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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1119【臨時号】2013.9.5 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1119 です
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本号では、vol.1116、vol.1117、vol.1118に続いて、ドイツ・ベルリンで開
催された第87回IETF報告の第4弾として、DNS関連WGのレポートをお届けしま
す。

発行済みの全体会議報告、IPv6関連WG報告、セキュリティ関連WG報告につい
ては、それぞれ下記のURLからバックナンバーをご覧ください。

□第87回IETF報告 特集
  ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1116)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2013/vol1116.html
  ○[第2弾] IPv6関連報告 ~6man WG、softwire WG、behave WG、v6ops WG、
    sunset4 WGについて~ (vol.1117)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2013/vol1117.html
  ○[第3弾] セキュリティ関連WG報告 ~RPKIの動向~ (vol.1118)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2013/vol1118.html

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◆ 第87回IETF報告 [第4弾] DNS関連WG報告
                             JPNIC DNS運用健全化タスクフォースメンバー
                                             東京大学 情報基盤センター
                                                              関谷勇司
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今回のIETF 87におけるDNS関連の動きとして、dnsop WG、dnsext WG、
dnssdext BoFの概要を報告します。dnsext WGは実際に会合が開かれなかった
ため、メーリングリストでの議論を元にした報告となります。


■dnsop WG 報告

今回のIETF 87では、8月1日(木)の15:20から90分の枠にてdnsop WGの会合が
開催されました。まず、Tim Wicinski氏が新たにco-chairに就任したことが
報告されました。その後WG draftの状況確認が行われ、個々のdraftに関する
議論に移りました。

はじめに、AS112に関する議論が行われました。現在のAS112サーバには、い
くつかのゾーンが委譲されていますが、さらにゾーンを加えたいという要求
が高まっています。しかし、AS112サーバは多くの組織によって分散して管理
されているため、1度にのAS112サーバを設定変更することが難しいという現
状があります。そのため、omniscient-AS112サーバという、すべてのゾーン
のどんなレコードに対してもNoError/NoDataを返答するDNSサーバを用意し、
委譲したいゾーンを、DNAMEを用いてこのomniscient-AS112 DNSサーバに委譲
することで、クエリを誘導するという手法が提案されました。この詳細は
draft-wkumari-dnsop-omniscient-as112やdraft-jabley-dnsop-as112-dname
にて述べられています。この提案に対して多くの前向きな意見が出され、ま
ずは実験して、その結果を報告するべき、という方向で合意されました。

次に、CDSレコードに関する議論が行われました。CDSとは、Child
Delegation Syncronizationの略で、下位のゾーンから上位のゾーンに対し
て、データの同期を行うための仕組みを提案したものです。具体的には、今
までDSレコードを更新する場合には、上位のゾーンにDSレコードの更新を依
頼していたものを、下位のゾーンにてCDSレコードとして発行することで、上
位のゾーンに新たなDSレコードとして取り込んでもらうという仕組みです。
これによって、DNSSECの鍵更新等の際に、オペレーター同士のやり取りが発
生していたものを省くことができます。これに加えて、CSYNCというレコード
の提案も行われました。

CSYNCは新たなレコードであり、下位ゾーンのどのレコードを上位ゾーンにコ
ピーして欲しいかを指定するために利用されます。これによって、NSレコー
ドや、グルーとなるAやAAAAレコードの更新も、上位ゾーンへの依頼無しに下
位ゾーンにて公開することで、自動的な更新を可能とするものです。会場で
は多くの意見が出されましたが、このような仕組みが有用であり、必要であ
るということが合意され、引き続き議論が行われることとなりました。

その他にも、DNSのキャッシュ性能を向上させる提案が、
draft-wkumari-dnsop-hammerとして発表されました。あるレコードのTTLが過
ぎても、再度の問い合わせで返答を得るまでそのレコードのキャッシュを保
持しておく、もしくはTTLが切れる直前に再度問い合わせを行うことで、
キャッシュが切れた後に再度問い合わせが行われて返答を得られるまでの時
間を減らそう、という提案です。これに関しては、有用と思うがTTLの扱いを
変えるものであるため、実験結果が必要だとの合意がなされました。

さらにDNSキャッシュに関連して、DNSリゾルバサーバに対して、DNSのキャッ
シュを消去するための通知を行う仕組みが提案されました。これは
draft-jabley-dnsop-dns-flushというドラフトに述べられています。この提
案に関しては、キャッシュを保持しているのリゾルバサーバに通知を行うの
は現実的ではない、また規模性に問題がある等の否定的な意見が多く出され
ました。

最後に、RootゾーンのKSK更新について、ICANNのJoe Abley氏からその計画に
関する報告が行われました。問題が発生した場合にはRollbackが行える体制
であることや、新しいトラストアンカーは2014年7月頃に発行される予定であ
ることが報告されました。


■dnsext WG 報告

dnsext WGは既にクローズ段階であるため、会合は開かれませんでした。その
ため、今回もメーリングリスト上にて行われた議論を紹介します。前回の
IETF 86から今回のIET F87までの間に、メーリングリストにて行われた議論
としては
    + draft-jabley-dnsext-eui48-eui64-rrtypes
    + SPF RRTYPEの廃止
に関する話題です。

前者に関しては、以前に提出された
draft-jabley-dnsext-eui48-eui64-rrtypesドラフトの更新版が提出されたこ
とで、多くの意見がメールとして出され、メーリングリスト上で議論が行わ
れました。このドラフトは、EUI48とEUI64というリソースレコードを定義し
ており、あるノードが保持するEUI-48やEUI-64のアドレスをDNSに登録できる
ようにするという提案です。さらに、WGドラフトでもない、議論の最中であ
る個人ドラフトに対して、IANAから既にEUI48とEUI64というレコードに対し
て番号が割り当てられていることがさらに大きな話題となりました。この提
案に対して、DNSは便利なデータベースではないといった否定的な意見や、WG
としてはこのドラフトは却下の方向だったはずだ、といった否定的な意見が
多く出されました。否定的な意見が多いにもかかわらず、このドラフトは更
新され続けています。

次に、SPFリソースレコード(RR)の廃止に関する提案が出され、メーリングリ
スト上で多くの意見が出されました。これはdraft-ietf-spfbis-4408bisとい
うドラフトにて提案されているものであり、現在の運用では、TXT RRに対し
てSPFを明記するのが通例となっており、新たなSPF RRは普及する気配がない
ために廃止するという提案です。これに対して、時間がかかってもSPF RRに
移行する方が正しいといった意見や、現在の実装がTXT RRを見る仕様となっ
ているためSPF RRには意味が無いといった、対立する意見が数多く出されま
した。この議論は、本原稿の執筆時点でも続けられており、まだまだ収束す
る気配がありません。


■dnssdext BoF 報告

今回、dnssdext BoFと呼ばれる会合が開催されました。dnssdextとは、
DNS-SD Extensionsの略であり、DNS-SDとはRFC6763にて提案されている
DNS-Based Service Discoveryのことです。前回はIETF 85にて同様のBoFが開
催されており、200名程度の人が参加しました。

mDNSやDNS-SDといった技術は、近年のサービス発見で頻繁に使われている技
術ですが、実際には同一ネットワーク内部のサービス発見にしか利用されて
いないというのが実体です。そこでこのBoFでは、マルチリンクやネットワー
クセグメントをまたがったサービス発見を行うためのDNS-SDの拡張を議論す
るために開催されました。企業内や大学内において、広範囲なサービス発見
を行うことをめざしたものです。

今回のBoFでは、チェアからチャーターの紹介と、DNS-SD Extensionsの要求
事項に関する発表が行われました。この要求事項は、
draft-lynn-mdnsext-requirementsというドラフトにまとめられており、ロー
カルな範囲でのZero configuration、グローバルな範囲でのMinimal
configurationをめざすための要求事項を述べたものです。発表後に議論の時
間が取られ、このような仕組みが必要であるとの意見交換がなされました。
その結果、要求事項をまとめるボランティア、解決のための仕様を考えるボ
ランティア等が募られ、WG設立をめざして活動することが確認されました。
おそらく、次回以降のIETFにおいて、WGとして活動が開始されるものと思わ
れます。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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 JPNIC News & Views vol.1119 【臨時号】

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