになったこの時代に、10年以上もWeb ブラウザの開発に携わり、インターネットの普及に関わってきた私は、エンジ ニアという立場と、母という立場に、複雑な思いを抱いています。 ■ 著者略歴 瀧田 佐登子(たきた さとこ) 日電東芝情報システム(現・NECトータルインテグレーションサービス)、富士 ゼロックス情報システム、東芝などを経て、1996年、日本ネットスケープ・コ ミュニケーションズ入社。I18N、L10Nのエンジニアとして製品の開発およびプ ロモーション担当。2001年US AOL/Netscapeプロダクトマネージャとして日本 の金融関連サポートおよびNetscape 7.0のプロモーション業務担当。2003年オ レンジソフトとコンサルタント契約。携帯電話用POP/SMTPメーラー(BREWアプ リ)の開発プロジェクトマネージャ。2004年Mozillaの技術、関連技術の普及啓 蒙を目的として有限責任中間法人 Mozilla Japan設立。2006年7月Mozilla Japan代表理事に就任。 有限責任中間法人 Mozilla Japan http://www.mozilla-japan.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 3 】インターネット用語1分解説 「ドロップキャッチとは」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ドメイン名が更新されなかった場合、すぐに再登録が可能となるわけではな く、一定期間登録ができない状態に置かれた後、再び先願による登録が可能な 状態となります。この再登録が可能になる瞬間を狙って、目的のドメイン名を 登録しようとする行為をドロップキャッチと言います。 もちろん、使っていたドメイン名を更新し忘れたユーザーが、自分で再登録を 試みるケースも存在します。その一方で、誰かが登録していたドメイン名を自 分が登録する手段として、現在の登録者がドメイン名の更新をし忘れたタイミ ングを狙い、元の登録者よりも早く登録するという行為が行われるようになり ました。 既に登録されているドメイン名は、まだ一度も登録されたことの無いドメイン 名と違い、そのドメイン名が実際に使われていた可能性が高いと言えます。そ のため、Webサイトなどのドメイン名として用いた場合にある程度のアクセス が見込め、そこに設置した広告などから利益を得られる可能性があるなど、何 がしかの価値があると見なされ、このような行為が行われます。 業者や個人によるドロップキャッチは年々激しさを増してきており、現在では 高速な回線を用意したり登録を自動で試みるといった、より高度な手法が用い られるようになってきています。そのため、再登録が可能になった状態から、 実際に登録が完了するまで数分もかからないといったことも起こっています。 こうした行為は、レジストリやレジストラのシステムに多大な負荷をかけるな ど、大きな問題となっています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 4 】統計資料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.JPドメイン名 o 登録ドメイン数(2007年7月~2007年12月) -------------------------------------------------------------------------------- 日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ TOTAL -------------------------------------------------------------------------------- 7/1| 292 3384 309331 887 23037 17432 8428 4465 2116 3192 429222 132692 934478 8/1| 290 3392 310590 887 23116 17391 8390 4474 2103 3182 438102 134243 946160 9/1| 288 3399 311567 874 23211 17374 8366 4483 2102 3158 444129 136208 955159 10/1| 286 3395 312399 875 23266 17360 8353 4484 2103 3140 449615 137529 962805 11/1| 286 3400 313475 876 23356 17413 8351 4499 2102 3128 456453 139245 972584 12/1| 285 3409 314324 874 23432 17399 8344 4505 2105 3118 462380 140738 980913 -------------------------------------------------------------------------------- GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字) GJ:汎用ドメイン名 日本語 2.IPアドレス o JPNICからの割り振りとJPNICへの返却ホスト数(2007年6月~2007年11月) ------------------------------------------ 月 | 割振 | 返却 | 現在の総量 ------------------------------------------ 6 | 102400 | 0 | 44236062 7 | 129024 | 0 | 44365086 8 | 1800192 | 0 | 46265278 9 | 620544 | 0 | 46885822 10 | 497664 | 0 | 47383486 11 | 448512 | 1024 | 47830974 ------------------------------------------ □統計情報に関する詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/stat/ 3.会員数 ※2007年11月14日 現在 --------------------- 会員分類 | 会員数 | --------------------- S会員 | 3 | A会員 | 2 | B会員 | 4 | C会員 | 5 | D会員 | 144 | 非営利会員| 13 | 個人推薦 | 39 | 賛助会員 | 36 | --------------------- 合計 | 246 | --------------------- □会員についての詳細は → http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ 4.指定事業者数 ※2007年12月6日 現在 IPアドレス管理指定事業者数 383 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008.1.10(木)~18(金) SANOG 11 (Dhaka, Bangladesh) 2008.1.20(日)~25(金) 25th APAN (Hawaii, USA) -------------------------------------------------------------------- 2008.2.20(水)~29(金) APRICOT 2008 (Taipei, Taiwan) 2008.2.10(日)~15(金) ICANN (New Delhi, India) 2008.2.17(日)~20(水) NANOG 42 (San Jose, CA, USA) 2008.2.24(日) AP* Retreat Taipei (Taipei, Taiwan) 2008.2.25(月)~29(金) APNIC 25 (Taipei, Taiwan) -------------------------------------------------------------------- 2008.3.9(日)~14(金) 71st IETF (Philadelphia, PA, USA) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.505 【定期号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2007 Japan Network Information Center