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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1462【臨時号】2016.12.21 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1462 です
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2016年12月上旬に、メキシコ・グアダラハラでIGF 2016会合が開催されまし
た。IGFはインターネットガバナンスに関する課題について、さまざまな関係
者で幅広く議論するための国連主催の会合です。

このIGF 2016会合の様子について、本号より2号にわたりご紹介します。前編
となる本号では、IGF 2016の全体会合についてお届けします。後編の次号で
は、JPNICの活動に関連する資源管理やその他技術動向に関する議論をご紹介
する予定です。

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◆ IGFグアダラハラ会合(IGF 2016)報告 [前編] ~全体概要~
                                     JPNIC インターネット推進部 奥谷泉
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メキシコ・グアダラハラで2016年12月6日~9日(Day 0:12月5日)に開催され、
83ヶ国、2,000名を超える参加者を迎えた、「Internet Governance Forum
(IGF 2016) ミーティング」について、レポートします。

この前編では全体の概要をレポートし、後編では資源管理や技術動向に関わ
る議論を中心にご紹介しますが、セッションは多様なテーマを取り扱い、ミー
ティング全体で200を越えるため、ここで紹介できるのはそのほんの一部で
す。

例えば、セキュリティに関する議論はご紹介しませんが、Cybersecurityに関
するBest Practices文書の策定、国連の政府専門家会合(GGE)における動向と
政府以外の関係者のサイバー規範(Cybernorms)における関わりを含め、多く
の議論が行われ、注視が必要な分野です。

個々のセッションのアーカイブ(動画、発言記録)はご紹介するURLに順次掲載
されますので、プログラムをご確認の上、より詳しく議論を追いたい場合は
開催日時とセッションタイトルよりお探しください。


■ IGFミーティングの特徴

IGFは、国連主催のインターネットガバナンスについて議論を行う会議です
が、交渉ではなく異なる立場からなる関係者による対話を重視しています。
参加は、国連加盟国からの参加者であれば、政府に限らず誰にでも開かれて
おり、参加費は無料、リモート参加も可能です。

200を超えるセッションのうち、半数以上のプログラムは公募に基づき
「Multistakeholder Advisory Group (MAG)」と呼ばれるプログラム委員(さ
まざまな地域や立場より構成された約50名のメンバー)が選定します。私自身
も本年までTechnical CommunityからのMAGメンバーを務め、プログラム選定
にも関わってきました。


■ IGF 2016の参加者

政府、企業、技術コミュニティ、市民社会それぞれの立場から参加がある中、
今回技術コミュニティからはIETF、ISOC、RIR、ICANNのCEOやチェア達、NIR
からはJPNICに加えCNNIC、KRNIC (KISA)、VNNIC等から参加がありました。

民間企業からは、引き続き米国企業の参加が目立ち、Facebook社、Google社、
Yahoo!社、AT&T社、Verizon社、Cloudflare社、Microsoft社、Apple社などが
参加していました。日本からはヤフー株式会社が参加し、セッションの企画
も務められていました。また、世界経済フォーラム(WEF)の積極的な参加が見
受けられたことも特徴です。オペレータとしては、パングラデシュのNOG
(BDNOG)のチェア、APNIC SIGのCo-Chairを務めているSumon Ahmed Sabir氏が
今年よりMAGメンバーとなり、私と共に後述するIPv6 Best Practices Forum
(IPv6-BPF)のCoordinatorを務めました。


■ IGF 2016の特徴と主な議論のテーマ

今年より元ISOC CEOのLynn St.Amour氏が、民間として、また女性としても初
となる議長を務め、さらに今回のメキシコでの会議は、IGF開催期限の延長が
2025年までと国連総会にて承認されてから初めての開催でした。そのため最
終日には、今後10年のIGFの改善について、国連事務局やMAGのチェアが参加
者からヒアリングを行うセッションも開催されました。政府に限らず、誰も
が参加できる場としてのIGFの改善は、開発のための科学技術委員会(CSTD)
等、国連のその他の場でも議論されてきたテーマです。本セッションは、IGF
の運営に責任を持つ国連経済社会局(UNDESA)の担当者に、IGF参加者が直接イ
ンプットを行える機会でした。

またIGFとしては、今後10年の改善に対するインプットを待たず、既に並行し
てできる改善は一部進めています。年に1度の会議での議論で終わるのではな
く、課題に対する検討を継続的に進め、具体的な成果を示すべく、過去3年は
"Intersessional Work"として括られる各種活動を実施しています(以下、
「成果文書・継続活動」参照。初心者向けプログラムや屋外スペースを利用
して気軽に議論できる場を設ける等の試みも行いました)。

なお、National Regional IGFとの連携強化、日本のIGFへの関わりはJPNICブ
ログでもご紹介しましたので、詳しくはそちらをご覧ください。

 ・JPNICブログ:IGF 2016開催中です (2016年12月9日)
   https://blog.nic.ad.jp/blog/igf2016/


■ 主な議論のテーマ

今年のIGFは「インターネットを基盤とした継続的な発展」を会議のメイン
テーマでした。これは、インターネットを基盤として国連の2030年ミレニア
ム開発目標をどう支援できるのかを念頭に置いたものです。

また、IGF 2016メインセッションとして、新たにインターネットに関する貿
易協定のあり方を議論したセッションも開催されました。貿易協定について
は個別のセッションでもインターネットにおけるTPPの是非について議論する
セッションが開催されています(Day 3、Workshop 60)。これらはインターネッ
トが基盤となる経済活動への着目が増えてきていること、また、国際的な貿
易協定の中でインターネットが関わる場面が増えた動向を反映していると言
えそうです。

その他、主に議論されたテーマは、

 ・「(途上国や都市部以外の地域への)アクセス提供」(IXP、IPv6普及促進、
    コミュニティネットワークの提供)
 ・「サイバーセキュリティ」(政府、法執行機関、その他関係者間の連携の
    あり方、IoTセキュリティ)
 ・「人権」(監視とプライバシー、忘れられる権利、インターネット情報へ
    のアクセス)
 ・「若者の参加促進」

が挙げられます。


■ 成果文書・継続活動

ここでご紹介する活動は、会議開催の数ヶ月前からオンラインで議論を重ね、
その成果もオンラインで残ったり、または活動が継続されたりすることに重
点が置かれています。

IGF開催期間延長の国連による承認が必要となる目前の2014年から、これらの
取り組みを開始/再活性化を行うことで、特定の課題に対して年の一度の会議
で議論して終わるのではなく、交渉ではない形で、特定の課題に対して具体
的な対応を示すことを目指しています。

◇ Best Practices Forum

   ・毎年、その年に重視される四~五つのテーマが選定され、今年は次の四
     つのテーマについて取り組みました。

    「Gender and Access」
      http://www.intgovforum.org/multilingual/content/bpf-gender-and-access
    「IPv6」
      http://www.intgovforum.org/multilingual/content/bpf-ipv6
    「IXP」
      http://www.intgovforum.org/multilingual/content/bpf-ixps
    「Cyber security」
      http://www.intgovforum.org/multilingual/content/bpf-cybersecurity

   ・いずれのテーマもIGF会議の半年以上前から誰もが参加できる「メーリ
     ングリスト」と「電話会議」での議論を経て文書化に取り組み、意見募
     集の上、最終的な文書はIGFのWebサイトで公開され、主な関係者機関や
     コミュニティへ周知されます。

◇ Policy Options for Connecting and Enabling the Next Billion(s) - Phase II

   昨年2015年に続き、次の10億人をインターネットにつなげる上での各種施
   策について文書化しました。

   http://www.intgovforum.org/multilingual/content/policy-options-for-connecting-and-enabling-the-next-billions-phase-ii

◇ Dynamic Coalitions

   特定のテーマについて継続的に議論・活動を行うグループで、参加は誰に
   でも開かれており、現在は16のテーマに対して、Dynamic Coalitionグルー
   プが設けられています。

   http://www.intgovforum.org/multilingual/content/dynamic-coalitions-4


■ 次回のIGF

来年のIGF 2017はスイスがホスト国となり、2017年12月18日(月)~21日(木)
にジュネーブで開催されることが、Closing Ceremonyで発表されました。

          ◇                     ◇                     ◇

次号のIGF 2016報告の後編では、IGFのうち、資源管理・技術動向について取
り上げます。


■ 参考情報

・IGF Webサイト
  https://www.intgovforum.org/multilingual/

・IGF 2016各種セッション動画・発言録一覧(準備完了次第随時掲載)
  http://www.intgovforum.org/multilingual/content/igf-2016-transcripts

・IGF MAG議長による会議の総括
  http://www.intgovforum.org/multilingual/index.php?q=filedepot_download/12/211

・IGF 2016 Daily Report(Geneva Internet Platform提供)
  http://digitalwatch.giplatform.org/events/11th-internet-governance-forum


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1462 【臨時号】

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