━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1614【臨時号】2018.8.23 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------- PR -------------------------------------------------------- 【TOHKnet(トークネット) 東北インテリジェント通信株式会社 】 ┏◆◇つなげる力を、明日のために。◆◇━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ 事業所間ネットワーク・インターネット・クラウド等のサービスや ┃ ┃ お客さまの導入事例をHPにてご紹介中! 詳しくはこちらから↓ ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.tohknet.co.jp/ ┛ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1614 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018年7月中旬に、カナダ・モントリオールにて第102回IETFミーティングが 開催されました。この会合のレポートを、本号より連載にてお届けします。 連載の第1弾となる本号では、モントリオール会合における全体会議の様子を ご紹介します。 次号以降では、セキュリティ、IoT、IPv6と各分野の動向を、順次ご紹介して いく予定です。 なお、本モントリオール会合のオンサイトでの報告会を、来週8月31日(金)に 東京・青山学院大学にて開催いたします。本連載で取り上げるエリア以外に も、会合での議論を幅広くご紹介しますので、ご興味を持たれた方はこちら にもぜひご参加ください。 IETF報告会(102ndモントリオール)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2018/20180803-01.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第102回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告 JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第102回IETFミーティング(以下、IETF 102)は、2018年7月14日(土)から20日 (金)にかけて、カナダのモントリオールにあるホテル、フェアモント・クイー ンエリザベスで開催されました。 IETF 102は、元々はサンフランシスコで開催される予定でしたが、2017年に プラハで開催された第99回IETFミーティングの場において、モントリオール での開催に変更されました。米国への入国審査が厳しくなりつつある状況を 受けての変更決定でしたが、この影響により会期日程が1週間前倒しとなりま した。また、会期中にはFIFAのワールドカップが行われていたため、ハッカ ソン会場で試合を見ている人が現れたり、併催のミーティングの時間が変更 されたりしていました。 本稿では以下のトピックを中心に、IETF 102の模様をご紹介します。 ・ANRW (Applied Networking Research Workshop) ・BoF ・全体会議からのトピック ・参加人数の近況 ■ ANRW ANRWは、Applied Networking Research Workshopの略で、ACM (Association for Computing Machinery)、IRTF (Internet Research Task Force)、ISOC (Internet Society)が共同で開催しているワークショップです。 ANRWのページ(https://irtf.org/anrw/2018/)では、ネットワークに関するリ サーチの結果を議論する、研究者、ベンダー、インターネット標準のコミュ ニティのためのフォーラムと説明されています。アカデミアからIETF標準や プロトコルに移行(影響)するパスを作るとともに、アカデミアに対しては、 IETFにおいて挙げられているトピックや未解決の問題から、発想を得られる ようにするとのことです。 このワークショップは2016年以降毎年行われていて、IETF 102と併催の形で 行われました。今回は44の論文が投稿され、講演の採録は11、ポスターセッ ションの採録は18でした。 ANRWで扱われる分野は、「TLS (Transport Layer Security)」「ルーティン グ」「インターネットインフラストラクチャ」「輻輳制御」「トラフィック エンジニアリング」「匿名通信」に分かれています。最新の研究というより は、プロトコル策定に関わる研究が採録されているようです。 Workshop Program - 動画と発表スライド https://irtf.org/anrw/2018/program.html Workshop Posters - ポスター発表の一覧 https://irtf.org/anrw/2018/posters.html 筆者は、TLSのセッションに参加しました。チェアをされていたシャロン・ ゴールドバーグ(Sharon Goldberg)氏は、研究結果からプロトコル策定の場へ のフィードバックが図られるように、研究者とプロトコルを策定する者の、 両方の立場に対して意見交換を促していました。 ■ BoF IETF 102では、BoF (Birds of a Feather - 特定のトピックについて集まる 会合)は三つ行われました。 〇DNS Resolver Identification and Use (driu) DoH (DNS over HTTPS)やDoT (DNS-over-TLS)が現れることで、端末における DNSサーバを指定する方法が、IPアドレスだけではなくなってきました。DHCP やDHCPv6でネームサーバの情報を配布するにはどのようにすればいいのか。 そのような観点を発端に、いくつもの論点が挙げられて議論されました。 HTTPSやTLSが使われるということは、TLSのサーバ認証が行われるということ であり、セキュリティの観点での議論も必要です。会場では、DHCPでネーム サーバ情報を配布する場合のセキュリティや、クラウド事業者などから提供 された複数のDNSサーバのリストがある時に、どのように選択するかといった 実現方法について議論されました。 このBoFの議論について、JPNICブログで補足と解説を行っておりますので、 ご覧いただければと思います。 DNS over HTTPSとDHCP -IETF102における議論- https://blog.nic.ad.jp/blog/dns-driu/ DNS Queries over HTTPS (DoH) https://datatracker.ietf.org/doc/draft-ietf-doh-dns-over-https/ 〇国際化に関わるレビュープロセス(i18nrp) IETFの中で、国際化ドメイン名(IDN)などの、アルファベットではない文字列 についてドキュメントレビューをする人が、少ないという問題が起きていま す。このBoFでは、チームを作ってレビューするドキュメントを選択すること などが提案されていました。MLを作ってディスカッションが続けられる模様 です。 IETF-102:i18nrp https://datatracker.ietf.org/meeting/102/session/i18nrp 〇The label "RFC" (rfcplusplus) IETFでのRFC化までのプロセスとしては存在しないはずの、例えばWGに属さな いPS (Proposed Standard) RFCがあるという指摘がありました。RFCとひとく くりに言っても、そのプロセスによって意味が異なります。ただ、BoFに同席 していたエリアディレクターを含めて、会場では今後何か対策を採るべきと いった意見は挙がりませんでした。 なお、このBoFとは別に、IAB (Internet Architecture Board)のRSOC (RFC Series Oversight Committee)という委員会が、RFCのメタデータや新たな形 式を検討しています。 IETF-102 : rfcplusplus https://datatracker.ietf.org/meeting/102/session/rfcplusplus RFC Editor Program: The RSOC https://www.iab.org/activities/programs/rfc-editor-program/ ■ 全体会議からのトピック 〇ジョン・ポステル賞 - スティーブン・フーター氏 ジョン・ポステル賞(Jonathan B. Postel Service Award)は、技術面やリー ダーシップの発揮といった、コミュニティに対して貢献のあった人や組織に 贈られるもので、毎年ISOCによって選出されます。今回の受賞者は、非営利 法人NSRC (Network Startup Resource Center)のディレクターである、ス ティーブン・フーター(Steven G. Huter)氏です。NSRCにおいて、120ヶ国以 上でインターネットの発展に、文化の壁を越えて貢献したことが認められま した。NSRCは1992年に設立された非営利組織で、インターネットの普及のた めの援助やトレーニングのためのワークショップの開催、Routeviewsのよう なインターネット運用に役立つツールの開発プロジェクトを推進しています。 〇追悼 - ロバート・ブラッデン氏 インターネットの前身であるARPAnetの一部の実装や、TCP/IPの設計に関わ り、IABやIETFの設立当時から長い間メンバーであったロバート・ブラッデン (Robert BradenまたはBob Braden)氏が、2018年4月に亡くなりました。ISOC にはブラッデン氏をしのぶ特設ページがあり、IETFチェアのアリッサ・クー パー(Alissa Cooper)氏によるブログや、ブラッデン氏の関わったRFCの一覧 などへのリンクがあります。 Remembering Bob Braden https://www.internetsociety.org/news/statements/2018/remembering-bob-braden/ 〇参加費 IETFミーティングの参加費変更についてアナウンスがありました。早期割引 (Early Bird)での参加費は700USDと変わりませんが、次回のIETF 103から適 用が7週間前までになります(IETF 102では2週間前まで)。標準価格も875USD のままですが、ミーティング当日までの適用ではなくなりました。新たに2週 間前からの後期レート(Late rate)が設けられ、参加費は1,000USDとなりま す。 [IETF102(今回)] [IETF 103(次回)] 2週間前まで 700USD 7週間前まで 700USD (Early Bird) (Early Bird) 当日まで 875USD 2週間前まで 875USD (Standard) (Standard) 当日まで 1,000USD (Late/on site) 次回の2018年11月のIETF 103の場合、9月中旬には早期割引が締め切られるこ とになります。参加される場合、その準備の時期をかなり早める必要があり そうです。 〇会場での議論 会場から自由な意見が述べられるオープンマイクの時間には、「BoFが2回に 制限されているのを撤廃すべき」「座って議論する場所が多かったので、ま たこの会場で開催して欲しい」「アジア開催時の旅費が厳しい」といった意 見が挙げられました。 BCP25 (RFC2418)によると、BoFの開催は2回に制限されています。この制限を 避けるために、サイド・ミーティングと呼ばれるミーティングが開催されて います。しかし、そのオンライン中継はなく、またIETFのアジェンダページ には載らないといった点が、悩ましいということのようです。ただ、実際に は2回以上開かれているBoFがあるという情報もあり、オンライン中継やアジェ ンダの見え方(一部ではGitHubが使われています)などを踏まえて、ミーティ ングの形態を考える必要がありそうです。また、アジア開催の旅費について は、一つの地域の視点ではなく、複数の地域からの視点で痛みを分け合う必 要があると、IAOCから回答が行われていました。 ■ 参加人数の近況 今回の参加人数は、チェアの発表によると1,020名でした。56ヶ国からの参加 でした。参加者数の内訳は、米国が45%、カナダが8%、中国が7%、日本は5%で した。全体的に、リモート参加の数が増加傾向にあるようです。 ◇ ◇ ◇ 前述のdriu BoFの話題以外にも、IETF 102のフォトレポートを、JPNICブログ で公開しています。会期中のモントリールの様子を、写真を交えてご紹介し ていますので、こちらもぜひ併せてご覧ください。 写真でふりかえるIETF 102 https://blog.nic.ad.jp/blog/ietf102-pict/ 次回のIETF 103は、2018年11月3日(土)から9日(金)まで、タイのバンコクで 開催されます。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ まわりの方にもぜひNews & Viewsをオススメください! 転送にあたっての注意や新規登録については文末をご覧ください。 ◇ ◇ ◇ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ http://feedback.nic.ad.jp/1614/0233209f6adb37c9456ea9835190caa1 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ http://feedback.nic.ad.jp/1614/c1e1ddf4ab270d3160f77091f6054b15 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNIC News & Views vol.1614 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◇ JPNIC Webにも掲載していますので、情報共有にご活用ください ◇ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2018 Japan Network Information Center