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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1095【臨時号】2013.6.13 ◆
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◆ News & Views vol.1095 です
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本稿では、2013年5月中旬にアイルランドのダブリンで開催された、第66回
RIPEミーティングのレポートをお届けします。

RIPEはヨーロッパ・中近東地域におけるネットワークコミュニティで、ミー
ティングではアドレスポリシーの他にも、DNSオープンリゾルバの話題など、
多彩な議論が行われました。

6月18日(火)に開催される、第24回JPNICオープンポリシーミーティングでは、
本ミーティングの内容を紹介するセッションを設けています。議論の内容に
興味を持たれた方は、本文末の案内をご覧の上、ぜひそちらにもご参加くだ
さい。

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◆ 第66回RIPEミーティング報告
                                                 JPNIC IP事業部 奥谷泉
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2013年5月13日(月)~17日(金)に開催された「RIPE66」カンファレンスの開催
地は、アイルランドのダブリンでした。

RIPEはヨーロッパ・中近東地域のネットワークオペレーターが情報交換を交
流するためのコミュニティであり、カンファレンスの運営は、この地域でア
ドレス管理を行っているRIPE NCC (RIPE Network Coordination Centre)が
行っています。

カンファレンス会場となったThe Burlington Hotelは、運河や公園に近い落
ち着いたエリアに立地しており、正面玄関ではアイルランドの国旗と並んで
RIPEの旗も掲げられているという演出もありました。

また会場では、アイルランドにゆかりのある有名人のTシャツが、人物ごとに
異なる色のTシャツのシリーズとして配布されていたようです。


◆RIPE66の特徴

今回は、過去最大の参加者数となった523名の実参加者がありました。西欧か
らの参加者はもちろんのこと、東欧、ロシア、中東からも広く参加がありま
した。特筆すべきは米国からの参加者の多さで、これは西欧からの参加者数
に匹敵します。なお日本からの参加者は、主催者からの発表によれば11名で
した。

また、DNSの計測についてメンバー間で情報交換を行うDNS OARC (The DNS
Operations, Analysis, and Research Center)ミーティングも、同じ会場で
前日の12日(日)から開催され、OARCではRIPEとの相乗効果があったのか、メ
ンバー以外も参加できるSpring Workshopは満席でした。

今回のRIPEカンファレンスで、日本の運用者にも関わりがあると思われる議
論としては、「Best Current Operational Practice文書の策定」と「Anti-
Spoofingに関するパネルディスカッション(旧:DNS Open Resolverに関する
パネルディスカッション)」が挙げられます。

また、DNSやルーティングに関係したOpen Sourceのソフトウェアについては、
今までOpen Source BoFが開催されていましたが、それがWGに昇格となり、今
後は、定常的にOpen SourceのWGセッションが開催されることになりました。

個々の発表ベースで興味深いものが多くありましたが、以降では、4点のト
ピックスに絞ってRIPE66での議論の様子をご紹介します。


◆Best Current Operational Practice文書の策定

Best Current Operational Practice (BCOP)とは、現時点での最適な運用を
明文化した文書です。これを策定し、世界的に一つにまとめたものを、ISOC
のGlobal Repositoryに集約するというアイディアがISOCのJan Zorz氏から紹
介されました。

目的としては、以下の3点が挙げられます。

  ・IETFに対するオペレーショナルコミュニティからのフィードバック
  ・政府関係者が運用上不適切な規制を加える動きがあった場合の参照元
  ・運用コミュニティとして幅広く推奨すべき運用の明文化
    (例:BCP38、今回はOpen Resolver対応の文書化の話も一部で出ていた)

その方法として、各地域・国単位のNOG (Network Operations Group)で検討
された文書を検討するグローバルなBCOP委員会を設け、そこで一つのBCOP文
書にまとめるという案が紹介されていましたが、まだたたき台の段階であり、
さまざまなNOG・その他運用者コミュニティからのフィードバックをもとに見
直していくという姿勢のようです。

Zorz氏によるPlenaryでの発表後、同じ部屋で引き続きBoFが行われ、参加者
からの意見を募っていました。議論ではそもそもベストの運用として一つに
まとめられるのか、各NOGとの関係や連携など具体的な方法論についても賛否
両論でしたが、課題として検討の必要性はあるとして継続議論となりました。

Zorz氏からは今後引き続き、RIPE以外も含めたコミュニティからのヒアリン
グを行い、今年2013年の夏を目処に具体的な提案を行う意向が示され、BoF開
催後にメーリングリスト(ML)が作成されています。

  ・https://www.ripe.net/mailman/listinfo/bcop/

日本にもJANOGという運用コミュニティがありますので、こういった世界的な
運用文書策定の動きによる影響がないのかを、注視したほうが良いのではな
いかと感じました。

  ・Best Current Operational Practices- Efforts from the Internet
    Society
    https://ripe66.ripe.net/presentations/137-Jan_Zorz_ISOC-BCOP-JZ-v.3-final.pdf


◆Anti-Spoofingに関するパネル

今回のPlenaryでは、"Seven Years of Anti-Spoofing"と題したパネルが行わ
れ、RIPEコミュニティとしてのこれまでのAnti-Spoofingに関する取り組みの
紹介と今後何をするべきかというテーマで6名のパネリストにより議論が行わ
れました。

特に、国内でも議論となっているオープンリゾルバ(Open Resolver)に対する
取り組みが大きく取り上げられ、今後、引き続き議論する必要性を感じる人
で一度アムステルダムで話し合うことがRIPE NCCスタッフにより提案されて
いました。ヨーロッパ以外の地域からも、希望者がいれば電話会議で参加で
きる仕組みも提供できるということです。

また、パネリストのMerike Kaeo氏の発表では、オープンリゾルバに関する計
測やプロジェクトが紹介されており、国内での対応にも利用できるものは参
考にしても良さそうです。

  ・Measurement Factory
    http://dns.measurement-factory.com/surveys/openresolvers.html

  ・The Open Resolver project
    http://openresolverproject.org/


◆アドレスポリシーに関する動向

アドレスポリシーに関する議論は、IPv4アドレスの移転についてのものでし
た。JPNICでは他レジストリとの移転を認めるポリシーを2013年6月3日より施
行しているため、RIPE地域での動向も気になるところです。

RIPE地域では、「他のレジストリとの移転を認めるポリシー」の検討が、過
去のカンファレンスから継続議論として行われてきましたが、今回も結論は
出ませんでした。従って現時点では、JPNICとRIPE地域との移転はまだ実行で
きない状況です。

これに加え今回は、「移転時におけるアドレス効率利用の確認要件の撤廃」
を求める提案も行われました。現在RIPE地域で施行しているこの要件を撤廃
すると、その要件を条件としているARIN地域との移転を行うことができなく
なります。しかし、提案者としてはそのような影響があっても良いので、
RIPE地域として望ましい要件を施行するべきだという考えのようです。複数
のARIN地域の参加者から懸念が示されましたが、時間の関係上、結論は出ず、
MLでの継続議論となりました。

  ・2013-02 Removal of Requirement for Certification of Reallocated
    IPv4 Addresses
    https://ripe66.ripe.net/programme/meeting-plan/address-policy-wg/

その他IPv4アドレス移転に関するセッションとしては、移転のブローカーが
主催するIPv4アドレス移転の透明性を考えるBoFが行われました。特に目新し
い議論はありませんでしたが、移転の現状について参加者ブローカーと一緒
に話し合えるセッションとしては面白い試みだったと感じました。


◆オペレーショナルな発表・議論

オペレーショナルなトピックスのうち参加者の反響が大きかったもの、また
は国内でも関わりがあると思われるトピックスを数点、簡単にご紹介します。

・IPv6

  IPv6 WGでは、IPv6のみのクライアントによる経験やアプリケーションレベ
  ルでIPv6対応する上での課題などが紹介され、特にCeroWrtというIPv6での
  運用上の課題に対応できるミドルウエアの紹介には、多くの参加者が興味
  を示していました。

  ・https://ripe66.ripe.net/programme/meeting-plan/ipv6-wg/

・ルーティング

  Routing WGではAPNICのGeorge Michaelson氏から、RPKI(リソースPKI)の
  ROA (Route Origination Authorization)の情報を、自動的にIRR
  (Internet Routing Registry)に登録する案が発表され、参加者からは、
  IRR情報に基づき経路情報を生成する上での影響について、懸念が示されて
  いました。これは2013年2月にシンガポールで開催されたAPRICOT2013でも
  APNICから発表されたものであり、Michaelson氏としてはRIPEでの意見を取
  り入れた上で、次回8月の西安でのAPNIC36においても、何らかの発表を行
  う意向ということです。

  ・https://ripe66.ripe.net/presentations/301-RIPE66-Dublin-Route-Object-Process-Improvement.pdf

・RIPE Atlas

  コミュニティの協力を得ながら、RIPE NCCが実施している計測プロジェク
  トであるRIPE Atlasプロジェクトとして、集積されたデータをどうコミュ
  ニティのために活用できると良いかを議論するBoFが行われていました。

  RIPE NCCでは、誰もが手軽に自宅で運用できるProbeをRIPEメンバー以外に
  も無料で配布し、それらのProbeからの計測データを収集しています。日本
  でのProbe運営者も募集中であり、Probeを無料で郵送してくれるというこ
  とですので、興味のある方は、以下より情報をご確認ください。

  ・https://atlas.ripe.net/about/

上記の他にも、遅延測定する上でのpingの利用、OpenNaaSによるCPE
(Customer Premises Equipment)の仮想化、太陽の状態による通信への影響な
ど興味深い発表が行われていましたが、詳しくはRIPE66のプレゼンテーショ
ン一覧よりご確認ください。

  ・https://ripe66.ripe.net/presentations/presentation-archive/


◆RIPE66振り返り "Global RIR Showcase" @JPOPM24

今回のRIPEカンファレンスでの議論や発表をご紹介するセッションを、第24
回JPNICオープンポリシーミーティングで行います。日本からの参加者から直
接、実際のカンファレンスの様子を聴ける機会です。ぜひご参加をお待ちし
ております。

  ・日時:2013年6月18日(火)
          10:30-12:30  Global RIR Showcase (RIPE66 Meeting Update)
          13:30-17:30  本ミーティング
  ・会場:アーバンネット神田ビル
  ・参加費:無料
  ・プログラム:http://jpopf.net/JPOPM24Program/
  ・お申し込み:https://jpnic.smartseminar.jp/public/seminar/view/12/


◆次回のRIPEカンファレンス

第67回RIPEミーティングは、2013年10月14日(月)~18日(金)にギリシャ・ア
テネで開催される予定です。

  ・https://ripe67.ripe.net/


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1095 【臨時号】

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