=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1206【臨時号】2014.6.26 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1206 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014年3月下旬にシンガポールで開催されたICANN会議を受けて、第39回ICANN 報告会を2014年5月29日に開催いたしましたので、本号ではそのレポートをお 届けいたします。今週の6月22日からは、既にこの次の会合となる第50回ICANN 会議がロンドンで始まっていますが、ICANN関連の現状把握にお役立ていただ ければ幸いです。 今回の報告会では、前回に続いてICANNの担当者を招いて日本のユーザーとの 意見交換を実施すると同時に、パネルディスカッションを設けてインターネッ トガバナンスに関する議論を行いました。 なお、ICANNシンガポール会議自体の報告については、vol.1194および vol.1195で発行しておりますので、そちらも併せてご覧ください。 □第49回ICANNシンガポール会議報告 ○[前編] 全体概要報告 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1194.html ○[後編] インターネットガバナンス関連の話題 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1195.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第39回ICANN報告会レポート JPNIC インターネット推進部 山崎信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014年5月29日(木)、東京・六本木にあるシスコシステムズ合同会社 東京本 社会議室にて、JPNICと一般財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催で、 第39回ICANN報告会を開催しました。 これは2014年3月23日(日)~27日(木)までの5日間にわたり、シンガポールに おいて開催された、第49回ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)会議の内容をご報告するものです。 また、ICANNのアジア拠点であるシンガポールから来日中の、Kelvin Wong氏 にご登壇いただき、ICANNスタッフと日本のユーザーが直接意見を交換する、 貴重な機会ともなりました。 ■ プログラム(話者敬称略) 1. ICANNシンガポール会議概要報告 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) 奥谷 泉 2. ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 高松 百合 3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 山口 修治 4. TLD名前衝突(Name Collision)などに関する動向 一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) 是枝 祐 5. ICANN At-Large Structureについて インターネットソサエティ日本支部(ISOC-JP) 藤崎 智宏 6. ICANN in Asia Pacific and Japan The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN) Kelvin Wong 7. パネルディスカッション 本稿では、このICANN報告会でレポートされた各トピックを、「全体概要」 「ccNSO関連報告」「GAC報告」「その他の報告」「ICANNによる発表」「イン ターネットガバナンスに関するパネルディスカッション」の六つのカテゴリー に分けて、主なものを取り上げてご紹介します。 ■ 全体概要 JPNICの奥谷より、ICANNの今後の方針・戦略、新gTLDの進捗、gTLD WHOISの あり方に関する整理・検討について主に報告しました。内容につきましては、 vol.1194をご覧ください。 ■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告 ccNSO関連報告では、JPRSの高松氏から、 ・IANA機能の監督機能移管に関する議論に時間が多く割かれ、ccNSO評議会 としてコメントを提出したこと ・インシデント発生時の対応として、ccTLD間での連携の検討 ・各国におけるドメイン名悪用への対策 などのご紹介をいただきました。 ■ 政府諮問委員会(GAC)報告 GAC報告では、総務省の山口氏より、 (1) 新gTLD関連のGAC勧告の状況 (2) ICANNを構成する組織および周辺の組織との交流 (3) IANA機能を監督する役割の移管について (4)「今後のインターネットガバナンスに関するグローバルマルチステーク ホルダー会合(NETmundial)」 についてご報告いただきました。 (1)のGAC勧告については、セーフガード勧告(カテゴリー1: 消費者保護/参入 規制などへの配慮が必要なもの、カテゴリー2: 排他的登録)、.wine/.vin、 およびIGO(政府間機関)/赤十字・赤新月の名称保護についてが、主な継続課 題となります。そのうち、.wine/.vinは、原産地の地理的表示の保護を必要 とするという立場の欧州各国と、必要ないとする米国・豪州などが対立して おり、両者の溝は埋まりませんでした。本件については、シンガポール会合 期間中に、新gTLDプログラム委員会の決議が公表されましたが、これがICANN の定款で定められている「理事会決議前のGACによるコメント」の機会が与え られていないスケジュールであったため、欧州各国からの反発があり、GAC勧 告には「ICANN定款上の違反あり」と記載され、当該関係者の合意に向けた協 議の促進も盛り込まれました。 (3)のIANA機能を監督する役割を、米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)よりマルチス テークホルダーコミュニティに移管することについては、基本的にGACは賛成 ではあるものの、各論では異論もあったとのことです。また、米国議会の動 きとして、DOTCOM Act(*1)という、NTIAが管理権限を手放すことに関して枷 をはめる法案(*2)についても触れられていました。 (*1) H.R. 4342, Domain Openness Through Continued Oversight Matters Act of 2014 http://docs.house.gov/meetings/IF/IF00/20140507/102216/BILLS-1134342ih.pdf (*2) 具体的には、会計検査院(Government Accountability Office: GAO)院 長がNTIAの役割に関する報告書を議会に提出するまで、NTIAがDNSの管 理権限を手放すことを差し止める、という内容となっています。2014年 5月8日に下院エネルギー・商業委員会で可決されました。 ■ その他の報告 インターネットソサエティ日本支部(ISOC-JP)の藤崎氏からは、ICANN At-Largeについてご報告いただきました。At-Largeとはどういうものか、お よび最近の状況、特に次回ロンドン会議で開催されるAt-Largeサミットにつ いてご報告いただきました。 その他、JPNICの是枝から「TLD名前衝突に関するJPNICにおける検討につい て」もご報告しましたが、vol.1202の内容と重複しますので、ここでは割愛 します。 ○名前衝突(Name Collision)問題の周知と対策実施のお願い ~JPNICにおける検討と報告書の公開について~ (vol.1202) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1202.html ■ ICANNによる発表 シンガポールにあるICANNアジア拠点のWong氏より、アジア太平洋地域におけ るICANNの取り組みについて、ご報告いただきました。第38回ICANN報告会で 配布した、ICANNへの質問・ご要望に関するアンケート(JPNICおよびIAjapan が配布しているアンケートとは別)での意見を元に、オンラインセミナーが毎 回違う内容で開催されることになったとのことです。2014年6月および8月は 新gTLDレジストリ向けの内容となります。 ■ インターネットガバナンスに関するパネルディスカッション パネルディスカッションには、さまざまな立場を代表する方々にパネリスト として加わっていただき、「IANA監督権限の米国政府からの移管」および 「NETmundial(*3)」について議論しました。 パネリスト(敬称略): 前村 昌紀(JPNIC)(モデレーター) Jacob Williams(株式会社インターリンク) Kelvin Wong(ICANN) 奥谷 泉(JPNIC) 加藤 朗(WIDEプロジェクト) 橘 俊男(ISOC-JP) Adam Peake(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター) 堀田 博文(JPRS) 山口 修治(総務省) (*3) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/NETmundial.html それぞれのアジェンダについてJPNICより説明した後、モデレーターより各パ ネリストに質問を投げかける形で、ディスカッションを開始しました。パネ リストからの主なコメントは、次の通りです。 ○IANA監督権限の米国政府からの移管 a. 米国政府(NTIA)は必ず監督権限を移管するとは限らず、適切なマルチス テークホルダーによる移管の受け皿ができた時に限って移管することにな るだろう b. NTIAはアカウンタビリティが保証されれば移管するとしているが、アカウ ンタビリティの定義がなく、コミュニティに対するアカウンタビリティを 誰が判断するのか c. 日本のコミュニティがこの件について議論して、意見を発していく必要が ある ○NETmundial d. NETmundial終了時に成果文書を残せたのは大きく、早速後に続く国連のイ ンターネットガバナンス関連会議でも議論は分かれたものの、この文書を 参照しようという動きが見られた。成果文書に正統性はないかもしれない が、多く参照されればデファクト標準的なものとなるだろう e. IGFを改善してそれを中心として皆で(インターネットガバナンスの課題を) 議論していくということが、コンセンサスとなったことはよかった f. 政府とそれ以外のステークホルダーが、同じ土俵で議論したことがよかっ た 最後に、JPNICで2014年6月18日(水)に開催の「インターネットガバナンスを 検討する会」の案内を行い、報告会を終了しました。 「インターネットガバナンスを検討する会」開催のご案内 ~米国政府はルートを捨てるのか? IANAの監督が政府からコミュニティへ~ https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140530-01.html なお、この「インターネットガバナンスを検討する会」については、Webサイ トやメーリングリストなどの準備を現在進めております。準備が整いました ら、後日あらためて皆さまにご案内する予定です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1206/89708dd6cb804fe3a64679c8db652927┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1206/0a5edf45caeaf7c28d13700c4f34e2cd┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.1206 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2014 Japan Network Information Center