=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.824【臨時号】2011.2.23 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.824 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界的にもDNSSECを導入するトップレベルドメインが相次ぐ中、2011年1月16 日にJPドメインのサービスにもDNSSECが導入されました。本号では、DNSSEC に関する動向と、.jpへの導入の経緯についてお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JPドメイン名サービスへのDNSSEC導入 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) システム運用部 坂口智哉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ はじめに ~DNSの仕組みと重要性~ DNS(*1)は、ドメイン名とIPアドレスとを対応させる仕組みとして、インター ネットの基盤を構成する上で必要不可欠なシステムです。ブラウザでWebサイ トを閲覧したり、メールをやりとりしたりすることができるのも、裏でこの DNSが動いているからです。 IPで接続されたネットワークという意味でのインターネットが、まだ日本に は存在しなかった頃、1983年に米国でDNSが開発されました。DNSは、その当 時から基本的な仕組みはそのままに、現在に至るまで四半世紀以上にわたり インターネットが拡大する中で運用され続けている、世界的な分散データベー スシステムなのです。 私達がインターネットを安心して利用するためには、DNSが正常に機能してい ることが必要です。しかし、1990年代からDNSの応答を偽装する攻撃手法の存 在が指摘され、これを防止するためのセキュリティ付加技術としてDNSSEC (Domain Name System Security Extensions)(*2)が開発されました。 (*1) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-DNS (*2) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-DNSSEC ■ DNSSEC導入への機運が、世界的に高まったきっかけ インターネットが社会的に重要性を増し、それを支えるDNSにもさらなる安定 性や安全性が求められるようになってきた中で、2008年にDNS応答を偽装させ る効率的な攻撃手法が明らかになったことが、DNSSECの導入が世界的に進め られる大きなきっかけになりました。 DNSは、ICANNによって管理されるルートゾーンを頂点として、「.jp」や 「.com」などのTLD(トップレベルドメイン)、そしてさらにそれぞれ個別の SLD(セカンドレベルドメイン)、さらにそのサブドメイン……、という階層構 造を成しています。DNSSECは、このルートゾーンから目的のドメイン名まで、 すべての階層で導入されないとうまく機能しません。 とはいえ、DNSSECの導入は、インターネットの基盤を構成する上で欠かせな い仕組みであるDNSに新たな機能を追加するものであり、「今動いているもの に手を入れる」ことになるため、慎重に進めていかなければなりません。 導入にあたっては、インターネットに悪影響を与えることなく、また、多数 の階層での対応が必要であることから、多くの関係者が協調して作業を行っ ていく必要があります。 DNSSECの導入は、インターネット全体、世界全体にとって、とても大きな出 来事なのです。 ■ .jpにDNSSECが導入されるまでの経緯 JPドメイン名の登録管理組織(レジストリ)であるJPRSでは、2009年7月にJPド メイン名サービスへのDNSSECの導入を正式に表明し(*3)、準備を開始しまし た。.jpゾーンを管理するDNSサーバであるJP DNSサーバへDNSSECを導入する 際に、万が一のことがあった場合、インターネットに大きな混乱を引き起こ すことになるため、事前の準備には長い時間を必要としました。 一方、ICANNもルートゾーンへのDNSSEC導入の検討を慎重に進め、ようやく 2010年の7月にルートゾーンへのDNSSEC導入が行われました(*4)。次はいよい よTLDへのDNSSEC導入です。 JPRSでは、2010年10月に、DNSSECで用いる鍵情報を生成する.jp DNSSECキー セレモニーを実施し(*5)、.jpゾーンへの署名を開始しました。そして運用に 支障がないことを確認した後、2010年12月にルートゾーンのDNSSECとの関連 付けを行いました(*6)。 DNSSECの導入に取り組む組織や個人のために、JPRSは、DNS運用に関わる事業 者、機器メーカー、ソフトウェアベンダーなどとともに進めてきた技術検証 の成果や、DNSSEC関連RFCの翻訳など、DNSSEC導入の中で得られたさまざまな 成果やノウハウなどを、積極的にWebで公開しました。 さらに、DNSSECを適切かつ安定して運用していくためには、運用ポリシーや 考え方、手順などを明確化しておく必要があります。これがDPS(DNSSEC Practice Statement)(*7)と呼ばれる文書で、JPRSでも「JPドメイン名におけ るDNSSEC運用ステートメント(JP DPS)」として公開しました(*8)。 これらの準備を進めた後、2011年1月16日にJPドメイン名サービスへのDNSSEC 導入を実施しました(*9)。これにより、個々のJPドメイン名でDNSSEC運用を 行い、その鍵情報をJP DNSサーバに登録することができるようになったので す。 (*3) http://jprs.jp/info/notice/20090709-dnssec.html (*4) http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2010/20100716-01.html (*5) http://jprs.jp/info/notice/20101015-keyceremony.html (*6) http://jprs.jp/info/notice/20101210-ds-published.html (*7) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/dps.html (*8) http://jprs.jp/info/notice/20110114-jpdps.html (*9) http://jprs.co.jp/press/2011/110117.html ■ DNSSECをめぐる、国内外の動き DNSSECの導入ならびに普及には関係者間の密接な連携が必要なため、国内の コミュニティとしてDNSSECジャパンが2009年11月に設立され、2011年2月現在 でJPRSも含めて36団体が会員となっています。DNSSECジャパンでは、導入・ 運用に関する課題の整理と検討が行われ、参加者の技術力の向上、ノウハウ の共有を促進するとともに、普及のためのイベント開催や外部での講演など の活動を進めています。 世界的なDNSSECの導入動向としては、2011年2月16日現在、62のTLDがDNSSEC を導入し、ルートゾーンとDNSSECの関連付けを行っています。影響が大きい ところでは、国内でも多く利用されている.comが2011年3月31日にDNSSECを導 入する予定となっています。 ■ おわりに DNSSECによりインターネットの安全性を向上させていくためには、DNSの管理 運用に携わるすべての関係者の協力が欠かせません。また、DNSSECの普及の ためには、ホスティング事業者やプロバイダー事業者の方々の、積極的な取 り組みが必要です。JPRSでは今後も各方面の関係者と協力しながら、DNSSEC の導入を推進していきます。 JPRS DNSSEC関連情報 http://jprs.jp/dnssec/ DNSSECジャパン http://dnssec.jp/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.824 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2011 Japan Network Information Center