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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1251【臨時号】2014.11.18 ◆
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◆ News & Views vol.1251 です
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本号から2号にわたり、2014年10月12日(日)から16日(木)にかけて米国で開催
された、第51回ICANNロサンゼルス会議の模様をご報告します。

今回の会議では、IANAの監督権限移管に関する議論に付随して、ICANN自身の
説明責任に関する議論が大きく盛り上がりました。また、新gTLDに関する議
論も、引き続き行われています。

本号は前編として、IANAの監督権限移管およびICANNの説明責任に関する話題
をご紹介します。後編となる次号では、新gTLDの話題やgTLD WHOISに関する
議論の動向をご報告します。

なお、今週より開催されているInternet Week 2014の同時開催イベントとし
て、第41回ICANN報告会を11月19日(水)16:15より、富士ソフト アキバプラザ
にて開催いたします。お席にはまだ少し余裕がありますので、ご興味をお持
ちになった方は、直接会場にお越しください。

  ・第41回ICANN報告会
    https://internetweek.jp/program/j3/

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◆ 第51回ICANNロサンゼルス会議報告 [前編]
   IANAの監督権限移管およびICANNの説明責任に関する話題
                                     JPNIC インターネット推進部 奥谷泉
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第51回ICANNロサンゼルス会議は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催
されました。

今回の会場は、ICANN設立までの間、IANA (Internet Assigned Numbers
Authority)に関わったJon Postel氏の母校である、カリフォルニア大学ロサ
ンゼルス校(UCLA)から徒歩圏にあります。また、現在のICANN理事長である
Steve Crocker氏と、「インターネットの父」の1人とされるVint Cerf氏の出
身地でもあるということで、Crocker氏が母校の高校を訪問したビデオがオー
プニングセレモニーで紹介されるなど、「インターネットが生まれた地」を
意識した演出が目立ちました。

このように、「インターネットが生まれた地」で開催されたロサンゼルス会
議で、今回最も多く聞かれたキーワードは「説明責任(Accountability)」で
した。本稿では、ロサンゼルス会議報告の前編として、前回のロンドン会議
報告でもお伝えしたIANA機能の監督権限移管に関する議論のアップデートと、
本会議で大きく盛り上がったICANNの説明責任に関する議論の動向をご報告し
ます。新gTLDプログラムに関するアップデートや、gTLD WHOISに関する議論
の動向については、後編となる次号でお届けする予定です。


■ オープニングセッション

今回の会議では、開催地の政府関係者として、米国商務長官であるPenny
Pritzker氏がスピーチを行いました。Pritzker氏は、IANA監督権限移管の提
案という大きな取り組みに向けて、ICANNとコミュニティが一丸となって協力
し、検討を進めていく重要性を強調していました。米国政府の省のトップに
立つ長官が、ICANN会議に参加し、スピーチを行うことは初めてのことです。
米国政府の姿勢として新しい発表はありませんでしたが、商務長官自らが、
ICANN会議に出向いてスピーチを行ったことで、IANA機能を取り巻くこの一連
を動きを重視し、コミットしていることが見て取れました。


■ ドメイン名におけるIANA機能の監督権限移管提案に関する進捗

◇ おさらい

IANA機能の監督権限移管に向けた提案の策定にあたり、IANA Stewardship
Transition Coordination Group (ICG)から発表された意見募集への対応とし
ては、IANA資源を三つに分けて、それぞれのポリシー策定に責任を持ってい
るコミュニティが、提案を策定することになりました。すなわち、「番号資
源」は地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)
に、「プロトコルパラメーター」はIETF (Internet Engineering Task
Force)に、「ドメイン名」はICANNの各コミュニティに委ねられ、各コミュニ
ティが2015年1月に提出を行うことが求められています。

ICGがこれらの各機能における提案を一つに取りまとめ、意見募集を経た後、
2015年6月の米国商務省情報通信局(National Telecommunications and
Information Administration; NTIA)への提出をめざしています。

◇ 今回の議論

IANA機能の監督権限に関する議論を進めるに当たって、ICANNコミュニティで
は、ICANN自身の説明責任機構を整備する必要があるとして、IANA機能の監督
権限とICANNの説明責任機構の両者を、関連付ける論調が根強い状況です。前
回の第50回ICANNロンドン会議では、ICANNの説明責任に関する検討の進め方
にコミュニティから懸念が示され、大きな議論がありました(*1)。今回は、
ICANN側が本件に関してコミュニティに大きく歩み寄る姿勢を見せ、コミュニ
ティが懸念しているICANNの説明責任に関する課題について、ICANNコミュニ
ティが主体となり検討できる枠組みを提示したため、多くの参加者がこれを
受け入れました。これによって、IANA機能の監督権限移管に向けた議論も、
前向きな姿勢で進めるスタートラインに立ったと言えそうです。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1217.html

また、ICANN自身が2015年1月までにドメイン名の監督権限移管に関する提案
を作る必要があることから、今回のロサンゼルス会議では、ドメイン名に関
する移管提案を検討するワーキンググループ「ドメイン名に関連するIANA監
督権限移管提案立案のためのクロスコミュニティワーキンググループ(Cross
Community Working Group to Develop an IANA Stewardship Transition
Proposal on Naming Related Functions)」を、各支持組織(SO)や諮問委員会
(AC)の代表者により組成して、対面会議が実施されました。

ドメイン名に関する提案を2015年1月までに策定する上で、ロサンゼルス会議
がICANNコミュニティとして対面で議論を行う最後のタイミングでしたので、
どの程度進捗があるのか、個人的には着目していました。しかし、結論とし
ては、全体として議論した以下のセッションのいずれにおいても、進め方の
確認や意向表明が目立ち、具体的な提案内容の方向性が見えてくるような議
論は確認できませんでした。

・Meeting of the CWG to Develop an IANA Stewardship Transition
  Proposal on Naming Related Functions
  http://la51.icann.org/en/schedule/mon-iana-stewardship-naming

・Community Discussion with the IANA Stewardship Coordination Group
  (ICG)
  http://la51.icann.org/en/schedule/thu-icg-community

前述した通り、ドメイン名以外の二つの資源に関しては、IPアドレスについ
ては各RIRのフォーラムで、プロトコルパラメータについてはIETFで、それぞ
れ内容の議論が進んでいる状況ですので、ICANNにおけるドメイン名に関する
提案の検討は、大きく出遅れている状況です。しかし、CWGのメンバーから
は、上記のセッションで、2015年1月の期限に間に合わせることに意欲的な意
見が表明されていましたので、今後の検討の進展に期待したいと思います。

◇ 参考情報:

IANA機能の概要、IANA機能に関する契約、IANA機能の歴史等、IANA機能の現
状に関する解説を確認したい方は、ロサンゼルス会議のセッションでの、IANA
機能を紹介した発表資料や、セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC;
Security and Stability AdvisoryCommittee)レポートをご参照ください。

・IANA Department - Who, What, Why?
  http://la51.icann.org/en/schedule/mon-iana

・SSAC Report
  [SAC068]: SSAC Report on the IANA Functions Contract (10 October 2014)
  [SAC067]: Overview and History of the IANA Functions (15 August 2014)


■ ICANNの説明責任に関する議論

また、ICANNの説明責任に関する課題のうち、NTIAからのIANA機能の監督権限
移管による影響を受けるものについては、その対応案をIANA機能の監督権限
移管に関する提案と同期して、NTIAに提出することが求められています。

ICANNの説明責任機構に関する議論については、IANA機能の監督権限移管に関
する検討との関係性が、ICANNコミュニティも納得のいく形で整理されたこと
が、今回の大きな成果です。

まず、本件に関する検討を行う「ICANNの説明責任強化に関するクロスコミュ
ニティワーキンググループ(Cross Community Working Group on Enhancing
ICANN Accountability)(*2)」を設立することにし、ロサンゼルス会議の会期
中にドラフティングチームを組成して、チャーターの起草作業が進められま
した。筆者はアドレス支持組織(ASO; Address Supporting Organization)の
代表として、このドラフティングチームに参加しました。現在、意見募集中
のチャーターでは、IANA機能の監督権限との関連性をもとに、議題を二つの
「Work Stream」に分けることになりました。

・Work Stream 1 : IANA機能の監督権限移管までに解決すべき課題
・Work Stream 2 : IANA機能の監督権限移管後も、長期的に解決すべき課題

Work Streamを二つに分けたことで、IANA提案の提出時期が長期的課題の解決
に影響されなくなり、「長期的なICANNの説明責任に関する課題への対応が明
らかになるまで、IANA提案が提出できない」という状態を避けることができ
そうです。

(*2) Cross Community Working Group on Enhancing ICANN Accountability
     https://community.icann.org/display/acctcrosscomm/Cross+Community+Working+Group+Home

                  ◇              ◇              ◇

ICANNロサンゼルス会議報告の後編となる次号では、新gTLDプログラムに関す
る動向と、ドメイン名の利用者にも直接関係してくる話題である、gTLD WHOIS
の見直しに関する動向を中心にご報告します。


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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