=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.961【臨時号】2012.4.25 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ┏━━━━━━━━━━━━┓ ★ 2012年5月8日(火) 13:30~ ★ ┏┫ 第33回 ICANN報告会 ┣┓ ☆ シスコシステムズ合同会社 ☆ ┃┗━━━━━━━━━━━━┛┃ ★ 東京本社会議室(21F)にて ★ ┗━┛ JPNIC・IAjapan共催 ┗━┛ 申込受付は5月7日(月)17:00まで! 詳細はこちら → http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2012/20120417-01.html ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.961 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.958、vol.960に続き、第83回IETFのレポートとして、本号からはIPv6関 連WGの動向についてお届けします。 今回のIPv6関連WG報告は3回に分けて発行します。本日発行する1回目の6man WGと2回目のv6ops WGについてはNTTサービスインテグレーション基盤研究所 の藤崎氏によるレポート、明日発行する3回目のsoftwire WGについては富士 通株式会社の松平氏によるレポートとなります。まず、本号では6man WGの報 告をお届けします。 なお、全体会議やDNS関連WG報告については、それぞれ以下のURLからバック ナンバーをご覧ください。 □第83回IETF報告 特集 ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.958) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2012/vol958.html ○[第2弾] DNS関連WG報告 (vol.960) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2012/vol960.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第83回IETF報告 [第3弾] IPv6関連WG報告 ~6man WGについて~ NTTサービスインテグレーション基盤研究所 藤崎智宏 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012年3月25日から3月30日まで、フランスのパリにて第83回IETFミーティン グが開催されました。日本では、まだまだ厳しい寒さが残っていましたが、 会期中のパリは小春日和で、非常に過ごしやすい気候でした。 今回は場所柄か、新規参加者も含め、非常に多くの人が興味を持って参加し たようです。特に開催国のフランスからは、多くの人が参加していました。 日本からの参加者も、80名ほどと前回の台北よりはかなり多かったのですが、 各種手続き上の問題からか、年度内に帰国されてしまう方が多かったように 見受けられました。 本稿では、会期中において、IPv6に特化した内容を議論するワーキンググルー プ(WG)のうち、6man WGの議論内容を中心に紹介します。 ◆6man WG (IPv6 Maintenance WG) 6man WGは、IPv6のプロトコル自体について小規模なメンテナンスを実施する WGです。今回は、27日(火)の朝一のコマにて開催されています。ミーティン グ冒頭で、いつもと同様、チェアによるアジェンダ確認があり、6man WGで取 り組み中である以下の文書についてステータス報告がありました。 ・IPv6ノードの要求仕様改版 → RFC6364として発行済み。 ・RFC3627(ルータ間における/127のプリフィクス長の利用を非推奨とする文 書)を歴史的ステータス(Historic)化 → RFC6547として発行済み。 ・RPL(低電力高損失ネットワーク用のIPv6ルーティングプロトコル)用のデー タ転送オプション → RFCエディタでの発行待ち(本稿執筆時点では、RFC6553、RFC6554として 発行済み)。 ・IPv6拡張ヘッダの統一フォーマット → RFCエディタでの発行待ち(本稿執筆時点では、RFC6564として発行済 み)。 ・URL中でのZone IDの記法(draft-ietf-6man-uri-zoneid) → WGラストコール終了。課題について今回議論。 ・回線IDオプション(draft-ietf-6man-lineid) → 1週間のWGラストコール準備完了(4月12日~19日までラストコール)。 ・重複アドレス検索プロキシ(draft-ietf-6man-dad-proxy) → 1週間のWGラストコール準備完了。 ・UDPのチェックサム廃止 (draft-ietf-6man-udpzero/draft-ietf-6man-udpchecksums) → 1週間のWGラストコール準備完了。 ・単一フラグメント(atomic fragments)の処理 (draft-ietf-6man-ipv6-atomic-fragments) → 1週間のWGラストコール準備完了。 ・DADの拡張(draft-ietf-6man-enhanced-dad) → WG文書として採択。 ・アドレス選択関連文書(draft-ietf-6man-addr-select-considerations/ draft-ietf-6man-addr-select-opt/draft-ietf-6man-rfc3484-revise) → draft-ietf-6man-rfc3484bisと併せて議論(今回のミーティングで議 論)。 文書のステータス報告後、WGの共同チェアの変更報告がありました。Brian Haberman氏がインターネットエリアのエリアディレクタ(AD)に就任すること に伴い、Ole Troan氏が今後、6man WGの共同チェアとなり、Robert Hinden氏 とともに6man WGを運営していくこととなります(インターネットエリアのAD だったYari Arkko氏は、IAB (Internet Architecture Board)メンバーとなり ます)。 今回議論されたテーマの中から、いくつかのトピックスを取り上げてご紹介 します。 ・RFC3848 IPv6デフォルトアドレス選択機構の改版 (draft-ietf-6man-rfc3484bis) IPv6のアドレス選択機構について、現行仕様の変更に関する議論です。従来、 元の文書であるRFC3484の一部をアップデートする方向で議論が進んでいまし たが、元の文書をすべて置き換える方向になっており、従来の議論を取り込 んだドラフトにて議論が実施されました。 議論の中で、「IPv6 SLACCのプライバシー拡張」(RFC4191)等で生成されるプ ライバシーアドレスの扱いが問題となりました。従来のRFC3484では、グロー バルユニキャストアドレス等のパブリックアドレスと、プライバシーアドレ スのような一時アドレスがある場合に、パブリックアドレスの使用を優先す る、という規約になっています。この規約ですと、通信の際、プライバシー アドレスを発アドレスとして利用する場合が少なくなるため、Windows OS等 では、逆の動作(プライバシーアドレスを優先)をします。改版に合わせ、こ の動作をどのようにするかが議論され、サイト外部と通信する際には、プラ イバシーアドレスを優先したいが、サイト内ではパブリックアドレスを優先 したい、等の意見が出されました。 どちらが好ましいか、参加者に確認したところ、プライバシーアドレスを優 先すべきという人が多く(比率にして3:1程度)、メーリングリスト(ML)にて引 き続き意見を募集することとなりました。他に、IPv4共有アドレス空間をデ フォルトテーブルに加えること等が意見として出され、ミーティング終了後、 WGラストコールを実施することとなりました(本稿執筆時点で、4月26日締め 切りのラストコールがかかっています)。 ・URL中でのZone IDの記法(draft-ietf-6man-uri-zoneid) URL中における、IPv6のZone Index指定記法に関する議論です。IPv6では、ア ドレスの有効範囲(スコープ)を明確に規定しています(リンクローカルスコー プ、グローバルスコープ)。範囲の指定には、Zone Indexという値を利用しま す。例えば、リンクローカルスコープの場合、Zone Indexにインタフェース 名(en0、fxp0など)を用い、アドレスが属するスコープを指定します。アドレ ス表記的には、'%'を使用し「fe80::1%en0」という形となります。しかしな がら、URLでは'%'は特殊な意味を持つ文字であり、そのままでは使用できな いため(RFC3986)、どのような形でZone Indexを指定すべきかの検討です。議 論では、指定方法についていくつかの案が出されましたが、URL中にアドレス を記述する場合には、’[', ']' でくくるため(ex. http://[fe80::1%en0])、 この中については特に気にする必要は無いのでは、といった意見もあり、合 意には到りませんでした。また利用頻度についても、家庭ネットワークでは、 リンクローカルスコープの指定が多くなるので重要であり、早く決める必要 がある、という意見もありましたが、逆に、そもそもIPアドレスをURLで直に 指定することはまれである(リンクローカルアドレスなどを指定するのはIETF に来ているような人だけだ)という意見もあり、意見が分かれていました。 ・Fernando Gont氏のセキュリティ関連連続プレゼンテーションより - IPv6ステートレスアドレス自動設定(SLAAC)における静的なプライバシー 拡張アドレス生成方法 (draft-gont-6man-stable-privacy-addresses) IPv6のステートレスアドレス自動設定(SLAAC)において、アドレスの一部(イ ンタフェース識別子)に、MACアドレスから生成されるEUI-64ではなく、ラン ダム値を使用する手法を提案しています。ランダム値は、プリフィクスや EUI-64の値等から生成するものとされています。実際、Windows OSではVista 以降、このようなアドレスを生成して使用するようになっています(設定によ り変更可能)。議論では、適切なアドレス生成方法を検討するには、ドラフト が対応しようとしている脅威の明確化が必要、といった意見が出されました。 プライバシー保護の観点からも、この問題については多くの参加者が興味を 持っていることが確認され、WGとして引き続きこの問題に取り組んでいくこ ととなりました(4月26日期限で、WG文書としてこのドラフトを扱うかどうか のコメント募集期間となっています)。 - 予測可能な断片化識別子値に関わるセキュリティ (draft-gont-6man-predictable-fragment-id) IPv6でパケットを断片化する際、断片の識別子に予測可能な値を用いている ことに対する問題提起の提案です。予測された場合、断片化機構に対する攻 撃に利用される可能性があります。実際にいくつかのOSでは、初期値0のカウ ンタを用いていたものや予測が容易な値を用いていたものがあり、著者の指 摘によって変更された、ということも報告されました。議論では、このよう な事象を文書化しておくことは重要であるという意見が出され、WGで扱うか どうかをMLにて確認することとなりました。 また、それぞれの詳細には触れませんが、Gont氏により以下のテーマが取り 上げられました。 - IPv6 NDでの拡張ヘッダ使用に関するセキュリティ (draft-gont-6man-nd-extension-headers) - IPv6ステートレスアドレス自動設定におけるアドレス生成ポリシー管理 (draft-gont-6man-managing-slaac-policy) (この議題は、プレゼンテーションが行われませんでした) - 過大なIPv6ヘッダチェーンに関するセキュリティと相互運用性 (draft-gont-6man-oversized-header-chain) ここまでで取り上げたトピック以外に、今回の6man WGミーティングでは、次 のトピックが議論されました。 ・近隣到達不可能検知の再送ルールの変更 Neighbor Unreachability Detection is too impatient (draft-ietf-6man-impatient-nud) ・MS/TPネットワーク上でのIPv6転送(draft-ietf-6man-6lobac) ・IPv6パケットの色付け(staining)(draft-macaulay-6man-packet-stain) ・CGAアドレスにおける複数ハッシュアルゴリズムの追加サポート (draft-zhou-6man-mhash-cga) ・DoSを緩和するための近隣探索機構の拡張 (draft-gashinsky-6man-v6nd-enhance) それぞれの詳細については、発表資料等をご覧ください。 □ 6man WG https://datatracker.ietf.org/wg/6man/ □ 第83回 IETF 6man WGのアジェンダ http://www.ietf.org/proceedings/83/agenda/6man.html □ 第83回 IETFの発表資料等 https://datatracker.ietf.org/meeting/83/materials.html 続いて本日午後に発行する次号では、v6ops WGの活動をご紹介します。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/961/75c5e566a7f1c56a5206a14d9b611df8 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/961/b219b5b2a95df3a2df16f38b8f4a0e48 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.961 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2012 Japan Network Information Center