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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1159【臨時号】2014.1.8 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1159 です
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本号では、2013年11月下旬にアルゼンチンのブエノスアイレスにて開催され
た、第48回ICANN会議のレポートをお届けします。今回は、インターネットガ
バナンスに関する議論が大きく盛り上がりを見せる会議となりました。

また、今回のICANN会議についても恒例となった報告会を、IAjapanとの共催
で、来週1月14日(火)に開催します。ご興味をお持ちの方は、ぜひご参加くだ
さい。

第38回ICANN報告会開催のご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20131218-01.html

第38回ICANN報告会でのICANNからの発表・最新プログラムのご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20131225-01.html

なお、今回のICANN報告会には、ICANNシンガポール拠点の代表者、Yu-Chuang 
Kuek氏が参加します。それに併せて、皆さまよりICANNへの質問、ご意見を明
日9日まで募集しています。入力にあたってICANNなどに関する背景知識は不
要で、報告会への参加の有無も問いませんので、よろしければぜひ下記のア
ンケートにご回答ください。

第38回ICANN報告会に向けたICANNへの質問・ご要望の募集
(2014年1月9日18時まで)
https://blue.tricorn.net/newsview/f.x?f=f8f82435

※ 本アンケートには外部(株式会社トライコーン)のアンケートシステム
   を利用しています。

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◆ ICANNブエノスアイレス会議報告
                            JPNIC インターネット推進部/IP事業部 奥谷泉
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第48回ICANN会議は、2013年11月17日(日)から21日(木)にかけて、アルゼンチ
ンの首都、ブエノスアイレスで開催されました。

季節は春から初夏に差し掛かっている時期で、肌寒い日もありましたが、日
差しが強くなりかけており、ジャカランダの木が青紫の花で街のあちらこち
らを彩る様子が、まるで日本の桜のようでした。

ローカルホストはアルゼンチンのccTLD、「.ar」のレジストリであるNIC
Argentinaが務め、参加者は約1,700名と発表されています。

今回の会議では、ICANNの設立15周年にあたることを記念して「ICANN 15th
Anniversary Celebration」が、通常の懇親会とは別に催され、会場では
「15」と記されたカップケーキが提供されました。また、ICANN設立時から関
わっていたメンバーとして、理事長のSteve Crocker氏と理事のVint Cerf氏、
およびPaul Mockapetris氏などが当時を語る一幕もありました。

   http://www.icann.org/en/news/press/kits/icann15

以降、このICANNブエノスアイレス会議での主なトピックを、まとめてお伝え
します。


■ オープニングセレモニー

毎回オープングセレモニーでは、開催地の特色を取り入れた発表などがあり
ますが、今回はラテンアメリカ地域でのインターネットの発展を振り返る形
で、主要なコミュニティメンバーのインタビューをまとめたビデオが上映さ
れました。

地域インターネットレジストリ(RIR)からは、ラテンアメリカ地域のRIRであ
るLACNICのCEOや理事が登場し、それ以外にもラテンアメリカ地域出身のAPNIC
スタッフなど、アドレス管理の分野でも馴染みのある顔ぶれの方々も登場し
ていました。

  http://buenosaires48.icann.org/en/video/lac-internet-adventure-18nov13-en

セレモニーではまた、ICANNと韓国情報保護振興院(Korea Information 
Security Agency; KISA)が、韓国におけるICANNに関する周知・促進の協力を
目的とした覚書(MoU)を締結したことが発表されました。KISAは、韓国におけ
るアドレス管理を行う国別インターネットレジストリ(NIR)でもあります。

  KISA:Korea Internet and Security Agency
  http://www.kisa.or.kr/eng/main.jsp


■ ブエノスアイレス会議での主な議論

今回のブエノスアイレス会議は、10月23日(水)に開始した新gTLDの委任から、
約1ヶ月後という時期に開催されたことになります。そのようなタイミングも
あり、実際に委任が進められていることが示されたためか、新gTLDに関する
議論は、名前衝突の問題(後述の「名前衝突」の項を参照)などの委任後の継
続課題は残されてはいるものの、これまでと比べると随分落ち着いてきた印
象です。

それよりも、米国家安全保障局(NSA)による監視活動が明るみに出たことや、
モンテビデオ声明(*1)の発表などを契機に、インターネットガバナンス分野
に議論の重点がシフトし、オープニングセレモニーでのSteve Crocker理事長
のスピーチでも、これからICANNとしての関わりを維持していく重要性が語ら
れていました。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20131008-01.html


■ 新gTLDの委任状況

次項で紹介する「名前衝突」の問題への対策については、引き続き大きな議
論があったものの、新gTLD全体としては前回の会議以降、新たなに指摘され
た大きな問題はありませんでした。ICANN側からも、政府諮問委員会(GAC)か
らの勧告に対する検討状況の進捗はなかったようです。

ブエノスアイレス会議時点で委任完了した件数は24件、本稿執筆時点(2013年
12月18日)では35件となっています。

その他、以下のトピックについて、ICANNスタッフから進捗報告がありまし
た。委任手続きについて不確定な部分は、申請手続き全般というよりも、よ
り個別具体的なケースに絞り込まれていっている印象です。

・GAC勧告「カテゴリー2セーフガード助言」(一般名詞のgTLDにも関わらず登
  録者を限定する運用への勧告)に該当する申請への対応
・申請者間で文字列が競合するドメイン名に対する、今後のオークション予定

  http://buenosaires48.icann.org/en/schedule/mon-new-gtld/presentation-new-gtld-18nov13-en.pdf

なお、新gTLDの進捗に関する最新の資料は以下に掲載されています。

  http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/webinars


■ 名前衝突

これは、新gTLDの導入に伴い1,000を超えるgTLDが新たに委任されることで、
組織内のサーバなどで、既存のTLDと衝突しないことを想定して利用している
名前と、新gTLDの名前が衝突する(name collision)(*2)ケースが生じてしま
うことがあるという問題です。

名前衝突が生じると、組織内ネットワークの機器などをホスト名で指定した
場合の通信先や、DNSなどによる名前解決の結果が、「本来意図していたもの
と異なる結果になり、通信したい機器に到達できない」「目的以外の機器と
通信をしてしまう」ことなどが懸念されています。

ICANNは、TLDレベルでは「.corp」「.home」の委任を停止することを、既に
ブエノスアイレス会議前に発表していましたが、さらなる対策として、セカ
ンドレベルでも登録を禁止する文字列のリストを発表しました。

  http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/announcement-2-17nov13-en

前回の会議に引き続き、ICANNの対応について参加者から多くの意見が寄せら
れましたが、今回の会議では、申請者以外にも影響が及ぶことから、その影
響と対策を幅広く周知するべきとの意見が中心でした。

ICANNはその後、2013年12月にIT技術者向けに回避策をまとめた報告書(*3)を
発表し、名前衝突に関する情報を集約したWebページ(*4)も提供しています。
本件については、JPNICでも専門家チームを立ち上げ、国内への周知を進めて
いく予定です。

(*2) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/name-collision.html
(*3) https://www.icann.org/en/about/staff/security/ssr/name-collision-mitigation-05dec13-en.pdf
(*4) http://www.icann.org/en/help/name-collision


■ WHOIS関連

gTLD WHOISの目的および収集・提供すべき情報の整理は、新gTLDの導入ほど
広く認知はされていないものの、ICANNが重視している検討事項として挙げら
れます。

今回の会議でも、gTLD WHOISのあり方に関する検討状況を紹介する、gTLDディ
レクトリサービス専門家作業部会(Expert Working Group: EWG)によるセッ
ションが開催されました。

前回の会議で発表された、Aggregated Registration Data Service (ARDS、
登録情報を集約する登録データサービス)モデルに加え、Federated 
Registration Data Service (FRDS、登録情報の参照を連携する)モデルも検
討案に追加されたことが紹介されました。

ARDSが全gTLDのデータを1ヶ所に集約するモデルであるのに対し、FRDSモデル
はそれぞれのTLDのデータ自身は各gTLDレジストリが保持し、それらの各gTLD
レジストリが運用するWHOISを、1ヶ所で網羅的に参照可能とするモデルであ
ることが特徴です。

これらの検討により、gTLD WHOISへの情報登録、参照方法にどのような影響
があるのか、一WHOISユーザーとしても着目していきたいところです。詳細に
ついては、EWGからの発表をご覧ください。

  https://buenosaires48.icann.org/en/schedule/wed-ewg


■ インターネットガバナンス

これは今回の会議で、最も議論が白熱したトピックでした。

参加者としては、ICANNがコミュニティへの相談もなく、いくつかの対応を進
めてきたことへの懸念が強く、「現状が見えないので理解したい」「ICANNコ
ミュニティの意見を取り入れた上で調整を進めてほしい」という、2点が主な
要望であったようです。

モンテビデオ声明(*5)の発表、2014年4月のブラジルでのミーティング(*6)、
ICANN事務総長兼CEOのFadi Chehade氏のオープニングスピーチで紹介された
「/1net(*7)」など、ダーバン会議以降のICANNの対応について、多くの質問
が寄せられました。

(*5) https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2013/20131008-01.html
(*6) Global Multistakeholder Meeting on the Future of Internet 
     Governance
     2014年4月23日(水)、24日(木)にブラジルでの開催が予定されている、
     インターネットガバナンスの原則について、マルチステークホルダー
     により議論するミーティング。
(*7) /1net (ワンネット)
     インターネットガバナンスに関する、今後のグローバルな協力体制の
     あり方を議論するためのWebサイトとメーリングリスト。
     http://1net.org/

Chehade氏が会議参加者の意見に耳を傾け、疑問に答える必要があると判断
し、急遽20日(水)にこのためのセッションを開催する対応を取ったことであ
る程度収束し、現在は/1netのメーリングリストで、ICANNコミュニティ以外
のメンバーも含めた活発な議論が展開されています。

また、当初はインターネットガバナンスにおいても、次項で紹介するICANNの
戦略計画を検討する専門家委員会の設立を予定していましたが、この分野は
ICANNに閉じずに幅広い検討をすることが適切との判断がなされ、ICANNとは
別の枠組みによる委員会が立ち上げられました。

12月13日(金)にイギリスのロンドンで初の会議が開催され、エストニア共和
国大統領のToomas Ilves氏をChair、Google社のVint Cerf氏がCo-Chairを務
めています。

  http://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-13dec13-en.htm


■ ICANNの5年戦略計画に関する専門家委員会の活動開始

ICANNの5年戦略計画については、ダーバン会議で専門家委員会を設立する分
野が発表されていましたが、以下、四つの委員会が活動を開始し、今回初め
て参加者を交えて議論するセッションが行われました。

  http://buenosaires48.icann.org/en/schedule/mon-strategy-intro

  ・Identifier Technology Innovation (識別子の技術革新)
    【Paul V. Mockapetris氏】
  ・ICANN's Role in the Internet Organizations' Ecosystem (インター
    ネット業界団体の中でのICANNの役割 )【Vinton G. Cerf氏】
  ・ICANN Multistakeholder Innovation (ICANNマルチステークホルダーモ
    デルの革新)【Beth Simone Noveck氏】
  ・Public Responsibility Framework (公共性への責任に対する枠組み)
    【Nii Quaynor氏】

今回の会議では、ICANNの戦略計画に関する四つの委員会のいずれも、今後の
方向性についての議論が中心であり、次回の会議以降の議論の進捗に注目し
たいところです。

  https://www.icann.org/en/news/announcements/announcement-2-17nov13-en.htm


■ 次回のICANN会議

次回のICANN会議は、2014年3月23日(日)~27日(木)に、シンガポールで開催
される予定です。

  http://singapore49.icann.org/en/


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1159 【臨時号】

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