=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.774【臨時号】2010.8.30 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.774 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.772に続き、2010年7月にオランダのマーストリヒトで開催さ れた第78回IETFのレポート[第2弾]として、DNS関連WG報告をお届けします。 なお、IPv6関連WG報告については、以下のURLからバックナンバーをご覧くだ さい。 □第78回IETF報告 特集 ○[第1弾] IPv6関連WG報告 (vol.772) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2010/vol772.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第78回IETF報告 [第2弾] DNS関連WG報告 JPNIC DNS運用健全化タスクフォースメンバー 東京大学 情報基盤センター 関谷勇司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■はじめに 今回のIETF78は、オランダのマーストリヒトにて開催されました。MECCと呼 ばれるカンファレンスセンターにて開催されたのですが、その周囲には大学 や企業しか存在せず、商店やレストランといったものが徒歩圏内に存在しま せんでした。 そのため、会場近くのホテルに滞在している参加者は、食事をするにもバス や電車を利用してマーストリヒト市街まで出向く必要がありました。この点 に関して、IETF78参加者のメーリングリストでは、もっと便利な場所を選べ ばいいのにといった否定的な意見が出ていました。その一方で、気候が素晴 らしいといった肯定的な意見も出ていました。さまざまな意見があるのは当 然ですが、個人的にはもっと便利な場所で開催して欲しいと感じたIETFでし た。 IETFの会合としては、"Bar BoF"と呼ばれる、正規の時間帯ではない時間に、 空いている会場を利用して暫定的に会合を開くグループが多く見られました。 Bar BoFは、同じ問題や興味を共有する人々が集まって、活発に議論を行うた めには良い形式なのですが、その一方で、IETF agendaに載っている正規の会 合ではないため、気付かずに参加できない人が発生したり、正規のIETF会合 との差がわからなくなってしまう等の問題があるため、その開催が増えるこ とには賛否両論ありました。今回のIETF78では、私が把握している限りで18 回のBar BoFが開催されていました。 ■dnsext WG dnsext WGは、2回の会合を開催しました。主な議題はDNS zone aliasに関す るものでした。あるDNS zoneをそのまま別ドメインのDNS zone定義として利 用することができるようにする仕様で、前回のIETF77においても話し合われ た議題です。このzone aliasは、TLDレベルのzoneに対しても利用できるよう に議論されており、例えば、従来の国コード別TLD zoneとIDNによる国コード 別TLD zoneとのaliasに利用するといった用途も考えられているようです。 zone aliasを実現するための提案としては、 (1) BNAME RR(Resource Record)の導入 (2) CNAME + DNAMEという定義の導入 という二つの案が出され、議論が行われました。 (1)の提案は、新たに BNAMEというzone aliasのためのリソースレコードを定 義し、zone中にてBNAMEを利用してzone aliasを指定するという手法です。 例えば、aliasing-test.aaaというzoneを.bbbというzoneにaliasしたい場合 には、aaa zoneにて aliasing-test IN BNAME bbb. と記述します。これによって、aliasing-test.aaaというzoneに定義されてい る名前は、すべてbbbというTLD zoneの名前にaliasされます。つまり、 www.hoge.aliasing-test.aaaという名前のA RRを問い合わせると、 www.hoge.bbbという名前にaliasされ、www.hoge.bbbに対応するA RRの応答が 返ります。 (2)のCNAME+DNAME提案も、実現できることは同様です。従来のDNAMEによる zoneリダイレクションに加え、同様の定義をCNAME RRにて行うことで、同一 の名前に対して、CNAMEとDNAMEで両方の定義があった場合のみ、zone alias として扱うようにするという提案です。CNAME+DNAMEの場合には、前述の例 は、 aliasing-test IN CNAME bbb. aliasing-test IN DNAME bbb. と記述されます。 BNAMEは新たなRRの定義であるため、既存実装への影響が大きい一方で、既存 のRR定義との混乱は起こりにくいといった意見が出されました。また、zone alias自体の賛否も含めた議論も行われ、結局どちらを標準とするかの結論は 出ませんでした。その一方で、IDN TLDの導入も進んでおり、早急に仕様を決 定したい、といった意見も出されました。引き続き議論が行われる模様です。 ■dnsop WG 今回のdnsop WGでは、特に中心となる大きな話題はなく、以前からあるいく つかの提案に関して報告と議論が行われました。 まずDNSSEC Operational Practicesに関する報告がありました。DNSSECの鍵 管理について述べられた文章であり、RFC4641を更新するものです。DNSSECの 仕様の更新に従ってRFC4641から変更されているものであり、特に議論はあり ませんでした。 次に、draft-mekking-dnsop-auto-cpsyncに関する発表がありました。この文 章は、子ゾーンの鍵更新とともに、親ゾーンのDS RRを自動的に更新する仕組 みを定義したものです。DNSのRR dynamic update機能を使い、親ゾーンのDS レコードを更新します。この提案に関しては、DSレコードのみではなく、そ れに付随するレジストリ的な管理情報もあるので、自動更新は適さないので はないかといった意見や、自動更新は必要だが、それはDNS dynamic update 機能を利用するべきではない、といった意見が出されました。 また、draft-savolainen-mif-dns-server-selectionに関する発表がありまし た。これは、mif(Multiple Interfaces) WGにて話し合われた提案をdnsop WG にて発表したものであり、複数のDNSサーバを選択するための手法を提案した ものです。例えば、組織内部の名前を管理している内部用のDNSサーバと、外 部の名前を解決するためのDNSサーバがあった場合に、クライアントがどう使 い分けるか、という手法を定義しています。具体的には、DHCPv6に新たなオ プションを定義し、クライアントはその情報を利用してDNSサーバの使い分け を行うという提案です。 最後に、dnsop WGの議題ではありませんが、Root zoneのDNSSEC導入に関する 報告が、同じ会場にて行われました。まず、DURZ(*1)を用いてRoot zoneを署 名し、DURZの導入を段階的に進めていったことが報告されました。2010年7月 15日に、正式な鍵を用いて署名されたRoot DNS zoneがすべてのRoot DNSサー バに導入され、いくつかのTLDのDS RRもRoot zoneに導入されたことが報告さ れました(*2)。 (*1) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-DURZ (*2) http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2010/20100716-01.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.774 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2010 Japan Network Information Center