=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.690【臨時号】2009.10.30 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ■■■■ ★ Internet Week 2009 お得な事前登録受付中! ★ ■■■■ ■■■ 悩んでいるセキュリティ対策の解決法がここに!! ■■■ ■■ IPv6、DNSSEC、フィルタリング、ルーティング、仮想化、電子認証 ■■ ■■■ https://internetweek.jp/ ■■■ ■■■■ 2009/11/24-11/27 @秋葉原コンベンションホール ■■■■ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.690 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ICANNと米国商務省の間で締結されていた、JPAと呼ばれる覚書が2009年9月30 日で終了し、10月1日からAoCと呼ばれる新しい文書が発効しました。 本号では、ICANN/DoC MoUからJPA、AoC締結に至るまでの背景と、AoCの詳細に ついてお伝えします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ICANNと米国政府との新しい関係 ~「責務の確認(AoC)」の締結~ JPNIC インターネット推進部 山崎信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009年6月15日発行のvol.646(*1)にて、インターネットの資源管理の頂点に立 つICANNと米国政府の関係について述べ、両者が締結し終了を間近に控えたJPA (Joint Project Agreement「共同プロジェクト合意」の意)(*2)についても解 説しました。その際、「JPA満了後の枠組みや、ICANNと米国政府の関係がどの ようになるのか興味深い」と記しましたが、2009年10月1日に、JPAに替わる 「責務の確認(Affirmation of Commitments; AoC)」と呼ばれる新しい文書が 発効しました。本稿では、このAoCの解説と、これまでの背景についてお伝え します。 (*1) JPNIC News & Views vol.646 ICANNと米国政府の関係 ~JPA終了に向けて~ http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol646.html (*2) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/jpa.html ■ 背景 今回、AoCの締結に至った背景は、AoCの前身であるJPA、さらにその前身とな るMoU(Memorandum of Understanding)(*3)の締結にまで遡れます。ICANNと米 国商務省(Department of Commerce; DoC)との間でのMoUの締結は、「ドメイン 名の一元的管理を含むDNSの管理権限は米国政府が持っている」とする米国政 府の主張に基づいて、1998年11月に行われました。この主張はいわゆるホワイ トペーパー(*4)の中で主張されたものですが、同文書は「DNSの管理は民間主 導で行われることが望ましい」とも述べ、ICANNが設立された際にMoUを結び、 DNSの管理をICANNに委託することになりました。MoUはその後何回か改訂され た後、3年の期限付きであるJPAとなりました。 JPA終了が近づいた2009年5月、NTIAはJPAに関して意見募集を行いました。ま た、同時期に米国議会もこの問題に興味を示し、公聴会を開いてICANNおよび NTIAより参考人を招致しました。これらの動きを背景に、NTIAとICANNとの間 でJPA終了後の取り決めについて交渉がなされたと思われます。 ICANNがWebページで公開している内容によりますと、2009年9月11日から12日 にかけて理事合宿を行っています。正式な理事会ではないため議事録は公開さ れていませんが、主な議題を列挙している中にAoCが含まれています。そし て、AoCがICANN理事会で正式に承認されたのは、JPA終了期限ぎりぎりの2009 年9月30日となっています。 (*3) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ij.html#02-ICANN/DOC-Mou (*4) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ha.html#16-howaitopaper ■ AoCとは AoCとは、DoCとICANNとが、それぞれが果たすべき責務を記載した文書です。 その前身であるJPAが2009年9月30日に終了したのに伴い、同日DoCの一機関で ある米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration; NTIA)およびICANNがそれぞれ公開し、翌10月1 日より発効しました。 AoCに書かれている責務は多岐にわたりますが、ICANNに関する主なものは次の 通りです。 a) 公益のための、DNSのグローバルな技術的調整 b) DNSのセキュリティ、安定性、回復性の維持 c) 競争、消費者の信頼、DNS市場での消費者による選択の自由の促進 d) DNSの技術的調整における国際的な参画の促進 これに対し、DoCの責務としては主に次のものを挙げています。 e) グローバルなインターネットユーザーのメリットを代表するDNSの技術的調 整において、マルチステークホルダー、民間セクターが率いる、かつボト ムアップなポリシー策定モデルへの関与 前身であるJPAとAoCを比べた場合の主な違いは、以下の4点となります。 1) 期限が定められていない 2) これまで定期的にICANNからDoCに報告書を提出して評価を受けていた仕組 みから、ICANNの自主性を尊重した評価の仕組み(*5)に移行する 3) 米国政府のICANNに対する関与は、米国以外の各国政府同様にGAC (Governmental Advisory Committee:政府諮問委員会)(*6)を通じて行う 4) AoCは、米国政府もしくはICANNのどちらか一方の当事者が、意思を表明す ることにより、いつでも終了となる これに対し、JPAの頃から一貫して変わらない点は、ICANNが米国に本拠地を置 く一民間非営利団体として運営されることです。 (*5) GAC議長、ICANN理事長または事務総長、DoC情報通信担当次官補、ICANN の各諮問委員会(Advisory Committee; AC)および各支持組織(Supporting Organization; SO)(*7)の代表、および独立した専門家からなる評価委員 会を設置する、としている。 (*6) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-GAC (*7) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/supporting-organization.html ■ AoCが示すもの では、JPAからAoCになったことで、DNSの管理運営が民間主導となったと言え るのでしょうか。これについては、前述したAoCとJPAの相違点の4番目である 「AoCは、米国政府もしくはICANNのどちらか一方の当事者が意思を表明するこ とにより、いつでも終了となる」という条項により、必ずしもそうとは言えな いと解釈することが可能です。つまり、AoCが終了すればICANNはDNSの管理権 限を持たなくなるため、DoCはICANNに対してAoCの終了通告を行うことで、引 き続きいざというときの関与を可能としているということです。ただし、通常 時における米国政府の関与は、他国の政府と等しいGAC経由の関与とされてい るため、この点だけが注目されて、ICANNが米国政府の管理下より独立したと いう見方がされているようです。 AoCの締結後に、ICANNに寄せられたコメントは公開されており、米国の連邦議 員からのものも含め、歓迎する内容のものばかりです。米国政府が「相違点 4)」という担保を残している点では、JPAとそれほど変わらないのでは、とい う見方も可能なAoCですが、ICANNが米国政府の管理から独立することを望んで いたと思われる国々も歓迎している理由は、上記、相違点4)が発動されない限 りにおいて、全ての政府はGACを通じてICANNに関与することになっており、同 等の権利を有するからです。今後、ICANNの評価委員会がスムーズに立ち上が り、ICANNの評価内容が肯定的なものとなれば、AoCおよびそれに付随した体制 が成功したということになるのかもしれません。 ■ 参考 Affirmation of Commitments (原文) http://www.icann.org/en/announcements/announcement-30sep09-en.htm#affirmation ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.690 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2009 Japan Network Information Center