=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1164【臨時号】2014.1.31 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1164 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JANOGは、日本国内のインターネットを支えるネットワークオペレーターが集 まる団体です。 そのJANOGで半年に一度開催されるオフラインの会合が、JANOG33ミーティン グとして、2014年1月下旬に大分県別府市で開催されました。本号では、この JANOG33ミーティングのレポートをお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JANOG33ミーティングへ参加して JPNIC 技術部 岡田雅之 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 全体概要 JANOG33ミーティング(*1)はヤフー株式会社をホストに、2014年1月23日~24 日の2日間、大分県別府市別府国際会議場ビーコンプラザにて開催されまし た。 (*1) JANOG33ミーティングサイト http://www.janog.gr.jp/meeting/janog33/ JANOGとは、JApan Network Operator's Groupを意味し、日本語では、「日本 ネットワーク・オペレーターズ・グループ」と呼ばれています。JANOGは、イ ンターネットにおける技術事項とそれに関係するオペレーションに関する事 項を議論、検討すること等を目的としたユーザーのグループです。 通常はメーリングリスト上で議論が行われていますが、年に2回ほど、直接顔 を合わせて議論、情報共有を行うためのJANOGミーティングが開催されていま す。 今回のJANOG33ミーティングは、33回目に開催されたJANOGミーティングとな ります。 メイン会場となった、ビーコンプラザのフィルハーモニアホールは馬蹄型の 大きなホールです。参加者数は420名と、地方開催であることを考慮してもた くさんの参加者で活発に議論、発表がなされておりました。また、会場ホワ イエも相当に余裕のあるスペースのはずではありましたが、たくさんの展示 が行われており、参加者数が多いこともあり、季節は真冬にもかかわらず、 熱気を感じるミーティングとなっておりました。 今回のJANOGミーティングにおいても、実験的な試みが行われており、複数の 特色がありました。筆者は、今回のJANOGではプログラム委員長を務めました が、一参加者の視点から見ても、全体コンセプトである「JANOGで初体験しよ う」といった方針の下、今までのJANOGでは行われていなかった同時に二つの プログラムを平行に実施するパラレルセッションの試みや、スタッフ募集の 説明会を行うなど、新規性のある試みが複数試行されておりました。 また、こちらについては恒例となりつつありますが、JANOG本会議前日には Day0イベントとして、JANOGチュートリアルやJANOGの夕べが開催されており、 JANOGならではのルーティングに関するお話や、九州の地域色を加味したオペ レータたちの集いも開催され、実際には2日と半日の間盛大な会合が催されて おりました。 ■ JANOG33プログラムの紹介 JANOG33のプログラムを簡単に紹介しますと、ネットワーク運用に関する技術 的な話題として、大規模ネットワークにおけるトラフィック制御に関する発 表や、仮想化されたネットワークの活用や管理に関する発表が複数ありまし た。その他にも、最近世界各国で議論が始まっているBest Current Operational Practice (BCOP)に関する内容や、公開で議論するには少々刺激 の強いお話など、大変興味深い発表が提供されておりました。 特色のある発表としては、今までにあまり話されていなかった、地域の事業 者が今後どのように特色を打ち出していくかといった議論・相談をメインと したものがありました。詳細につきましては、JANOG33ミーティング プログ ラムをご参照ください。 http://www.janog.gr.jp/meeting/janog33/program/index.html JANOG33のプログラムをメールマガジンという形で紹介するとすると当然すべ てのプログラムに触れることは難しく、どのプログラムを紹介しようかと、 正直とても悩みました。どのプログラムも当初から関係していることから思 いが募り、結果としてなかなか頭の中でまとめることができませんでした。 とは言え、何も紹介しないということもできません。ここはプログラム募集 のコンセプト「ドキドキ」を軸に、私自身どのプログラムのドキドキをお伝 えすればよいのだろうと考え、以下に、一つのプログラムについて触れたい と思います。 ■ Experiences with BGP in large Scale Data Centersについて 複数のドキドキがありましたが、マイクロソフト社の3名の方が発表された 「Experiences with BGP in large Scale Data Centers」の発表に聴講者と して参加して感じたことを取り上げたいと思います。このプログラムをかい つまんで説明すると、一般的なインターネットに関係する経路制御ではAS(*2) 間の経路情報のやり取りにはBGPを使い、AS内の経路情報はOSPFやISISなどの 経路制御プロトコルを用います。ところが、本プログラムの発表内容はBGPを AS"内部"の経路制御にSDNを活用しつつ取り入れたところ、とてもうまく動い ている、といった内容でした。 この話は経路運用者であれば、それだけでドキドキするお話ではあるのです が、私が一番ドキドキした場面は、BGPを使う以上、制約として経路情報の単 位を管理するためにAS番号をたくさん消費してしまう、といった話があった 時です。このような用途で組織内で使用可能な2オクテットAS番号には、プラ イベートAS番号と呼ばれるAS番号の、64512~65534の1,022個しかありませ ん。大規模な組織では直感的には不足しそうな気になります。 そこで、昨年更新された、プライベートAS番号を追加で規定したRFC6996(*3) を、聴講の合間にPCで参照し、その著者に目をやると"Microsoft Corporation"となっているではありませんか。なるほど、マイクロソフト社 は社内の事情もあり、プライベートAS番号の拡張が必要なのだと、一つ一つ の要素がつながり、私は、よい意味で衝撃を受けました。もちろん、マイク ロソフト社の方は社内事情だけを考慮してIETFへ提案したわけではなく、他 のプライベート用途も考慮して、インターネットに必要なことだと考え、執 筆し、RFC化されたのではと思います。 (*2) AS Number http://www.iana.org/assignments/as-numbers/as-numbers.xhtml (*3) RFC6996 http://tools.ietf.org/search/rfc6996 一つだけ筆者の感覚でのドキドキポイントをご紹介しましたが、その他にも たくさんのドキドキがプログラムには詰まっていました。ぜひともプログラ ムをご参照ください。なお、プログラムのUstreamアーカイブが期間限定(20 14年2月2日(日)23:59JSTまで)で公開されています。あわせてご参照くださ い。 ■ 次回のJANOGミーティング 次回のJANOG34は7月の17日~18日の2日間、四国の株式会社STNetホストにて 香川県にて開催されます。JANOG33が終了した直後ではありますが、私は JANOG33が業務に有益であったため、可能であれば継続的に参加したいと考え ております。多くのみなさまと、香川でお会いできることを楽しみにしてい ます。 ■ おわりに 2013年7月から開始したJANOG33の開催運営は一段落しておりますが、準備活 動を通じた関係者との関わりや、プログラムの聴講などあらためてJANOGとイ ンターネットの素晴らしさを体感いたしました。使い古された言い方ですが、 次の言葉で本稿を終了したいと思います。 「いやー、JANOGって本当にいいもんですね」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1164/18f39b39af40c498f170a1231fddbda5┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1164/0d2bef977f956e041208b5a2c9dd0c02┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.1164 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! 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