IANA監督権限移管に反対する意見と、それに対する回答(抄訳)
※これは、ICANN自身が、 IANA監督権限移管に反対する意見とそれに対する回答を取りまとめたFAQの抄訳です。
1. 移管はインターネットの自由に対する脅威なのか?
違う。 米国政府とICANNの間の現行の契約はインターネット上の言論に対する規制権、 保護権を何も定めていない。
2. 移管後、国々はインターネット上の言論の検閲ができるようになるのか?
現状と変わらない。 現在の契約は米国政府が他国が検閲、 コンテンツブロッキングを行うことを防ぐこととまったく関係がない。 むしろ人権や言論の自由に関する市民社会団体は、 移管は言論の自由を推し進めるとしている。
3. 移管後ICANNは、単一の団体による乗っ取りに対し脆弱になるのか?
違う。 ICANNのマルチステークホルダーモデルは、 いかなる単一の団体によっても乗っ取られることがないように元々設計されているし、 それは移管提案によってむしろ強化されている。
4. ICANNは移管後も独占禁止法の適用免除を維持するために、国連の監視を求めるのか?
ICANNはそもそも、独占禁止法の適用免除を受けたことがない。 いかなる政府との契約も、他の命令も適用免除を定めていない。 従って、これまでもこれからも独占禁止法が適用される。 また、NTIAは米国政府の役割を他の政府や政府間組織に置き換える提案は許容しない。
5. 各国政府は移管後インターネットに対して規制力を強めるのか?
強めない。 そもそもマルチステークホルダーモデルは政府、 政府間組織の影響を適切に制限している。 移管後ICANN理事会が政府諮問委員会(GAC)からの助言を特に考慮しなければならない機会は起こりえるが、 それは米国を含むGACの全会一致が必要であり、 現在よりも厳格な条件である。
6. 移管を1、2年先延ばしにすると弊害があるか?
ある。 移管の遅延はビジネスセクターなどのステークホルダーに不確実性を持ち込み、 長期的な政治経済的影響が起こりうる。 2016年3月の公聴会では元大使から「遅延による明確な影響は、 米国がもはや民間主導のインターネットを信じていないというメッセージとなることだ」と証言している。
7. ICANNは移管後、米国以外に本拠地を移すのか?
移さない。 移管提案はICANNが属する裁判管轄は変わらないことを明確に定めている。
8. 議会の承認無しに移管を進めることは、米国の資産の移転という観点で違法ではないか
違法ではない。 いかなる米国政府資産の移転も起こらないとICANNは考えている。 商務省法律顧問の法務チェックの結果も、 移管による米国政府資産の移転を引き起こさず、 権威ルートゾーンファイルは米国政府の資産ではないと、 NTIAは述べている。
9. 移管の結果、ベリサイン社は.comドメイン名の値上げができるようになるのか?
ならない。 .comドメインのコストは2018年11月まで7.85米ドルの上限が課せられており、 料金改定の議論は2018年以降になる。
10.最近の新gTLDに関する独立審査プロセス(IRP)の決定は、ICANNが移管に関して十分な透明性と説明責任を持ち合わせていないということか?
そうではない。 IRPはICANNのポリシー決定に関するコミュニティの懸念を解決するための機構であり、 結果が肯定的であろうが否定的であろうが、 ICANNのマルチステークホルダーモデルに組み込まれたチェック・アンド・バランスの機構が機能していることを実証している。
11.ICANNは中国政府と事業運営上の関係を持っているか?
持っていない。 中国にあるエンゲージメントセンターは全世界に七つあるうちの一つであり、 センターの存在はその国の政府や政策に対する支持を示すものではない。
以上