=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1426【臨時号】2016.8.23 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1426 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2016年7月17日(日)から22日(金)にかけて、ドイツ・ベルリンにて第96回IETF が開催されました。このミーティングのレポートを、本号より連載でお届け します。 連載の第1弾となる本号では、全体会議の模様をご紹介します。次号以降で は、IPv6、DNS、DDoS対策、セキュリティの各トピックについて、順次レポー トをお届けする予定です。 また、この第96回IETFのオンサイトでの報告会も、2016年9月12日(月)に開催 いたします。9月8日(木)の17:00まで参加申し込みを受け付けていますので、 こちらにもぜひ足をお運びください。 IETF報告会(96thベルリン)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2016/20160818-01.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第96回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告 JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第96回IETFミーティングは、ドイツの首都ベルリンのインターコンチネンタ ル・ベルリンで行われました。この会場は3年前の第87回IETFミーティングと 同じです。 ■ 参加人数の近況 ここ2年ほどの参加登録者の数は1,000名から1,350名くらいで推移していま す。今回は1,348名と多かったのですが、日本からの参加者数は2年前と比べ るとやや少ない状況にあります。 - 最近2年間の参加登録者数 第91回 1,080名(ホノルル) 第92回 1,176名(ダラス) 第93回 1,358名(プラハ) 第94回 1,198名(横浜) 第95回 1,002名(ブエノスアイレス) 第96回 1,348名(ベルリン) - 日本からの参加登録者数 第91回 76名(ホノルル) 第92回 65名(ダラス) 第93回 60名(プラハ) 第94回 345名(横浜) 第95回 41名(ブエノスアイレス) 第96回 52名(ベルリン) この推移は、横浜開催は国内出張として参加しやすかったために人数が多く、 一方、ブエノスアイレス開催は旅費や旅程全体のとして時間がかかってしま うので日本からの参加者が少なかったのかもしれません。しかし、南米より は日本から行きやすいベルリン開催でも、52名にとどまってしまったのはな ぜなのでしょうか。IETFミーティングに参加したことのある国内の方が集ま るIETF報告会が、2016年9月12日(月)に予定されていますので、その場で情報 交換してみたいと思います。 IETF報告会(96thベルリン)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2016/20160818-01.html ■ IETFハッカソン IETFミーティングの直前の土曜日と日曜日に、IETFハッカソン(IETF Hackathon)が開催されました。IETFハッカソンとは、IETFで策定されたプロ トコルについて、開発者同士の議論や協調を促進すると共に、ユーティリティ 開発やアイデア出し、サンプルコードの作成などが行われるイベントです。 今回は5回目で、150名以上が参加し、20以上の「プロジェクト」と呼ばれる 一連の作業が進められました。 IETFハッカソンでは、はじめに、提案されたプロジェクトを説明するプレゼ ンテーションがあります。参加者はあらかじめ、興味とスキルにあったプロ ジェクトに参加して、目標と達成方法を議論してから作業に入ります。 作業を行ったチームに対して、さまざまな賞が贈られました。おのおののチー ムにどのような賞が贈られたのかなどの詳細は報告スライドを、各チームの 資料はIETF 96のハッカソンページをご覧いただければと思います。 (IETF 96ハッカソンのチーム) ○ILA IPv6 Identifier Locator Addressing (ILA)を実装し相互接続実験を行っ たチーム。draft-herbert-nvo3-ila-02の実装を行いました。 ○PCE-based Central Control ラベルDBの実装を行い、Path Computation Element Communication Protocol (PCEP)の上でTLSを動作させました。 ○I2RS I2RS (Interface to Routing System)のためのYANGのデータモデルに関す る実装とガイド作りに取り組みました。 ○YANG / NETCONF / RESTCONF YANGモデルのカタログとレジストリのツールを作りました。 ○TLS 1.3 NSS、Apache、Firefox、ProtoTLS、MiTLS、BoringSSLなどで、TLS 1.3の 実装の相互接続テストを行いました。 ○BGP-Flowspec / BGP-LS draft-gredler-idr-bgp-ls-segment-routing-ext-02のセグメント・ルー ティングの実装を行いました。 ○IoT Bootstrapping for Noobs https://tools.ietf.org/html/draft-aura-eap-noob-01 の nimble out-of-band 認証の実装が行われました。 ○DNS / DNSSEC / DPRIVE / DANE DNSSECを応用する技術について、さまざまなオープンソースのプログラム を持ち寄った相互運用テストが行われました。 □IETFハッカソンの報告スライド https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-hackathon-23.pdf □IETF 96ハッカソンページ https://www.ietf.org/registration/MeetingWiki/wiki/96hackathon ■ アプライド・ネットワーキング・リサーチワークショップ 技術研究の観点で活動しているIRTF (Internet Research Task Force)および 学会のACM (Association for Computing Machinery)とISOCの共催で、アプラ イド・ネットワーキング・リサーチワークショップ(Applied Networking Research Workshop - ANRW)が開かれました。今回はIETF 96ミーティング前 日である2016年7月16日(土)の開催です。研究を公募する国際会議と同じ形式 で、事前に論文とポスターが募集され、査読を通じて採否が決定されます。 テーマはMultipath、SDN、Routing and Peering、Transport Quality and "Happy Eyeballs"、Measurement、Internet Mediaと多岐にわたりました。論 文(フルペーパー)は17応募され、うち9が採録されました。またショートペー パーとポスターは合わせると、応募が13で、うち採録が9でした。ワーク ショップのWebページでは、論文の他にプレゼンテーションの動画も見ること ができます。 □Applied Networking Research Workshop 2016 https://irtf.org/anrw/2016/ ■ IETF 96全体会議からのトピック IETF 96ミーティングでは、全体会議(プレナリー)は7月21日(水)に行われま した。トピックとして3点報告したいと思います。 ○プロトコルと技術のシンプルさ IETFで策定されたプロトコルを実装するにあたって、複雑さが増してきて いることを指摘したプレゼンテーションです。類似した目的のために技術 としての選択肢がたくさんあり、このことで実装の相互運用性を確保する ことが難しくなってきています。例えば、VPNやカプセル化のための、IP in IPやIPsec、MPLSやVXLANといったプロトコルがあるが故に、異なるプ ロトコルを実装した製品と相互接続できないケースが出てきていると指摘 しています。 今日のインターネットは、マルチベンダーもしくはマルチサービスプロバ イダーが相互に接続し、運用することによって成り立っていますので、標 準化はとても重要です。その標準化活動においては、標準化された技術が 実装されて製品に組み込まれていくことを踏まえて、選択肢を適切な数に とどめておくことも重要であるという指摘でした。 発表者のRoss Callon氏は、第1回IETFミーティングから参加しており、30 年間にわたるIETFでの貢献に対して、会場からはスタンディングオベー ションが送られていました。 □Keep it Simple, The Cost of (too many) Standards, Ross Callon https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-ietf-plenary-11.pdf ○IETF基金 IETFの活動を長期的にサポートしていくための、基金が設立されました。 ミーティングに参加するための金銭的な補助をはじめ、IETFの活動におけ る検討課題に取り組むための、サポートのための基金とされています。 現在のところ、ARINやRIPE NCC、AfriNICといったRIRの他に、企業や個人 が寄付を行っています。 □IETF Endowment http://www.sustainietf.org/ ○IETFシスターズ IETFの参加者は男性が多いのですが、女性同士で意見交換をしたり、助言 を得たりするための場が設けられています。IETF 96ミーティング期間中 の7月21日(木)には、ランチ会合が開かれていた模様です。下記のページ では、メーリングリストも紹介されています。 □IETF Systers (IETFブログの記事) https://www.ietf.org/blog/2016/07/ietf-systers/ ◇ ◇ ◇ 次回のIETF 97は、2016年11月13日から18日まで、韓国のソウルで開催されま す。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1426/f693119646c236f7c9525e3ff9bcd25f┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1426/c37e9e9b851eb1572084c815e111819e┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.1426 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2016 Japan Network Information Center