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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1566【臨時号】2018.1.24 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1566 です
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IGFは国連主催の会合で、インターネットガバナンスに関する課題について、
さまざまな関係者で幅広く議論されます。2017年12月中旬に12回目となる会
合がスイス・ジュネーブで開催されました。本号では、このIGFジュネーブ会
合での議論の動向をご紹介します。

なお、本文中でも触れていますが、本会合については先行してJPNICブログで
もレポートを公開しています。写真中心でまた違った雰囲気のレポートとなっ
ておりますので、こちらもぜひ併せてご参照ください。

  IGF 2017フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/blog/igf2017/

また、2018年2月13日に開催される第23回日本インターネットガバナンス会議
(IGCJ)でも、本ジュネーブ会合の振り返りがテーマの一つとなっています。
オープンな会合で遠隔からの参加も可能となっていますので、ご興味のある
方はぜひご参加ください。

  第23回IGCJ会合開催のご案内
  http://igcj.jp/news/2018/0119.html

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◆ IGFジュネーブ会合(IGF 2017)報告
                                   JPNIC インターネット推進部 前村昌紀
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2017年12月18日(月)から21日(木)までの4日間を会期として、今回で12回目を
迎えるインターネットガバナンスフォーラム(以下IGF)が開催されました。開
催地はスイスのジュネーブで、IGFは国際連合が主催していますが、今回は会
場も国際連合のジュネーブ事務局ということで、主催者本拠地での開催と言
えます。

12月後半ということで、会期中のジュネーブは大変寒く、参加者に配られた
ノベルティにニット帽が含まれていました。1日目には雪が降り、IGF発足以
来初めて、雪のIGF会合となりました。開催がクリスマス休暇直前ということ
で、参加人数が案じられていましたが、2,000人を超える参加者が会場に集ま
るとともに、オンライン参加者も1,600名を超えていたようです。

今回のテーマは、「Shaping your digital future! (デジタルな未来を描こ
う!)」ということで、例年のテーマに比べてキャッチーな印象ながら、技術
的にも社会的にも大きな転換点にあるインターネットやICT技術に関して、期
待とともに課題も連想させるものでした。

会期中のセッションは、

1) MAG(*1)メンバーが直接企画運営するメインセッション(6セッション)
2) 誰でも提案でき、MAGの選定によって開催されるワークショップ(99セッ
   ション)
3) 政府や国際機関が開催するオープンフォーラム(44セッション)

の3種類に大別されますが、今回はそれ以外に、ホスト国スイスが主催した二
つのハイレベルセッション、国別・地域別IGF活動(NRI)が合同提案した八つ
のNRIセッション、また会期前日(Day0と呼ばれます)に開催された併催セッ
ションなどを含め、合計で200を超えるセッションが開催されました。

(*1) 「Multistakeholder Advisory Group」の略で、各地域・ステークホル
     ダーにより構成されるIGFのプログラム委員会

以下、今回のIGF会合を、セッションの様子、全体構成などいくつかの観点で
ご報告します。時には10セッションが並行で進行するため、すべてのセッショ
ンに参加できるわけではありませんので、参加できた範囲でお許しください。


■ ハイレベルテーマセッション "Shaping Our Future Digital Global
   Governance"

1日目、オープニングセレモニーの後に行われたハイレベルセッションは、ス
イスの大統領、国連諸機関の高官とともに、日本から総務省の富永昌彦総務
審議官も登壇しました。各ステークホルダーのリーダーを交えた11人のパネ
ルを、スイスのテレビ局RTSのアンカーウーマン、Nathalie Ducommun氏がモ
デレートするセッションで、会合テーマに沿ったセッションタイトルが付け
られた、会合全体の基調を担うものでした。モデレーターがパネリストそれ
ぞれに、現況認識と今後の見通しを尋ねるところから、セッションは始まり
ました。先人たちの前向きな未来像とともに発展してきて、AIやIoTの出現と
いった大きな転換点に差し掛かるインターネットに対して、決して楽観的で
ない現況認識が示された上で、明確な見通しがつかないところではあるが、
社会の構成員全員が他人事ではなく自分の問題として、参加するだけでなく
アクションを起こしていくことが重要だといったメッセージが発せられまし
た。

パネリストのAnriette Esterhuysen氏が発し、Vint Cerf氏が同調した、「イ
ンターネットは現実社会の投影である」という言葉は、これからのインター
ネット社会のあり方を、インターネットやICTといった技術的な問題として他
人事にするべきでないというメッセージとして、象徴的だったと思います。

第一人者揃いのパネルが発した言葉は、どれも印象的で重みがあります。他
の多くのセッション同様、ビデオや速記録が公開されていますので、ご興味
があればご参照をお薦めします。

  HIGH LEVEL THEMATIC SESSION 'SHAPING OUR FUTURE DIGITAL GLOBAL
  GOVERNANCE'
  https://igf2017.sched.com/event/CSCf/high-level-thematic-session-shaping-our-future-digital-global-governance


■ NRIセッション

国別・地域別IGF活動は、IGFに類する国レベルや地域レベルの活動を、一定
の条件の下に認知して連携することを目的に設けられていますが、2016年の
IGFでNRIに特化したメインセッションを開催したことに引き続き、今回はメ
インセッション以外にNRI合同セッションとして、複数のNRIが協同で企画構
成したセッションが、さまざまなテーマで実施されました。メインセッショ
ンは、「NRIs Perspectives: Rights in the Digital World」と題して3日目
に開催され、NRIが活動しているそれぞれの地域における問題を紹介、共有し
ました。NRIは80にも及び、議場の円卓を囲む様子は壮観でした。NRI関連セッ
ションは、同じ時間帯に競合したセッションがあるなど、調整に改善の余地
は残りますが、昨年に比べて大いにプレゼンスを増した形となりました。

  NRIs PERSPECTIVES: RIGHTS IN THE DIGITAL WORLD
  https://igf2017.sched.com/event/CTrd/nris-perspectives-rights-in-the-digital-world


■ セキュリティに対する関心

今年のIGFを象徴するキーワードの一つは、セキュリティです。200程度の総
セッション数のうち、セキュリティと銘打たれたセッションは18に上り、IGF
でも重要課題として取り扱われています。そのうちの一つ、2日目に開催され
た「International cooperation between CERTS: technical diplomacy for
cybersecurity」では、各国のナショナルCSIRT関係者が集まり、相互の信頼
と協力が不可欠であることを再確認した上で、その多くが国の機関であるも
のの決して政治的に動くべきではなく、技術と政策のバランスを取ることが
重要だ、などと議論が進みました。

  International cooperation between CERTS: technical diplomacy for
  cybersecurity? (WS38)
  https://igf2017.sched.com/event/CTrn/international-cooperation-between-certs-technical-diplomacy-for-cybersecurity-ws38


■ IPv6関連

IPv6関連では、3セッションが持たれました。そのうちの一つはNRI合同セッ
ションとして4日目に開催された、「Working together on national regional
level to encourage IPv6 deployment: Experiences and addressing
challenges」で、Japan IGFの一員として参画しました。各地域でのIPv6普及
に関する現状と課題を共有する中では、Japan IGFから一般財団法人インター
ネット協会副理事長の木下剛氏が登壇され、モバイル事業者におけるIPv6サー
ビス提供に至った経緯を含めた、日本の取り組みを紹介しました。グローバ
ルな普及状況に関する統計調査の紹介では、トップグループにおける普及が
加速する一方で、普及が進まないグループでの停滞が目立つという二極化現
象があることが明らかになり、対策の必要性が訴えられました。

  NRIs Collaborative Session: Working together on national regional
  level to encourage IPv6 deployment: Experiences and addressing
  challenges
  https://igf2017.sched.com/event/CTrw/nris-collaborative-session-working-together-on-national-regional-level-to-encourage-ipv6-deployment-experiences-and-addressing-challenges


■ その他

他にも、フェイクニュース、AI、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーンな
ど、最新動向、最新技術に関しても、社会的インパクトを探る切り口が垣間
見られるタイトルやセッション記述で、多数セッションが設定されていまし
た。

現在、日本からはヤフー株式会社の望月健太氏が、MAGメンバーとして活動な
さっています。今回のIGF会合では、メインセッションの一つとして4日目に
開催された、「Digital Transformation: How do we shape its
socio-economic and labor impacts for good?」の企画調整を担当され、セッ
ションでも登壇されました。

  Digital Transformation: How Do We Shape Its Socio-Economic and
  Labor Impacts for Good?
  https://igf2017.sched.com/event/CTsd/digital-transformation-how-do-we-shape-its-socio-economic-and-labor-impacts-for-good


■ おわりに

今回の会合の成果として、「ジュネーブ・メッセージ (Geneva Messages)」
と名付けられた文書群が公開されています。これは、ハイレベルセッション
とメインセッションの内容をまとめたもので、より具体的な成果を示すため
の初の試みとなります。

  IGF 2017 'Geneva Messages'
  https://www.intgovforum.org/multilingual/content/igf-2017-geneva-messages

IGFでは、全世界からさまざまな関係者が集まって、セッション以外にも会場
のあちこちで参加者同士が集まって話をしており、「年に1度のインターネッ
トの祭典」という言葉がピッタリくるイベントです。MAGが企画して大きな
ホールで行うメインセッションから、比較的小規模なワークショップまで、
規模もさまざま、テーマやアプローチもさまざまな、たくさんのセッション
が持たれ、その時々のインターネットの課題が話し合われます。

インターネットの政策に関する対話の場として設定されたIGFは、拘束力のあ
る決定ができない点に不満が挙がることもありましたが、この「対話の場」
の使い方に、参加者が習熟してきた感があります。国際連合やMAGにおいて
も、より開催意義が高まるように、継続的な運営改善を行っています。

NRIに関しては、メインセッションだけでなく、NRI合同セッションをいくつ
か開催する形で、確実にプレゼンスを増した印象があります。しかしながら、
まだまだIGF会合におけるセッション運営としても、NRIの枠組み自体として
も、改善の余地があります。JPNICはIGCJの事務局として、IGF Japanと協同
で構成しているJapan IGFに関与しますので、今後とも状況を注視し、NRIの
枠組みの改善や発展に寄与していきたいと思います。

IGF会合の各セッションは、録画と速記録が公開されます。ご興味があれば、
ぜひご覧になってください。

なお、今回のIGF 2017については、写真を中心としたレポートを、JPNICブロ
グでも先行して公開しています。現地の雰囲気がよくわかると思いますので、
こちらの記事もぜひ併せてご覧ください。

  IGF 2017 フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/blog/igf2017/

次回会合に関しては、執筆時点でまだ公表されていません。公表されたら、
その時にお知らせします。


■ 参考情報

  IGF Webサイト
  https://www.intgovforum.org/

  開催国サイト
  https://igf2017.swiss/

  Geneva Internet Platform - 12th Internet Governance Forum
  (セッションレポート、日次レポートなど豊富)
  https://dig.watch/events/12th-internet-governance-forum

  MAGメンバーであるヤフー株式会社の望月氏による事前説明資料(IGCJ22)
  http://igcj.jp/meetings/2017/1130/igcj22-1-2-mochizuki.pdf


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 JPNIC News & Views vol.1566 【臨時号】

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