=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.736【臨時号】2010.4.8 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.736 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年3月20日から1週間にわたり、アメリカのアナハイムで開催された、第 77回IETFのレポートを、本号より連載でお届けします。連載の第1弾は、 「IPv6関連WG報告」です。 今回の「IPv6関連WG報告」は、前後編に分けての発行となっています。前編 となる本号は、v6ops WGについてのご報告です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第77回IETF報告 [第1弾] IPv6関連WG報告 ~v6ops WGについて~ NTT情報流通プラットフォーム研究所 藤崎智宏/松本存史 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010年3月20日から26日まで、米国アナハイムにて第77回のIETFミーティン グが開催されました。春先の温暖なカリフォルニア、また、景気の回復基調 を反映してか、初めての参加者173名を含む1,192名の参加がありました。参 加者の内訳では、米国からの参加者数が過半数を占め第1位、続いて日本、 中国がほぼ同数で続いています。 本稿では、会期中に議論されたIPv6に関連したトピックスのうち、IPv6に特 化した内容を議論するワーキンググループ(WG)での話題を中心に紹介します。 今回、IPv6関連のWGは、mif WGとv6ops WG、6man WGとsoftwire WG等、セッ ションが並列で同時に実施され、参加者も戸惑っていました。 ◆v6ops WG (IPv6 Operations WG) v6opsはIPv6に関するオペレーション技術や、移行技術に関する議論を実施 するWGです。今回は、3月22日(月)、26日(金)の朝一番のコマにて実施され ました。v6ops WGでは、IPv6とIPv4の相互変換技術に関する議論を他 WG(behave WG)に移行した後、議論内容が少なくなるかと思ったのですが、 昨今のIPv4アドレス在庫枯渇、IPv6導入の流れを受けてか、継続議論のみで なく、数々の新提案もあり、内容も多岐にわたりました。特に、2010年3月 上旬に、サンフランシスコにて開催された3GPPとIETFのジョイントミーティ ングにおいて、IETFが3GPPでのIPv6利用について、プロトコル制定の面でサ ポートをする方向になったことを受けてか、3GPPでのIPv6利用に関する提案、 議論もいくつか実施されています。 今回、以下の議論がアジェンダとして挙げられていました。 - 3月22日(月) ・RFC5006(DNS設定のためのRAオプション)の実装と普及に関する議論 ・家庭向けIPv6インターネットサービス提供用CPEにおける簡易セキュリ ティ推奨機能 draft-ietf-v6ops-cpe-simple-security ・IPトンネリングにおけるセキュリティの懸念 draft-ietf-v6ops-tunnel-security-concerns ・IPv6 CPEに関する高機能セキュリティ draft-vyncke-advanced-ipv6-security ・3G拡張パケットシステムでのIPv6 draft-korhonen-v6ops-3gpp-eps ・モバイルネットワークでのIPv6導入検討 draft-koodli-ipv6-in-mobile-networks ・ステートレスIPv6プリフィクス委譲 draft-savolainen-stateless-pd ・ISATAPと6to4における経路ループ:問題提起と解決案 draft-nakibly-v6ops-tunnel-loops - 3月26日(金) ・IPv6ディプロイメントに関するサービスプロバイダシナリオ draft-carpenter-v6ops-isp-scenarios ・IPv6移行技術の利用に関するガイドライン draft-arkko-ipv6-transition-guidelines ・IPv6マルチキャストメッセージのユニキャスト転送 draft-gundavelli-v6ops-l2-unicast ・近隣探索プロトコルにおける近隣キャッシュの保護 draft-jiang-v6ops-nc-protection ・セルラーネットワークにおけるIPv6移行ツールとしてのDHCPv6プリフィ クス委譲 draft-sarikaya-v6ops-prefix-delegation ・ステートレス自動IPv6 over IPv4トンネル: 仕様 draft-matsuhira-sa46t-spec ・IPv6 CPEルータ拡張推奨機能 draft-wbeebee-v6ops-ipv6-cpe-router-bis ・Softwire-liteのためのステートレスアドレスマッピング(SAM) draft-despres-softwire-sam いくつかの内容について、簡単に紹介します。 ○RFC5006(DNS設定のためのRAオプション)の実装と普及に関する議論 当初、この項目はアジェンダにはありませんでしたが、v6opsメーリングリ ストで大きな議論を呼び、進め方についての確認を実施するために急遽追加 されました。IPv6ではPC等の端末にDNSサーバのアドレスを配布する方法が かなり議論され(RFC4339に議論がまとめられています)、その結果、DHCPv6 を利用した方法(RFC3646)が標準となり、一般的に利用されています。当時、 ルータ広告(RA)を利用した方法も検討されましたが、"Experimental"(実験 的)のステータスとして、RFC5006が出版されるにとどまっており、実装もあ まりされませんでした。これに対し、RAでの配布も標準にして欲しい、とい う要望があがり、RFC5006を"Standard"(標準)のステータスにするかどうか 再議論となりました。事前のメーリングリストでの議論で、標準とする方向 で議論はほぼ固まっており、ミーティングでも、現在のスペックをほぼその まま標準とすべきである、という意見があった程度で反対はありませんでし た。ドラフトを6man WGに提出、標準化を進めていくことになりました。 ○IPv6ディプロイメントに関するサービスプロバイダシナリオ 世界的に、IPv6の導入は徐々に進んでおり、対応を進めているサービスプロ バイダも増えてきました。このドラフトでは、実際に導入を進めているISP に導入方法、導入時に発生した問題、必要だと思う機能等のアンケートを実 施し、その結果をまとめています(JANOGでも昨年末に、アンケートの案内が 流れています)。ミーティングでは、「これは中間報告であり、またISPの数 もそれほど多くない(ミーティング時点では30程度)ため内容には偏りがある 可能性がある」という前提のもと、現状の集計結果の報告がありました。 興味深い結果としては、IPv6サービスの導入時期について、もっとも遅い ISPで2013年としていること、IPv6トラフィックが50%を占めるようになる時 期は、「2015年」という回答が一番多かったこと、対応が不十分だと思われ る機器としてCPEの指摘が多かったこと、ほとんどのISPでIPv4/IPv6のIP層 での何らかの相互通信(トランスレーション、デュアルスタック等)が必要だ と考えていること等があります。結果は、 http://www.ietf.org/proceedings/10mar/slides/v6ops-0.pdf にまとめられています。このドラフトの今後ですが、RFCとして発行するこ とに対する反対意見はあったものの、まずは文書としての構成を見直して整 理する方向となっています。 ○近隣探索プロトコルにおける近隣キャッシュの保護 IPv4のARPキャッシュにあたる、近隣キャッシュの保護に関する提案です。 近隣要請メッセージを多数送るというDoSアタックにより、ノードの近隣キャッ シュが溢れてしまうという攻撃を防ぐために、近隣要請メッセージを送って きたノードに対して、問い合わせを実施し、返答が得られた場合に近隣キャッ シュに登録するとしています。これに対し、問題点は共有されたものの、提 案されている解決手法に対しては、返答要求メッセージの処理でまた同じ問 題が発生すること、問題の一部の解に過ぎないこと(遠隔からの問い合わせ でも同じ問題は発生する可能性があるが、それには対応できない)等の指摘 がありました。提起された近隣キャッシュを保護するという問題に対して、 メーリングリスト上で議論を継続することになりました。 ○IPv6 CPEルータ拡張推奨機能 IPv6対応のCPEルータが持つべき機能に関する提案です。WANとLANの設定、 基本的なルータ機能、基本セキュリティ機能のみを基本部分として分離した 基本機能ドラフトは別途RFC化に向けて進んでいます。そのドラフトから切 り出した検討事項が多い部分(マルチキャスト、DNS、プリフィクスの再委譲、 IPv6移行機能、パケットフィルタ、QoS等)に関して、今後の進め方に関する 議論がありました。現在、別のWGとしてホームルータの機能を議論する homegate WGが構成されようとしており(2010年4月末に中間ミーティング実 施予定)、棲み分けをどうするか、が主な論点でしたが、homegate WGとは連 携をするが、現状まだhomegate WGでの議論動向がはっきりしないことおよ び、homegate WGでカバーされない部分に取り組む必要があることから、 v6ops WGで継続的に議論をしていくことになっています。 □v6ops WG https://datatracker.ietf.org/wg/v6ops/ □第77回 IETF v6ops のアジェンダ http://www.ietf.org/proceedings/77/agenda/v6ops ◇ ◇ ◇ 次号「IPv6関連WG報告」後編では、6man WG、behave WGに関するレポートを お送りします。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.736 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2010 Japan Network Information Center