=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.668【臨時号】2009.8.21 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.668 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.667に続き、スウェーデンのストックホルムで開催された第75 回IETFのレポート[第2弾]として、「DNS関連WG報告」をお届けします。 なお、[第1弾]の「全体会議報告」については、以下のURLからご覧ください。 □第75回IETF報告 ○[第1弾] 全体会議報告(vol.667) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol667.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第75回IETF報告 [第2弾] DNS関連WG報告 JPNIC DNS運用健全化タスクフォースメンバー 東京大学 情報基盤センター 関谷勇司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆dnsop WG(Domain Name System Operations WG)報告 dnsop WGの会合は、月曜日の朝一番の時間帯にて開催されました(2009年7月27 日)。会合の冒頭では、いつも通りInternet-Draftの状態確認が行われ、今ま でのInternet-Draftには特に大きな進展はないことが確認されました。 まず、draft-morris-dnsop-dnssec-key-timing-00に関する報告と議論がなさ れました。このInternet-Draftは、RFC4641を拡張したものであり、主に DNSSECにおける鍵更新のタイミングについて、より詳しく提案したものです。 前回のIETFにおいても発表されたInternet-Draftであり、WG draftとするかど うか、議論が行われました。結果、数式が多く読みにくいという意見も出さ れ、新たなバージョンが発行されるのを待つことになりました。 次に、draft-wijngaards-dnsop-trust-history-00について、発表と議論がな されました。これは、DNSSECで検証を行う際の起点となるTrust Anchorを更新 するにあたって、期限切れとなったTrust Anchorを、DNSのプロトコルを用い て更新する仕組みを提案しています。発表後の議論では、RFC5011との違いが 取り上げられ、鍵やDNSの更新がどのぐらいの頻度で行われるか、過去の鍵情 報はどの程度まで保存しておけばよいのか等、議論されました。過去の鍵を保 存する方法のみに特化した方がよいのでは、という意見も出され、メーリング リストでの議論が続けられることとなりました。 さらに、draft-livingood-dns-redirect-00について発表がなされました。こ れは、DNSの応答を用いて、ユーザーを別のWebページに誘導するような仕組み について、そのガイドラインを述べた文章です。DNSによる誘導は、DNSSECと の相性や、存在しない名前を入力した場合にもNXDOMAINが返らない等、セキュ リティ上の問題を抱えるため、推奨すべきではないとの意見も出されました。 このInternet-Draftも、引き続きメーリングリストにて議論が行われることと なりました。 他に特筆すべきものとしては、draft-ljunggren-dps-framework-00です。これ は、DNSSECを用いてTLDゾーンを署名するにあたって、レジストリが担う役割 を明記した文章です。会場からは、有用でありWG draftとすべきだとの意見が 出ました。次の更新を待って議論が続けられることとなりました。 今回の会合は、DNSSECに関連するInternet-Draftの議論が多く、あらためて DNSSECが導入されつつあるという現状がうかがえました。 ◆dnsext WG(DNS Extensions WG)報告 dnsext WGの会合では、主にforgery resilience(*)に関する議論と、EDNS0に 関する議論、ならびに毎度のことになりますが、WGのチャーターに関する議論 が行われました。 まずforgery resilienceに関する議論では、今までの議論の経緯がまとめら れ、現在出ている提案が列挙されました。DNSへの詐称攻撃を防ぐために、 ポート番号やクエリID等のランダム性を増加させる手法としては、DNS Pingや dns0x20、RTT Bandingといった手法が提案されています。また、DNSリゾルバ サーバの挙動としては、キャッシュの上書き防止や、CNAME/DNAME連鎖の確 認、TCPによる再問い合わせ等が提案されています。これらをまとめたものと して、draft-barwood-dnsext-fr-resolver-mitigations-08と draft-wijngaards-dnsext-resolver-side-mitigation-01が提案されており、 議論の最後に、どちらの提案をWG draftとして採用するかの決がとられまし た。結果として、両方の提案をマージして一つのWG draftとする方がよい、と いう意見が多数を占め、著者と調整することとなりました。ただし、会場の雰 囲気としては、これらの手法は少なからずDNSの既存実装に手を入れる必要が あるため、それほど積極的にやらなくてもよいのではないか、という意見もか なり出ていました。 次にEDNS0に関する議論が行われました。 draft-ietf-dnsext-rfc2671bis-edns0-02ならびに draft-gudmundsson-dnsext-setting-ends0-do-bit-00が取り上げられていまし た。前者は主にEDNS0のバッファサイズとMTUに関する問題点を取り上げた文書 であり、後者はDNSSECにおけるペイロード増大に関して、DNSバッファサイズ との関連を述べた文章です。draft-ietf-dnsext-rfc2671bis-edns0-02では、 EDNS0によって通知されるバッファサイズが、必ずしもMTU値と一致していない ため、経路途中にPMTUができないルータ等が存在すると、UDPパケットのフラ グメントが行われず、結果としてEDNS0のパケットが届かない、という問題を 指摘しています。これに対して、DNSバッファサイズを減らして再試行するよ うEDNS0の仕様を変更するという提案を行っています。 draft-gudmundsson-dnsext-setting-ends0-do-bit-00では、リゾルバサーバが 扱うことのできるDNSバッファサイズが1,220Bytesより小さい場合には、DO (DNSSEC OK bit)を有効にしないよう推奨する提案を行っています。これらに 関しては、引き続き議論が行われることとなりました。 その他には、behave WGのinternet-draftである、 draft-ietf-behave-dns64-00におけるDNSSECの扱いに関する報告や、DNSSECに て利用される、新たな暗号アルゴリズムに関するinternet-draftの紹介があり ました。dnsop WGと同様に、DNSSECに関連する議論が、時間の多くを占める結 果となりました。 (*) RFC5452にて述べられている、DNSへの詐称パケット攻撃に対する対策。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.668 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2009 Japan Network Information Center