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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1482【臨時号】2017.3.23 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1482 です
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vol.1480から連載にて、2017年2月下旬から3月上旬にかけてベトナムで開催
された、APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンスのレポートをお届けしていま
す。本号では連載の[第2弾]として、本カンファレンスの全体概要についてご
紹介します。

なお、本稿でも簡単にご紹介していますが、本カンファレンス中に開催され
たAPNIC総会(AMM)において、JPNICの奥谷がAPNIC EC(理事)に就任しておりま
す。奥谷からの就任にあたってのメッセージは、先週発行したvol.1480でお
届けしていますので、まだご覧になっていない方は下記のURLからバックナン
バーをご覧ください。

□APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンス報告
  [第1弾] APNIC Executive Councilメンバーとしてのご挨拶(vol.1480)
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2017/vol1480.html

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◆ APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンス報告 [第2弾] 全体概要報告
                                               JPNIC IP事業部 川端宏生
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APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンスは、2017年2月20日(水)~3月2日(木)
にベトナムのホーチミンシティで開催されました。

日中の気温は摂氏30~35度で強い日差しが照りつける毎日でしたが、2月から
3月にかけてのベトナムは乾季にあたり、日本の真夏のように湿気は多くなく
過ごしやすい気候となっていました。朝夕のラッシュ時にはあちこちで交通
渋滞が起きており、カンファレンスのレセプション会場に向かうバスも渋滞
に巻き込まれて、到着が遅れるといったハプニングもありました。

主催者からの報告によると、56の国や地域から813名の参加登録があり、その
うち654名が実際に会場に足を運んだとのことでした。参加登録者813名の内
訳は、開催国ベトナムが157名、続いて米国が97名、日本が76名、香港が58
名、シンガポールが47名となっています。


■ カンファレンスの構成について

APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンスではこれまでと同様に、会期を大きく
二つに分けてプログラムが構成されました。

会期前半のワークショップは、DNSやDNSSEC、BGPや仮想化といったトピック
について、業界の第一人者から話を聞きながら、ハンズオンなども含めた演
習形式で行われます。

後半は、RPSL (Routing Policy Specification Language)とRPKI (Resource
Public Key Infrastructure)、DNSとDNSSEC、MPLS (Multi Protocol Label
Switching)やアドレス管理といった、ネットワークの運用者にとって知って
おくべき内容に関するチュートリアルのほか、「APOPS (Asia Pacific
Network Operators Forum)」、「SIG (Special Interest Groups)」「BoF
(Birds of a Feather)」、「AGM (APNIC Annual General Meeting; APNIC総
会)」などの会議・セッションで、各種最新動向の報告やポリシーに関する議
論などが行われます。

各プログラムの内容や、その際に利用された資料の大半は、Webサイト(*1)か
ら参照できます。発表資料や質疑応答をまとめた発言録、当日の発表風景の
映像・音声などが公開されています。

今回はこれらのプログラムの中から、IPv4アドレス移転に関するセッション
と、最終日に開催されたAPNIC Annual General Meeting (AGM)の話題をご紹
介します。

(*1) APRICOT 2017/APNIC 43 Program
     https://2017.apricot.net/program


■ IPv4アドレス移転に関するセッションについて

APNICカンファレンスに参加される方の中には、IPv4アドレス移転に関する動
向に関心をお持ちの方も多いかと思います。ここ数回のカンファレンスでは、
IPv4アドレス移転に関するセッションが設けられています。

今回は「Navigating the IPv4 Transfer Market」と題するセッションが設
けられました(*2)。このセッションは、APNICのメンバーサービスの責任者、
移転仲介事業者、IPv4アドレス移転を実際に経験した組織の担当者、IPアド
レスの利用動向を調査している研究者をパネリストに迎えて、それぞれの立
場からの報告と議論で構成されていました。

(*2) Making ends meet: IPv4 exhaustion and the transfer market
     https://2017.apricot.net/program/schedule/#/day/10/apnic-panel---navigating-the-ipv4-transfer-market

David Huberman氏(Oracle社)からは、IPv4アドレス移転を行った組織の担当
者の立場から報告が行われていました。移転に関わる費用の見積もり、各地
域のIPアドレスの管理ポリシーの把握、レジストリへの問い合わせ・連絡・
情報更新・事前の利用計画といった、IPv4アドレス移転を行う上で必要なこ
とが、はじめに解説されました。仲介事業者へのコンタクト後に、当事者と
どのように関わるべきかといった、経験してみないとわからない点について
も説明されていたのが印象的でした。

IPv4アドレス移転市場に関わる人の30%は、アドレスを奪い取ることや、お金
を騙し取るなどの目的を持っている可能性が高いとも述べていました。こう
いう目的から、いかに自分たちの組織を守るかについても説明されていまし
た。

Amy Potter氏(Hilco Streambank社)からは、移転仲介事業者の立場からの説
明が行われました。IPv4アドレスの価格は時間を追うごとに上昇を続けてお
り、できるだけまとめて移転することが、総費用の節約に繋がると述べられ
ていました。David氏と同様に、不正に奪い取ったアドレスを購入させられる
ケースが出てしまうことを懸念しているようでした。また、決済代金をやり
取りする際に、第三者預託を行うエスクローの仕組みを利用すれば、金銭的
な被害を防ぐこともできるといったことも紹介がありました。

Peter Thimmesch氏(Addrex社)からは、IPアドレスの利用動向を調査している
研究者の立場から報告が行われました。RIRによるIPアドレス管理体制ができ
る前に分配されたアドレスのうち、全世界で6,140の組織に分配されている約
8,000のクラスB(現在の/16に相当)が未利用となっており、経路広告もされて
おらず、逆引きネームサーバも登録されていないことが報告されていました。

IPv4アドレス移転については、日頃からJPNICへの問い合わせも多く、関心の
高さをうかがい知れます。JPNICでの情報提供に生かすことができるよう、情
報収集を続けていきます。


■ APNIC Annual General Meetingについて

APNICカンファレンスの最終日には、APNIC Annual General Meeting (AGM)が
開催されます。AGMでは、APNICの活動内容に関する報告、APNICカンファレン
ス期間中に開催されたSIGや各種セッションの報告、次回APNICカンファレン
スの紹介などが行われます。

通常、春に開催されるAPNICカンファレンスでは、APNIC理事会メンバー(EC)
を選出するための選挙が行われます。ECの任期は2年となっており、1年ごと
に半数が改選となります。今回の選挙では、四つの改選議席に対して現職3名
を含む、16名が立候補していました。

候補者のプロフィールは、APNICのWebサイト(*3)で事前に公開されますので、
会員の多くはその内容を参考にして、前日までに専用ポータルサイトからオ
ンライン投票を済ませます。AGM当日の候補者自身によるスピーチを確認して
から投票する会員や、他の会員からの委任を受けて投票する場合には、紙の
投票用紙が利用されます。

今回選出された4名に加えて、今回の改選対象には含まれない3名、および
APNIC事務局長の8名で、APNIC理事会の新体制がスタートしています。

APNIC理事会の新体制は、以下の通りです(括弧内は現在の所属および出身国・
地域)。任期やECメンバーのプロフィールは、APNICのWebサイト(*4)に掲載さ
れています。

  ★・Gaurab Raj Upadhaya氏(Limelight Networks:ネパール)
    ・Rajesh Chharia氏(Internet Service Providers Association of
      India:インド)
★☆・奥谷泉(JPNIC:日本)
  ★・Kenny Huang氏(TWNIC:台湾)
    ・Roopinder Singh Perhar氏(Netplus Broadband Services Private
      Limited:インド)
  ★・Jessica Shen氏(CNNIC:中国)
    ・Kam Sze Yeung氏(Akamai Technologies:香港)
    ・Paul Wilson氏(APNIC事務局長:オーストラリア)

      ※ ★は今回選出されたEC
         ☆は新任のEC

日本からはJPNIC職員の奥谷泉が立候補し、皆様のご支援のおかげもあり、初
当選を果たしました。APNIC ECにかける奥谷の意気込みは、前号をご覧いた
だければと思います。

  □ vol.1480 APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンス報告
     [第1弾] APNIC Executive Councilメンバーとしてのご挨拶
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2017/vol1480.html

(*3) APRICOT 2017/APNIC 43 Elections
     https://2017.apricot.net/elections#nominees

(*4) APNIC EC members
     https://www.apnic.net/about-APNIC/organization/structure/apnic-executive-council/ec-members


■ 次回以降のAPNICカンファレンスについて

次回のAPNIC 44カンファレンスは、2017年9月7日(木)~14日(木)に、台湾・
台中で開催されます。また、次回APRICOTとの共催となるAPRICOT 2018/
APNIC 45カンファレンスは、SANOG 31カンファレンス(*5)とも共催となり、
2018年2月20日(火)~3月2日(金)に、ネパール・カトマンズでの開催が予定さ
れています。

(*5) SANOG(South Asian Network Operators Group)
     http://www.sanog.org/


セッション間の休憩中には、スポンサーそれぞれのブースに人だかりができ
ていました。たまたま隣に座った参加者同士で情報交換を行う姿もよく見ら
れ、会期中通して活発な様子が印象的でした。カンファレンスの一部の様子
は、メールマガジンやブログ、APNICが公開している写真(*6)などから感じて
いただけると思いますが、全体の雰囲気など、そのすべてをお伝えすること
は難しいです。この記事をお読みの皆様も、ぜひ一度参加されてみてはいか
がでしょうか。

(*6) APRICOT 2017(APNICのflickr)
     https://www.flickr.com/photos/apnic/albums/72157680828518965


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1482 【臨時号】

 @ 発行  一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター
          101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F
 @ 問い合わせ先  jpnic-news@nic.ad.jp
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