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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1183【臨時号】2014.4.1 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1183 です
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2014年3月上旬にイギリスのロンドンで開催された、第89回IETFミーティング
のレポートを、連載にてお届けします。

昨日発行の「全体会議報告」に続き、本日は「IPv6関連WG報告」をお送りし
ます。IETFでは、会場ネットワークもIPv6での構築が主流となっているよう
で、その様子が興味深いレポートとなっています。なお、全体報告のバック
ナンバーは、以下のURLからご覧ください。

□第89回IETF報告 特集
  ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1182)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1182.html

以後、セキュリティ関連WG、DNS関連WGと、順次ご報告していく予定です。

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◆ 第89回IETF報告 [第2弾]  IPv6関連WG報告
   ~6man、v6ops、softwire WG~
                                               富士通株式会社 松平直樹
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第89回IETFにおけるIPv6関連の話題として、会場ネットワークの状況を報告
します。また、6man WG、v6ops WG、softwire WGの概要についても報告いた
します。

◆IETF会場ネットワークでのIPv4アドレス枯渇

IETF会議では古くからIETF会議会場において、インターネットアクセス環境
が提供されています。前回の第88回IETF会議から、IPv4アドレスが割り当て
られない事態を盛んに経験するようになりました。

IETFでは、基本的にグローバルアドレスが供給されます。アクセスができな
いサイトに気づいて調べると、IPv6アドレスはもちろん付与されますが、
IPv4は、自己割り当てアドレス、すなわちリンクローカルアドレスしか付与
されていません。事実上のIPv6 onlyな状態と表現してよいと思います。こ
れは、少し早く訪れた未来と言えるでしょう。

実際にどのような体感になるかを紹介しましょう。IETF会議関係の資料への
アクセスは問題なくできます。たまに、Facebookをのぞいて見ることも普通
にできます。会議中に何か調べたくなり、Googleで検索すると普通に結果が
返ります。Wikipediaで詳細を読むこともできます。しかし、他の検索結果に
アクセスしようとしたときに、タイムアウトになります。おかしいと思って
調べてみると、IPv4アドレスが割り当てられていないことに気づきます。

調べると、IPv4アドレスの総量は、1人当たり2個無いほどでした。今時の参
加者は、PCとスマホの双方を持っている人が少なくありませんので、あっと
いう間に、IPv4アドレスが無くなってしまうようです。特に、スマホは常時
電源が入っていますので、IPv4アドレスを掴みっぱなしになるようです。こ
のため、お行儀よく、アドレスを解放するような実装だとアクセスできない
事象が起こりやすいようです。

実際にこのような環境で過ごしてみると、IPv4でしか提供されないサービス
にはアクセスできませんので、存在しないのと同然です。接続環境によって、
アクセスできたりできなかったりという事態が起これば、確実につながる、
すなわち、IPv6も提供されるサービスが利用者から選択されることは間違い
ないと思いました。

また、VPNが利用できないのは、強いストレスになりました。業務に支障が出
かねないわけです。緊急案件の対応中に、IPv4アドレス枯渇に偶然遭遇する
ということも、想像したくありませんが、起こり得る状況になったと考える
べきでしょう。リスク管理として考えておくべきテーマになるかもしれません。

IPv4アドレス枯渇とはどのようなものかは実体験が伴わないと、なかなかピ
ンと来ないと思います。疑似的にこのような環境を作ってみることも可能で
しょう。案外、IPv6だけでこれだけできるんだと驚かれるかもしれません。

私は、このような経験を通じて、筆者が提案しているSA46Tを用いれば、その
場のアクセス環境がIPv6 onlyであっても、IPv4グローバルアドレスを提供す
るサービスや、NAT経由でIPv4プライベートアドレスを供給するサービスなど
を提供できるなど、さまざまなことを考えさせられました。


◆無線LAN環境での隣接探索プロトコルの問題についての議論(6man, v6ops)

今回、IPv6基本仕様のメンテナンスを行う6man WGおよびIPv6運用を扱う
v6ops WGにて、この無線LAN環境での隣接探索プロトコルの問題がテーマと
して取り上げられました。

隣接探索プロトコル(Neighbour Discovery Protocol)は、アドレス解決やア
ドレス自動生成などを実現するもので、IPv6の特徴です。アドレス自動生成
はIPv6の特徴ですし、アドレス解決も、IPv4ではリンク種別ごとに定義され
る非IPプロトコルであったものを、IPプロトコルとして汎用化したものです。
このプロトコルの初版はRFC1970として1996年に発行されましたが、この当時、
無線LANは存在しませんでした。私の記憶では、無線LANが初めて用いられた
のは1999年11月のIETF会議でした。RFC発行の3年後です。

さて、このような無線LAN環境での問題が初めて指摘されたのは、2011年に開
催された、IAB Smart Object Workshopだそうです。この報告は、RFC6574に
まとめられ2012年に発行されています。具体的には、バッテリーの消費を抑
えるため、"sleep"する、小型で、低価格かつバッテリーだけで動作するノー
ドの存在です。

隣接探索プロトコルではマルチキャストを多用します。例えば、ルータがRA
をマルチキャストで送信すれば、その配下のホストはこのメッセージのみで
ルータのアドレスを学習できます。IPアドレスとMACアドレスの対応表である
ネイバーキャッシュ(IPv4ではARPテーブル)も、他のノード間のマルチキャス
トでやり取りされる通信を見て学習します。このような、マルチキャストを
用いるメリットは、パケット数の削減です。マルチキャストにより、学習す
べきデータを共有し、それにより、学習の必要性そのものを減らし、問い合
わせのパケット送信を削減するのです。

ところが、IETFのホテルで提供されたWi-Fiによるアクセス環境での測定結果
では、IPv6パケットの内、75%がマルチキャストで、その内、mcast NSが30%
で、さらにその内訳は、ホストからルータへのNSが39%、ルータからホストが
30%とのことです。マルチキャストパケットの削減効果も、学習効果もあまり
得られていないと評価して良さそうです。

対策としては、マルチキャストをユニキャストに置き換える、送信間隔を長
くする等が話し合われました。隣接探索プロトコルは汎用化を目指していま
すが、リンクの特性に最適化するという方向性の可能性もあり得ると感じま
した。


◆6man WG (IPv6 Maintenance WG)

隣接探索プロトコル以外に、IPv6アドレスのプライバシーやセキュリティに
ついての議論が行われました。


◆v6ops WG (IPv6 Operations)

フラグメントの廃棄が話題になっていますが、その理由についての議論は関
心を持たれているものの、ドラフトの著者との連絡が取れなくなっている
そうです。Packet Too Bigのフィルター等、運用サイドからの情報提供が望
まれる状況にあるようです。


◆softwire WG (IPv6 Operations)

前回会議ではunified CPEや、DHCPオプションの共通化がホットな議論でした
が、今回は一転して、LW4o6、MAP-T、4rdのWG Last Callについて議論が行わ
れました。それぞれ、最終的な段階に進んでいるようです。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1183 【臨時号】

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