=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.542【臨時号】2008.5.7 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ◆◇◆◇◆◇◆「JPNIC News & Views アンケート」実施中! ◆◇◆◇◆◇◆ 皆様のお役に立てるメールマガジンにするため、アンケートにご協力下さい! ★アンケートページ → http://views.nic.ad.jp/f.x?f=77367fe7 ★ アンケートの回答期限:【 2008年5月9日(金)まで 】 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.542 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008年4月6日~9日に、北米地域を中心としたRIRであるARINのミーティングが 開催されました。本号では、そのレポートをお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ARIN XXIミーティングレポート JPNIC IP事業部 奥谷泉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回のARINミーティングは、米国コロラド州のデンバーで開催されました。 「天気予報では気温マイナス8度、4月でもまだスキーができる」と聞いていま したが、街中は覚悟していたほど寒くなく、雪も見られませんでした。 春のミーティングは、NANOGとの併催となる秋とは異なり、単独開催のためこ じんまりとしており、参加者も事前登録ベースで156名程度でした。 今回は8点の提案のうち、IPv4アドレスの在庫枯渇に向けたものが4点、IPv6に 関するものが2点、その他が2点でした。2008年2月のAPNICミーティングでもそ うでしたが、ARINでもやはり在庫枯渇に向けた提案が半数以上を占めていまし た。 提案事項の結果は以下の通りです。 ---------------------------------------------------------------------- 2008-3: "コミュニティネットワーク"向けのIPv6アドレス割り振り [継続議論] Community Networks IPv6 Allocation 2008-2: IPv4アドレス移転ポリシーの提案 [継続議論] IPv4 Transfer Policy Proposal 2008-1: /29より小さな割り当ての登録対応 [コンセンサス] SWIP support for smaller than /29 assignments 2007-27: RIR間での調整によるIPv4アドレス在庫枯渇期の統一 [否決] Cooperative distribution of the end of the IPv4 free pool 2007-23: IANAからRIRへの最後のIPv4アドレス分配ポリシー [コンセンサス] End Policy for IANA IPv4 allocations to RIRs 2007-21: 歴史的PIアドレス保有者へのIPv6 PIアドレスの割り当て [コンセンサス] PIv6 for legacy holders with RSA and efficient use 2007-17: 歴史的PIアドレスの合意書締結促進と部分返却 [継続議論] Legacy Outreach and Partial Reclamation 2007-14: 資源の審査プロセス [継続議論] Resource Review Process ---------------------------------------------------------------------- 参考: Policy Proposal Archive "Under Discussion" http://www.arin.net/policy/proposals/proposal_archive.html ---------------------------------------------------------------------- このうち、本稿では特筆すべき以下3点の提案を取り上げたいと思います。 ・IPv4アドレスの移転について ・IANAからRIRへの最後のIPv4アドレス分配ポリシー ・歴史的PIアドレス保有者へのIPv6 PIアドレスの割り当て ◆IPv4アドレスの移転について この提案はIPv4アドレスの在庫枯渇に向けて、現在ポリシーで禁止している IPv4アドレスの移転を今後認めようというものです。 この提案の背景には、IPv4アドレスが枯渇すれば、ISPは当面のIPv4ベースで のサービスを維持するため、たとえいくらポリシー上禁止されていたとして も、お互いに余剰空間を取り引きする、いわゆるブラックマーケットが一般的 になるのでは、という想定があります。 そして、これが広まると、実際の利用者とデータベース登録上の利用者に齟齬 が生じ、アドレス管理における混乱が予想されます。これを防ぐために、RIR への情報更新を行う前提で、あらかじめ公式に移転を認めようというのがこの 提案の趣旨です。 ARIN地域では、ARIN ACがコミュニティに対する問題提起のため提案を行いま したが、異なった提案者によりAPNIC、RIPEでもそれぞれ提案が行われていま す。 これに対して、会場では以下のような慎重な意見が主流となっていました。 ・闇取り引きはどんなものにでも存在するが、実際問題になるほどの規模に なるとは想定しにくい。 ・実際、闇取り引きが一般化されたら大問題ではあるが、そうでなければ移 転を認めるほうが大きな問題。あらかじめ対応案を策定しておき、問題が 起こってから発動するほうがよいのでは。 ・IPv4における移転を認めた場合、IPv6への影響も考慮するべき。 ・実際に起こるという予測の根拠が推測の域をでていない。もう少し調査が 必要ではないか。 一方、実装にともなう問題だけではなく、実装しないことにより生じる問題も 検討し、どちらがより深刻な事態になるのか判断するべき等、支持する意見も 一部の参加者から出ていました。そして、賛否はともかく引き続き検討の必要 性を感じる参加者が多かったため、継続議論となりました。 ◆IANAからRIRへの最後のIPv4アドレス分配ポリシー これは、JPNICがAfriNIC、LACNICコミュニティの代表者と共同で、各RIRのコ ミュニティに対して行っている提案です。 提案内容は、IANAにおけるIPv4アドレスの在庫が/8ブロック5個を切った時点 で、各RIRへ一律/8を1ブロックずつ分配するというものです。 IANAからRIRへの最後のブロックの分配サイズをあらかじめ定義することによ り、IANA在庫終了時における余計な混乱を避けること、RIRがそれぞれの地域 において分配方針とペースの検討のしやすさにつなげることを目的としていま す。 この提案に対して会場からの反対意見は特になく、コンセンサスが得られまし た。AfriNIC、LACNICコミュニティでは、自らの代表者が提案していることか らコンセンサスが得られると考えられており、グローバルポリシーとして施行 されるかどうかは今後のRIPE、APNICコミュニティの反応次第です。今年、 2008年で本提案の今後の方向性が定まることになると予想されます。 ◆歴史的PIアドレス保有者へのIPv6 PIアドレスの割り当て ARINのポリシーでは、現在IPv4アドレスの分配を受けていればARINから直接 IPv6アドレスの分配を受けられるように定義されています。しかし、歴史的経 緯を持つPIアドレスについては対象に含まれていません。 この提案は、効率的に利用されていない歴史的PIアドレスに対してそのまま IPv6の割り当てを認めることが適切ではないにしても、効率的な利用が確認で き、ARINと合意書を締結していれば、他のIPv4アドレスの割り当て先と同じ く、IPv6 PIアドレスの分配を認めようというものです。昨年のミーティング ですでにおおよその支持が確認されており、今回はコメントを反映した提案で あったため、会場からは大きな反対意見や議論はなく、挙手により支持が確認 されました。 ◆その他 APNIC地域でも提案が行われ否決された「2007-27: RIR間での在庫調整による IPv4枯渇期の統一」は、IANAの在庫枯渇後、RIR間でお互いの在庫を譲り合う ことにより枯渇時期を調整しようという趣旨ですが、これはARINでも否決され ました。したがって、今後、このような考え方での枯渇対応について、世界的 に議論が行われる可能性は低いと言えます。 ◆所感 2008-2と2007-23についてはAPNIC25でも議論が行われましたが、同じ提案で あっても参加者の基本的な姿勢や議論の方向性が、APNICのミーティングと大 きく異なっていたことが印象的でした。 2008-2に該当するIPv4アドレス移転に関して、ARIN地域以外のRIRオープンポ リシーフォーラムでも盛んに議論が展開されています。現在JPNICでは、 「余ったアドレスがあるのならレジストリに返納するべき」という考えを持っ ていますが、我々としてもこの議論の動向を注視して、分析と検討を進めてま いります。 ◆次回のARINミーティング 次回のARINミーティングはNANOGとの併催で、2008年10月15日~17日にロサン ゼルスで開催されます。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.542 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 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