=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.732【臨時号】2010.4.1 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.732 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.731に続き、2010年3月にマレーシアのクアラルンプールで開 催されたAPNIC29ミーティング報告 [第2弾]として、「APNICにおけるリソー スPKIの動向」をお届けします。 その他の話題につきましては、以下のバックナンバーをご覧ください。 □APNIC29ミーティング報告 ○[第1弾] 全体報告(vol.731) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2010/vol731.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆APNIC29ミーティング報告 [第2弾] APNICにおけるリソースPKIの動向 JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本稿では、APNIC29ミーティング報告の中での発表を元に、APNICにおけるリ ソースPKI(RPKI)の動向について報告します。 前回のAPNIC28ミーティングで行われたメンバーミーティング(AMM)で、会場 から意見があったためか、今回のAPNICミーティングでは、リソースPKIの情 報共有とディスカッションを行うセッション「RPKI BoF」が開かれました。 またAPNICとAP地域のNIRが集まって行われる「NIRテクニカルワークショッ プ」と、通常セッションである「ルーティングセキュリティ」のセッション でもリソースPKIが取り上げられました。 ◆RPKI BoF RPKI BoFでは、APNICによるリソースPKIへの取り組みと今後のプランに関す るプレゼンテーションが行われました。本BoFのアジェンダを以下に示しま す。 RPKI BoF アジェンダ (1)リソースPKIの標準化動向 (2)NROロードマップ (3)リソース証明書のCPS (4)MyAPNICにおける対応状況 (5)リソース証明書検証ツール はじめに(1)で、IETF SIDR WGにおける標準化動向について簡単に説明があ り、次に(2)で、国際的にリソースPKIを適用していくロードマップについて プレゼンテーションがありました。APNICでは、今後の1年間で、以下の四つ のフェーズを経て実施していくプランが立てられています。 フェーズ1-Pilot リソース証明書に記載されているIPアドレスやAS番号が、他RIRのリソー ス証明書の記載と重複することを許容した状態で開始。アドレスの移 転が起こった場合のリソース証明書の処理を、手動でできるようにす る。 フェーズ2-Initial Production 五つのRIRにおいて、外部トラストアンカーを利用開始。外部トラスト アンカーとは、SSL/TLS等で用いる電子証明書を発行する認証局のこと で、RIR毎に立ち上げられる。この段階で、リソース証明書に記載され たIPアドレスやAS番号が、他のRIRで発行されたものと重複しないよう にする。 フェーズ3-Global Consistency RIR間のリソースの移転を、自動で処理できるようにする。 フェーズ4-Single TA 単一のトラストアンカーを確立して、RIR間の移転を処理できるように する。 (3)では、APNICにおけるリソース証明書発行のためのCPS(Certification Practice Statement)案が紹介されました。CPSとは認証局の業務実施内容を、 情報公開用にまとめたものです。APNICにおける準備が本格化している様子 がうかがわれます。 (4)では、MyAPNICのリソース証明書発行画面が紹介されました。経路情報の 検証に使われるROA(Route Origination Authorization)も発行できるように なっています。 (5)では、ユーザーが手元でリソース証明書を検証できるようなツールを、 今後APNICが開発することについてプレゼンテーションが行われました。リ ソース証明書を印刷する機能についても考えられています。 ◆NIRテクニカルワークショップ NIRテクニカルワークショップのアジェンダを、以下に示します。 アジェンダと内容 (1)RPKIプロジェクト 国際的に唯一のトラストアンカーを設けることに向けた活動プラン (2)DNSSECプロジェクト APNICの割り振りゾーンにDNSSECを導入するプロジェクト (3)DNS APIプロジェクト DNSSECが使われる場合にゾーンデータを更新できるAPIの説明 (4)High Availabilityプロジェクト APNICのWHOISなどのサービス向上を目的とした、災害復旧計画など の検討状況 (5)IPv6 Fast Track 自動的にIPv6を割り振る仕組み。NIRのWebポータルでも利用可能 APNICでは、NROのECG(Engineering Coordination Group)に働きかけ、これ まで五つのRIRが個々にトラストアンカーの認証局を立ち上げることになっ ていた状況を変えて、トラストアンカーの認証局を単一(いわゆるルート証 明機関)にするべく活動を行っています。 先のBoFの項で述べたように、今後1年以内に調整がつくと、よりシンプルな リソースPKIができあがることになります。ただ、トラストアンカーの認証 局をどこが運用するのかという具体的なことは、まだ決まっていない模様で す。 ◆ルーティングセキュリティセッション APNICミーティングの「ルーティングセキュリティ」セッションでは、三つ のプレゼンテーションが行われました。 -RPKI and Internet Routing Security 川村 聖一氏(NECビッグローブ株式会社) ISPの観点でルーティングのための正しい情報源の必要性と、リソースPKI が普及すると、オペレーターはリソース証明書とROAを管理しなければな らない点などを指摘しています。 -The RPKI & Origin Validation Randy Bush氏(株式会社インターネットイニシアティブ) 2008年に、YouTubeの経路情報が不正にインターネットに流れるという事 件が起こりました。こうした経路ハイジャックを防ぐために、BGPの経路 情報のOriginを確認する必要性を指摘した上で、BGPルータにおいてリソー ス証明書とROAを処理することで、Originの確認が行えることを実装を交 えて示しています。 -Local Trust Anchor Management for the RPKI Stephen Kent氏(BBN Technologies社) プライベートアドレスや、その経路制御を扱うことを踏まえた、ローカル の証明書検証用の"Relying Party"を用いる提案です。 以上のように、APNICミーティングでは、リソースPKIの話題が積極的に取り 上げられています。実験的ではありますが、RIPE NCCやARINでもリソース証 明書の提供を開始しており、また今回Randy Bush氏が発表していたように、 リソースPKIを利用して経路情報のセキュリティに役立てるプログラムが現 れてきています。 しかしAPNIC配下のNIRの中で、リソースPKIを積極的に調査し、技術的な検 証を行っているようなところはほとんどないようです。AP地域のNIRが、今 後どのようにリソースPKIに取り組んでいくのか、ひいてはルーティングセ キュリティにどう関わっていくのか、動きが見えない状況が続いています。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.732 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2010 Japan Network Information Center